面会交流を拒否したい! 子どもに会わせないリスクと拒否できる理由
離婚の際に元配偶者と面会交流の約束をしても、その後になってから「面会を拒否したい」と考える方もいます。
面会交流については、子ども自身が元配偶者に会うことを嫌がってしまうケースも少なくありません。とはいえ、やみくもに面会交流を拒絶すると、トラブルのもとになってしまいます。
また、面会交流は子どものために行うべきものであり、親の都合で拒否できるものではないことに留意しましょう。
本コラムでは、面会交流を拒否するリスクや拒否できる要件、相手とトラブルになったときの対処方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、面会交流権とは何か
そもそも面会交流権とは何か、法律によって認められているのか確認しましょう。
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(1)面会交流は法律で認められた権利
面会交流権とは、子どもと別居する親が子どもと交流する権利です。民法では、協議離婚の際には面会交流方法を定めるよう規定されています(民法第766条)。調停や訴訟によって離婚する場合も同じです(民法第771条)。
なぜ面会交流について法律で定められているのかと言えば、たとえ夫婦が離婚して他人同士となり別居しているとしても、子どもからみれば別居中の親もまた親子であることに変わりがないためです。親子でありながら交渉がないのは子どもにとって望ましくないと考えられます。だからこそ、面会交流権が認められることになります。
ただし、面会交流権は、親のためというよりも「子どものための権利」という側面が大きい権利です。民法第766条においても、面会交流について決定するときは「子の利益をもっとも優先して考慮しなければならない」と明示されています。したがって、親の都合ではなく子どもの都合や希望、与える影響を考慮した上で、面会交流を行う必要があるでしょう。 -
(2)拒否できない可能性がある
親権者(監護親)が相手親との面会交流に気が進まない、会わせたくないという方は少なくないようです。しかし、前述のとおり、面会交流を実施する際には「親の都合」ではなく「子どもの利益」を優先する必要があります。
<拒否できる場合>
面会交流が子どもにとって不利益となる場合は、拒否することが可能です。- 相手が子どもに暴力を振るう
- 相手が子どもに違法行為をさせる
- 相手が子どもを連れ去る
- 相手が自己都合で子どもの予定を考えずに面会交流を求めてくる(学校を休ませて会わせろ、など)
<拒否できない場合>
面会交流が子どもに悪影響を与えないなら、拒否できません。- 相手が嫌いだから会わせたくないと考えている
- 子どもが面会交流後にぐずるので会わせたくない
- 再婚して新しい父親になじんでほしいから会わせたくない
- 子どもが同居親に遠慮して「会いたくない、会わなくていい」と言っている
拒否できるか拒否できないかの基準は、あくまで「子どもにとってプラスになるかどうか」です。たとえ、子どもが「会いたくない」と言っていても、必ずしも拒否できるとは限らないので、注意しましょう。
2、決定していた面会交流を拒否するリスク
もしも離婚調停や面会交流調停などですでに決定している面会交流を拒否したら、どのようなリスクが発生するのでしょうか?
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(1)履行勧告される
まずは相手が家庭裁判所へ「履行勧告」を促す可能性があります。履行勧告とは、調停や審判で決まったことを義務者が守らないとき、裁判所が「義務を履行してください」と促す手続きです。強制力はありませんが、裁判所から自宅へと勧告書類が届くので、プレッシャーを感じるでしょう。
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(2)間接強制や慰謝料など、金銭を請求される
履行勧告を無視していると、相手から「間接強制」を申し立てられる可能性があります。間接強制とは、裁判所で決まったことを守らせるために「お金」を支払わせる手続きです。
面会交流の約束が守られないとしても、強制的に面会を実行できる手段はありません。つまり、面会交流の義務違反は「直接強制」の対象にはならないのです。そこで、面会交流の約束を破った相手に対して金銭的な負担を負わせることによって、間接的に面会を強制することを求めることができます。これを「間接強制」と呼びます。
間接強制が認められると、1回違反するごとに数万円などの支払を強制させられてしまうので、経済的に追い詰められるリスクが発生します。
また、間接強制とは別に面会交流を拒否し続けていると、相手から慰謝料請求される可能性もあります。相手方は、あなたとは他人になりましたが、子どもの親である以上、子どもと会う権利を持っています。そのうえ、きちんと約束までしたにもかかわらず長期にわたって会わせてもらえない場合、相手は精神的に大きく傷つくため、慰謝料を請求できるのです。 -
(3)親権者変更申立をされる
理由なく面会交流を拒否し続けていると、最終的に相手から親権者変更の申し立てをされる可能性があります。面会交流は子どものために行うべきものなのに、自分の都合で拒否するような親は親権者として不適切だと考えられるからです。
相手に親権が移ってしまったら、もはや面会交流を拒否するどころではありません。子どもと自由に会うことすら難しくなってしまうでしょう。
お悩みの方はご相談ください
なる場合がございます。
3、面会交流を拒否できるケース
実際に面会交流を拒否できるのは、どのようなケースなのでしょうか?
家庭裁判所が判断する場合、明らかに子どもの利益に反する特段の事情がない限り面会を認める傾向があります。
裁判所で「面会交流を実施すべきではない」と認められやすいのは、以下のような事情です。
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(1)相手が子どもを虐待する、過去にしていた
相手が子どもに暴力を振るう、振るっていた、同居中に性的な暴行をした経緯がある、ネグレクトして子どもを傷つけていたなどの事情があると、面会交流が認められにくくなっています。ただし、それらを証明できる証拠が求められるでしょう。
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(2)相手が子どもを連れ去るおそれが高い
相手が過去に子どもを連れ去ってトラブルになった経緯があるなど、連れ去りの具体的なリスクが高い場合には面会交流が認められない可能性があります。
ただし単に同居親が連れ去りを心配しているだけの状態では、面会交流拒否の理由になりません。 -
(3)相手親が子どもの監護親へ暴力を振るう
相手親が子どもの親権者(監護者)へ暴力を振るう場合にも、面会が制限される可能性があります。DVなどを理由に住所を秘匿しているケースでは、子どもと面会交流させてしまうと、住所が相手に知られてしまう可能性があります。そこで、面会交流の拒否が認められるのです。
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(4)一定以上の年齢の子どもが自分の意思で面会を拒絶している
子どもの年齢によっては、子ども自身の意思が尊重されます。たとえば15歳以上の子どもが自分の意思で「会いたくない」と言っていれば、面会は認められないでしょう。他方、乳幼児や小学生くらいの子どもが「会いたくない」と言っていても、調査官が真意を確かめた結果「同居親に遠慮しているだけ」と判断されれば面会が認められます。
多くの子どもは、自由にふるまっているように見えても、大人に対して気を使います。あなたが会わせたくないと考えていればその空気を読み、家では「会いたくない」と言って泣くというケースは少なくありません。実際に相手親と会えば、楽しくはしゃぐケースが多々あるのです。一般的に、子どもが「会いたくない」と言っていると主張したとしても、裁判上において大きく考慮されないと考えましょう。
4、面会交流について弁護士に相談するメリット
面会交流方法について意見が合わずにもめてしまった場合、基本的に話し合いによって解決する必要があります。また、すでに面会交流の方法が決まっているのに拒否すると、間接強制を申し立てられたり慰謝料請求訴訟を起こされたりする可能性があります。訴訟をされたら、最終的に判決によって結果が決まります。
では、面会を拒否したいときはどのように対応すればよいのか、弁護士に相談するとどういったメリットがあるのかについて、解説します。
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(1)冷静に取り決めができる
面会交流の方法を話し合うとき、当事者同士だけで対応すると感情的になってもめごとが大きくなってしまうものです。交渉の場に同席することによって、あなた自身も冷静に対応できるのでスムーズに解決しやすくなるでしょう。
また、相手と顔を合わせたくないというケースは少なくありません。弁護士であればあなたの代理人として交渉することが可能です。あなたと相手は顔を合わせることなく、適切な交渉を進めることが可能となります。 -
(2)無理な要請をブロックし、不利な条件設定を回避できる
面会交流をむやみに拒絶するのは違法ですが、相手からの無理な要望をすべて受諾すべきという意味ではありません。「毎日会わせろ」、「子どもの塾や習い事、クラブを辞めさせてでも会わせろ」などの無理な要求は拒否できます。
弁護士を介することによって、どこまで受け入れるべきで、どこから拒否できるかなどの正しい判断ができるので、子どもや自分の受ける不利益を防止しやすくなるでしょう。
また、面会交流を定めるとき、相手から「面会交流をさせないなら養育費を払わない」と言われて養育費と引き換えにされたり、交通費を全額こちら負担にされたりして「不利益な条件」を要求されるケースが少なくありません。あなたの依頼を受けた弁護士は、不必要に不利な条件を受諾しないので、お互いが公平な立場で面会交流の条件を設定できます。 -
(3)公正証書作成により将来の紛争対策ができる
面会交流の方法が決まったら「合意書」を作成するようアドバイスする弁護士は多いものです。できれば、後々トラブルが起きてしまったとき、すぐに対応できるように公的な信頼性が高い「公正証書」を作成したほうがよいでしょう。
弁護士に依頼することによって、公証役場への申し込みや連絡などの段取りを一任できます。手間をかけずにスムーズに、かつあなたの状況に適切な公正証書を作成できます。 -
(4)調停、審判、訴訟になっても対応できる
面会交流方法の当事者同士の話し合いで合意できない場合には、相手が家庭裁判所で「面会交流調停」を申し立てる可能性があります。その場合、調停内で調停委員の仲介のもとで相手と話し合い、面会交流の方法を定めることになります。また、場合によっては、慰謝料請求訴訟をされてしまう可能性があることは否定できません。
そのようなとき、弁護士に依頼すれば裁判所での手続きや書面提出、各種主張や反論などの点で有利に進められるでしょう。ひとりで調停や訴訟に臨むと不利になる可能性が高くなるので、必ず弁護士に依頼してください。
お悩みの方はご相談ください
なる場合がございます。
5、まとめ
どうしても面会交流をさせたくない、という方もいるでしょう。
面会交流が子どもに不利益となる場合は拒否することができますが、基本、子どものために行うべきものであり、親の都合では拒否できません。
「相手が無茶な要求をしてきて困っている」「子どもも嫌がっている」「面会交流の条件を決め直したい」など面会交流に関してお悩みがある際は、まずはお気軽にベリーベスト法律事務所へご相談ください。
ベリーベスト法律事務所の知見豊富な弁護士が、面会交流を拒絶できるケースか、できないケースかを判断した上で、状況に応じた最適な対応ができるようサポートいたします。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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