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養育費は一括で請求できる? メリット・デメリット、注意点を解説

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更新日:2026年10月28日  公開日:2018年03月23日
養育費は一括で請求できる? メリット・デメリット、注意点を解説

子持ちの夫婦が離婚する場合、子どもと暮らす側は相手に対して養育費を請求することができます。

その際、相手が途中で養育費を支払わなくなったり、連絡がとれなくなったりするのが不安で、一括で養育費を支払ってほしいとお考えの方もいるかもしれません。養育費は月払いが一般的ですが、当事者同士の合意があれば、一括での支払いとすることも可能です。

本コラムでは、養育費を一括請求することのメリットやデメリット、注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

目次を

1、離婚後の養育費は一括で請求できる?

離婚後の子どもの養育費について、「なるべく早くまとめてもらいたい」と考える方もいるかもしれません。こちらでは、養育費は一括払いしてもらうことはできるのか、どのようなときに一括払いできるのか解説します。

  1. (1)養育費は月払いが原則

    離婚後の養育費は、月払い(毎月支払うこと)とするのが一般的です。

    家庭裁判所が審判によって養育費を決定する場合も、支払いについては月払いとされます。養育費は、子どもの成長に合わせて、継続的に負担していく必要があると考えられていること、給与などの収入によって支払うことが想定されているものであるためです。

    したがって、家庭裁判所に「養育費を一括で受け取りたい」と主張しても、家庭裁判所が判断する審判では、一括での支払いが命じられることはないと考えておく方が良いでしょう。

  2. (2)当事者間で合意すれば、養育費の一括払いも可能

    このように、月払いが原則の養育費ですが、夫婦間で合意することができるのであれば、支払い方法を自由に取り決めることは可能です。つまり、一括払いと合意することもできます。

    養育費を一括で受け取りたいなら、相手にその旨を伝えて話し合い、合意を目指しましょう。

    弁護士コメント
    遠藤 知穂
    ベリーベスト法律事務所 弁護士 遠藤 知穂
    養育費は、子どもが健やかに成長していくために欠かせないお金ですから、離婚時に取り決めておくことが重要です。離婚や養育費に関して話が進まないときやトラブルになっているとき、判断に迷っているときなどには、弁護士がしっかりとサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
  3. (3)一括払い時の養育費の計算方法

    養育費の一括払いは、将来受け取るお金を前倒しで受け取ることでもあります。
    そのため、将来受け取る金額を、現在の価値に引き直すことがあります。これを「中間利息控除」といいます。

    一括払いの養育費の適正額を計算したいときは、まず、通常の月払いの養育費と同様に、双方の収入や子どもの人数などから月々の適正額を算出します。次に、これを離婚から子どもの自立が見込まれる時期まで、毎月受け取ると仮定した場合の額を求めます。そして、この額から中間利息控除を行う場合があります。

    たとえば、現在10歳ちょうどの子どもが1人いて、その子どもが18歳になる月まで毎月5万円(年間60万円)の養育費を支払うのが適切であるとします。月払いの場合、養育費の総額は8年間で以下のとおりです。

    60万円×8年=480万円


    中間利息控除を行う場合、交通事故の賠償金の計算などでよく使われるライプニッツ係数を用いて計算することがあります。ライプニッツ係数とは、将来の利益を現在価値に換算するための係数です。

    支払期間8年に対応するライプニッツ係数は「7.020(法定利率年3%の場合)」なので、上記の例でライプニッツ係数を用いて中間利息控除を行うと以下のとおりになります。

    60万円×7.020=421万2000円


    なお、1か月あたりの養育費を決めるときは、裁判所が公表している「養育費算定表」が参考になります。ベリーベスト法律事務所では、この養育費算定表をもとにした養育費を計算できる無料シミュレーションツールを公開しています。養育費を算出する際に、ぜひご活用ください。

    養育費は子どもが自立していない間の費用ですから、養育費の支払いを終える時期については、通学の見通し(大学に行くかどうかなど)を踏まえて、子どもが自立すると思われるタイミングに設定するのが一般的です。18歳となる月まで、20歳となる月まで、22歳の3月(大学卒業)までなど、さまざまな決め方が考えられます。


    養育費計算ツール

2、養育費を一括請求するメリット

養育費を一括で請求する主なメリットを3つ紹介しましょう。

  1. (1)不払い(滞納)のリスクを防げる

    養育費を月払いにすると、相手の経済状況が変わるなどして、途中で支払いが滞ってしまう可能性は否定できません。しかし、一括払いであれば、最初に確保できますので、予定どおりに全額の支払いを受けられることが多く、不払いのリスクを小さくできる可能性があります。

    なお、令和8年4月1日から、父母が合意した養育費は子ども1人当たり8万円までは先取特権が認められているため、父母が合意した養育費の額のうち子ども1人当たり8万円までは他の債権者よりも優先して弁済を受けることができるようになりました。また、公正証書や調停調書などの債務名義がなくても、父母間に協議書などの養育費に関する合意書面があれば、先取特権に基づく差し押さえができるようになりました。
    これによって、令和8年3月31日以前よりも、養育費不払いのリスクは小さくなったと言えるかもしれません。

  2. (2)相手と養育費について連絡をとる必要がなくなる

    月払いの場合は、元配偶者から毎月養育費の支払いを受けることになります。支払いが遅れたら催促するなど、相手とのやり取りが発生すること自体にストレスを感じるかもしれません。

    一括払いなら、支払い後は養育費について相手に連絡する必要がなくなります。
    親子交流(面会交流)に関するやり取りは生じることがありますが、相手との金銭についての連絡頻度が減り、精神的に楽になるかもしれません。

  3. (3)まとまったお金が得られるため、将来の計画を立てやすい

    養育費の一括払いを受ければ、まとまった大きな金額が入ってきます。そのお金をもとに、子どもとの生活の計画を立てやすくなるでしょう。

    たとえば、私立中学や高校・大学への進学、塾や習い事、もしもの場合の医療費、子どものための貯金などに、一括で受け取った養育費を振り分けることができます。

3、養育費を一括で受け取るデメリット

養育費を一括で受け取る場合、良いことばかりではありません。以下のようなデメリットがある点に十分ご注意ください。

  1. (1)中間利息控除により、月払いよりも養育費の総額が少なくなる

    先述のとおり、将来受け取るべきお金を現在の価値に直す「中間利息控除」が行われることがあるため、一括払いの養育費の総額は、月払いの場合よりも少なくなる場合があります。

    投資などの運用をすることで増やせる可能性もあるため、必ずしも損とは言えませんが、もらえる金額が減る可能性があることは考えておく必要があります。

  2. (2)あとに事情変更が生じても、養育費の増額は難しい

    養育費が月払いであれば、後日以下のような状況になったとき、養育費の増額を請求できる可能性があります。

    • 相手の収入が増加した
    • 自分の収入が減少した
    • 養育に要する費用が増えた


    これに対して一括払いの場合は、一括払いの合意の際に、ある程度の事情変更を織り込んだものと評価される可能性があり、事情変更が生じても、養育費の増額を求めるのが困難になる可能性があります。特に自分の収入が減った場合には、一括払いを受けた養育費が足りなくなってしまうおそれがあるので、十分ご注意ください。

  3. (3)計画的に使わないと、生活費や教育費などが足りなくなってしまう

    養育費の一括払いを受けた場合、その後に合意した時点から事情が変更したということがなければ、基本的には追加で養育費の支払いを受けることができません。そのため、一括払いを受けた養育費は、計画的に使うことが大切です。

    無計画に受け取ったお金を使いすぎると、子どもが自立する前に生活費や教育費などが足りなくなってしまうおそれがあるので、要注意です。

  4. (4)相手の資金力が不十分の場合、減額を求められる可能性がある

    一括払いの養育費は、数百万円から数千万円になることもあるので、相手にとって、実際にその金額を支払うことは簡単ではありません。

    相手が十分にお金を持っていない場合、養育費の一括払いを求めることは現実的でないでしょう。無理に一括払いを求めても、大幅な減額を要求される可能性が高まってしまいます。

  5. (5)贈与税が課される可能性がある

    受け取る養育費の額が多すぎると、過大な分に対して贈与税が課されることがあります。

    養育費を一括払いとする場合は、数百万円から数千万円ものお金をまとめて受け取るので、税務署の確認や調査の対象になる可能性があります。
    実際に一括払いでの支払いとする場合には、税理士にも相談の上で進めるのが安全です。

4、養育費の一括請求を検討してもいいケースと注意点

これまで解説したメリットとデメリットを踏まえつつ、養育費を一括請求すべきかどうか、向いているかどうかの判断基準と、一括請求を行う際の注意点を解説します。

  1. (1)養育費の一括請求に向いているかどうかの判断基準

    以下のような状況にある方は、養育費の一括請求を検討してみても良いでしょう。

    養育費の一括請求に向いている人の特徴
    ・子どもの年齢が比較的高い(成人間近であるなど)
    子どもが自立するまでに事情変更が生じにくいので、一括請求をしても問題が起こりにくいでしょう。

    ・相手の収入が不安定である
    将来的に相手の収入が減少して不払いが生じるリスクがあるため、一括請求のメリットを受けやすくなります。

    ・相手とのやり取りをできる限り減らしたい
    DVやモラハラを受けていたなどの理由で、相手のことを強く嫌悪している場合には、やり取りをできる限り減らすため、一括請求を行うことも有力な選択肢となりうるでしょう。

    ・自分に経済的な余裕がある
    養育費を一括で受け取ったあとに事情変更が生じても、経済的に耐えられる可能性が高いので、一括請求をしても問題が起こりにくいでしょう。

    これに対して、以下のような状況にある方は、一括請求に伴うリスクが大きいため、慎重に検討することをおすすめします。

    • まだ子どもが幼い
    • 子どもの将来設計があまり定まっていない
    • 相手の収入や資産が少ない
    など


    養育費を一括請求すべきかどうかの判断に迷ったら、弁護士にご相談ください。

  2. (2)養育費を一括請求する際の注意点

    養育費の一括請求をする際にも、不払いのリスクに備えることが大切です。一括払いに合意したあとでも、相手が養育費の支払いを拒否するケースもあるからです。

    不払いのリスクに備えるためには、強制執行認諾文言の入った公正証書を作成するか、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停調書を作成してもらいましょう。
    強制執行認諾文言の入った公正証書や調停調書があれば、万が一養育費が支払われなくなっても、直ちに強制執行を申し立てて、相手の預貯金や給与などを差し押さえることが可能になります。

    公正証書の作成や調停の申し立てについては、弁護士がサポートを行っています。養育費の一括請求に関するトラブルを避けたいとお考えであれば、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

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5、弁護士からのメッセージ

養育費を一括で受け取る場合、月払いと比べると不払いのリスクが軽減されます。その反面、中間利息控除によって、養育費の総額が減る可能性があることや贈与税が課される可能性などのデメリットに注意が必要です。

養育費を一括で請求すべきかどうか迷ったら、子どもの将来設計(進学・医療・生活など)を考慮して判断しましょう。養育費の取り決めについては考えるべきことが多く、相手とトラブルになるリスクもあるため、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、養育費に関するご相談を随時受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。当事務所は離婚専門チームを編成しており、培ってきた豊富な知見と経験をもとに、お一人おひとりの状況に合わせたサポートをご提供します。


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本コラムの監修者
離婚や遺産相続を中心に、家族関係の問題に注力する弁護士。
離婚等の夫婦関係に関連する事件について、親権や監護権に関する紛争、不貞慰謝料請求、婚姻費用紛争など多数の経験・実績を有する。CanCamでの不倫にまつわる法律相談をはじめとしたメディア監修も行う。
子どもがいる母親としての経験も生かしながら、地に足の着いた具体的な主張を行い、「自分らしく生きるお手伝いをしたい」という想いで気持ちに寄り添ったサポートをしている。

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