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離婚理由が配偶者の不倫・浮気の場合、養育費はどちらが払う?

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更新日:2024年04月22日  公開日:2019年08月08日
離婚理由が配偶者の不倫・浮気の場合、養育費はどちらが払う?

配偶者の不倫が発覚し、その後に離婚することを選ぶ方は少なくありません。

子どもがいる夫婦が離婚するときは、親権や養育費、面会交流など、子どもに関するさまざまな取り決めが必要です。

養育費の支払いに関しては、「配偶者の不倫が原因で離婚するのだから、養育費は相手が負担するべき」「自分が養育費を支払うにしても、相場より低い金額になっても当然ではないか」とお考えになる方もいるでしょう。

本コラムでは、配偶者の不倫が原因で離婚するとき、養育費の支払い義務はどうなるのかについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。
また、不倫にまつわる慰謝料請求のこともあわせて紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

1、養育費についての基礎知識

養育費とは、親が別居している子どものために負担すべき費用です。

子どもを育てるためには、学費や食費、衣類やその他の生活費などいろいろなお金がかかります。親権者にならなかった親は子どもと一緒に暮らさないため、直接、このような費用を支払うことはありません。しかし親である以上、子どもに対する扶養義務がありますので、離婚後、親権者にならなかった親は子どもに養育費を支払う必要があるのです。

このことは未婚の男女でも同じで、未婚のまま妊娠出産した場合でも、男性が子どもを認知したら父親は母親に養育費を払わねばなりません。

養育費は離婚した相手の生活費に使われるものではなく、「子どもが健全に成長していくための費用」です。養育費を支払うのは親として当然の責任であり、支払わなければ家庭裁判所で強制的に支払い命令を下されてしまいます。

ただし義務者に支払い能力がない場合には、養育費を支払う必要がありません。たとえば生活保護を受けている方などの場合、養育費を支払わなくても良いとされるケースもあります。その場合、将来お金を稼げるようになったときに支払えば良いと考えられています。

2、配偶者の不倫が離婚原因のとき、養育費の支払いはどうなる?

配偶者の不倫が原因で離婚に至った場合でも、養育費を払わないといけないのかと疑問をお持ちの方もいるでしょう。ここからは、夫が不倫したケースと妻が不倫したケースに分けて、説明します。

  1. (1)夫が不倫し、妻が親権を持つ場合

    夫が不倫して妻が親権者となった場合、元妻は元夫に対して当然養育費を請求できます。夫は子どもの父親である以上、親の義務として養育費を負担しなければなりませんし、収入がある限り、養育費を支払わなくて良い理由がありません。

  2. (2)妻が不倫し、夫が親権を持つ場合

    次に妻が不倫して夫が親権を持つ場合、妻は基本的に夫に対して養育費を払わねばなりません。母親も子どもの親である以上、親権者にならず同居していないなら子どものための費用を負担する義務を負います。ただし元妻に収入がなく自分の生活で手一杯であり、一方元夫には十分な収入があって養育費を不要としているケースであれば、元妻に養育費の支払い義務が発生しない可能性があります。

  3. (3)妻が不倫して妻が親権者になる場合

    この場合でも、子どもの問題と夫婦の問題は別なので、夫は不倫した妻に養育費を払わねばなりません。「相手の不倫で離婚になったから養育費を支払わない」という主張は通用しません。

    このように、養育費は「夫や妻のどちらが夫婦関係を破綻させたか」という有責性とは無関係に発生するものです。あくまで子どものための費用であり、夫婦間の問題とは切り離して考えなければなりません。不倫されても子どもに罪はなく、「目には目を」ということにはならないのです。
    相手が不倫していようとも、養育費は別問題として扱うべきです。不倫問題は養育費ではなく、離婚慰謝料などとして考慮します。

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3、養育費の相場と支払期間

3章では、養育費の相場や支払期間について説明します。

  1. (1)養育費の相場

    養育費の相場は、支払う側と支払いを受ける側の年収によって異なります。

    支払い義務者の年収が上がれば養育費の金額は上がりますし、支払われる側の年収が上がれば養育費の金額は下がります。また子どもの人数が増えると養育費の金額が上がりますし、子どもの年齢が15歳以上になると、やはり養育費の金額が上がります。
    子どもの年齢が上がると、学費や食費などのさまざまな費用がより大きくかさむようになるためです。

    ●養育費の計算例
    たとえば支払い義務者の年収400万円(会社員)、支払いを受ける側の年収が100万円(パート)、子どもが1人(10歳)の場合の養育費の相場をみると、月々4~6万円となります。
    支払い義務者の年収600万円(会社員)、権利者の年収が100万円(会社員)、子どもが2人(16歳と12歳)の場合の養育費の相場は月々10~12万円となります。

    ケースごとの相当な養育費の金額について簡単に計算できるよう、ベリーベスト法律事務所では養育費計算ツールを用意していますので、ご利用ください。

    参考:養育費はいくらもらえる? 月額費用の計算ツール|ベリーベスト法律事務所

    養育費の支払期間中に事情が変わって今の金額が不相当となった場合には、話し合いや家庭裁判所の調停により、養育費の金額を決め直すことも可能です。

  2. (2)養育費はいつからいつまで支払う?

    養育費は、基本的に子どもが成人するまで支払う必要があります。つまり、令和4年(2022年)4月に成人年齢が引き下げられたため、現行の民法では、18歳になる月まで毎月支払い続けるのが原則です。

    ただしいつまで支払うかは、状況によっても異なります。たとえば子どもが大学に進学する場合には、大学を卒業する年の3月まで支払いを約束するケースも多いでしょう。
    子どもが未成年で婚姻すると成年擬制(せいねんぎせい)と言って、大人と同じ扱いになるため、養育費の支払いは止めるものです。

    養育費の支払期間は、夫婦の話し合いによって比較的自由に定めることができます。たとえば話し合いで「子どもが22歳になった年の3月まで」にすることも可能ですし、「子どもが20歳の時点で大学に通学していたら大学を卒業するまで」などと取り決めることもできます。ケースによって最適な方法を定めましょう。

  3. (3)養育費の合意ができたら公正証書に残す

    養育費の金額は、基本的に夫婦が離婚の際に話し合いをして取り決めます。

    養育費の金額やその他の離婚条件について合意ができたら、取り決めた内容を「公正証書」にすることをおすすめします。公正証書とは公証人が作成する公文書の一種で、非常に信用性の高いものです。

    公正証書にしておくと、相手が将来養育費の支払いをしなくなったときに、公正証書を使ってすぐに相手の預貯金や給料などを差し押さえて回収(強制執行)することができるので、不払いに対する備えとなります。ただし、公正証書に強制執行を認める文章を入れておくことが必要です。

    このことは、金銭の支払い義務全般について言えることです。相手の不倫によって離婚するならば、不倫の慰謝料についても取り決めるでしょうし、夫婦間に共有財産があれば財産分与の約束もするでしょう。
    そのような不倫慰謝料や財産分与の支払いについても、離婚公正証書にしておけば、相手が支払わなかったときにすぐに強制執行できるので安心です。

    ●公正証書の作成方法
    公正証書を作成したいときには、まずはお近くの公証役場に公正証書の作成を申し込みましょう。その際、どういった条件で離婚をしたいのかを公証人に告げます。

    公証人から必要書類の指示があり、いつ公正証書を作成するのか日取りが決定されます。決まった日にちに相手と一緒に必要書類を持って公証役場に行けば、離婚公正証書を作成してもらえます。
    公正証書を作成するときには数万円の費用がかかるので、夫婦のどちらがどのように負担するのか、あらかじめ相談しておくことが必要です。

4、夫(妻)や不倫相手に対して慰謝料を請求したい

夫や妻の不倫によって離婚を余儀なくされた場合、相手に慰謝料請求したいと考えるのも当然です。具体的にどのようなケースでどうやって慰謝料請求すれば良いのか、解説していきます。

  1. (1)不貞行為の証拠があれば慰謝料を請求できる

    不倫の慰謝料請求をするためには、「不貞行為の証拠」が必要です。

    法律上の不貞行為とは、既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つことです。配偶者が不倫している場合、浮気相手と性関係を持っていることの証明が必要で、単に仲良くデートしているだけでは証拠として足りません。
    たとえばメールや写真などの証拠でも、より直接的に肉体関係を示すものが望ましいです。ひとつひとつの証拠は直接的でなくても、複数の証拠を合わせることによって肉体関係を証明できるケースもあります。

    自分では証拠が十分かどうか判断しにくい場合、どのような証拠が有効となり得るのか弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)慰謝料の請求方法

    証拠を集めたら、配偶者や不倫相手に慰謝料請求することが可能です。
    配偶者に慰謝料を請求するときには、協議離婚や離婚調停の話し合いを利用したり、時には離婚訴訟を起こしたりする例が多くなります。
    不倫相手に慰謝料請求するときには、内容証明郵便を使って慰謝料請求書を送り、その後話し合いをするか訴訟を起こすかして支払いをさせるケースが多いです。

    配偶者と不倫相手の両方に対して、同時に内容証明郵便を送ったり、調停や裁判を申し立てたりすることもできます。

    慰謝料の請求方法は、個別の状況に応じた手法をとるのが効果的なので、自分ひとりでどのように動いて良いかわからない場合は、弁護士までご相談ください。

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5、まとめ

夫婦が離婚するときは、子どもの養育費を始めとして財産分与や不倫の慰謝料請求など、多くの問題があります。

不倫の慰謝料請求については、相場はどのくらいになるのか、不倫相手が妊娠して中絶する場合に慰謝料が増額されるのかなどを知ることは重要です。
離婚後には、不倫した元配偶者が再婚して再婚相手との子どもが生まれたら養育費を減額されるのか、不倫相手の子どもが元夫に認知請求してきたらどうなるのかなどの問題が起こり得ます。

ベリーベスト法律事務所では、ご相談者さまの負担が軽くなるように、そして有用なアドバイスをお受けいただけるように配慮しています。離婚専門チームの知見ある弁護士がお力になりますので、養育費や不倫問題でお困りの際には、当事務所までお問い合わせください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
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※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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