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【弁護士が解説】サレ妻とは? 意味や離婚手続き、慰謝料請求する方法

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更新日:2024年08月14日  公開日:2024年08月14日
【弁護士が解説】サレ妻とは? 意味や離婚手続き、慰謝料請求する方法

サレ妻とは、夫に不倫をされた妻のことをいいます。最近では、ドラマやSNSなどでも「サレ妻」という言葉が用いられていますので、広く認知されているといえるでしょう。

自分がサレ妻になってしまった場合、夫との離婚を考える方も多いと思いますが、その際には、お金のことや子どものことなど決めなければならないことがたくさんあります。離婚にあたって不利にならないようにするためにも、離婚に関する諸手続きをしっかりと理解した上で、話し合いを進めていくことが大切です。

今回は、サレ妻が離婚を決意したときに知っておくべきことや離婚の法的手続きの流れなどを、弁護士が解説します。

1、サレ妻になってしまい、離婚したいと思った場合、まず知っておくべきこと

サレ妻になってしまい、離婚を決意したときに知っておくべきこととしては、以下のものが挙げられます。

  1. (1)離婚にまつわるお金の話

    離婚を決意したサレ妻が不安になることといったら、離婚後のお金の問題です。

    婚姻中は、夫の収入と自分の収入を合わせて生活費とすることができますが、離婚後は夫からの生活費はなくなります。そのため、まずは自分の力だけで生活できるようにするために、就職や転職を検討しなければなりません。すぐに希望の就職先・転職先が見つかるとは限りませんので、早めに動き出すことが大切です。

    また、離婚時には財産分与によって、夫婦の共有財産の清算をすることができます。一般的には、夫名義の財産に比べて、妻名義の財産の方が少ないため、サレ妻は、財産分与により財産を受け取る側になることが多いでしょう。適正な財産分与をすることで、離婚後の経済的な不安が少しは解消されるはずです。

  2. (2)子どもがいる場合には子どもに関すること

    夫婦に子どもがいる場合には、子どもの親権をどちらにするか決めなければなりません。親権者に指定された親が基本的には子どもと一緒に生活することになりますので、子どもと一緒に生活したいのであれば、親権の獲得が必須です。

    また、子どもと一緒に暮らすことになった監護親は、非監護親に対して、養育費の請求ができます。養育費の金額は、裁判所が定めた養育費算定表を使えば、夫婦双方の収入と子どもの人数によって養育費の金額の相場を、ある程度把握することができます。どのくらいの養育費を請求できるかどうかは、離婚後の生活にとって非常に重要となりますので、あらかじめ知っておくとよいでしょう。

    さらに、子どもと非監護親との面会交流(定期的に子どもと会うこと)を実施する場合には、どのような条件で行うのかについてもあらかじめ考えておきましょう。

  3. (3)サレ妻なら慰謝料請求も考えるべき

    サレ妻は、夫に不倫をされていますので、夫や不倫相手に対して、慰謝料請求をすることもできます。慰謝料請求にあたっては、注意すべきポイントがありますので、詳しくは2章をご覧ください。

2、サレ妻が慰謝料を請求するには、どうすればいい?

サレ妻が慰謝料請求をするにはどのような方法で行えばよいのでしょうか。

  1. (1)不貞行為があるかどうか確認が必要

    サレ妻が慰謝料請求をするためには、夫が不貞行為をしたという事実が必要です。

    不貞行為とは、配偶者以外の異性との間で肉体関係を持つことを指します。夫が女性と親しげなメッセージのやり取りをしているのを発見すると、「不倫をしている」という疑いを持つ方も多いでしょう。しかし、不貞行為だと言うためには、肉体関係があったことを証明する必要がありますので、メッセージのやり取りだけでは不貞行為があったかどうかは、はっきりしません。先に不貞行為があったという、証拠を押さえるのが得策といえるでしょう。

    なお、不貞行為を理由に慰謝料請求をするには、「不貞行為の故意・過失」、「不貞行為による権利侵害」という要件も満たす必要があります。

    ① 不貞行為の故意・過失
    不貞行為による慰謝料請求をするには、不貞行為をした当事者に故意または過失があることが必要です。

    不貞行為の故意とは、既婚者であることを知っていたことをいい、不貞行為の過失とは、既婚者であることを気付くことができる状況であったにもかかわらず、気付かなかったことをいいます。

    サレ妻の夫は、自身が既婚者だと知っていますので、不貞行為の故意が認められます。しかし、夫の不倫相手に慰謝料請求する際には、「既婚者だと知らなかった」などと反論されるケースもあります。その反論に備えた証拠を集めましょう。

    ② 不貞行為による権利侵害
    不貞行為があると婚姻生活の平穏が害されますので、基本的には、不貞行為があれば権利侵害が認められます。
    しかし、不貞行為があった時点で、夫婦仲が悪化しており、婚姻関係が破綻していたといえる場合には、不貞行為により婚姻生活の平穏が害されたとはいえません。そのため、このような場合には、不貞行為による権利侵害は認められず、慰謝料を請求することはできません。

    なお、サレ妻の夫や不倫相手から「不貞行為の時点ですでに婚姻関係が破綻していた」という反論がでることが多いですが、実務上は容易には認められません。
  2. (2)不倫の証拠を集める

    夫が不倫をしていることが明らかになったとしても、すぐに慰謝料請求をしてはいけません。慰謝料請求をするタイミングは、夫の不倫を立証するための十分な証拠を確保してからがベストです。

    なぜなら、十分な証拠がない状態で慰謝料請求をしても、夫や不倫相手が口裏を合わせて言い逃れをすることができてしまうからです。裁判でも証拠の有無が重視されますので、証拠がなければ、慰謝料請求が認められないリスクもあります。

    そのため、慰謝料請求をする前に十分な証拠を確保するようにしましょう証拠集めについては、弁護士がアドバイスできますまずは相談してみましょう

  3. (3)夫と不倫相手に対して慰謝料を請求する

    夫が不倫をした場合、夫だけでなく夫の不倫相手に対しても、慰謝料請求をすることができます。

    ただし、2人に慰謝料請求ができるからといって、慰謝料の二重取りができるというわけではありません。たとえば、慰謝料相場が200万円の事案で、夫と不倫相手に対して、慰謝料請求する場合、どちらに対しても200万円を請求することができます。しかし、夫から慰謝料として200万円の支払いを受けた後は、不倫相手からは慰謝料の支払いを受けることはできません。

    以下の「不倫・浮気の慰謝料を請求したい方へ」のページでは、より詳しく慰謝料請求に関するポイントや注意点を解説しています。あわせてご一読ください。

    浮気・不倫の慰謝料請求をしたい方へ

3、離婚に関する法的手続きの流れ

離婚を決意したら、以下のような手続きにより離婚をすることができます。この章では、離婚に関する法的手続きの流れを確認し、今後に備えましょう。

  1. (1)協議離婚

    協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚をする方法です。お互いに離婚の合意ができたら、離婚届に記入をし、それを市区町村役場に提出すれば離婚が成立します。

    協議離婚は、お互いの話し合いだけで離婚できる方法ですので、時間も費用もかかりません。離婚を選択する夫婦の約90%が、この協議離婚の方法により離婚をしています。

  2. (2)調停離婚

    調停離婚とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚する方法です。調停は、話し合いにより離婚の合意を目指す手続きですので、裁判所の手続きとはいえ協議離婚に近い手続きです。しかし、裁判所の調停委員が間に入って、調整や合意に向けた働きかけをしてくれますので、夫婦だけの話し合いよりもスムーズに離婚できる可能性があるといえます。

    離婚調停でかかる費用は、申立時に裁判所に納める印紙代(1200円分)と郵便切手代(1000円程度)ですので、そこまで高額な費用はかかりません。また、離婚調停の申し立てから終了までは、6か月程度の期間がかかりますが、争いの内容によっては1年以上かかるケースもあります。

    なお、調停離婚を選択する夫婦の割合は、離婚する夫婦全体の約8%です。

  3. (3)裁判離婚

    裁判離婚とは、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、裁判所に離婚を判断してもらう方法です。
    協議離婚や調停離婚では、離婚するにはお互いの合意が必要になりますが、裁判離婚では、当事者の合意の有無にかかわらず裁判所が離婚を判断できるという特徴があります。

    裁判離婚でかかる費用は、どのような請求をするかによって変わってきます。たとえば、離婚のみを求める場合には、印紙代(1万3000円)と郵便切手代(6000円)がかかります。また、離婚訴訟の提起から終了までは、1年程度の期間がかかりますが、事案によってはそれ以上の期間を要するケースもあります。

    なお、裁判離婚(判決離婚・和解離婚)を選択する夫婦の割合は、離婚する夫婦全体の約2%です。

4、サレ妻トラブルで弁護士ができること

サレ妻になってしまい、離婚をお考えであれば、まず弁護士にご相談ください。

  1. (1)不貞行為の立証に必要な証拠のアドバイスができる

    不貞行為を直接立証できる証拠としては、夫と不倫相手が性行為を行っている動画になりますが、そのような証拠が手に入るケースは多くはありません。

    そのため、実際には、不貞行為が推認できる状況証拠を集めて不貞行為を立証していくのが一般的です。しかし、一般の方では、どのような証拠をどの程度集めれば不貞行為が立証できるのか、わからないということが多いです。

    より確実に慰謝料請求を行うためにもまずは弁護士に相談して、不貞行為の立証に必要な証拠についてアドバイスしてもらうとよいでしょう

  2. (2)慰謝料、財産分与の適正額が算出できる

    不貞行為の慰謝料額については、不貞行為の頻度、期間、離婚の有無、相手の態度などさまざまな事情を考慮して金額を決定します。そのため、適正な相場を踏まえた慰謝料額を算出するためには、弁護士のアドバイスが不可欠です。

    また、財産分与を行う際には、事前の財産調査が重要になります。相手が財産隠しをしている状況で財産分与を行っても、不利な条件での財産分与になるおそれがあるからです。この点、弁護士であれば、弁護士会照会や調査嘱託など弁護士にしか使えない方法を利用し、相手の財産を明らかにすることができますので、適正に財産分与できる可能性が高まります

  3. (3)代理人となって相手方との話し合い、調停、裁判に対応できる

    離婚をする際には、相手との話し合いが必要ですし、場合によっては調停、裁判などの手続きが必要になることがあります。これらの手続きをすべて自分で行わなければならないのは大きな負担となるでしょう。

    弁護士であれば、本人の代理人としてこれらの手続きに対応することができますので、本人の負担は大幅に軽減できます。また、離婚手続きを弁護士に任せれば、不利な条件での離婚を回避できるでしょう。

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5、まとめ

サレ妻になった場合に離婚を検討しているなら、事前にしっかりと準備することが大切です。そして、慰謝料請求するためには夫の不倫が不貞行為に該当するのか判断しなければなりませんが、そのためには法律の専門家である弁護士のアドバイスやサポートが必要不可欠です。

弁護士であれば、慰謝料請求に関するアドバイスや離婚手続きのサポートができますので、なるべく早めにベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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