モラハラ夫と離婚したい人必見|モラハラ度チェックと慰謝料請求
結婚する前はあんなに優しかった人が、ひどい態度をとるなんて……。私が悪いのかな……。
結婚後、晴れて夫となった愛しい人が豹変し、「もう離婚したい」とまで思い悩んでいる方はいませんか?
ふたりきりになった途端、あなた自身やあなたにとって大切な人の悪口を聞かされ、そうでないときはため息や舌打ちばかり。機嫌がよいと思っていたら、突然怒りだしたり、嫌みを言ったり、そんな夫の様子におびえながら生活することに、精神的な疲れを感じている方もいるでしょう。
そのような行為を頻繁に受けている場合は、要注意です。夫側からモラハラ(モラル・ハラスメント)をされている可能性が高いといえます。
本コラムでは、実例からみた、モラハラ度を確認するためのチェック項目や、モラハラ夫に慰謝料請求して離婚する方法まで、ベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
1、モラハラの基礎知識
モラハラとは、「モラル・ハラスメント」を略した言葉です。
家庭や職場などで耳にしたことがあるかもしれませんが、その定義をご存じでしょうか。
まずは、モラハラとは何かという基礎知識を解説します。
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(1)モラハラとは結局何?
モラル・ハラスメントの語源はフランス語の「harcèlement moral」です。フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌ氏の提唱により、メジャーな用語となりました。
モラハラは、一般的に誰もが「暴力」と認めるような外傷を伴う暴力とは異なります。立場や生活環境、愛情などのモラルを盾にして「暴言を吐く」「侮辱する」「嫌がらせをする」など、精神的な攻撃行為のすべてを指すのです。
外傷を伴う暴力は目に見えるものとして残るため、問題が表面化しやすいものです。しかし、モラハラは外傷という形で見える暴力とは異なります。心を痛めつけられ、精神がむしばまれ疲弊していき、やがて心身の健康を破壊していきます。これは、立派な暴力の一種にほかなりません。
モラハラの被害は目に見えず、かつ被害者自身が「自分のせいだ」と思い込まされているケースが多いため、表面化しづらい傾向があります。同じ家で暮らす夫婦は密室状態に陥りやすく、なおさらこの傾向が強くなります。
もし、「夫が帰ってくるのが怖い」「夫の反応にびくびくしている」ということがあるようでしたら、あなたもモラハラを受けている可能性があると言えるでしょう。 -
(2)モラハラを受けやすい人の特長
モラハラは、相手の良心や道徳心を攻撃することで、相手を心身ともに支配しようとするものです。よって、モラハラ被害者となる方は、次のような傾向があるようです。
- 責任感が強い
- 真面目で素直
- 我慢強く、努力を惜しまない
- 自己評価が低い
- 人と同じでなければ不安になる
これまで怒ったりせず、あなたに対してひたすら優しかった相手が、突然怒鳴り散らすようになれば、誰でも不安になります。ましてやあなたのせいだと責められれば、そうかもしれないと思わされてしまうでしょう。
責任感が強く、真面目で素直な人ほど、モラハラ加害者の言葉をまっすぐに受け止め、改善するための努力を惜しみません。また、自己評価が低く、人と同じでなければ不安な気持ちになりやすい人は、責められる続けることで、なおのこと自己肯定感が低くなり、被害に遭っていることすら気が付かなくなる傾向があるようです。
相手が誰であろうと、理不尽な攻撃を受けたときは、怒っても、拒否してもよいのだということを覚えておいてください。 -
(3)モラハラは治せない?
モラハラの最大の問題は、加害者も被害者も「モラハラではないと考えているケースが多い」という点にあります。
少しでも「おかしいかもしれない」と感じたら、ひとりで抱え込まず、まずは友人や知人に話を聞いてもらいましょう。話をする相手は、夫との共通の知り合いではなく、あなただけをよく知っていて親しい方がよいでしょう。モラハラ夫の多くは外面がよく、「彼がそこまで言うなら、あなたが悪いのでは」と思わせてしまうことが多いためです。
もし、あなたがモラハラを受けているという自覚があるのであれば、可能な限りモラハラの専門家に相談することがおすすめです。専門家であれば、治療をする場所や方法などを詳しく適切にアドバイスしてくれます。モラハラの治療は、カウンセリングや投薬、心理療法などを駆使して行われますが、時間がかかるため、ある程度の覚悟が必要です。
ただし、ほとんどのモラハラ加害者には自覚がなく、素直に治療を受けてくれるケースは少ないようです。「自分を悪者・病気扱いした」と怒り、事態が悪化してしまうこともあり得ます。ひとりで対処するのではなく、専門家などの協力者の力を借りることをおすすめします。
もちろん、あなたが我慢し続ける必要は一切ありません。離婚という選択をしたとしても、相手が加害者となる場合には、あなたは慰謝料を請求できる可能性があります。最終手段だと思うかもしれませんが、ひとつの選択肢として頭に入れておきましょう。
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2、これってモラハラ? モラハラ度チェック
モラハラの特徴は、「暴力はふるわない」という点です。罵倒する、嫌みを言う、無視をする、ため息をつくなど、それを受けるあなたの精神がじわじわと疲弊してゆく手段をとります。
実際に、モラハラ加害者にありがちな傾向について解説します。あてはまることが多いほど、あなたがモラハラ被害を受けている可能性が高いと言えるでしょう。ぜひチェックしてみて、今後どうすべきかよく考えてみてください。
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(1)自分と価値観が違う意見を見下し、毛嫌いする
モラハラの根源は支配欲であると言われています。よって、モラハラ夫は「自分と異なる意見を許せない」という傾向があるようです。新たな価値観や意見によって、自分が支配できる世界が壊れてしまうことを恐れているのです。
具体的には、自由でいて楽しそうな生活を送っている芸能人の妻や、自らと違う方法で成功した人などをけなしたり、ネガティブな言葉を吐いたりします。 -
(2)店員や年下の人に対する態度が悪い
プライドが高く、自分が目下だと認識した人間に対して偉そうな態度をとることも、モラハラ加害者の特徴です。ただし、対外的に自分自身の評判を落とすような対応はしません。反撃してこない、あるいは後日自分の生活に影響を及ぼさないであろう相手を見極めます。
具体的には、店員に対してメニューにない特別対応を強要したり、バカにしたり、支払いのときにお金を投げるように渡すなどの態度があげられます。 -
(3)不機嫌の理由を語らず、察することができないとキレたり無視したりする
さっきまで機嫌がよかったのに、突然不機嫌になるだけでなく、その理由を相手に探させることも、モラハラ加害者がよくとる行動です。普通、不機嫌になることがあれば、その原因を相手に伝えるものです。
しかし、モラハラ加害者はその原因は口にしません。あなたが謝り続け、不機嫌の理由がわかるまで、「そんなこともわからないのか」などと怒鳴ったり、嫌みを言い続けたり、無視を続けます。 -
(4)自分のミスを指摘されると怒る
モラハラ加害者は、自分は常に正しいと考えています。そのため、自分のミスは認めません。ミスを犯しそうな選択をする場合は、あなたに必ず意見を聞き、自らが望む答えを引き出してから行動します。失敗した場合はあなたのせいになり、成功したときは自分の功績とするでしょう。
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(5)あなたの行動を支配しようとする
あなたが働くことを嫌がる、認めないというケースは多数あります。仮に認めたとしても、家事などの分担は一切せず、何かにつけて相手からの文句が増えるため、じわじわと働きづらくなった……ということはありませんか。また、あなたが友達と遊びに行く約束をしているときにわざと別の用事を入れて断らせる、外で遊んでくると機嫌が悪いということはないでしょうか。
さらに、場合によっては、自らの主張を通すために自殺をほのめかしたり、「離婚だ!」などと、あなたを脅したりすることもあります。これらは、モラハラ加害者の嫉妬深さと支配欲から出る行動です。あなたを常に監視下に置いておくため、あなたの心と行動の自由を制限したがっているのです。 -
(6)あなたの大切なものを攻撃する
あなたの友人や親族の悪口を頻繁に言うのも、モラハラ夫の特徴です。散々悪口を言ったあと、「なぜ付き合っているのかわからない」などとあなたを否定することもあるでしょう。また、あなたがモラハラ夫の思い通りに動かなかったとき、あなたが大切にしているペットやぬいぐるみ、写真などのものを傷つけようとすることもあります。
これらの行動は、あなたを意のままに動かし、孤独に陥らせ、自分だけに依存させて支配することが目的です。あなたが一番大切にしているものを察知して、的確に攻撃するので、攻撃対象が子どもや自分自身になることもあります。 -
(7)「おまえのために」と主張する
モラハラ夫によるひどい言動によって、あなたが悲しんだり批判したりすると、多くの確率でモラハラ夫は「おまえのためにやってやったんだ」と言い張ります。誰が見ても「ただの嫌がらせ」だと思えるような行為をしたとしても、本人にとっては「善意であり、悪意があると受け取るあなたが悪い」と主張するでしょう。
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(8)あなたの財産を失わせようとする
一般的に人は、金銭の自由を失うと、養ってくれる人に依存するようになります。生活するためにお金は必要不可欠だからです。モラハラ夫はそれを本能で知っているのでしょう。
もしあなたが働いていれば、なにかと理由をつけてやめさせようとします。また、あなたに貯金があることを知っていれば、もっともらしい理由をつけて散財させようとします。まれに、働くことを止めないモラハラ夫もいますが、多くのケースであなたが得た収入を取り上げ、管理しようとします。ただし、自分のお金は大切にしますし、自由に使います。 -
(9)人の悲しみや苦労、つらさを認めない
あなたが病気で寝込んでいても、家事や育児を休ませない、どうしてもできないときは文句を言う、「役立たず」などと罵倒する、という反応をするのがモラハラ夫です。あなたが大切にしている人が苦労しているという話をしても、「自分のほうが大変な思いをした」など、話をすり替えることが多いようです。
ただし、自分が病気のときやつらいときには、この世の終わりかというほど騒ぐか、あなたに察してもらえるような行動をし、あなたに気を使わせます。もしあなたが気づかなければ、罵倒や無視をする可能性もあります。 -
(10)自分の言い分が通るよう、周囲をコントロールする
モラハラ夫は、自分の立場を非常に気にします。そのため、あなた以外の人には「とても人が良く優しい人」という評価を得ていることが多いものです。その結果、ふたりきりのときに人が変わったようになることすら、あなた自身に「自分のせいだ」と思い込ませます。
また、周囲の人々からの好感度をアップし、モラハラ夫にとって都合のよい反応を得るために、息を吐くようにうそをつきます。周囲に印象操作を施すことも得意なため、もしあなたがモラハラを受けていることを暴露したとしても、容易に信じてもらえないことが多々あります。
3、モラハラ夫から慰謝料をもらって離婚する方法
どれほど精神的負担になっていたとしても、日常にありがちな夫婦喧嘩としてみられてしまいがちなモラハラ。しかし、モラハラ夫はあなたを「攻撃してもよい相手」と認識したとたん、自分の加害行為が表沙汰になることを最大限に避けながら、精神的な苦痛を与え続ける天才です。場合によっては、本気で「よいことをしている」と信じているケースさえあります。
そのため、モラハラを理由にした離婚は、一般的なDVや浮気による離婚よりも難易度が上がります。モラハラ夫との離婚への切符をつかむためにも、証拠集めなどを始めていきましょう。
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(1)モラハラの証拠を集める
モラハラを理由にした離婚は、相手の合意を得られにくく、長期化し、調停や裁判に及ぶことが多いものです。そこで、重要となるのが証拠です。
モラハラの証拠は、日々の生活で受けた暴言などを録音する、録画する、日記をつけるなどの方法で集めることができます。さらに精神科へ足を運び、日々のモラハラによって鬱になったなどの診断書をもらうことができれば、有効な証拠となり得ます。
まずはコツコツと証拠集めを行いましょう。ただし、気づかれないように注意してください。証拠集めと同時に、転居先や仕事など、新生活に必要なものの準備を整えておくこともおすすめします。モラハラ夫は、あなたに否定してもらうためにわざわざ「離婚だ!」と言い出すこともあります。そのときはチャンスです。迅速に行動できるようにしておくとよいでしょう。
証拠は、調停や裁判の場で有利になるだけではありません。多くのケースで、モラハラ夫から受けた行為を訴えても、周囲の人が「まさかあの人が……」と信じてもらえないようです。友人知人に相談する際、録音などがあればより素早く納得してもらえます。 -
(2)専門家のアドバイスを受ける
今自分が受けている仕打ちがモラハラかどうかわからない……という方も多くいらっしゃいます。日常的に繰り返されるモラハラ夫による攻撃によって、精神が委縮し、正常な判断がしづらくなっているのです。一種の洗脳状態とも言えるでしょう。
その場合は、先に述べた録音などの証拠を手に、カウンセラーや自治体に設置されている女性相談所などで専門家に話を聞いてもらい、どうしたらよいのかを相談してみてはいかがでしょうか。場合によっては、シェルターなどの避難場所も紹介してくれます。 -
(3)直接会わずに済む方法を駆使して離婚の交渉する
離婚までのプロセスでは、離婚に合意させるだけでなく、慰謝料や養育費、財産分与などの話し合いや、場合によっては接近禁止などの条件をつける必要もあります。離婚を決意しても、「モラハラ夫と直接、話し合わなければならないのか……」と思うだけで、気持ちがひるみ、恐怖を感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
そのようなときは、弁護士に依頼しましょう。
弁護士は依頼を受ければ、慰謝料請求から財産分与、養育費についてなど、話し合い段階から裁判段階までの全過程で、あなたの代理人として対応します。弁護士を代理人にすれば、あなたが直接モラハラ夫と会う必要は一切なくなるのです。
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4、まとめ
本コラムでは、モラハラかどうかの判断基準や、モラハラ夫に対する慰謝料請求、離婚要求について解説しました。
多くのケースにおいてモラハラは密室で行われるため、事実を認めてもらうことが難しい場合が多々あります。そのため、可能な限り証拠を集めて、慎重に対応を進めるようにしましょう。
モラハラによって精神的に追い詰められてしまうケースも少なくないため、モラハラの専門家に相談して対処していくことは、大変有効な方法です。モラハラを我慢する必要はありません。積極的に第三者の手を借りて、あなた自身がのびのびと生きていける状況を作るべきです。また、離婚を考えているときは、弁護士に相談するとよいでしょう。
離婚を決断し、次のステップへ進もうとお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までお問い合わせください。
弁護士が心強い味方となって、誠心誠意サポートいたします。
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- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
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