弁護士コラム 離婚・男女問題SOS

不倫(不貞行為)を立証する証拠の具体例と慰謝料請求のポイント

  • 慰謝料
  • 不倫
  • 証拠
更新日:2025年01月08日  公開日:2025年01月08日
不倫(不貞行為)を立証する証拠の具体例と慰謝料請求のポイント

「携帯をいじるとき、夫(妻)の様子が怪しい」「いきなり仕事や出張が入ったと言って、家にいる時間が少なくなった」……もしかして、不倫?

配偶者が不倫(浮気)をしているかもしれないと疑いがある際には、相手を問い詰めるのではなく、まずは不倫の証拠を集めましょう。有力な証拠を確保することができれば、慰謝料請求の成功につながります。

本コラムでは、不倫を立証できる証拠の具体例や、慰謝料請求を行う際に知っておくべきことなどについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

目次を

1、不倫(不貞行為)の証拠になるもの・ならないもの

配偶者の不倫を立証して慰謝料を獲得するためには、有力な証拠を確保することが重要です。不倫の証拠になるもの、ならないものの具体例を紹介します。

  1. (1)不倫の証拠になるもの

    配偶者や不倫相手(浮気相手)に対して慰謝料を請求するためには、相手のしたことが「不法行為」(民法第709条)に該当することを立証しなければなりません。

    不法行為とは、故意または過失によって違法に他人の権利を侵害し、損害を与える行為を意味します。

    不倫が不法行為に該当すると判断されるのは、配偶者以外の者と性的関係(肉体関係)を結ぶ「不貞行為」をしたときです。キスなど性的関係に及ばない場合も不法行為に該当する場合がありますが、それだけでは慰謝料の金額が低くなります。したがって、不倫について慰謝料を請求する際には、配偶者と不倫相手の間に性的関係があることを立証する必要があります

    そのためには、以下のような証拠が有力となります。

    浮気・不倫の証拠となり得るもの ポイント:直接的に肉体関係を立証できるもの 写真・動画・録音・音声データ・クレカ明細・領収書・メール・SNS等・手帳・日記・メモ・探偵事務所の調査報告書・GPS・ホテルのサービス券
    (例)
    • 性行為の場面を撮影した動画、画像
    • 性行為が行われそうな場所(ホテルや自宅など)に出入りする場面を撮影した動画、画像
    • 性行為があったこと、2人で頻繁に会っていたこと、2人で旅行に行っていたことなどを示すメッセージのやり取り
    など
  2. (2)不倫の証拠にならないもの

    配偶者と不倫相手を撮影した動画や画像、配偶者と不倫相手の間のメッセージのやり取りなどであっても、性的関係があったことをうかがわせるものでなければ、不倫を立証する力は弱いと言えます。

    たとえば以下のような資料は、不倫の証拠としては弱いです。

    • 配偶者と不倫相手が、2人で食事をしている場面を撮影した動画、画像
    • 配偶者と不倫相手が日常的な会話をしているメッセージのやり取り
    など


    ただし、他の証拠とあわせて使うことで有力な証拠となる場合もありますので、広く証拠を集めましょう。
    なお、不倫の有力な証拠を集めることができないからといって、自分で動画・画像・メッセージを加工するなどして証拠を捏造することは厳禁です。慰謝料請求の際に証拠として認められないだけでなく、私文書偽造罪(刑法第159条)などによって処罰されるおそれもあるので、絶対にやめましょう。

2、不倫の証拠集めが重要である理由

配偶者が不倫をしている証拠を集めることが重要なのは、慰謝料請求に関する訴訟に備えるためです。

不倫に関する慰謝料請求訴訟では、裁判所は不倫の事実が認定できるかどうかを、主に客観的な証拠に基づいて判断します。証拠が十分にそろっていれば慰謝料請求が認められやすく、証拠が不十分な場合には慰謝料請求が認められる可能性が低くなります。

また、配偶者や不倫相手との交渉においても、不倫に関する客観的な証拠を示すことが効果的に働くケースがあります。訴訟になると分が悪いことを相手が理解し、スムーズに慰謝料が支払われる可能性が高くなるからです。

上記の理由から、適正額の慰謝料の支払いをスムーズに受けるためには、有力な証拠を十分に集めてから慰謝料請求を行うことが望ましいと考えられます。

ただし、十分な証拠がそろっていなくても、話し合いを通じて相手が不倫を認めれば、慰謝料を得られる可能性があります。相手に不倫を認めさせるためには、証拠が十分にそろっていないことを悟られないようにしつつ、うまく話し合いを進めなければなりません。

弁護士はあなたの代理人となって、手元にある証拠をもとに相手方と交渉をすることができます。

以下の「不倫・浮気の慰謝料を請求したい方へ」のページでは、より詳しく慰謝料請求に関するポイントや注意点を解説しています。あわせてご一読ください。

浮気・不倫の慰謝料請求をしたい方へ

3、集めた不倫の証拠を活用するタイミングと注意点

集めた不倫の証拠は、いわば切り札です。そのため、いつ相手に提示するかは、慎重に検討した上で決めるべきといえます。また、証拠を出しても相手が不倫を認めない場合は、弁護士を通じた交渉や裁判手続きの利用も検討しましょう。

  1. (1)不倫の証拠を提示すべきタイミング

    不倫の証拠を提示すべきタイミングは、それぞれのケースによります。性交渉の写真や動画など決定的な証拠がある場合には交渉の最初に提示して短期での解決を目指すこともあります。一方で証拠があまり強くない場合には、交渉の時には提示せずに訴訟になってから証拠を提示するというケースも多くなります。
    訴訟を提起する前の段階では、不倫の証拠を相手に提示する必要や義務はありません。しかしながら訴訟では、不倫の事実を立証する証拠資料を裁判所に提出する必要があります。

    ただし、不倫の有力な証拠を提示すれば、相手が不倫を認めて早期に解決できる可能性があるという状況においては、証拠を交渉段階から提示することも考えられます。

    いずれにしても、証拠を提示するタイミングについては、証拠の強さや相手方の態度、目指す解決によって、慎重に検討する必要があります

  2. (2)証拠を出しても相手が不倫を認めない場合の対処法

    証拠を提示しても相手が不倫を認めないときは、弁護士に代わりに交渉するよう依頼しましょう

    弁護士から不倫相手に対して、「訴訟では不法行為が認定される可能性が高い」という旨を法的な観点から説明すれば、慰謝料の支払いに応じる可能性があります。
    また、相手も対抗して弁護士を立てた結果も、弁護士同士の間で論点を整理した上で話し合いが進み、スムーズに慰謝料の支払いを受けられることもあります。

    また、相手が不倫を認めず、慰謝料を支払わないと主張し続けるのであれば、裁判手続きを利用することも検討すべきです。
    離婚とあわせて配偶者に慰謝料を請求する場合は、離婚調停や離婚訴訟の中で慰謝料も請求することができます。不倫相手に対して裁判所の手続きを利用して慰謝料を請求する場合は、訴訟を提起することが一般的です。

    裁判手続きを利用する際には、弁護士のサポートを受けるのが安心です。弁護士であれば、専門的な裁判手続きにも適切に対応することができます。

離婚・不倫慰謝料・婚約破棄などで
お悩みの方はご相談ください
初回相談60分無料
ご相談の内容によって一部有料と
なる場合がございます。
電話でお問い合わせ 0120-663-031 平日9:30〜21:00 / 土日祝9:30〜18:00
オンラインでは24時間受付中

4、不倫の慰謝料額を左右する要素

不倫に関する慰謝料の適正額は、具体的な状況次第で変わります。一例として、以下の要素などによって不倫の慰謝料額が左右されます。

  1. (1)離婚するかどうか

    不倫が原因で配偶者と離婚する場合、離婚慰謝料として100万円から300万円程度が認められるケースが多いと言えます。これに対して、配偶者と離婚しない場合には、不倫慰謝料(不貞慰謝料)は50万円から200万円程度が標準的です。

    離婚しない場合よりも離婚する場合の方が、被害者の受ける精神的ダメージが大きいと考えられるため、高額の慰謝料が認められる傾向にあります。

  2. (2)不倫の回数・頻度・期間

    配偶者と不倫相手が多数回にわたって頻繁に性的関係を結んだ場合には、被害者の精神的ダメージが大きいと考えられるため、高額の慰謝料が認められる傾向にあります。
    また、性的関係が長期間にわたって続いていた場合にも、同様に高額の慰謝料が認められる可能性が高くなります。

  3. (3)婚姻期間

    婚姻期間が長ければ長いほど、その婚姻関係を法的に保護する必要性が高まると考えられます。長年の婚姻関係を不倫で台無しにされることの精神的ダメージは、婚姻期間が短い場合に比べて大きいと考えられるためです。

    婚姻期間が数年程度である場合に比べて、10年以上、20年以上と長期間にわたっている場合には、より高額の慰謝料が認められる傾向にあります。

  4. (4)未成熟の子の有無

    夫婦間に未成熟の子どもがいる場合には、そうでない場合と比べて、不倫によって婚姻関係が破壊されることの影響が大きいため、高額の慰謝料が認められる傾向にあります。

    なお「未成熟の子ども」とは、年齢にかかわらず経済的に自立していない子どもを意味します。成年(18歳以上)に達している子どもでも、大学に通っているなどの理由で経済的に自立していない場合には、未成熟の子どもに当たります。

  5. (5)不倫相手との子を妊娠しているかどうか

    不倫当事者の間で、女性側が子どもを妊娠している場合には、配偶者に対する裏切りの程度がいっそう大きいと評価されます。本来の家庭を差し置いて、自分以外の異性との間で子どもを作られたら、強い精神的ダメージを受けてしまうからです。

    配偶者と不倫相手の間に子どもができている場合には、通常よりも高額の慰謝料が認められる可能性が高くなります。

5、まとめ

配偶者の不倫が疑われる場合には、不倫の事実を立証できる有力な証拠を確保しましょう。
性行為の場面や、自宅・ホテルなどに出入りする場面を撮影した動画・画像、性行為をうかがわせるメッセージのやり取りなどが有力な証拠となります。

自力での証拠確保が難しい場合、不倫に関する証拠集めの方法や、その後の慰謝料請求・離婚請求の対応について、弁護士に相談することがおすすめです。

離婚や慰謝料問題に関して、豊富な知見・経験を有する弁護士に相談すれば、適正額の慰謝料を獲得し、かつ適正な条件でスムーズに離婚を成立させるための対応についてアドバイスを受けることができます。相手との交渉や裁判手続きについても、弁護士に依頼すれば全面的に代行してもらえるので安心です。

ベリーベスト法律事務所は、不倫慰謝料の請求や離婚に関するご相談を随時受け付けております。配偶者の不倫を疑っており、証拠集めや慰謝料請求について専門家のサポートを受けたいという方は、離婚専門チームの弁護士がお力になりますので、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

同じカテゴリのコラム(慰謝料)

同じカテゴリのコラム一覧はこちら 弁護士コラム 離婚・男女問題SOS一覧はこちら
PAGE TOP