「弁護士費用が払えない…」知っておきたい離婚相談の流れ
離婚を考え始めたとき、「何から始めればいいのか?」と不安になることもあるでしょう。そして、一番気になるのは離婚するために必要な「費用」のこと。
今回は、離婚を考えている方のために、離婚前に準備しておくべきこと、弁護士費用についてまとめました。
離婚の際に発生する慰謝料などの請求や公的助成制度、弁護士に依頼するメリットについてもご説明します。
参考:ベリーベスト法律事務所の離婚相談に関するサービス・費用
1、離婚を弁護士に相談したいけど、費用が高額で払えない?
まずは、離婚前に考えるべき費用のことについてお話しします。
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(1)はじめに、離婚にかかる費用と今後の見通しを理解すること
離婚するために最初に考えるべきことは何なのでしょうか。
「離婚したい」という気持ちが大きくなった、決意したという時期に最初に考えておくべきはお金のことです。離婚には何かとお金がかかります。生活費だけでなく、離婚を相手が拒否した場合は、弁護士が必要になることもあるでしょう。離婚するためにかかる費用について最初にしっかりと考えておくことは大切です。
また、離婚するためにはどのようなことを決めていかなければならないのかを把握しておくことも重要です。
財産はどのように分与するのか、ローンの支払いはどうするのか、慰謝料は請求するのかなど決めなければいけないことは山ほどあります。お子さんがいらっしゃる場合には、お子さんの養育費や親権などを決めなければいけませんが、離婚相手が同意しなかった場合には、調停や裁判などが必要になることもあります。
このように、事前に、発生する費用や今後の見通しを立てることは、離婚する上で重要なことです。 -
(2)法テラスなら、弁護士費用を援助してもらえる!
離婚にまつわる費用に対して不安を持っていらっしゃる方も多いでしょう。
特に、弁護士に依頼することについては、費用がどうしても気になり、「支払えない」と躊躇してしまうという方も多いと思います。高額なイメージがあるという方から、現在経済的に困窮しているため払えないという方までさまざまでしょう。
弁護士費用に関しては、貯金を増やすことで対応することが考えられますが、今すぐに離婚したいというケースもあるでしょう。そんなときは、法テラスを利用してみてください。
法テラスとは、日本司法支援センターのことです。総合法律支援法に基づき設置された法人で、法的なトラブルに役立つサービスや情報の提供などをしています。そしてこの法テラスでは、弁護士費用を一時的に立て替えてくれる制度(代理援助制度)を提供しており、この制度を利用することができる場合があります。
弁護士費用の負担がゼロになるというわけではありませんが、先に支払いを行ってもらえるため、「一括で払えない」「今すぐに払えない」というケースや「すぐに離婚したい」というケースにも対応しています。
代理援助を利用するには、資力基準(収入については、単身者であれば18万2000円以下、2人家族であれば、25万1000円など、資産については、単身者は180万円以下、2人家族は250万円以下など、お住まいの地域や住居費の負担状況によりこれらの範囲に含まれない場合にも利用できることがあります)、勝訴(相手に請求した金額を回収できそうか)に対する一定の見込みなないとはいえないこと、報復目的等民事法律扶助の趣旨に適することといった条件があります。弁護士費用をすぐに支払えない方は、一度検討してみてください。
代理援助制度を利用した場合、原則として分割で返済しなければいけません。しかし、生活保護受給者など経済的に困窮していて支払えない方の場合は、免除されるケースもありますので、一度法テラスに問い合わせてみることをおすすめします。お悩みの方は、一度ご相談ください。
2、離婚したいけど費用が支払えないときにまず準備しておきたいこと
次に、離婚前に準備すべきことをお伝えします。
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(1)離婚後の就職先(収入)の確保
現在、専業主婦(主夫)の方は、離婚後の生活について考えなければいけません。できれば、離婚前に就職先を見つけておきましょう。
就職先は探してもすぐに見つかるものではありません。なかなか決まらないことも想定した上で十分な期間を設けて行うことが大切です。また、離婚まで時間をかけるつもりがあるという方は、資格や免許などの勉強をすることを考えても良いでしょう。「就職経験がない」、「離職してからかなり時間が経っている」というケースでは、資格等は就職に有効です。
「子どもが小さくて働けない」、「持病で働けない」、「生活費を支払えない」、「税金を払えない」、「医療費を払えない」というケースでは、公的扶助を検討してください。各種サービスを調べておくことで、離婚後に役にたちます。 -
(2)離婚後の住居をみつけること
離婚した後、今の家から自分が離れようと考えている場合には、離婚後の住居を見つけることも必要です。
気に入った部屋がなかなか見つからないケースもあるので、これも少しずつ進めていった方がよいでしょう。賃貸マンションの契約する場合は、はじめに敷金・礼金などのお金がかかります。
また、引っ越しするためには引っ越し費用も必要です。生活拠点を移すためにかかる費用も見積もりに入れておくと、離婚の準備としては万全となるでしょう。 -
(3)余計な出費を減らし、貯金をすること
離婚前に別居を始める場合などは、引っ越し費用や生活費がかかってしまいます。離婚後に引っ越しを行う場合でも、結局は費用がかかります。できるだけ貯められるうちに貯金を行うようにしてください。
再就職をしても、お子さんがいる場合などは子育てにお金がかかるでしょう。養育費を請求する場合でも、相手が支払えない可能性や離婚に時間がかかる可能性を考慮して、離婚前にできる限り支出を減らし貯金をすることをおすすめします。 -
(4)相手側に離婚の責任がある場合、慰謝料請求のための証拠収集
離婚理由に、家庭内暴力(DV)や子どもの虐待、不倫行為などがある場合は、その行為を行った配偶者に対し慰謝料を請求することができます。
ただし、そのためには、実際に被害にあったことについての証拠が必要になります。証拠になるものとしては、医師による診断書(相手のせいで怪我や病気になったケース)、日記、ライン、メール、通話記録、喧嘩内容の録音、浮気の証拠写真などがあります。離婚前にできるだけ証拠を集めておき、弁護士に相談する際に一緒に持っていくと良いでしょう。
3、知っておきたい離婚を弁護士に相談するときに発生する費用と流れ
次に、離婚を弁護士に相談する際発生する費用と依頼の流れをご紹介します。
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(1)まずは相談から。相談料はいくらが相場?
弁護士に離婚に関する問題を相談したいという場合は、まず電話やメールなどで法律事務所に問い合わせすることになります。
法律相談をする場合、費用が発生します。相場としては、1時間で5000円~10000円程度で、法律事務所によっては、初回相談無料の事務所もあります。ベリーベスト法律事務所も初回相談60分無料です。 -
(2)依頼を決定したら、着手金。どれくらいが相場?
初回の相談を終えたら、実際に依頼するかどうかを決めます。「ここの事務所に依頼したい」と決めて、特定の法律事務所に決めたら、委任契約を結びます。このときに、着手金という費用が発生する場合がほとんどです。
着手金は、依頼された内容を開始するためにかかる費用のことであり、養育費が回収できたか、離婚できたかどうかという結果にかかわらず支払うものです。結果的にうまくいかない場合でも、この費用は返ってきません。
着手金の相場は、交渉を依頼するのか、訴訟を依頼するのかになど依頼する事件の内容によっても大きく異なります。
着手金は、契約時に支払うことになります。支払えない場合は、法テラスに相談をするか、分割払いを認めてくれる法律事務所を探しましょう。 -
(3)着手後に手数料がかかることも。手数料って何?
着手金を支払ったあとも、手数料が必要になるといわれることもあります。手数料は着手金とは別に事務的な作業に対し発生する費用です。例えば、契約書の作成や内容証明郵便の作成などに手数料が発生します。着手金やあとでご説明する成功報酬とは別にかかってしまう費用ですので、理解しておきましょう。
手数料の相場は、一回の内容証明作成で3~5万円が相場です。
支払い時期は、事務作業の依頼時や最初に支払わなければいけないケースもあり、法律事務所によって異なります。依頼する法律事務所にしっかり聞くようにしましょう。
もっとも、代理人となることを依頼した場合には着手金とは別にこのような費用が発生しないことになっている法律事務所もありますので、契約の際にはよく確認する必要があります。 -
(4)事件が無事解決。そこでかかる費用が「成功報酬金」
無事事件が解決した場合は、成功報酬金がかかります。これは、着手金とは異なり良い結果が生まれた場合に発生する費用です。養育費や慰謝料の回収などで、高額な利益が出るほど成功報酬金も高くなります。
成功報酬金の相場は、事件や報酬体系によって異なります。支払い時期は、事件終了時とする場合が多いでしょう。 -
(5)弁護士費用とは異なる「訴訟費用」
弁護士費用さえ支払えば、他に費用はかからないと思っていらっしゃる方も多いですが、実はこれには訴訟費用が含まれていません。
訴訟費用とは弁護士に支払うものではなく、裁判所に支払う手数料です。具体的には、離婚訴訟などを起こす際に、印紙代、切手代としてかかってきます。 -
(6)その他の実費
最後に、実費についてご説明します。
実費とは弁護士が事件解決のために動いたことでかかったお金です。具体的には、出張費、交通費、宿泊費、出廷費、郵便代などの費用となります。裁判所が、弁護士の事務所からそれほど遠くない場合は、払えないほどの費用がかかるものではありません。通常、宿泊費などは必要ないでしょう。
支払い時期は、弁護士との委任契約の内容によって異なります。実費や手数料についてどれくらいかかるのか不安がある方は、担当弁護士にしっかりと聞くようにしましょう。
以上が、弁護士に依頼したときにかかる費用となります。着手の時点で「支払えないかも……」という場合は、担当弁護士や法テラスに相談してみましょう。
4、離婚したときにもらえる・支払う可能性のあるお金
次に、離婚する際に請求できるお金、あるいは支払う可能性のあるお金についてご説明します。離婚で一般的に発生する項目別にご説明いたします。
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(1)「財産分与」は、婚姻時の2人の財産を分ける手続き
まず、離婚で必要な手続きとして代表的なのが「財産分与」です。
財産分与とは、婚姻中に夫婦が築いた財産を離婚時に平等に分ける手続きのことを指します。1/2ずつに分けるのが基本です。これは、共働き・専業主婦などには影響を受けません。
他方、婚姻中に得た財産であっても相続で得た財産や一方の個人的な能力に影響して築いた財産は特有財産となり、財産分与の対象となりません。
夫婦の預金やマイホームや自家用車などが財産分与の対象となります。
また、財産分与は、夫婦の財産に余裕がある場合に発生するものです。借金などが多く、マイナスの財産しかない場合には発生しません。
ただし、離婚後の生活保障という側面から夫婦の財産がないと判断される場合であっても、財産分与を行ってもらえる場合があります。 -
(2)DV、不倫で別れる場合は、「慰謝料」の請求を
夫婦の一方の責任で離婚しなければいけなくなった場合は、慰謝料が請求できます。
慰謝料とは、夫婦の一方が被った精神的苦痛に対して発生するものです。具体的には、DV、モラハラ、子どもへの虐待、不倫などが代表例となります。 先にお話したように、慰謝料請求には証拠が必要となりますので、できる限り証拠を集めておきましょう。
逆に、請求されそうなケースで経済的に困窮していて「支払えない」という場合は、弁護士に相談してみてください。 -
(3)子どもを育てるために必要なのが、「養育費」
お子さんがいらっしゃる場合には、養育費を請求することができます。基本的には、監護権を持つ親である扶養者(一緒に暮らして育てる側の親)が、もう一方の親に請求することになります。
離婚することになったとしても、子どもの親であることには変わりありません。いつまで養育費の支払いを続けるのか夫婦で話し合ってください。話し合いができない場合や費用面で折り合いがつかない場合は弁護士に相談しましょう。
家庭裁判所で調停や訴訟をする場合には、夫婦それぞれの収入を元に、算定表という基準に基づき、養育費の額を決定することが多いといえます。
離婚時に決まった金額では足りない、あるいは減らして欲しいという場合も弁護士に相談することで解決できる場合があります。 -
(4)「婚姻費用」を請求することができることも
婚姻関係にある夫婦は、互いに扶養義務を負っています。その関係が破綻し、離婚に至る場合には、離婚が成立するまでの間の生活費の分担が問題になります。
一般に、婚姻費用は、基礎収入の多い者が基礎収入の少ない者に対して支払う方法により分担が行われます。婚姻した夫婦と子の生活費(婚姻費用)については、その資産・収入・社会的地位等に応じ、通常の社会生活を維持するために、夫婦が互いに分担するものとされているのです。 -
(5)忘れがちな問題。「年金分割」もしておこう
離婚時に必要な項目として「年金分割」があります。
これは、婚姻中に夫婦各人が支払った年金保険料を、離婚時に分割する手続きです。配偶者が厚生年金に加入している(加入していた)場合には、専業主婦でももらうことができます。最大で半分の権利がありますので、離婚時に請求しておきましょう。
特に、熟年離婚の場合は、老後の生活費としても重要ですので、きっちり分割してもらいましょう。 -
(6)離婚後の生活費を支払えない場合。「各種助成金」を申請しよう
離婚後の生活について考えてみたが、「経済的に苦しくなってしまう」とお考えの場合は、公的扶助を受けることを検討してみてください。特に、母子家庭の場合や持病によりフルタイムで働けないといった事情がある場合は、国や自治体から助成金を受けられることがあります。
具体的には、生活保護、各種児童向けの手当(児童手当、児童扶養手当、児童育成手当、特別児童扶養手当)、母子家庭等の住宅手当、ひとり親家族等医療費助成制度などがあります。各種児童向けの手当は、子どもの年齢や数、所得に応じて支給される手当の額が変わります。
母子家庭等の住宅手当は、1万円以上の家賃を支払っていて、子どもが20歳未満の場合に支給される手当です。ひとり親家族等医療費助成制度では、医療費の一部助成を受けることができます。
離婚後に生活費を支払えない場合には、各種助成金だけでなく、税金や健康保険料の減免等も受けられる可能性がありますので、居住している地域の市役所に相談してみましょう。
5、離婚問題を弁護士に相談するメリット
最後に、離婚問題を弁護士に相談するメリットをお伝えいたします。
離婚手続きを1人で行うことは大変です。夫婦それぞれが離婚に同意している場合や、お金に関する問題が発生していない場合はまだ楽ですが、これらに争いが発生してしまった時はなかなか離婚できなくなることもあります。
そんなとき、弁護士がいればスムーズに離婚手続きが進みます。
まず、弁護士がいれば、離婚手続きに必要な多くのことを弁護士に手助けしてもらうことができます。相手との交渉はもちろん、離婚に必要な手続きについても多くのことについて助言を受けることができます。引越しや子どもの学校の手続きなど、別のしなければいけないことに集中できるはずです。
また、相手と争いごとになってしまった場合に、的確なアドバイスを受けることができます。弁護士の場合、専門家としてさまざまなケースを取り扱っているため、状況に応じて最適なアドバイスが可能です。
仮に、調停離婚や裁判離婚となった場合も、弁護士が手続きを代理できるので、依頼者はさまざまな負担から解放されることになります。離婚に悩まれている場合は、ぜひ一度弁護士への相談をご検討ください。
ベリーベスト法律事務所であれば、「弁護士費用が支払えない……」と不安がある場合でも、クレジットカードの分割払いに対応していますので、すぐに着手することが可能です。また、初回相談料は60分まで無料です。
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