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50代で離婚するメリット・デメリットは? 財産分与や年金分割を解説

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更新日:2025年03月26日  公開日:2025年03月26日
50代で離婚するメリット・デメリットは? 財産分与や年金分割を解説

50代は、子どもが独立し、お金にも時間にも余裕が出てくる年代といえます。

一方で残りの人生を意識し、離婚を決断する方がいるのもこの年代です。50代で離婚をするには、その後の生活費や住まいの確保などをしっかりと押さえた上で、離婚手続きを進めていく必要があります。

今回は、50代で離婚を考える理由やメリット・デメリット、離婚に向けて必要な準備などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を

1、50代で離婚を考える理由は?

50代の夫婦は、どのような理由で離婚を考えるのでしょうか。以下では、50代で離婚を考える主な理由と50代で離婚するメリット・デメリットについて説明します。

  1. (1)50代で離婚を考える3つの理由

    50代で離婚を考える主な理由としては、以下のものが挙げられます。

    ① 子育ての終了
    50代になると、子どもが独立し子育てが終了する方も増えてきます。これまでは子どもがいるため離婚を我慢していた夫婦であっても、子どもが独立したことで離婚をためらう理由がなくなり、離婚に踏み切るという方も多いです。

    ② 自分らしい人生を追求したい
    50代になるとこれまで子育てで忙しく時間やお金に余裕がなかった夫婦も、時間やお金に余裕が生まれ、今後の人生を考える余裕が出てきます。

    今までは、子どもや夫(妻)のために自分を犠牲にしていた方も今後は自分らしい人生を追求したいという思いを抱くようになり、離婚を考え始めるようになります。

    ③ 長年の夫婦関係のマンネリ化や価値観のズレ
    50代の夫婦だと婚姻生活も20~30年程度になり、長い時間を一緒に生活していることになります。長年の夫婦生活で夫婦関係がマンネリ化したり、価値観のズレを強く意識したりするタイミングでもあります。

    今後の人生のパートナーとして、夫(妻)と一緒に生活するのが本当にベストなのか疑問が生じると離婚を考えるきっかけにもなります。

  2. (2)50代で離婚するメリット・デメリット

    50代の離婚には、以下のようなメリット・デメリットがあると言われています。

    ① 50代で離婚するメリット
    50代はまだまだ元気な年代ですので、人生をやり直すタイミングとして決して遅いことはありません。離婚により夫(妻)に縛られる生活から解放されますので、時間的・精神的な自由が得られるといったメリットがあると言われています。

    また、義理の両親の介護をしなければならないという負担から解放され、折り合いの悪かった人間関係からも解放されるということもメリットの1つと言われます。

    ② 50代で離婚するデメリット
    50代で離婚するデメリットとしては、経済的な不安が挙げられます。特に、これまで専業主婦として夫の収入に依存していた女性だと、離婚後の生活費や老後の資金などについて不安を感じることになります。

    また、50代での離婚について家族や親族の理解が得られないと、離婚後の生活で孤立するなどのデメリットも考えられます。

2、50代で離婚する際に必要な準備

50代で離婚をする際には、離婚後の生活の不安を少しでも和らげるためにも以下の準備を整えてから離婚を切り出すようにしましょう。

  1. (1)離婚後の生活費の見積もり

    50代の離婚では、離婚後の経済的な不安が大きいという特徴があります。離婚をしても生活していけるかどうかを把握するためにも、まずは離婚後の生活費の見積もりをしてみるとよいでしょう。

    離婚後の収支状況をある程度把握することができれば、離婚後の経済的な不安も解消され、離婚について検討することができるはずです。

  2. (2)離婚条件の検討|財産分与・年金分割

    50代の離婚では、婚姻生活中に夫婦が協力して築いた共有財産が高額になる傾向があります。財産分与をきちんと行うためには、財産分与の対象財産を正確にリストアップし、適正な評価をすることが大切です。

    相手がすべての財産を開示してくれないこともありますので、離婚を切り出す前から相手の財産について調査を進めていくようにしましょう。

    また、50代の離婚では、年金分割を行うことで将来受け取ることができる年金額を増やすことが可能です。離婚後すぐにもらえるお金ではありませんが、老後の生活が不安で離婚に踏み切れないという方は、年金分割によりどの程度年金が増えるかを把握することができれば、離婚に積極的になることができるでしょう。

    なお、「離婚時の財産分与は弁護士にご相談ください」のページでは、財産分与の対象になるもの・ならないもの、注意点などについて解説しています。ぜひご参考ください。


  3. 適切な分配・損をしないために離婚時の財産分与は弁護士にご相談ください
  4. (3)離婚後の住まいの確保

    夫婦が離婚をすると基本的には別々に生活していくことになりますので、自宅を出ていく方は、離婚後の住まいを確保する必要があります。また離婚前であっても、離婚を切り出すと相手と険悪になり別居となるおそれもあります。

    離婚を切り出す前に住まいを確保しておくようにしましょう。

  5. (4)離婚後の収入源の確保

    50代の離婚では、財産分与でまとまった財産を得られる可能性がありますが、それだけでずっと生活していくことは難しいでしょう。特に、夫の経済力に依存していた専業主婦の方は、離婚後の収入源を確保しなければ、経済的な不安を解消することはできません。

    条件のよい仕事を見つけるためには、早めに就職活動を始める必要がありますので、離婚を切り出す前に職を探して働き始めるようにしましょう。

3、特に注意しておきたい自宅・住宅ローンの取り扱い

50代の夫婦は、賃貸住宅ではなく持ち家に住んでいるケースが多いです。持ち家に住む夫婦が離婚をする際には、財産分与における自宅や住宅ローンの取り扱いに注意が必要です。

  1. (1)住宅ローンも財産分与の対象になる

    財産分与は、婚姻生活中に夫婦が協力して築いた共有財産が対象になります。共有財産には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれますので、住宅ローンがある場合には、住宅ローンの金額も考慮して財産分与を行うことになります。

    住宅ローンの残額によっては、期待していたほどの財産分与を受けられない可能性もありますので、注意が必要です。

  2. (2)【ケース別】自宅・住宅ローンの取り扱い方法

    以下では、具体的なケース別に財産分与における自宅・住宅ローンの取り扱い方法についてみていきましょう。

    ① 住宅ローンの支払いが終わっている場合
    住宅ローンの支払いがすでに終わっているという場合には、自宅の評価額がそのまま財産分与の基礎となります。財産分与の方法としては、「売却した代金を二人で分ける方法」と「どちらか一方が住宅を取得して、取得した方が評価額の半分を相手に支払う方法」があります。

    ② 住宅ローンが自宅の評価額を下回っている場合|アンダーローン
    住宅ローンが自宅の評価額を下回っている状態を「アンダーローン」といいます。住宅ローンが残っている場合には、住宅ローンも自宅も財産分与の対象になります。アンダーローンの場合には、住宅を取得する方が住宅ローンを引き受けても、またプラスがある状態になりますので、他の財産の取得分を少なくするか、他の財産がない場合にはいくらか相手に支払うことで解決します。

    ③ 住宅ローンが自宅の評価額を上回っている場合|オーバーローン
    住宅ローンが自宅の評価額を上回っている状態を「オーバーローン」といいます。この場合も住宅ローンも自宅も財産分与の対象となります。ただし、他に財産がなく、自宅と住宅ローンしかない場合には共有財産がマイナスになっている状態なので財産分与はできません。他に財産がある場合には、全ての財産を通算して、住宅ローンを負う方が自宅以外の財産を多く取得するという考え方がとられることが一般的です。

4、離婚手続きの種類と流れ

以下では、50代の夫婦が離婚をするための手続きの種類と進め方について説明します。

まずは夫婦で離婚の話し合い(協議離婚・交渉)をし、合意した場合は解決。不合意の場合は調停の申し立てを行い、離婚調停へ進む。調停も不成立の場合は離婚裁判(訴訟)を提起し、敗訴した場合は不成立となる。
  1. (1)協議離婚

    協議離婚とは、夫婦の話し合いにより離婚を目指す方法です。夫婦が離婚する際のもっとも一般的な方法がこの協議離婚になります。

    お互いの話し合いで離婚および離婚条件の合意ができたときは、離婚届に記入をし、市区町村役場に提出することで離婚が成立します。

    未成年の子どもがいる場合には、子どもの親権者を定めて、離婚届に記載することが必要です。

  2. (2)調停離婚

    調停離婚とは、夫婦の話し合いでは離婚の合意に至らないとき、家庭裁判所の調停手続きにより離婚を目指す方法です。

    離婚調停の申立てで必要になる書類としては、以下のものが挙げられます。

    • 申立書
    • 事情説明書
    • 連絡先等の届出書
    • 進行に関する照会回答書
    • 夫婦の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

    【必要に応じて】
    • 年金分割のための情報通知書
    • 子についての事情説明書
    など


    申立書は全国共通のフォーマットで、家庭裁判所のホームページからダウンロードできます。申立て費用は、収入印紙代1200円、戸籍謄本の取得費450円、郵便切手代などを含めて数千円です。
    数回の調停手続き(裁判所での話合い)を経て、離婚やその条件について合意すると離婚が成立します。

  3. (3)裁判離婚

    裁判離婚とは、家庭裁判所の訴訟手続きにより離婚を目指す方法です。

    調停は話し合いの手続きであり、お互いが合意しなければ調停不成立となって終了します。調停が不成立になったときは、家庭裁判所に離婚訴訟を提起します。

    離婚訴訟では、以下の5つの法定離婚事由のうちいずれか1つが必要です。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みのない強度の精神病
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    離婚訴訟は、専門的知識がなければ対応が難しい手続きといえます。離婚問題の実績がある弁護士に依頼して進めるのがおすすめです。

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5、弁護士からのメッセージ

50代は子どもの独立に伴って、教育費や住宅ローンなど大きな出費が終わるめどがたつ一方、夫婦関係を見直し、離婚を考える方も少なくありません。

50代の離婚では、経済的な不安をなくすことが重要なため、離婚を切り出す前に経済面の準備をしっかりと行うようにしましょう。

特に重要になるのが財産分与ですが、適切な財産分与を実現するには、弁護士のサポートが大切です。ベリーベスト法律事務所では、熟年離婚に関するさまざまなお悩みを受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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