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慰謝料請求を自分で進める流れは? 注意点や弁護士に相談するメリット

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更新日:2025年01月29日  公開日:2025年01月29日
慰謝料請求を自分で進める流れは? 注意点や弁護士に相談するメリット

配偶者や不倫相手(浮気相手)に対する慰謝料請求を、自分で進めようと考えている方もいらっしゃるかと思います。弁護士費用を払いたくない場合や、スムーズに慰謝料の支払いを受けられそうな場合は、自分で慰謝料請求を行うことも選択肢の一つとなるでしょう。

しかし、自分で慰謝料請求を行う場合は、さまざまなポイントに注意しなければなりません。リスクを感じたり、不利益を被りそうだと心配であれば、弁護士への相談をおすすめします。

本記事では、不倫の慰謝料請求を自分で行う際の流れや注意点などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を

1、不倫の慰謝料請求を自分で進めようと考える傾向にあるケース

不倫の慰謝料請求は、弁護士に依頼して行うのが一般的ですが、被害者が自分で行う例も見られます。

特に以下のようなケースでは、被害者が自分で不倫の慰謝料請求を進めようとすることがあるようです。

  1. (1)弁護士費用を払いたくない

    慰謝料請求を弁護士に依頼すると、当然、弁護士費用がかかります。

    弁護士費用を支払うと、慰謝料を得られても手取りが減りますし、十分な慰謝料を得られないと赤字になってしまうおそれもあります。慰謝料を満額自分のものにしたい、費用倒れになって損をしたくないといった理由で、弁護士に依頼せず自分で慰謝料請求をするケースがよく見られます。

    また、金銭的に余裕がなく、弁護士費用を準備できないから慰謝料請求を自分で行うというケースもあります。
    ただし、弁護士費用を準備できなくても、着手金が無料もしくは低額の弁護士、または着手金の分割払いに応じてくれる弁護士に依頼する方法や、法テラスを利用する方法などがあります
    弁護士費用を準備できずに自分で慰謝料請求をしようと考えている方は、これらの方法をご検討ください。

  2. (2)配偶者や不倫相手が慰謝料の支払いに同意している

    慰謝料請求の相手方となる配偶者と不倫相手が、慰謝料を支払うことについて同意している場合は、スムーズに慰謝料の支払いを受けられる可能性が高いです。
    このような場合には、わざわざ弁護士に依頼せず、自分で慰謝料請求をすることも有力な選択肢となります。

    ただし、自分で慰謝料請求を行うとしても、相手が支払いに応じている慰謝料の金額が妥当かどうかは慎重に検討しましょう。また特に分割払いとする場合には合意書を作成する方が良く、その場合には弁護士に相談されることをおすすめします

  3. (3)不倫の証拠が十分に揃っている

    不倫についての証拠が十分に揃っている場合は、それを配偶者や不倫相手に突き付ければすぐに相手が自白して慰謝料の支払いに応じると考えて、自分で慰謝料請求をしようとするケースがあるようです。

    しかし、自分の中では不倫の証拠が揃っていると考えていても、客観的にはそれで十分であるとは限りません。また、証拠を提示されても相手が不倫を認めず、慰謝料の支払いを拒否することもあります。
    不倫慰謝料の支払いを受けられる見込みについては、自分だけで判断するのではなく、弁護士のアドバイスを受けましょう。

2、不倫の慰謝料請求を自分で進める場合の流れ

不倫の慰謝料請求を自分で行う場合の手続きの流れは、大まかに以下のとおりです。

  1. (1)不倫の証拠を確保する

    慰謝料請求を相手が拒否することを想定して、不倫の証拠をできる限り豊富に確保しておきましょう。たとえば、以下のような証拠が考えられます。

    浮気・不倫の証拠となり得るもの ポイント:直接的に肉体関係を立証できるもの 写真・動画・録音・音声データ・クレカ明細・領収書・メール・SNS等・手帳・日記・メモ・探偵事務所の調査報告書・GPS・ホテルのサービス券
    • 不倫の現場を記録した動画、写真、音声
    • 不倫を窺わせるメッセージの記録、通話録音
    • 探偵の報告書
    • 不倫を認める配偶者または不倫相手の自白
    など


    不倫の現場を記録した動画や写真、音声は非常に有力な証拠となります。

  2. (2)内容証明郵便などで慰謝料請求を行う

    できる限りの不倫の証拠を確保できたら、慰謝料請求を行いましょう。

    不倫の慰謝料請求を行う際には、まず内容証明郵便で慰謝料請求書を送付するのが一般的です。相手に対して正式な請求であることを伝えられることに加えて、慰謝料請求権の消滅時効の完成を6か月間猶予する効果があります(民法第150条第1項)。

    内容証明郵便の発送は、比較的規模の大きい郵便局で取り扱っています。小規模な郵便局では、内容証明郵便の発送を取り扱っていないケースが多いので、ご注意ください。

  3. (3)相手と示談交渉をする

    相手から返答があったら、示談交渉を行いましょう。

    示談交渉では、慰謝料の額や支払方法などを話し合います。双方が金額を提示し合い、互いに歩み寄りながら解決を目指します。
    不倫慰謝料の金額相場(後述)を踏まえながら、適正額での合意を目指すことが大切です。

  4. (4)示談書を作成する

    示談交渉を通じて合意が得られたら、その内容をまとめた示談書を作成しましょう。示談書には、不倫慰謝料の金額や支払方法、その他には当事者間に何らの債権債務がない旨の確認(=清算条項)などを記載します。

    口約束だけでは慰謝料が支払われないおそれがあるので、必ず示談書を作成するようにしましょう。

3、不倫の慰謝料請求を自分で進める場合のリスクと注意点

不倫の慰謝料請求を自分で行う場合には、以下のようなリスクに注意する必要があります。これらのリスクの顕在化によって損をしたくないなら、弁護士にご相談ください。

  1. (1)感情的になってしまい、示談交渉が進まない

    示談交渉をまとめるには、冷静になって建設的に話し合うことが大切です。

    しかし、配偶者や不倫相手に対する怒りの感情が強すぎると、示談交渉の場でも感情的になってしまい、冷静な話し合いができないおそれがあります。
    感情的な態度で相手に接すると、示談交渉がなかなかまとまらずに長期化し、訴訟などに発展してしまうかもしれません。

  2. (2)慰謝料の相場が分からず、不利な条件で示談してしまう

    不倫慰謝料の金額相場は、離婚しない場合で数十万~150万円程度、離婚する場合で100万~300万円程度です。また、不倫慰謝料の適正な金額は、以下のような要素に応じて変わります。

    • 不倫の頻度、回数、期間
    • 婚姻期間の長さ
    • 未成熟の子の有無
    など


    自分で不倫の慰謝料請求を行う場合、慰謝料の適正額がいくらかを判断するのは大変です。相場感が分からないままに示談をした結果、十分な額の慰謝料の支払いを受けられず損をしてしまうおそれがあります

  3. (3)不倫の証拠が十分に揃えられない

    相手が不倫を否認している場合は、不倫の客観的な証拠を確保することが重要です。

    しかし、自分だけで不倫の証拠を確保するのは難しいことも多いです。不倫の証拠を十分に確保できないと、訴訟において慰謝料請求が認められないおそれがあります。

  4. (4)示談交渉が難航すると、その後の対応が難しい

    相手が慰謝料の支払いに応じない場合や、金額面で折り合えない場合には、示談交渉を打ち切って訴訟に移行することも検討すべきです。

    しかし、訴訟手続きは専門的かつ複雑である上に、適切に主張・立証を行わなければ慰謝料請求が棄却されてしまいます。
    一般の方が適切に訴訟対応をするのは難しく、仮にできたとしても多大な時間と労力を要します。訴訟を提起すること自体を躊躇してしまい、解決が長引くことにもなりかねません。

  5. (5)慰謝料請求権が時効消滅してしまう

    不倫相手に対する慰謝料請求権は、以下のいずれかの期間が経過すると時効により消滅します(民法第724条)。

    不倫相手の素性もしくは不貞行為を知った日から3年(消滅時効)、あるいは不貞行為があった日から20年(除斥期間)を過ぎると、慰謝料請求をすることができない
    1. ① 不倫の事実と不倫相手を知ったときから3年
    2. ② 不倫のときから20年


    自分で慰謝料請求を行うための準備に手間取っていると、慰謝料請求権が時効消滅してしまうおそれがあります。スムーズに慰謝料請求の準備を整え、内容証明郵便の送付や訴訟の提起などによって時効完成を阻止しましょう。

4、不倫の慰謝料請求を弁護士に相談するメリット

不倫の慰謝料請求は、自分で行うのではなく弁護士に対応を依頼した方が安心です。

不倫の慰謝料請求について弁護士に相談・依頼することには、主に以下のメリットがあります。

法的な観点から検討を行い、適正額の慰謝料を請求できる
弁護士であれば、過去の裁判例や経験をもとに、適切な慰謝料額を算定し、相手方に請求することが可能です。

内容証明郵便の送付をスムーズに行うことができる
内容証明郵便には所定の書式があり、作成に慣れていない方には作成から送付するまでの作業が負担に感じることもあります。弁護士がこのような対応は代わりに行いますので、負担を軽減することが可能です。

示談交渉を弁護士に代行してもらえるので、労力やストレスが軽減される
浮気の当事者との直接交渉は非常にストレスがかかり、また、相手がこちらの要求を拒否してきた場合、落としどころを見つけるために何度も話し合いを重ねるなどの労力がかかってしまいます。弁護士に依頼すれば、弁護士が相手方との交渉を代行することができますので、顔を合わせて話し合いをするなどの労力やストレスから解放されます。

示談交渉が決裂した場合でも、専門的な訴訟手続きへの対応を弁護士に一任できる
自分自身で交渉を進めても、決着がつかなかった場合、調停や訴訟などの訴訟手続きに移行することになります。このような裁判所での手続きでは、きちんと証拠を提示して適切に自分の要求を主張していかなくてはなりません。一般の方では対応が困難ですので、弁護士へ依頼することをおすすめします。


配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求したい方は、一度弁護士にご相談ください。

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5、まとめ

不倫の慰謝料請求は、状況によっては自分で行うこともできますが、さまざまなポイントに注意しなければなりません。

特に相手が不倫を認めない場合や、慰謝料の減額を求めている場合には、法的知識や交渉力が求められるので、弁護士に依頼するのが安心です。弁護士のサポートが必要かどうかを判断するためにも、一度弁護士に相談することをおすすめします

ベリーベスト法律事務所は、不倫慰謝料(離婚慰謝料、不貞慰謝料)の請求に関するご相談を随時受け付けております。配偶者の不倫が発覚し、慰謝料請求をしたいと考えている方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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