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離婚したら子どもはどうなる? 親権をとるためにできること

2017年02月01日
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離婚したら子どもはどうなる? 親権をとるためにできること

「もうこれ以上夫婦生活を続けることはできない。でも、子どもと離れたくない……」
なにがあっても我が子と離れたくない、手放したくないと考えておられる方は、少なくありません。

多くの親にとって、子どもはかけがえのない宝です。
実際に、子どもと離れたくないために離婚を踏みとどまろうと考える方もおられるでしょう。
その一方で、どんな努力をしても結婚生活を続けることは難しいという結論に至る方もたくさんおられます。

離婚すること自体は決まっていても、「子どもの親権を誰が持つのか」という一点で、スムーズだった離婚話が頓挫し、泥沼化してしまうケースは数多く見られます。
そこで今回は、できるだけ親権争いを避ける方法と、一刻も早く落ち着いた環境を得られる手段の一つである調停についてご紹介します。

1、そもそも離婚後の親権とは? 二つの権利について知っておこう

「離婚しても子どもと一緒に暮らし続ける」という権利を得ることを一般的に「親権を取る」などと言われます。この「親権」という言葉ですが、法律的にはどのような権利があるのか、ご存知でしょうか。あまりに一般的に使われているので考えたことがない方も多いかもしれません。詳細は主に民法で定められています。これらの権利はどのようなものなのかを知っておきましょう。

  1. (1)身上監護権

    身上監護権については、民法には820条に「親権を行うものは、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」と定められています。民法上に身上監護権として明文で規定されているのは、子の居所指定権、懲戒権、職業許可権があります。これだけを見ると良くわからないですが、要は、親権者には、子が心身ともにきちんとした大人(社会人)になれるように育成する権利と義務があるということです。

  2. (2)財産管理権

    財産管理権とは、未成年の子の財産を管理し、その他財産上の法律行為の代理及び未成年の子が行う法律行為について同意する権利義務のことです。ここでいう管理には、財産の保存・利用・改良及び処分する行為が含まれています。

  3. (3)身分行為の代理権

    原則的に親権者には子の身分行為の代理権はありませんが、それが必要な場合もありますので、民法では個別的に親権者が子に代わって身分行為をすることが出来る場合を定めてあります。代表的なものとしては、認知の訴えの提起などがあります。

    以上、親権を法的に解説しましたが、親であれば、自然にやってきたことがここに総括されているわけです。
    婚姻中は父母双方にこれらの権利や義務がありますから、共同で対応してきたことでしょう。

    しかし、離婚後は状況が異なります。根本である夫婦二人が協力し合って生活することが破たんしてしまったわけですから、親権も共同で対応することができないことはご理解いただけるでしょう。

    だからこそ、離婚するときには、あらかじめ子どもの親権を決めておかなければなりません。逆に言えば、子どもが未成年なのに親権が決まらない場合、離婚することそのものが認められないのです(なお、子どもが未成年でも結婚している場合は親権を決める必要はありません。)。

2、離婚前の話し合いで親権を決めたい! 話し合いの際に気を付けたいこと

どちらかが親権を手放せばスムーズに離婚まで進むことになりますが、どちらも譲らず、泥沼化してしまうことも多いものです。

話し合いで結論が出ない場合は、調停をすることになりますが、できれば裁判所のお世話になる調停離婚や裁判離婚ではなく、協議離婚をしたい……と思うのではないでしょうか。親権を決める話し合いをスムーズに進めるために気を付けるべき点がいくつかあります。

  1. (1)子どもの前で話し合いをしない

    自らの意見を言える中高生に「どちらと一緒に暮らしたいか」と問いかけることは当然必要です。しかし、基本的に話し合いをするときは子どもがいないとき、子どもに見えない場所で行う方がよいでしょう。

    子どもはよくも悪くも、親のことをとても見ています。自分が原因だと思われる課題で言い争いをしている姿を観れば、精神的に不安定な状態になりがちです。場合によっては、一生引きずる傷にもなりかねません。

    これは、まだ物心がついていないような乳幼児でも同じです。これまでも親であれば、大事な話をしたい、これからやらなくてはいけないことがあるのに、子どもが泣き止まない・なかなか寝てくれない・熱を出した、などという経験があるのではないでしょうか。
    子どもが大切だからこそ親権が欲しいのだという基本を忘れてはなりません。

  2. (2)できるだけ冷静な状態を保つ

    離婚に伴い、感情的になってしまいがちな状態だと思いますが、冷静に話し合いをしなければ相手も感情的になってしまいます。場合によっては、罵りあうだけで何の結論も出ない……という事態にもなりかねません。

    話し合いを冷静に行う自信がない方は、次のことを試してみてはいかがでしょうか。

    話し合いたいことをメモして、それに沿って話をする
    話し合う際は合意してレコーダーなどで録音をしておく
    弁護士や共通の友人など、それぞれに中立な立場の第三者に同席してもらう
    ファミレスや喫茶店など人目のある所で話し合いをする
    相手を貶めることは言わない/できるだけ良い部分を思い浮かべて話をする

  3. (3)条件のハードルを下げる

    親権の話し合いは、慰謝料や養育費の話し合いとセットで行われることが多いでしょう。スムーズな合意を得たいのであれば、相手に無茶な要求をしないことも大切なポイントになります。たとえば「現状、月給が20万なのに養育費を月額10万支払うことは常識的に考えて難しい」ことはおわかりいただけるでしょう。
    どうしても必要なラインは決めておき、「最初に条件を高めに伝えてから少しずつ条件を下げて交渉する」というテクニックは、ビジネスの場でも活用されるものです。

    いずれにせよ、冷静な話し合いができなければ、決められるものも決まらなくなります。費用が掛かる調停を利用したくない場合は特に、慎重に話し合いに向かってくださいね。

3、どうしても親権者が決まらない場合は調停へ!

話し合いをしても、どうしても互いが譲らず、親権を決められない……。
そのようなケースは少なくありません。そもそも「会話ができる状態じゃない」、「話し合いができる状態なら離婚しない」ということもあるかもしれません。

そんな時は、調停を申し立てることで親権を決めて離婚へ向かうことになります。調停であれば、相手と面と向かって話をする必要がありませんし、話し合いがつかない場合は、裁判所がどちらを親権者にするのか決めてくれます。

  1. (1)調停とは?

    裁判所の力を借りて、円滑に話し合いを進めるための制度です。
    調停中の話し合いは、それぞれが別々に担当の調停委員がいる個室に呼ばれ、各自の主張を行うことになります。夫婦が直接顔を合わせて話し合えるという場所ではありません。調停委員は男女二名で対応し、互いの言い分をそれぞれから聞くことで、状況を把握し、より子どものために適した親権者を選択し、双方が納得できる解決方法を提案します。
    もし調停で親権にまつわる問題が解決しなければ、話し合いの舞台は家事審判へ移ります。

  2. (2)調停のメリット・デメリット

    調停そのものは、基本的に月に1回程度しか開催されません。費用と時間が多少かかるというデメリットはありますが、仕事などへの影響が少なく、特に「親権のことだけで揉めている。」という膠着状態に陥っていた場合は、確実に離婚へコマを進めることができます。

    また調停では、直接会って話ができるわけではなく、待合室も別室が設けられています。そのぶん、もどかしさを感じることがあるかもしれませんが、相手の顔を見ずに話しができるため、冷静に自分の意見を伝えられるのではないでしょうか。特にDVや浮気など、「もう二度と相手の顔を見たくない」と感じていた場合においては、大きなメリットになるでしょう。

  3. (3)離婚調停の申し立て方

    離婚調停を行うときは、基本的に相手方の地域の家庭裁判所に申し立てることになります。親権を決めるための離婚調停において必要な書類は、「夫婦関係調整調停申立書」「照会回答書」「事情説明書」「申立人の戸籍謄本」「連絡先等の届出書」「相手方の戸籍謄本」の6つです。書き方や申込方法などの詳細は「離婚調停を有利に進めるための申し立ての方法について」をご参照ください。

    費用は、戸籍謄本やコピー代などを含め、5000円前後と考えておけばよいでしょう。できるだけ費用を抑えてよい結果を得たいという方は、「離婚調停の費用を抑えつつ有利な結果を獲得するために知っておくべき3つのこと」をご参照下さい。

4、調停で重視! 離婚時の親権者決定の基準

調停の場は法的な決定を下してくれる場所ではありません。あくまでも、調停委員を介した話し合いをして落としどころを探す場であるという性質があります。それは親権者を決める調停でも同じです。

ただ、親権を争う調停では、夫婦だけが当事者ではありませんので、双方の言い分や希望だけではなく、子どもの気持ちや生活環境を配慮する必要があります。そのため、裁判所の命令を受けた家庭裁判所調査官が、親子関係や家庭環境などについての調査を行うことがあります。基本的には面談や家庭・学校訪問が行われますが、場合によっては心理テストなどを用いて子どもの心の状態を把握することもあります。

  1. (1)離婚時の親権者決定の基準

    法律に親権者決定の基準が記載されているわけではありませんが、重視しているのは「子の利益、子の福祉」であることは間違いありません。そして、これまでの裁判例に現れた具体的な事情から以下のような基準を元に判断されていると考えられています。

    ●父母の事情
    監護に対する意欲、監護に対する現在及び将来の能力、生活環境などがあります。

    ●子の事情
    子の年齢、性別、心身の発育状況、現在の生活環境等への適法状況、子の意思、きょうだい関係、子と父母および親族との情緒的結びつき等

    上記では抽象的すぎるかもしれませんが、これらの事情を元にケースバイケースで判断されます。その他、これまでの裁判例で重視されてきた要素としては、以下のものがあります。

    ●継続性の基準
    これまで実際に子を監護してきたものを優先させるという考え方です。
    裁判ではこれが重視されていると思われることが多いです。それ故、日本の家庭では母が主に子の監護をしているケースが多いため、親権者が母になる確率が高いのです。

    ●子の意思の尊重
    15歳以上の未成年の子に関しては、その子の意見を聞かなければならないと法律で決められています。15歳未満の子であっても、年齢によっては子の意思を確認することもあります。いずれにせよ、裁判所は必ずしも子どもの意見だけで親権者を決めることはありません。親が子に「誰を選ぶか。」とプレッシャーを与えることがあってはいけません。

    ●母性優先の基準
    乳幼児については、特段の事情がない限り、母の監護養育に委ねることが子の福祉に合致するという考え方です。
    もっとも、「育メン」という言葉が誕生したり、社会や家族のあり方が多様化した現代では、父が主たる監護者であるケースもありますので、「主たる監護者の原則」という表現もされるなど変化を見せています。

    ●きょうだい不分離の基準
    きょうだいの親権者を分けて分離すべきではないという考え方です。
    しかし、他の基準に比べると重要度が低いと考えられています。通学などの事情などから、ケースによっては、きょうだいの親権者を分離することが子の利益につながることもありますので、事案ごとに子の意思なども踏まえながら判断されています。

    ●その他
    今後の面会交流についての意見(自分が親権者となった場合に面会交流に否定的な場合はマイナス評価されます。)、婚姻破たんに関する有責性(例えば、不倫した妻が親権者になれるか、という問題です。監護に影響がなければマイナス評価されることは少ないようです。)、違法な監護の開始(別居後監護していた親から子を連れ去った場合、マイナス評価されることが多い。)なども判断要素として考慮されています。

5、調停で親権を取る為にできる対策とは?

先ほども述べたとおり、離婚に伴う慰謝料などの話し合いとは異なり、裁判所が親権を決めるケースの判断基準は、「子の利益、子の福祉」にほかなりません。どちらの親と生活する方が子どもにとって良いのか、という観点を重視して調停の話し合いを進め、判断を下すのです。

裁判官は、調停(審判)での主張立証や家庭裁判所調査官の調査結果に基づいて判断しますので、少しでも有利に進めるためにも、以下の2点を意識して、調停に向かうとよいでしょう。

  1. (1)自らがいかに親権者として適していることを伝える

    前述の「4.調停で重視! 離婚時の親権者決定基準」から、自らがいかに相手よりも親権者として適しているかを、客観的事実と証拠をもって伝えてください。もし、従前の生活環境等においては不利な点があっても、その点を改善していればそれもアピールするとよいでしょう。たとえば「仕事で帰宅が遅い状態が続いていた。」などの事実があれば、「会社と交渉して残業のない部署に異動できた。」、「転職をして子育てに適した環境を整えた。」などの事実があるとよりポイントが高くなります。

  2. (2)調停委員を味方にする

    調停員は、実のところ法律の専門家だけで構成されているわけではありません。もちろん弁護士もいますが、基本的に、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれています。人なので同情もしますし、心証が悪ければ「この人が親権者になるのは子どものためによくないのでは。」と考えることもあるわけです。
    ですから、調停委員に「この状況であれば、相手に親権をあきらめるように説得すべき方向でいこう。」と考えてもらえるようになれば、調停は有利に進めやすいですね。そのためには、話す目的を意識し、自分にとって有利な事情は客観的な証拠をそろえて提出し、不利な部分も嘘をつかず、誠実な対応を心がけましょう。

まとめ

今回は、離婚に伴い親権を取る方法についてお送りしました。親権者になるということは、子どもに対する責任を負うということです。子どもはアクセサリーではないので、特に調停や裁判の場になれば、ただ「愛情がある」「かわいいから手放したくない」という主張だけでは認められません。確かに子どもは宝ですし、かわいいものです。しかし子育てには思いがけない出来事が必ずあり、苦労が伴う可能性も否めません。だからこそ、より「子の利益、子の福祉」の根拠となる、客観的事実が重視されるのです。

客観的事実、となると、「自分では客観的事実だと思っていても他人から見たらそうではない」ということもあるでしょう。調停を長引かせず、子どものためにもスムーズに離婚へコマを進めたいとお考えであれば、法律の専門家である弁護士を頼ることをぜひご一考ください。

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