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父親が親権を獲得する方法|改正民法の共同親権と不利を覆す条件

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更新日:2026年05月07日  公開日:2018年07月30日
父親が親権を獲得する方法|改正民法の共同親権と不利を覆す条件

令和8年(2026年)4月1日、民法改正により「共同親権制度」が導入されました。離婚後も父母双方が親権を持てるようになったことで、これまで「親権は母親が取るもの」と諦めていた父親には、この新たな選択肢を喜ばしく感じている方も多くいらっしゃることでしょう。

もっとも、共同親権としても子どもと必ず一緒に暮らせるということではありません。誤った対応をすれば、母親の単独親権としてしまうことにもつながりかねませんので、注意が必要です。

本コラムでは、父親が親権を獲得しにくいと言われる理由や裁判所が実際に重視している判断基準、共同親権導入後に父親の立場がどう変わるのかなどについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

目次を

1、父親の親権獲得はなぜ難しい? 裁判所が重視する基準

離婚時に「父親が親権を取るのは難しい」と言われる背景には、日本の家庭裁判所が長年重視してきた判断基準があります。これは父親を不利に扱おうとしたものということではなく、「子どもの福祉」を最優先に考えた結果といえるでしょう。

以下では、父親が親権を得にくいとされる理由と裁判所がどのような点を見て親権を判断しているのかを説明します。

  1. (1)父親の親権獲得率が低い統計的な理由と実情

    日本では、離婚後の親権者は母親になるケースが圧倒的に多いのが現状です。厚生労働省が公表する統計「令和6年人口動態統計(確定数)」でも、未成年の子どもがいる夫婦が離婚した場合、86.5%が母親を親権者としていることが明らかになっています。

    この数字だけを見ると「父親は不利」と感じるかもしれません。しかし、父親が親権者となる可能性を裁判所が排除しているわけではありません。

    離婚後の親権者が母親になるケースが多い背景には、以下のような事情があります。

    • 出産後から主に育児を担ってきたのが母親である家庭が多い
    • 父親が仕事中心で、日常的な育児に関与していないケースが多い
    • 別居時点で子どもがすでに母親と生活していることが多い


    つまり、結果として母親が親権者になっているだけで、性別そのものが判断基準ではないのです。

  2. (2)裁判所が重要視する「監護の継続性」

    親権判断で重視されるのが「監護の継続性」です。

    これは、子どもがこれまでどのような環境で生活してきたか、そして今後もその環境を継続できるかという点を意味します。

    具体的には、以下のような事情が検討されます。

    • これまで誰が主に子どもの世話をしてきたか
    • 食事・入浴・送迎・通院などを誰が担っていたか
    • 保育園や学校との関わりはどちらが中心だったか
    • 子どもが現在の生活環境に安定して適応しているか


    また、裁判所は「環境を大きく変えない方が子どもにとって利益になる」と考えるため、すでに形成されている生活実態を重視します。

    そのため、別居後に父親が子どもと離れて暮らしている場合、離れて暮らしている父親側は不利になるのが実情です。

  3. (3)「母性優先の原則」「経済力」への誤解と真実

    かつては「母性優先の原則」により、母親が親権者として有利とされてきましたが、現在の裁判実務ではその考え方は大きく変わっています。

    昨今の裁判実務において、母であるということだけを理由に親権者が決定されることはないと言えます。

    また、裁判所の判断においては、これまで子どもたちを監護してきた(世話してきた)のはどちらかが非常に重要と考えられていますが、近年は共働き家庭が増え、母親と父親で育児の負担割合が大きく変わらない家庭も増えてきました。

    これにより、父親であっても、日常的な育児や学校対応を担っている方について、親権を獲得する方が増えてきています。

    また、「収入が高い方が有利」と考える方もいらっしゃいますが、裁判所はこのような考え方を取りません。経済力は養育費で解決できる問題と考えられるため、親権の判断では経済力ではなく、実際の生活の安定性や養育実態・実績が重視されます

  4. (4)子どもの年齢別に見る「子の意思」の尊重度合い

    親権をどちらが得るのかの判断においては、子どもの年齢が高くなるほど、子ども本人の意思が重要視されます。

    一般的な目安は以下のとおりです。

    • 10歳前後:参考程度に考慮される傾向
    • 12〜14歳程度:判断材料として重視される傾向
    • 15歳以上:裁判所での手続き上も意見聴取が必須。意思が強く尊重される


    ただし、裁判所は、子どもの発言内容だけでなく、生活状況や親子関係全体を総合的に見て判断します

    したがって、子どもの意思があっても、それが一方の親による誘導や圧力によるものと判断されれば、採用されない場合もあります。また、子どもが望んでいるとしても、環境として不適切であると考えられる場合には、子どもの意思に反した決定がされることもあります。

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2、令和8年(2026年)4月施行! 共同親権後の父親の立場は?

令和8年4月1日より施行される改正民法により、共同親権制度が導入されます。これにより、離婚後も父母双方が親権を持つことが可能となりますので、母親よりも監護実績が劣る父親であっても、離婚後も親権者であり続けられる可能性が高くなると言えます。

親権を取って離婚後も子どもと暮らしたいとお考えであれば、制度について正しく理解しておく必要があるでしょう。

  1. (1)法務省が定める「共同親権」の定義と導入の背景

    改正民法では、離婚後の親権について「単独親権」か「共同親権」を選択できるようになります

    共同親権とは、父母がともに子どもの親権者として、重要な事項について共同で決定する制度です。この制度が導入された背景には、以下のような社会的変化が配慮されています。

    • 離婚後も両親との関係を維持することが子どもの利益につながる
    • 国際的に共同親権が主流である
    • 父母の役割分担が多様化している
  2. (2)施行前の離婚でも共同親権にできる?「遡及適用」の仕組み

    施行前に離婚が成立している場合、離婚時に単独親権になっています。今回の民法改正によって、その単独親権が自動的に共同親権に変わることはありませんのでご注意ください

    共同親権に変更したい場合は、家庭裁判所に親権者変更の申立てをする必要があります。この申立てをすると、裁判所の判断により共同親権に変更できる可能性があります。

    ただし、共同親権に変更できるかどうかは、共同親権とすることが子どもの利益にかなうか、父母間が協議・協力していけるか、争いの有無などを考慮して、個別に判断されます。

    そのため、離婚後であっても「共同親権を希望する場合」は、早めに弁護士に相談することをおすすめします

  3. (3)共同親権と監護権・親権の違い

    親権には大きく分けて、「身上監護権」と「財産管理権」の2つがあります。

    身上監護権とは、子どもの生活・教育・医療など日常的な養育に関する権限をいい、財産管理権は子どもの財産を管理する権限です。

    共同親権とは、これらの権利を父母が共同で持つ制度ですが、必ずしも子どもと同居できることを意味するものではありません。実際の生活では、どちらが子どもと暮らすかを定める必要があります。離婚の際に親権者とは別に監護者も決めておくことも考えられます。

    また、親権の中でも居所を指定する権限をどちらが持つか決定しておくという方法も考えられます。

    つまり、共同親権になっても、監護者に指定される、又は居所指定を行う親権者として指定されなければ子どもと同居することはできません。そのため、父親が子どもと生活したい場合には、単に共同親権を希望するだけでなく、監護者や居所指定を行う者、つまり同居する親として適切であることを示す必要があります

    親権と監護権の詳細については、「親権・監護権とは? 権利内容の違いと親権決定における判断基準」のページをご参照ください。

  4. (4)DVや虐待があるときは例外規定|単独親権とは

    共同親権は、あくまで「子どもの利益」を最優先に考える制度です。そのため、DVや虐待がある場合には、共同親権となることが子どもの利益に反すると考えられており、共同親権は認められません。

    具体的には、以下のような事情がある場合です。

    • 身体的暴力や精神的暴力(モラハラ)が認められる
    • 子どもに対する虐待や心理的支配がある
    • 父母間の対立が激しく、協議が困難である
    • 子どもの安全や精神的安定が脅かされるおそれがある


    このような場合、家庭裁判所は子どもの安全確保を最優先し、単独親権とする判断をします。

3、共同親権でも子どもと暮らし続けるために行うべき行動

前述のとおり、共同親権が導入されても、「自動的に子どもと一緒に暮らせる」わけではありません。父親が子どもと生活を続けるためには、日頃からの行動や証拠の積み重ねが重要になります。

本章では、離婚後に父親が子どもと暮らすためにするべき行動を説明します。

  1. (1)主たる監護者と認められる具体的な行動

    家庭裁判所が重視するのは、「これまでどちらが子どもの生活を支えてきたか」という点です。

    そのため、以下のような行動を継続して行っているかが重要になります。

    • 食事の準備、入浴、寝かしつけなど日常的な世話
    • 保育園・学校への送迎や連絡対応
    • 病院への付き添い、健康管理
    • 学習や生活習慣のサポート


    これらを父親が主体的に行っている場合、監護実績として評価されやすくなります。
    「手伝っていた」程度ではなく、「中心的に担っていたか」がポイントです

  2. (2)調停・裁判で認められる証拠とは

    上記の監護実績を主張する場合、それを裏付ける客観的な証拠が必要となります。

    具体的には以下のようなものが有効です。

    • 保育園や学校との連絡帳、メール履歴
    • 病院の診察券や受診履歴
    • 子どもと過ごす日常の写真・動画
    • 家事育児の記録(育児日記やメモ)
    • 第三者(祖父母・保育士など)の証言


    これらを日常的に記録することで、監護実態を客観的に示すことができます。

  3. (3)相手の育児放棄や虐待の証拠の集め方

    相手方に育児放棄や不適切な言動がある場合でも、感情的な行動は逆効果です。
    無断での録音・盗撮・強引な連れ去りなどは、かえって不利になるおそれがあります

    相手の育児に問題がある場合は、以下のように冷静な対応を試みてください。

    • LINEやメールなどの記録を保存する
    • 学校・保育園・児童相談所に相談する
    • 警察に相談する
    • 弁護士に早めに相談する

4、離婚後も子どもを守り離れないために! NG行動と弁護士相談

親権や監護権をめぐる問題では、行動を誤ることで不利な立場に立たされてしまうことがあります。本章では、特に注意すべきNG行動と弁護士に相談すべきタイミングについて説明します。

  1. (1)子どもと離れて別居すると不利になりうる

    離婚を考えたとき、衝突を避けるために家を出るという選択をする方も少なくありません。しかし、何の準備もなく別居すると「子どもの生活を継続的に支えていない」と評価されるおそれがあることを知っておきましょう。

    なぜなら裁判所は、別居後の生活実態を重視するため、子どもと同居している親が有利になりやすい傾向があります。やむを得ず別居する場合でも、面会交流を継続する、学校行事に関わるなど、関与を続けていることを示すことが重要です。

    感情的な判断で家を出る前に、一度専門家に相談することで、不利な状況を避けられる可能性があります。

  2. (2)妻に子どもを連れ去られたときの対応|監護者指定審判、親権行使者指定の審判

    配偶者が無断で子どもを連れ去った場合でも、力ずくで取り戻そうとするのは逆効果です。このような場合は、家庭裁判所に対して「監護者指定」や「親権行使者(居所指定)の指定」、「子の引渡し」の審判の申立てを行い、法的手続きを通じて解決を図りましょう

    早期に申立てを行うことで、現状が固定化されるのを防ぐことができます。感情に任せた行動は慎み、法的に正しい対応が求められます。弁護士に相談しながら対応を進めることをおすすめします

  3. (3)親権問題の知見が豊富な弁護士に相談を!

    親権や監護権の問題は、初動対応によって結果が大きく変わります。自己判断で行動した結果、後から修正が難しくなるケースも少なくありません。

    弁護士に相談することで、以下の点を具体的にアドバイスしてもらえます。

    • 今後の見通し
    • 取るべき行動の優先順位
    • 不利にならないための注意点


    また、直接対峙して話し合うことが難しいときは、弁護士に対応を依頼してください。
    弁護士があなたの代理人として交渉するため、あなた自身は仕事や育児に集中できます。子どもの将来を守るためにも、早い段階で専門家の力を借りることも検討しましょう。

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5、弁護士からのメッセージ

父親が親権を得ることは決して不可能ではありません。重要なのは「どれだけ子どもの生活に関わってきたか」という点です。

共同親権の導入により選択肢は広がりますが、監護実績や別居時の対応次第で結果は大きく変わります。誤った行動を取ると取り返しがつかない事態に陥ることがあるため、早めに相談しておいたほうがよいケースも少なくありません。

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