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財産分与は感情より勘定!熟年離婚で夫の退職金と年金の獲得方法と注意点

2018年11月13日
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財産分与は感情より勘定!熟年離婚で夫の退職金と年金の獲得方法と注意点

長年連れ添ってきたけれど、もう限界……。
夫の定年退職に合わせて離婚したいと思っている場合、専業主婦の妻は夫にどのような財産を請求することができるのでしょうか。夫が多額の退職金を受け取る予定のある場合は、それを分けてもらうことはできるのでしょうか。熟年離婚における財産分与や注意点など、弁護士が解説していきます。

1、熟年離婚で妻が夫に請求できるものは?

長年連れ添った夫婦が離婚する場合、妻も仕事を持ち、経済的に自立しているのであれば、離婚後の生活に困るリスクはさほど大きくはありません。また、収入がさほど大きくなくとも、体力があれば、離婚をきっかけに新たに仕事を見つけ、自立していく未来を描くことも現実的な話です。
しかし、長年専業主婦だった妻が熟年離婚するとなると、その後の生活については慎重に考えねばなりません。新たに仕事を見つけて収入を得ることももちろん可能ですが、経験や年齢などを考えると、さまざまな支障が生じてしまう可能性があります。
離婚にあたって、自分が取得できるお金を理解することは、特に熟年離婚において重要です。
まずは、離婚に関するお金にはどのようなものがあるか説明していきます。

  1. (1)財産分与

    財産分与とは、文字通り「財産」を「分与」することをいいます。以下で詳しく解説していきます。

    夫婦共有財産とは
    財産分与の対象となる「財産」とは、夫婦が結婚してからともに築いた財産を指し、「夫婦共有財産」と呼ばれます。
    たとえば、結婚してから夫婦それぞれが稼いだお金や、それをもとにして取得した財産がこれにあたります。給料を貯金したものや、給料を元手にして購入した不動産、車なども夫婦共有財産です。

    どちらが稼いだかは関係ない
    婚姻中に稼いだものであれば、夫婦のどちらが稼いだかは関係ありません。妻が専業主婦で、夫だけに収入がある場合でも、妻が夫を支えて夫婦共同生活を営んできたからこそ夫が働いて稼ぐことができたわけです。
    したがって、夫だけの収入を貯金してきた場合でも、この貯金は夫婦の共有財産だと考えられています。

    名義も無関係
    財産の名義も関係ありません。夫や妻、そして子どもの名義であったとしても、夫婦が結婚してから築いた財産であれば、夫婦共有財産として分与の対象となります。
    他方、結婚前からそれぞれが持っていた財産(結婚前にためていた預金や、もともと持っていた車など)や、結婚とは関係なく取得した財産、たとえば、親から相続した遺産などは、夫婦で一緒に築いた財産ではありませんので、夫婦共有財産には含まれません。

    財産分与の「分与」とは
    財産分与の「分与」とは、夫婦共有財産を、夫婦それぞれの貢献度に応じて分けて取り合うことを指します。
    なお、財産形成に対する貢献度は、ほとんどの場合、夫婦それぞれ半々とされています。妻が専業主婦であった場合でも、ほぼ5割の分与が認められています。
    また、不貞をした、暴力をふるったなどの離婚原因を作った側からでも、財産分与の請求は認められます。慰謝料請求とは異なり、財産分与とは、単純なお金の精算に過ぎないからです。

  2. (2)養育費

    離婚をすると、夫婦は法的に他人となりますが、親子の関係は変化しません。子どもが未成年者の場合は、親権をどちらが取るかという問題が生じますが、仮に親権を失ったとしても、親であることには変わりがなく、子どもを扶養すべき義務もそのまま残ります。だからこそ、子どもと離れて暮らす親には、養育費を支払う義務が発生するわけです。

    養育費は、双方の親の収入と子どもの人数、年齢によって決まります。子どもが成人するまでの支払いとするのが一般的ですが、最近は、大学卒業までとするケースも増えています。

    熟年離婚の場合、子どもが成人してすでに独り立ちしている場合も多いですから、この場合は、養育費は問題となりません。とはいえ、最近は晩婚化が進み、また、子どもが大学や大学院に進む割合も増えていますので、離婚時に養育費が問題になる可能性も十分にあります。この場合は、相手の収入に応じて、適切な金額を請求する必要があります。

  3. (3)慰謝料

    熟年離婚の理由は夫婦それぞれであり、例えば、熟年離婚の大きな理由の1つと言われる性格の不一致などは、どちらのせいとも言えず、違法なことでもありませんので、この場合、慰謝料は請求できない可能性が高いです。
    しかし、中には、不倫や暴力など、違法な行為を理由とする離婚もあります。このように違法な行為を理由とする離婚では、慰謝料を請求することができる場合があります。

  4. (4)年金分割

    夫が会社員や公務員であって、厚生年金に加入していた場合は、年金分割を求めることが出来ます。会社を通じて年金保険料を納めたのは、妻の内助の功(こう)があったからだと考えられるからです。特に熟年離婚では、老齢年金の受給も間近に迫っていますので、長年の婚姻期間中に年金保険料を納めてきた記録を年金分割の対象とする必要性が高いといえます。

2、夫の退職金も財産分与の対象になるの?

財産分与の対象財産は、夫婦が結婚してから共同で築いた財産です。そうだとすると、長年働いたことで積み上がっている退職金も、夫婦二人で築いたものとして分与の対象になるのでしょうか。
この点については、退職金の支払い時期がもっとも重要なポイントになります。以下、具体的に考えてみましょう。

  1. (1)退職金も共有財産

    まず、退職金も婚姻期間中に働いていた会社から支給される分は、夫婦共有の財産と認められます。ただし、婚姻中に働いた実績のない会社から支給された退職金は、夫婦で築いたと言えず、分与対象にはなりません。

  2. (2)退職金の分与計算方法

    退職金の分与計算方法には複数の方法がありますが、例えば、別居期間がない場合における簡単な計算方法は以下の式になります。

    退職金総額×婚姻期間÷婚姻期間中の勤務期間×2分の1(財産分与割合を2分の1とした場合)


    たとえば、勤続年数が40年で婚姻期間は35年、退職金総額は3000万円という夫婦の場合は次のとおりです。

    退職金3000万円×35÷40×1/2=1312万5000円
  3. (3)退職金がすでに支払われている場合

    退職金がすでに支給されている場合、預金や自動車など、別の財産に形を変えて残っている場合があります。この場合は、その形を変えた財産を分与することになります。
    他方、ローンの弁済に充てた、または生活費として使ってしまったという場合には、その財産自体が消えてしまっているので、分与できない可能性が高いです。

  4. (4)退職金支払いが将来の場合

    まだ在職中で、退職金の支払いはこれから未来の話という場合は原則として請求が難しいとされています。ただ、例外的に、退職金が支払われることが確実な場合は財産分与の対象になる可能性があります。
    具体的には、支払い時期が近づいており、勤務先の退職金規定などから現時点での退職金が現実的に算定できるような場合には、その算定を根拠として分与を請求できる可能性があります。一般に、公務員や大企業など、規定がはっきりしており、退職金の支払いが確実であろうと思われるケースでは認められやすくなっています。

3、慰謝料が請求できるケースと相場について

  1. (1)離婚慰謝料が請求できる場合

    離婚の原因はさまざまですが、慰謝料を請求できるのは、不貞、暴力、セックスレス、悪意の遺棄(正当な理由がないのに生活費を出さない、行方不明になるなど)といった、限られた事情がある場合に限られます。

  2. (2)慰謝料額はどのように判断される?

    慰謝料金額は、離婚原因となる個々の事情によって変動します。たとえば、不貞の期間が長く、相手も多数に及ぶような場合や、家を出て行って長く不貞相手と同居しているといった事情があれば、慰謝料が増額される事情となります。

  3. (3)証拠が大事

    なお、仮に、相手に不貞や暴力がある場合でも、これを理由に慰謝料を請求するためには、請求する側が、不貞や暴力があったことを立証しなければなりません。したがって相手の不貞や暴力などを理由として離婚を考え始めた場合は、その証拠をできるだけ残しておくべきです。証拠としては、不貞や密会の場を押さえた写真や、不貞相手とのやりとりのメール、ライン、旅行やホテルの利用履歴、不貞の事実を認めた謝罪文や念書などが考えられます。なお、不貞の場合は、配偶者だけでなく、不貞相手に対しても慰謝料請求を行うことができる場合があります。

4、財産分与や慰謝料の請求方法

財産分与も慰謝料も、すべて、請求することから始まります。その請求方法は、以下の3つに分けられます。

  1. (1)話し合い

    まずは、当事者同士で話し合いの機会を持つことです。財産分与はお互いの財産を開示することが前提です。したがって、まずは相手が把握する財産を全て開示してもらうこと、そのうえで、双方の分与額をきちんと計算して協議することが重要です。
    慰謝料も、事情に応じて相手にきちんと請求し、金額と支払い方法まで決める必要があります。
    最終的に、話し合いで合意ができた場合、口頭でこれを済ませることなく、きちんとした文書にしておくことをおすすめします。特に、離婚成立後も相手から金銭をもらう約束がある場合(養育費や、財産分与・慰謝料の分割払いなど)は、相手がきちんと支払ってくれない場合に備えておく必要があります。例えば、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成するなどしておくと、将来の不払いの際に、より簡潔な手続きにより、相手の財産を差し押さえることができます。

  2. (2)離婚調停

    離婚の際に、夫婦が冷静に話し合いをすることはかなり難しいのが実情です。また、財産をできるだけ渡したくない、取られたくないと考えるのも仕方ないことですから、当事者同士で財産開示を求めても、開示された金額が信頼できない可能性も十分にあります。このような場合には、裁判所の調停制度を利用することで、冷静に話し合いができ、また、財産開示も進むというメリットがあります。
    調停では、双方が出席した場合でも、基本的には、お互いに顔を合わせることはありません。調停室には交代で呼ばれて別々に話を聞かれますし、待合室も別です。直接のやりとりを避けて、お互いの言い分を、調停委員を通じて伝えることで、冷静に話し合いを進めていくのが調停の役割なのです。

  3. (3)離婚裁判

    調停まで進んでも、お互いに納得いく合意ができずに終わってしまう場合もあります。調停とは、あくまで話し合いの場を提供する場所に過ぎず、最終的に裁判所が結論を出してくれるわけではないのです。調停でも決着がつかない場合には、多くの場合、裁判に進むことになります。
    離婚裁判では、それまでの離婚調停の記録は移行せず、また一からスタートです。離婚に加えて、財産分与請求、慰謝料請求などいろいろな事項をすべて解決することもできるため、資料をそろえて漏れのないようにしましょう。お互いの主張が食い違うことも多いですが、最終的には裁判官が証拠に沿って判断し、財産分与や慰謝料など金銭的な部分についても結論を出すことができます。

5、最後に、熟年離婚をするにあたって考えておきたいこと

  1. (1)熟年離婚のメリット

    相手と暮らすストレスから解放される
    離婚のメリットとしては、年代に関わらず、性格の合わない配偶者と暮らすストレスから解放される点が大きいでしょう。特に、熟年となると、それまで働いたり子育てに追われたりして忙しかった時間から解放されます。そして、子どもが巣立って夫が退職時期を迎えると、途端に夫婦で向き合い、一緒に過ごす時間が格段に増えるわけです。一日中夫が家にいることで妻のストレスを増大させる「夫源病(ふげんびょう)」なるものまで指摘される時代ですから、自分の時間を夫の世話にあてるのは耐えられないという方は、熟年離婚を現実に考えていくことになります。

    両親の介護の負担が軽減する
    熟年となると、子育てと入れ替わりに、親の介護問題が現実化します。ご自身の両親の介護に加えて、配偶者の親も同時に面倒を見るのは相当な負担です。愛情関係の失われた夫婦であれば、相手の親を介護する気持ちが進まないのもやむを得ません。
    この点、離婚をすれば、夫との関係が終わるだけでなく、夫の親族との関係(姻族関係)も終了します。したがって、離婚後は夫も、その両親も他人ですから介護も世話もする必要はありません。もちろん、介護に限らず、妻・嫁としての煩わしい親戚づきあいなどからも解放されますので、心身の負担はずいぶんと減ることになります。

  2. (2)専業主婦が熟年離婚するデメリット

    何事もメリットばかりではなく、デメリットについてもよく考える必要があります。

    経済的に不安定になる
    熟年離婚の一番の問題は、離婚後の生活費の問題です。離婚するまでは、たとえ別居しても生活費(婚姻費用)を請求することができますが、離婚すればその請求権が無くなってしまいます。
    専業主婦の場合、自身の収入はなく、これから就職するとしても、熟年となると、就職先を見つけて今までと同様の生活費を得ることはなかなか困難です。とはいえ、生活レベルを落とすことには抵抗を感じる方も多く、また、新しい仕事や生活で無理をして心身の負担が大きくなると、離婚をした意味が薄れる可能性もあります。

    健康面の不安も大きい
    子どもが巣立った夫婦が熟年離婚をすると、その後は、一人暮らしが始まります。病気になっても家に頼れる人がおらず、仮に自宅で倒れて誰にも気付いてもらえないこともあります。こうした不安は年齢を重ねるごとに現実のものとなっていきます。また、愚痴を言いながらでも誰かの世話をしたり、日々会話をしながらともに暮らしたりする生活は、意外に自分を支えていることがあるものです。一人で生きる老後についてはよく考えて決断すべきでしょう。

6、まとめ

人生100年時代を迎え、夫の定年後を夫婦がどう生きるかは、もはや全ての夫婦の共通課題です。専業主婦の熟年離婚には、今後の不安も大きい一方で、これからの人生を自分らしく生きたいという切実な思いが込められていることもあります。仕事の経験がそれほどなくとも、家事や子育て経験を生かして新たな人生を歩む道もあります。
熟年離婚のメリット、デメリットを十分に踏まえた慎重な判断をするため、そして、専業主婦にとって特に重要な財産の清算をきっちり行うために、弁護士などの専門家に事前に相談されることをぜひおすすめします。

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