離婚裁判とは?離婚裁判をお考えの方が知っておくべき8つのこと
離婚の話し合いがまとまらず、離婚調停も不調に終わり、いよいよ裁判で離婚しようという方もいらっしゃると思います。
裁判の場では、高度な法律知識や訴訟戦術が必要になるので、離婚裁判になった場合には弁護士への事件依頼をお考えになる方も一定数いらっしゃいます。
しかし、離婚裁判をするには弁護士をつけなくてはならないのか?というと、そんなことはありません。
そこで今回は、弁護士をつけずに離婚裁判をしようとお考えの方に最低限離婚裁判について知っておいて欲しいことをお話致します。
1、離婚裁判で争える内容は?
そもそも離婚裁判で争える内容とは何があるのでしょうか。
もちろん、離婚するかしないかという点は離婚裁判の争点ではあります。
しかし、離婚裁判においては、離婚するかどうかという点だけでなく、例えば以下のような離婚するにあたって問題となる点についても争うことができます。
- 慰謝料の問題(そもそも慰謝料を支払うのか否か、支払う場合にはいくら支払うのか)
- 財産分与の問題(そもそも財産分与をするのかどうか、する場合には財産をどのように分けるのか)
- 養育費の問題(お子様がいらっしゃる場合には、養育費を支払うのかどうか、支払う場合にはいくら支払うのか)
- 親権・面会交流の問題(お子様がいらっしゃる場合は、どちらが親権を持つのか、親権を持たない側との面会交流はどうするのか)
など
2、離婚裁判をするメリットは?離婚裁判をすべき場合について
では、裁判という手続きを踏んでまで離婚するメリットはどこにあるのでしょうか。
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(1)裁判官が公平に判断してくれる
話し合いで離婚しようとした場合には、やはりお互いが感情的になってしまうこともあるので、様々な点を考慮してお互いが譲歩する形の解決になることもあります。
しかし、裁判の場合には、お互いができる限りの主張・立証活動をして、その上で裁判官が双方の主張と提出された証拠をもとに公平に判断してくれます。 -
(2)判決に強制力がある
裁判で離婚事件を解決しようとする場合には、原告(裁判を起こした側)の請求が認められるのかどうかを裁判官が判断します。その際には、裁判官が判決という形で離婚を「認める」か「認めない」かを一刀両断的に決めます。
つまり、相手が離婚したくないといくら言い張っても、裁判で離婚するという判決が出れば、それで離婚できるのです。
3、離婚裁判ができる場合は?
では、離婚裁判をしたいと思った場合には、いつでも離婚裁判できるのでしょうか?
答えは、ノーです。
離婚裁判が認められるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
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(1)離婚調停を申し立てることが必要!
まずは、離婚調停を申し立てる必要があります。このことを調停前置主義と言います。このことは家事事件手続法という法律に明記されています。
そのため、裁判で離婚しようと思った場合には、あらかじめ離婚調停を申し立ていなければなりません。
なお、離婚裁判を申し立てる際には、きちんと離婚調停を申し立てていたかが分かる夫婦関係調整事件不成立調書という書面の提出が必要になります。 -
(2)離婚裁判が認められるには5つの要件のどれかに当たる必要がある!
多くのエネルギーを割いて裁判をして離婚しようとするのですから、絶対に離婚判決を裁判官からもらいたいはずです。
しかし、裁判官から離婚判決をもらえる場合は非常に限定されています。具体的には、民法という法律に書かれている以下の5つの要件(これを「法定離婚事由」と言います。)のうちあなたのケースがどれかに当たると裁判官に認めてもらう必要があります。- 相手に不貞行為があったこと
- 相手による悪意の遺棄があったこと
- 相手の生死が3年以上不明であること
- 相手が強度の精神病にかかって回復の見込みがないこと
- 婚姻の継続が困難な重大な事由がある場合
4、離婚裁判に強い弁護士の見つけ方
離婚裁判は弁護士に依頼せず、ご本人で行うこともできます。
しかし、裁判になった場合には高度の法律知識や訴訟戦術などが要求されてきますので、弁護士にご依頼される方も少なからずいらっしゃいます。
そこでここでは、離婚裁判に強い弁護士の見つけ方についてご紹介したと思います。
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(1)弁護士を知っている方からの紹介
ご友人、ご親族など、弁護士を知っている方から紹介を受けて弁護士を探すことができます。
もし、ご紹介してもらえるのであれば、通常は対応が良かった弁護士を紹介してもらえるはずですので、その点は安心できるでしょう。
もし、紹介してもらった弁護士があまり離婚問題を扱ったことがないような弁護士であれば、その弁護士から離婚問題に強い弁護士を紹介してもらうこともできるでしょう。 -
(2)インターネットを使う
インターネットを使って離婚事件に強い弁護士を探すこともできます。
ヤフーやグーグルなどの検索エンジンを使って、例えば「離婚 弁護士」と検索してみれば離婚問題を取り扱っている弁護士を探すことができます。
ただし、その場合だと弁護士がたくさん出てきてしまい、あまりの多さに結局どの弁護士がいいの?と、かえって悩みが出てきてしまうかもしれません。そのような時には、ご自身が離婚問題を依頼したい際に優先したい事柄をさらに、検索の際に入力すると良いでしょう。例えば、東京にお住いの方で、女性弁護士をご希望の場合には、「離婚 女性弁護士 東京」などと検索して頂ければ、よりご自身の希望する弁護士を探すことができるでしょう。 -
(3)弁護士会を利用する
弁護士は必ず都道府県に1つ以上ある弁護士会という組織に所属しています。
弁護士会では、日常的に法律相談を行っていて、もちろん離婚問題の相談も行っております。
ですので、弁護士会の法律相談を利用して、弁護士を探すこともできます。ご興味があれば、一度お住いの都道府県の弁護士会の法律相談をご利用されてみてはいかがでしょうか。
こちらからお住いの都道府県弁護士会を探すことができます。 -
(4)法テラスを利用する
法テラス(正式には、日本司法支援センターと言います。)を利用して弁護士を探すこともできます。
法テラスは、国が設立した法律問題解決の総合案内所のような機関です。離婚裁判の手続きについて教えてくれたり、弁護士を紹介してくれたりします。
法テラスのホームページはこちらから
5、離婚裁判にかかる費用
では、離婚裁判をしようとした場合には、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
大雑把に言えば、2万円程度です。
以下で、詳しく説明します。
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(1)弁護士を知っている方からの紹介
まず、収入印紙代として、13,000円がかかります。
ただし、この金額は離婚するか否かについて裁判所に判断してもらうためにかかる費用です。
そのため、例えば、裁判所に、離婚慰謝料の判断や、養育費・財産分与の判断もしてもらいたい場合には、別途収入印紙代が必要なります。
①離婚慰謝料を請求する場合
離婚慰謝料を請求する場合、請求額が160万円以内の場合んは収入印紙代は13,000円、請求額が160万円以上になる場合には13,000円以上の収入印紙代が必要になります。
詳しくは、以下の裁判所の手数料額早見表をご参考下さい。訴額等 訴えの提起手数料 10万まで 1,000 20万 2,000 30万 3,000 40万 4,000 50万 5,000 60万 6,000 70万 7,000 80万 8,000 90万 9,000 100万 10,000 120万 11,000 140万 12,000 180万 13,000 160万 14,000 200万 15,000 220万 16,000 240万 17,000 260万 18,000 280万 19,000 300万 20,000 訴額等 訴えの提起手数料 320万 21,000 340万 22,000 360万 23,000 380万 24,000 400万 25,000 420万 26,000 440万 27,000 460万 28,000 480万 29,000 500万 30,000 550万 32,000 600万 34,000 650万 36,000 700万 38,000 750万 40,000 800万 42,000 850万 44,000 900万 46,000 950万 48,000 1000万 50,000 ②養育費を請求する場合
この場合には、上記費用とは別に900円の収入印紙代が必要になります。
③財産分与を請求する場合
この場合には、上記費用とは別に900円の収入印紙代が必要になります。
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(2)郵便切手代 6000円前後
郵便切手代が必要となります。
おおよそ6000円程度ですが、家庭裁判所ごとに必要になる金額が異なりますので、詳しくは離婚裁判を申し立て先の家庭裁判所に直接お問い合わせ下さい。 -
(3)戸籍謄本 450円前後
離婚裁判を申し立てるにあたっては、戸籍謄本1通が必要になります。
戸籍謄本は、本籍のある市区町村役場または郵送で取得することができます。その際には、450円が必要になります。もし、郵送で取り寄せる場合には、郵送にかかる郵便代も必要になります。 -
(4)その他
裁判の場に、証人や鑑定人を呼んだ場合には、別途日当や旅費がかかります。
6、離婚裁判の流れ
では、離婚裁判を申し立ててから解決までの流れはどのようになっているのでしょうか。
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(1)訴状の提出(訴え提起)
まずは、夫婦いずれかの住所地を管轄する家庭裁判所に訴状を提出することから始まります。
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(2)第1回口頭弁論の指定
訴状が受理されると、裁判所から最初の口答弁論期日の指定があります。
それと同時に、相手方にも申し立てをした裁判所から期日の呼出状・訴状の副本が郵送されます。 -
(3)口頭弁論の開始
1ヶ月に1回程度のペースで口頭弁論が開かれます。
口頭弁論では、離婚裁判を申し立てた側は離婚原因の主張や証拠を提出し、離婚裁判を申し立てられた側はそれに対する反論や反対証拠の提出を行います。
そして、このようなやり取りを何回か繰り返すことになります。 -
(4)尋問
ある程度証拠や主張が尽くされた段階で、夫婦や証人(申請した場合)が実際に法廷の場に出てきて裁判官から尋問を受けます。
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(5)和解案が提示されることもある
通常、尋問前後が多いのですが、裁判所が和解案を提示してきて、当事者に和解を勧めることがあります。
もちろん、和解勧告に応じるかは当事者の自由ですので、内容に納得できなければ応じる必要はありません。
仮に当事者が和解案に納得すれば、和解調書(判決書に替わるもの)が作成され、離婚成立となり、裁判は終了します。 -
(6)判決
尋問後1~3ヶ月程度経つと、判決が出ます。
離婚を認める判決か離婚を認めない判決のいずれかになりますが、当事者が判決内容に不服があれば判決に控訴(簡単に言いますと、もう一度裁判官に判断を仰ぐことです。)することもできます。これに対して、控訴がなく2週間の控訴期間が経過すると、判決が確定し、離婚成立となります。
7、絶対裁判に勝つ!離婚裁判で勝つためのポイント
前述のように、離婚判決を裁判官からもらうためには、法定離婚事由が必要ですが、これがあるのかどうかを裁判官に認めてもらうには何といってもその事実を基礎づける証拠の有無が非常に重要になってきます。
ここでは、離婚裁判で絶対に勝つために必要になる証拠について説明します。
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(1)相手の不貞行為を立証するために必要な証拠
相手が不貞行為(浮気・不倫)をしていたことを立証するためには、例えば以下のような証拠が必要なります。
- 相手方が不倫相手とラブホテルに出入りしていることが確認できる写真・動画
※ビジネスホテルの場合だと仕事の打ち合わせをしていたと反論されてしまうことがありますので、ラブホテルという点は非常に重要になります。 - 例えば、「すごく気持ち良かった!」だとか、「奥さんよりも相性いいでしょ!」などと、明らかに肉体関係持ったことを推測できるやり取りが書かれているLINEやメールの文面
- 相手方が浮気を認めた旨の文面や音声データ
など
- 相手方が不倫相手とラブホテルに出入りしていることが確認できる写真・動画
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(2)相手の悪意の遺棄を立証するために必要な証拠
「悪意の遺棄」と聞くと何だか小難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言いますと、夫婦になると、同居し互いに協力し扶助し合う義務(これを「同居協力扶助義務」と言います。)が発生するのですが、この義務に違反したことです。
悪意の遺棄を立証するためには、例えば以下のような証拠が必要になります。- 生活費を渡してくれていないことを証明するための預金通帳
- いつ別居したのかや別居に至った経緯などが書かれた日記やメモ
など
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(3)相手と婚姻関係を続けていくことが困難であることを証明するために必要な証拠
- 性格の不一致ゆえに絶えず喧嘩をしていることを証明する音声データ
- 暴力を振るわれた結果、怪我をして病院にかかった際に作成した診断書
- モラハラがあったことを証明するための音声データ
8、離婚裁判にかかる期間は?
では、離婚裁判をする場合には、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。
もちろん、裁判で争われている内容や、判決を出すのに必要な証拠がどの程度あるのかによっても異なりますが、早ければ半年ほど、長くなるのであれば3年ほどかかることもあります。
そのため、一応の目安としては、1年から2年ほどかかると考えておくのが良いでしょう。
9、まとめ
本稿では離婚裁判をお考えの方が前提知識として知っておいて頂きたい内容について解説してきましたが、本稿が読者の方のご参考になれば幸いです。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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