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普通の不倫とは何が違う? 「ダブル不倫」の慰謝料相場を弁護士が解説

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更新日:2022年09月02日  公開日:2016年12月19日
普通の不倫とは何が違う? 「ダブル不倫」の慰謝料相場を弁護士が解説

「ダブル不倫」という言葉を一度は耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

ダブル不倫の場合も通常の不倫と同様に、不倫された側は夫・妻や不倫相手に慰謝料請求が可能です。もっとも、通常の不倫慰謝料の場合と比較していくつか異なる点があります。

今回は、ダブル不倫の場合の慰謝料の相場と特徴についてご説明していきます。

1、通常の不倫慰謝料を請求できる相手と金額の相場

まずはダブル不倫ではない、通常の不倫について、不倫慰謝料の請求相手と慰謝料の相場について説明します。

  1. (1)請求できる相手

    不倫されて慰謝料請求しようとした場合、当然不倫相手に慰謝料を請求できます。
    しかし、請求できるのは何も不倫相手だけには限らず、ご自身の配偶者にも請求できます。ご自身の配偶者が不倫をしてそれで精神的な苦痛を受けたのですから、当然と言えば当然でしょう。

    なお、ここでのお話はあくまで請求できるのは誰かという観点からの説明です。実際に請求するかどうかは別問題です。

  2. (2)慰謝料金額の相場

    では、通常の不倫の慰謝料の相場は一体いくらくらいなのでしょうか。
    もちろんケースバイケースにはなりますが、通常の不倫の慰謝料の相場は50万円~300万円程度です。
    ただし、慰謝料の金額は、夫婦が離婚に至ったか否か、相手の年齢や収入や不倫期間など様々な事情によって違ってきます

2、通常の不倫慰謝料とダブル不倫の場合の慰謝料の違い‐慰謝料

不倫の被害者は不倫の当事者(不倫相手のみならずご自身の配偶者)に対して慰謝料請求できます。この点については、前述しました。
では、通常の不倫慰謝料の場合とダブル不倫の慰謝料の場合とでは、どこがどのように違うのでしょうか。

  1. (1)被害者の数が異なる

    まず、被害者の数が通常の不倫の場合とダブル不倫の場合とでは異なります。
    通常の不倫の場合には、ご自身の配偶者と不倫相手が不倫をしていますので、ご自身だけが不倫の被害者と言えます。
    これに対して、ダブル不倫の場合には、ご自身はもちろん被害者ですが、不倫相手の配偶者も不倫の被害者と言えます。

    したがって、ダブル不倫の場合には、被害者の数が2人になるのです。

  2. (2)配偶者が慰謝料請求される側になる

    前述のように、ダブル不倫の当事者以外はともに被害者ですので、ダブル不倫の当事者以外の者は当事者に対して慰謝料請求が可能です。
    したがって、こちら側で不倫相手に慰謝料請求しても、同じように今度は不倫相手の配偶者からあなたの配偶者が慰謝料請求されてしまいます。

    もちろんご自身は不倫していない以上、慰謝料を請求される立場ではないのですが、夫婦は通常お財布は一つであることが多いので、ご自身に請求されなくてもご自身の配偶者に慰謝料請求されれば基本的には同じことになってしまいます。

    つまり、不倫相手の配偶者から不倫慰謝料請求されることで、特にあなたが離婚していない場合、直接家計への打撃となります(端的言うと、「あなたの家のお金」が減ってしまう可能性があるのです)。これが通常の不倫とダブル不倫の大きな違いです。

3、ダブル不倫の慰謝料の請求方法は?

では、ダブル不倫の慰謝料を請求するにはどうしたらいいでしょうか。

  1. (1)ダブル不倫の慰謝料請求

    まずは、不倫慰謝料を請求する相手に慰謝料を支払ってくれるように伝えましょう。
    正直相手の顔を見たくないでしょうし、話をしたくもないでしょうが、慰謝料を支払ってくれるように伝えなければ何も始まりませんので、まずは、慰謝料を支払ってくれるように相手方に伝えましょう。

    その際には、口頭のやり取りですと、やり取りの流れが後に残りませんので、例えばメールやLINEなどを使って請求すると良いでしょう。

  2. (2)内容証明郵便を使って請求

    請求しても相手方から何のリアクションもないようでしたら、内容証明郵便を使って相手方に請求するようにしましょう。

    ①内容証明郵便を利用するメリットは?
    内容証明郵便を利用すると、郵便局が送付する書面の内容を証明してくれますので、後々のトラブルの予防につながります。
    また、民法上の「催告」(153条)という効果があり、時効による消滅を6か月延ばす効果もあります(ただし、6か月以内に裁判や調停などを起こさないといけません。)。

    ②内容証明郵便の形式・提出先・差出方法
    内容証明郵便を利用しようとした場合、文字数や行数は以下の表の通りに文章を作成する必要があります。

    内容証明郵便の書き方 文字数や行数の制限
    横書きの場合
    • 1行20字以内で1枚26行以内
    • 1行13字以内で1枚40行以内
    • 1行26字以内で1枚20行以内
    縦書きの場合
    • 1行20字以内で1枚26行以内

    また、内容証明郵便を出そうとする際には、集配郵便局または支社指定の郵便局に出す必要があります。

    郵便窓口には以下のものを持参して下さい。

    • 送付文書3通(本人保管用、受取人送付用、及び郵便局保管用)
    • 差出人と受取人の氏名・住所を記載した封筒
    • 郵便料金(文書1セットの枚数にもよりますが2,000円程度)


    ③慰謝料請求する場合の内容証明郵便の記載例
    では、実際に内容証明郵便を使って相手方に慰謝料請求しようとした場合には、どのように記載文章を作成すればいいのでしょうか。
    ここでは、あくまで一例にすぎませんが、ご参考までに慰謝料請求する場合の文例をお示ししたいと思います。

    通 知 書 平成○年○月○日 被通知人
    ○○県○○市○○
    ○○ ○○ 殿
    通知人
    ○○県○○市○○
    ○○ ○○
    私、○○は、貴殿に対し、次の通り通知致します。
    貴殿は、私の妻である○○が既婚者であると知りながら、平成○年○月頃から平成○年○月頃までの間、妻と不貞関係を継続していました。このような行為は、私に対する重大な不法行為であり、貴殿は、貴殿の不法行為によって被った私の精神的損害を賠償すべき責任があります。
    つきましては、貴殿に対し、慰謝料として金○○万円を請求させて頂きますので、本書面到達後7日以内に下記口座宛にお支払い下さい。
    ○○銀行 ○○支店
    (普)口座番号 ○○
    口座名義人 ○○
    なお、本書面到達後7日以内に貴殿から慰謝料の支払いがない場合には、直ちに法的手段に移らせて頂きますので、予めご承知おき下さい。

  3. (3)最終的には裁判をする

    任意での支払いが難しいようであれば、裁判をして不倫慰謝料を請求していくことになります。

    裁判をして不倫慰謝料請求をしようとした場合、裁判所に対して、ご自身の配偶者と不倫相手との間に不貞行為(肉体関係)があったこと、及びこれによってあなたの法的な権利が侵害されたことを記載した書面(「訴状」と言います)を提出する必要があります
    また、あなたの主張を裏付けるために、客観的な資料(証拠)の提出も必要となります。

    裁判の大まかな流れは以下の通りになります。

    1. 訴状の作成・提出
    2. 相手方(被告)への訴状送達
    3. 裁判の期日(通常5~10回程度)
      ここで主張や立証を行ったり、証人尋問を行ったりする
    4. 和解または判決

    不倫の事実があり、そのことを相手も認めているか、又は不倫を確実に裏付けるような証拠がある場合、時効が問題にならないのであれば慰謝料請求は基本的には認められることになるとは思いますが、裁判手続きを利用する場合には手続きが面倒になります。

    もちろん、裁判をする場合に弁護士を付けなくてはならないわけではありません。本人訴訟も可能です。しかし、訴状を作成したり、裁判の審理の場で主張立証したりするなど、いざ裁判になると法律の素人の方にとっては難しいことが多いです。
    もし、裁判をしようとお考えの方は、弁護士に相談するのも一つの方法でしょう。

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4、ダブル不倫の慰謝料請求をしてもメリットがない場合とは?

慰謝料請求ができる場合であっても、事案によっては、慰謝料請求をすることにより経済的にはかえって損することもあります。

例えば、自分たち夫婦は離婚しない決意をしたが、不倫相手夫婦は離婚を選択した場合は、自分がもらえる慰謝料<不倫相手配偶者に払わなくてはならない慰謝料ということも理論的にはあり得るからです。

5、まとめ

本稿ではダブル不倫の慰謝料についてその相場と特徴について説明してきましたがいかがでしたか。今回の記事がダブル不倫の慰謝料について知りたい方のご参考になれば幸いです。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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