浮気した配偶者を問い詰めるその前に。あなたが“とるべき対応”とは
女性からの離婚申し立て動機で3番目に多い「夫婦間の異性関係問題」。それほど「浮気」、「不倫」と呼ばれる異性問題は、夫婦関係に深い影を落とすものであるといえます。
当事者となれば精神的ダメージも大きく、冷静ではいられない事態でしょう。しかし、今後のことを考えると『いつどんな行動をするのか』という点が重要となります。
配偶者の浮気に対峙したとき、あなたが、どの段階で、どのような行動をとったか、によって訪れる将来に大きな差が出るケースも少なくありません。配偶者の浮気を確信したとき、とるべき対応について、弁護士が解説します。
1、浮気をされた! これからどうする?
配偶者の浮気を確信したあなたにとって、まずは「浮気を許す」か「許さないか」を決めることが、大きな対応の分かれ目となるでしょう。
おそらく今は、先のことなど考えづらいかもしれません。しかし、しっかりと考えなければならないことなので、ぜひ本記事を参考にご判断ください。
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(1)浮気を許す? 許さない? 許すならどうする?
浮気を許すというのは、具体的には夫婦としての関係を維持することと捉えてください。過去にどちらかの浮気があった夫婦でも離婚せずに暮らしている例は、身近でも見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、「自分さえ忘れれば…」などとすべての感情を押し殺し、ひとりだけ我慢する必要はありません。婚姻関係を継続したまま、浮気をした配偶者へ償いを求めることも可能です。
その際、弁護士が味方になってくれるでしょう。いまだ弁護士に相談することを、重く考えてしまう方は少なくありません。離婚をすると決心をしてから、弁護士に相談すべきだと考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実のところ弁護士は、離婚するというときにだけ相談に応じるというわけではありません。離婚しないつもりだからこそ、弁護士を間に挟んで法的にけじめをつけるケースもあるのです。
離婚をしなくても、弁護士に依頼して行えることはあります。たとえば、浮気をした配偶者や、その浮気相手への不倫慰謝料請求が代表的です。金額が比較的少額であっても慰謝料請求することで、相手に対して「どれだけ大変なことをしたのか」という自覚を促すことができるでしょう。
また、慰謝料請求を行うとともに「二度と夫とは会わない」という約束を弁護士立ち会いの下に取りつけられる事例もあります。配偶者自身からも、不倫の重大性を自覚してもらうとともに、反省と謝罪を引き出せる可能性が高いのです。 -
(2)浮気を許さない場合、今からどんなことができる?
もちろん、どうしても浮気を許せないというケースもあるでしょう。どんなに理性で処理しようとしても、精神的に受け入れられないことは、誰しもあるものです。
最終的に離婚を決断したとしても、仕方のないことでしょう。その際、ただ離婚するだけで終わるのは、得られる権利を放棄してしまう可能性があります。結婚を機に仕事を辞めていたような場合には、離婚後、経済的に苦労してしまう傾向にあります。請求できるものは、できる限り請求し、得られる権利は活かすことを強くおすすめします。
配偶者の不貞によって離婚を選択する場合、配偶者にはもちろん、配偶者の不倫相手にも、あなたから慰謝料を請求する権利があるケースが圧倒的多数と考えられます。
しかし、慰謝料請求など、お金の話になった途端、話し合いさえ難しくなることは少なくありません。そのようなときに、心強い味方になるのが、離婚事件の経験が豊富な弁護士です。
弁護士に相談することによって、慰謝料額や財産分与の額、養育費などについて取り決めるための交渉を優位かつスムーズに行える可能性が高まります。弁護士に依頼すれば、口約束では終わりません。万が一、支払いが滞ってしまった際も、スムーズに請求できるような内容の離婚協議書を作成することも可能です。
すべて決着がついたあとは、気持ちも新たに、晴れやかな気持ちでスタートをきることができることでしょう。
2、配偶者を問い詰めた場合に想定される展開とは?
不倫を示唆するLINEやメールを1通でも発見してしまえば、すぐに配偶者を問い詰めたくなるのは理解できます。しかし、ここは一度深呼吸をして、冷静になりましょう。
いきなり問い詰めてしまうと、思わぬトラブルに発展してしまう可能性があるのです。
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(1)浮気を認めない上に、浮気の証拠を隠滅される!?
浮気を示唆する証拠を発見して問い詰めたとしても、配偶者が浮気を認めないケースは意外と多いようです。それどころか浮気を認めないだけでなく、配偶者が怪しんでいることに気付いて、早急に浮気の証拠を隠してしまう可能性が非常に高くなります。
残念ながら、準備もなく問い詰めてしまうことは、今後、慰謝料を請求するかもしれないという前提では、賢明な手段とはいえないでしょう。
あなたが「浮気を疑っている」という事実を配偶者に気付かれる前であれば、配偶者は油断するものです。たとえば相談者が配偶者のメールの内容をチェックするという行動一つでも、簡単にできるかもしれません。
ところが、あなたが疑っていることを気付かれてしまったあとでは、配偶者に履歴を消されたり、ロックをかけられたりと、証拠の隠滅や隠匿をされてしまう可能性が高まります。そうなってから慌てても、得られる証拠が減ってしまう事態を免れません。 -
(2)夫婦関係悪化の可能性も!
浮気を疑い、感情的に問い詰めたことによって、夫婦関係がぎくしゃくしてしまう事態も考えられます。
夫婦関係は、信頼に基づいて構築していくものです。警戒されたり、不信感を持たれたりと、証拠を集める以前に夫婦関係自体の継続が危うくなってしまう可能性があります。
離婚を前提にしている場合は仕方がない部分もあるかもしれませんが、結婚生活の継続を望んでいる場合は、夫婦の間に大きなしこりを残す可能性は否めません。
冷静になる前に問い詰めることで、お互いに感情がエスカレートしてしまい、十分な証拠を得る前に夫婦が絶縁状態に陥る可能性もあるでしょう。もしも、実際は配偶者が肉体関係にいたるような浮気をしておらず、仕事上の付き合いにすぎなかったような場合は、取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
相手を問い詰めるときは、必ず十分な証拠をしっかり集めて、冷静な判断ができるようになってからにすることを強くおすすめします。
3、配偶者を問い詰める前に弁護士に相談した方が良い理由
前述のとおり、いきなり問い詰めるという行為は、様々な危険が潜んでいます。まずは一度落ち着いて、冷静に戦略を立てることをおすすめします。
そこで頼りになるのが、専門家という第三者の目です。弁護士に配偶者の浮気を相談することには、いくつかのメリットがあります。
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(1)冷静な判断力を取り戻せる
弁護士は多くの場合、あなたの家庭事情を最初から知っているわけではありません。そのため、弁護士に相談するときには、状況を整理して話をする必要があります。
そのため、まずは最大のメリットとして、状況を他人に説明するために整理し伝達する過程で、自分自身が冷静になれることが挙げられます。整理した上で話すことによって、自分のおかれた状況を客観視することができます。
また弁護士は「相談される」プロですので、相談者の気持ちを上手に引き出してくれるはずです。人に話すことで、頭の中の混乱していた事態を言葉として捻出しながら、自然と整理することもできるでしょう。
また相談する過程で冷静になるだけではなく、自分の本当の気持ちに気付く可能性もあります。
これは傾聴というカウンセリングの手法に似ているかもしれません。離婚したいのか、離婚したくないのか、答えはあなたの気持ちの中にあります。だからこそ、まだ自分の気持ちが定まっていない段階でも、弁護士へ相談する意味があるのです。
まずは相談するだけでも、うやむやだった気持ちが見えてくることもあるでしょう。 -
(2)過去の経験に基づいた対応と、証拠隠滅阻止・証拠収集
当然ながら配偶者の浮気を弁護士に相談することでのメリットは、気持ちや事態の整理ができるということだけではありません。弁護士は相談者に、今後やるべき証拠隠滅阻止の方法と浮気の証拠収集へのアドバイスを行います。アドバイスされなければ気付かないような手法も含めて、経験豊かなプロのテクニックを詳細に知ることができるでしょう。
確実な証拠がなければ、万が一の際も泣き寝入りする事態になりかねません。しかし、法律のプロに相談することによって、どうすれば優位に交渉を進められるのかが、具体的なアドバイスをもらうことができます。
特に不貞慰謝料請求においては、経験豊かな弁護士に任せることによって得られるメリットが多々あります。状況に応じて、あなたの代わりに配偶者と交渉することもできますし、最終的な決定を、法的な効力を持つ書面にまとめることも可能です。離婚をしても、しなくても、あなたが精神的にも経済的にも泣き寝入りせずに済むよう、弁護士が全力でサポートします。
お悩みの方はご相談ください
なる場合がございます。
4、慰謝料請求にはとにかく浮気の証拠を集めることが重要
離婚をする・しないにかかわらず、まずは浮気の証拠を集めることが、慰謝料請求の話し合いの際には有効です。
そもそも、浮気をしているかどうかが定かでなければ、話を切り出しても泥沼化してしまうだけとなるでしょう。これでは、明るい将来を得ることはできません。
大前提として、一般的に浮気や不倫と呼ばれる行為は、法的には「不貞行為」と呼ばれています。そして「不貞行為」があることが明確であれば、慰謝料請求や離婚を請求することを認められています。
ただし、不貞行為は一般に性交渉を指すため、非常に親密にしていたことだけでは、必ずしも「不貞行為」があったと証明できない可能性もあります。
そこで、浮気の証拠となりえるものを具体的に列挙していきましょう。
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(1)デジタル機器を使った浮気の証拠となるもの
たとえ性交渉自体が証拠として残っていなくても、たとえば性交渉があったことを強く疑わせる内容の「メッセージのやりとり」や、「不貞行為の前後と考えられる状況の写真」(ラブホテルに入るところや不倫相手との抱擁やキス、手つなぎ写真など)、性交渉が行われたことを示す「録音」、また車についている「ETCカードの記録」なども、ラブホテルや不倫相手の家などに通っている証拠となりえます。
不倫相手の電話番号も突き止めておくことも重要です。どれだけ不倫相手に電話をかけていたかを調べる際にスムーズに進むでしょう。 -
(2)上記以外の浮気の証拠となるもの
デジタル機器を使ったもの以外でも、浮気の証拠となるものはたくさんあります。
「不貞行為のために宿泊したと推察される領収書」も入手しておくと、不倫の証拠となる可能性が高いでしょう。高級レストランでの領収書でも同じです。クレジットカードの利用明細をとるなどして、ひとつひとつ確認しておくことをおすすめします。
「不倫デート現場を見た」などの、第三者の証言も有効ですし、探偵に依頼して得られた調査報告書も有益な証拠となることが多いでしょう。
また、手帳やスケジュール帳などに、不倫相手との密会予定が残されている可能性があります。スケジュールなどは手帳などだけではなく、電子データやアプリで管理しているケースもあるため、そちらもチェックしてみてください。
5、まとめ
浮気に関して弁護士に相談することには、大きなメリットがあります。デメリットといえば、多少の費用がかかることぐらいかもしれません。しかし、慰謝料や財産分与、将来にわたり養育費などについてしっかり受け取れるようになるなど、メリットの方が大きいケースが多いでしょう。
弁護士は、「浮気」という精神的苦痛を受けているあなたの相談を真摯に受け止め、あなたの意思に寄り添いながら、それぞれの状況において法的に優位になるようなアドバイスを行います。
離婚する・しないなどの状況にかかわらず、慰謝料請求においても、法律のプロである弁護士を頼ることで、多くのメリットを実感できるはずです。まずは気持ちを落ち着けるためにも、ご相談されてはいかがでしょうか。
お悩みの方はご相談ください
なる場合がございます。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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