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離婚しても子どもに会いたい! 面会交流を弁護士に相談すべき理由

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更新日:2019年12月13日  公開日:2018年08月27日
離婚しても子どもに会いたい! 面会交流を弁護士に相談すべき理由

現代では、子どもを抱えた夫婦が離婚を選択することは珍しくありません。日本では、現在、夫婦が離婚した場合に父母いずれかが子どもの親権を得る「単独親権」制度を採用しているため、夫婦のどちらか一方は子どもと離れて暮らすことになりますが、離婚しても親子で血のつながりがあることには変わりありません。別居している親が「子どもに会いたい」と思うのは当然のことです。

しかし、離婚によって子どもを引き取った元配偶者と険悪になってしまい、子どもとの面会がなかなかできないケースも珍しくありません。
今回は、別居している親が面会交流で子どもに会うための方法や、そのための手続きを弁護士に依頼するメリットについてお話したいと思います。

1、面会交流とは

離婚をした夫婦に子どもがいる場合、離婚前に夫婦のどちらが親権者・監護者になるかを決めなければなりません。親権者・監護者にならなかった親は子どもと別居することになりますが、別居後も何らかの形で親子が交流することは法律で認められています。それが「面会交流」と呼ばれるものです。

  1. (1)面会交流は別居した親と子どもが交流する機会

    面会交流とは、別居した親と子どもが直接会ったり手紙やメールで交流したりすることを指します。子どもにとって、離れて暮らすことになったとしても、別居した親が自分の親であることに変わりありません。そのため、離婚後も親子で交流の機会を持つことが親にとっても子どもにとっても必要であると考えられています。

  2. (2)面会交流は民法にも明記されている

    面会交流のことは、民法上にも「父母が協議上の離婚をするときは(中略)父又は母と子との面会及びその他の交流(中略)について必要な事項は、その協議で定める」と明確に規定されています(民法第766条第1項)。また、面会交流が実施されることで、養育費の支払いが滞るリスクも軽減されると考えられています。そのため、面会交流が適切に行われることで、監護親は子どもとともに経済的にも精神的にも安定した生活を送れるようになる可能性が高くなるのです。

  3. (3)面会交流は子どもの心身の健全な育成にもつながる

    別居した親と子どもが定期的に交流を行うことで、子どもは両親の離婚による喪失感や悲しみを和らげ、両親から愛されていることを確かめることもできます。そのため、面会交流は子どもの心身の安定につながり、子どもの健全な育成に役立つものと考えられているのです。

  4. (4)面会交流は離婚が成立していなくてもできる

    面会交流は、離婚後にスタートするというイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、離婚前に非監護親となる親が子どもと別居していれば、その段階から面会交流を行うことができます。

  5. (5)面会交流の方法

    面会交流の方法としては、公園や飲食店、非監護親の自宅などで過ごすほか、子どもの幼稚園・保育園・学校の行事への参加、電話や手紙・写真などのやり取りなどがあげられます。子どもや親同士が面会交流に慣れてきたら、宿泊を伴う面会交流を行うことも可能です。

2、面会交流の手続きについて

実際に面会交流を行う際には、まず夫婦間で協議を行うことが基本です。しかし、協議が整わない場合もしくは何らかの事情で協議ができない場合には、家庭裁判所を利用することになります。

  1. (1)夫婦間で協議を行う

    まずは夫婦間で面会交流の内容について話し合います。この場合に最も優先しなければならないのは、「子の利益」です。離婚成立後には直接2人で顔を合わせて協議を行うことが難しいと思われますので、できるだけ離婚前に話し合いを済ませておくのが望ましいでしょう。面会する日時や場所、時間などについて合意できたことは、離婚協議書に記しておきます。

  2. (2)会わせてもらえない場合は、調停を申し立てる

    協議が整わない場合や監護親がどうしても子どもを非監護親に会わせようとしない場合は、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てることができます。調停で合意ができない場合には、審判に移行し、家庭裁判所が面会交流の内容を決定します。
    離婚前である場合、面会交流の申立ては離婚調停の申立てと同時に行うことも可能です。調停が整わない場合は審判に移行しますが、離婚訴訟で離婚条件の一つとして面会交流を求めることもあります。

  3. (3)試行的面会交流を実施する

    面会交流を本格的に実施する前に、まずは当日のスケジュールや手順などを監護親・非監護親双方で体験するための「試行的面会交流」を実施することもあります。夫婦だけで実施できない場合は、家庭裁判所の面会交流室を利用して、家庭裁判所調査官のサポートのもとで試行的面会交流を行うことも可能です。試行的面会交流の際には、今後の面会交流を円滑に実施するために電話番号やメールアドレスなどの連絡先を交換しておくとよいでしょう。

3、面会交流を禁止・制限される可能性のある例

子どもの心身の安定に寄与するといわれている面会交流ですが、面会交流を行うことでかえって良くない結果をもたらしてしまうことも少なくありません。面会交流は、「子の利益を最も優先して」決められるものですから、子どもにとって離れて暮らす親に会うことがかえってストレスになったり心身の不安定をもたらしたりすると考えられる場合には、面会交流が禁止・制限されることもあり得るのです。

  1. (1)非監護親に問題がある場合

    非監護親が子どもに危害を加えたり、子どもを連れ去ったりする可能性がある場合や、非監護親がアルコール依存症やうつ病などの精神疾患を抱えている場合は、面会交流が禁止・制限される可能性があります。また、非監護親が面会交流中に監護親の悪口を子どもに吹き込むことも子どもの精神衛生上問題になるとされ、面会交流ができなくなることがあります。
    また、非監護親のDVにより婚姻関係が破たんした場合など、監護親と非監護親との間にかなり根深い感情的な対立があり、面会交流を進めるうちに監護親が強いストレスを感じてしまい、監護親と子どもとの安定した生活を阻害するようなときも、面会交流が制限されることになる可能性があります。

  2. (2)子どもが嫌がる場合

    子どもが本心から「非監護親に会いたくない」と面会を拒否する場合は、面会交流を無理に行うことがかえって子どもの利益に反することになってしまうため、面会交流が禁止・制限されることがあります。

4、調停が成立したのに、面会交流を拒否されている場合の対処方法

では、面会交流の調停が成立してもなお、相手方から面会交流を拒否されている場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、その対処方法についてみていきましょう。

  1. (1)裁判所に履行勧告を申し出る

    監護親が「忙しいから」「子どもの体調が悪いから」などとさまざまな理由をつけて面会交流を拒否することがあります。その場合には、裁判所に申し出ることによって調停での取り決めを守るように説得または勧告をしてもらうことができます。しかし、履行勧告には強制力はありませんので、その点に留意しておく必要があるでしょう。

  2. (2)面会交流の調停を改めて行う

    面会交流調停のときに合意した内容がその後の生活状況の変化等により実現できなくなったような場合には、家庭裁判所に面会交流の調停を改めて申し立てて、調停委員のもとで再度面会交流の頻度やスケジュールについて話し合いをすることも考えられます。

  3. (3)強制執行の申立て

    面会交流が実現しない場合、面会交流を実現するための最終手段として家庭裁判所へ強制瀬執行を申し立てる方法があります。強制執行と言っても、子どもは物ではありませんので、監護親のもとから無理やり子どもを連れてきて非監護親に面会させるわけにはいきません。監護親に面会交流を行わなければ一定金額の支払いを命じる「間接強制」を行うことになります。
    なお、面会交流の内容の定め方によっては強制執行ができないこともありますので、注意が必要です。

5、面会交流を弁護士に依頼するメリット

面会交流について調停や審判などの法的手段を利用するときはもちろんのこと、夫婦間で協議を行うときから弁護士に依頼をしておくと、さまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるのか、具体的にみていきましょう。

  1. (1)面会交流の調停や審判を有利に進められる

    弁護士に依頼をすれば、面会交流の調停や審判の申立てを代理で行ってもらえます。それだけでなく、法的論理性のある主張を展開することでより有利な条件を引き出し、こちら側にとって理想的な面会交流を実現できる可能性も高まります。

  2. (2)無理のない面会交流が実現しやすい

    また、弁護士に相談することで、子どもにとって無理のない面会交流の方法についてアドバイスをもらうことができます。非監護親と交流するときには、子どもの心情に配慮することで、長期にわたり面会交流を続けていくことができるでしょう。

  3. (3)面会交流の場に立ち会ってもらうことができる

    当事者だけでは面会交流の実現が難しい場合は、弁護士が監護親・非監護親の間に入ってスケジュールの調整を行い、弁護士の立会いのもとで面会交流を行うことも可能です。監護親・非監護親だけでは会話がぎこちなくなってしまう場合は、弁護士が立ち会うことで雰囲気もやわらぎ、子どもも安心して過ごすこともできます。

6、面会交流のことでお悩みの方はベリーベストの弁護士にご相談を

「面会交流が自分たちだけでできるだろうか」「子どもだけで非監護親に会いに行かせるのが不安だ」など、面会交流のことで不安やお悩みのある方は、ベリーベスト法律事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。
監護親の方・非監護親の方・お子様の3者が気持ちよく面会交流ができるよう、全面的にサポートいたします。離婚前・離婚後問わず、面会交流のことで何か気がかりなことがありましたら、どんなことでも構いませんのでお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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