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不倫が発覚…離婚を考えたときに知っておきたい流れと慰謝料

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更新日:2022年11月21日  公開日:2022年11月21日
不倫が発覚…離婚を考えたときに知っておきたい流れと慰謝料

夫婦が離婚を考える理由にはさまざまなものがありますが、「不倫」もその一つです。

不倫を理由に離婚をする場合には、そもそも離婚をすることができるのかどうか、離婚をする場合にはどのような条件で離婚をすることができるのかなど考えなければならないポイントがいくつかあります。不利な条件で離婚をしてしまわないようにするためにも、不倫を理由に離婚する場合のポイントや流れについて理解しておくことが大切です。

今回は、不倫が原因で離婚をしたい・離婚を求められた場合の対応について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、不倫が原因で離婚を考えるときに知っておくべきこと

配偶者の不倫が発覚し離婚を考えている方やご自身の不倫によって配偶者から離婚を求められている方は、以下のことをおさえておきましょう。

  1. (1)離婚には法定離婚事由が必要

    夫婦が話し合いによって離婚(協議離婚)をする場合には、お互いの合意さえあればどのような理由であっても離婚をすることが可能です。しかし、夫婦のどちらか一方が離婚に反対しているような場合、最終的には裁判によって離婚(裁判離婚)をしなくてはなりません。

    裁判離婚では、家庭裁判所の裁判官が夫婦を離婚させるかどうかを判断することになります。その際には、民法が定める以下の離婚事由のいずれかが認められることが必要です。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 配偶者の生死が3年以上明らかでない
    • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    夫婦には、配偶者以外の異性とは性的関係を持ってはならないという「貞操義務」が課されています。不倫(不貞行為)をした場合には、夫婦の基本的な義務に反することになりますので、民法では法定離婚事由の一つとされています。

    したがって、配偶者が不倫をした場合には、たとえ配偶者が離婚を拒否していたとしても、裁判によって離婚をすることが可能です。

  2. (2)有責配偶者からの離婚請求は原則として認められない

    それでは、不倫をした配偶者から離婚を請求することはできるのでしょうか。

    自ら不倫するなどして離婚原因を作った配偶者のことを「有責配偶者」といいますが、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められません

    婚姻関係を破綻させた有責配偶者からの離婚請求を認めると、他方の配偶者が著しく不利な立場に置かれてしまいます。そのため、信義則を理由として有責配偶者からの離婚請求は制限されているのです。

    なお、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められるケースもありますが、長期間夫婦が別居しており、当事者間に未成熟の子どもがおらず、離婚によって配偶者が過酷な状況に置かれないといった条件がみたされる必要となりますので、例外的なケースといえます。

2、慰謝料請求のポイント|算定と請求方法

配偶者が不倫をした場合には、慰謝料を請求することができます

  1. (1)慰謝料請求の相手方

    不倫をした配偶者に対して慰謝料請求をすることができるのはもちろんのこと、不倫をした配偶者の不倫相手に対しても慰謝料請求をすることが可能です。ただし、配偶者と不倫相手の両方に請求ができるといっても、慰謝料を二重に請求することができるというわけではありません。

    たとえば、不倫による慰謝料相当額が300万円であった場合を考えてみましょう。このとき、慰謝料請求をする相手は、以下の3通りとなります。

    • 配偶者だけ
    • 不倫相手だけ
    • 配偶者と不倫相手


    配偶者と不倫相手に対して、それぞれ300万円ずつ請求することはできますが、2人合わせて600万円を受け取れるわけではありません。総額で得られる金額は300万円までです。

    そのため、配偶者から既に300万円の支払いを受けたという場合には、不倫相手に対して、さらに慰謝料を請求することはできません。

    なお、離婚をしない場合であっても不倫相手に対して、慰謝料請求をすることは可能ですが、離婚をした場合に比べて慰謝料の金額が低くなります。

  2. (2)慰謝料算定のポイント

    不倫慰謝料は、不倫によって配偶者が被った精神的苦痛に対して支払われるお金ですが、金額を算定する際には、以下の点を考慮して金額の算定が行われます。

    • 夫婦の婚姻期間
    • 夫婦の年齢
    • 子どもの有無、人数、年齢
    • 不貞の期間、不貞行為の回数・頻度
    • どちらが主導的立場だったか
    • 不倫相手の妊娠の有無
    • 本人の反省の程度


    配偶者が被った精神的苦痛が大きいほど不貞慰謝料の金額は、大きくなりますが、その際には、上記のような客観的なポイントを踏まえて金額を決定していくことになります。

  3. (3)慰謝料の請求方法

    不倫慰謝料を請求する場合には、以下のような方法で行います。

    ① 証拠収集
    不倫慰謝料を請求する場合には、まずは、配偶者が不倫をしたという証拠を押さえる必要があります。性行為を行っている写真や動画があれば直接的な証拠となりますが、直接的な証拠がなかったとしても、不倫相手とホテルに入っていく写真や不倫相手の自宅に宿泊したという証拠があれば間接的に不倫があったことを証明することは可能です。メールやLINEの内容についても不倫を裏付ける証拠となることがありますので、まずは、幅広く証拠を集めるようにしましょう。

    ② 内容証明郵便
    不倫の証拠が収集できた段階で、不倫をした配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求を行いきます。請求の方法としては、慰謝料請求をしたこととその内容が証拠として残るように、配達証明付きの内容証明郵便で行うのが一般的です。

    ③ 話し合い
    内容証明郵便が届いた後は、慰謝料の支払いに向けて、不倫をした配偶者や不倫相手と話し合いを進めていきます。ただ、不倫をした配偶者とは、慰謝料以外にも離婚をするか否か、また、その他の条件について話し合いを進めていかなければなりません。
    そのため、配偶者との話し合いと不倫相手との話し合いを並行している場合にも、不倫相手との話し合いが先に決着することもあります。この場合は、配偶者との話し合いの終了を待たずに、不倫相手との間で、合意内容について合意書を作成しておきましょう。

3、離婚をする場合の流れ

離婚をする場合には、一般的に以下のような流れで離婚手続きを進めていきます。

  1. (1)協議離婚

    協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚の合意を目指す方法です。離婚の合意ができた場合には、離婚届に記入して、市区町村役場に離婚届を提出することによって離婚をすることができます。

    協議離婚では、離婚をするかどうかだけでなく、離婚をする場合の条件(慰謝料、養育費、親権、財産分与、面会交流など)についても話し合いをする必要があります。焦って離婚をしてしまうと本来もらえるべきものがもらえないおそれもありますので、納得できる条件での合意ができるまで、時間をかけてじっくりと話し合いをしていくようにしましょう。

  2. (2)調停離婚

    調停離婚とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚をする方法です。夫婦の話し合いでは離婚ができない場合やそもそも夫婦だけでは話し合いが難しいという場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。

    離婚調停も基本的には協議離婚と同様に話し合いの手続きとなりますが、家庭裁判所の調停委員が間に入って話し合いを進めてくれますので、夫婦だけで話し合いをするよりもスムーズな話し合いが期待できる手続きです。

    なお、離婚の方法には、後述するような裁判離婚という方法もありますが、離婚のような家庭の問題については、法律ではなくお互いの話し合いによって解決することが望ましいと考えられています。そのため、離婚裁判に先立って、まずは離婚調停の申立てが必要とされています。これを「調停前置主義」といいます。

  3. (3)裁判離婚

    裁判離婚とは、裁判所に離婚訴訟を提起して、裁判官に離婚の可否を判断してもらう方法です。離婚調停が不成立となった場合には、裁判離婚によって解決を図ることになります。

    ただし、協議離婚や調停離婚とは異なり、裁判離婚の場合には、民法が定める離婚事由が存在していることが離婚の条件となります。単なる性格の不一致だけでは離婚を認めてもらうことが難しいこともありますので注意が必要です。

    また、裁判手続きは、非常に複雑な手続きですので、法律の知識や経験がなければ適切に進めていくことが難しいといえますので、弁護士のサポートを受けながら進めることをおすすめします

4、離婚時に定めておくべきその他のこと

離婚時には、慰謝料以外にも決めなければならないことがあります。以下では、離婚時に定めておくべきその他の条件について説明します。

  1. (1)離婚時に定めておくべき条件

    離婚時に定めておくべき条件としては、以下のものが挙げられます。離婚や慰謝料については有責配偶者であることは考慮要素となりますが、以下の条件については、有責配偶者かどうかによって内容が左右されるものではありませんので注意が必要です。

    ① 養育費
    夫婦に子どもがいる場合には、離婚にあたって父または母のどちらか一方が子どもの親権者となります。親権者となった親が基本的には子どもの一緒に生活することになりますので、一緒に暮らしていない非監護親に対して養育費を請求することが可能です。
    養育費の金額は、夫婦の話し合いによって決定します。その際、裁判所が公表している養育費の算定表を利用することで、養育費の金額の相場を知ることができるので、確認してみましょう。
    ベリーベスト法律事務所でも、養育費算定表をもとに、かんたんに養育費を試算できる養育費計算ツールをご用意していますので、ご活用ください。

    参考:養育費計算ツール|算定表に基づき無料で計算します。

    ② 面会交流
    夫婦に子どもがいる場合、離婚後に子どもとともに生活しない非監護親は、離婚後も子どもと交流を続けるため、面会交流を求めることができます。夫婦が離婚に至った事情は子どもには無関係ですので、非監護親が子どもに対しても暴力をふるったり、暴言を吐いたりするのでない限り、子どもの健全な発達のためにも子どもとの面会は継続していくことが大切です。
    面会交流の取り決めをするときは、面会交流の頻度、場所、時間など、面会交流の条件をしっかりと定めておきましょう。

    ③ 財産分与
    財産分与とは、離婚時に夫婦が築いた財産を清算する制度です。夫婦の財産維持・形成に対する貢献度は基本的には等しいものと考えられていますので、財産分与の割合は、原則2分の1です。なお、財産分与の対象になる財産は、婚姻期間中に取得した財産であり、名義がどちらであるかは関係ありません。ただし、相続や贈与によって得た財産は、夫婦の協力とは関係がありませんので、財産分与の対象にはなりません。

    ④ 年金分割
    年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の納付記録を分割することができる制度です。年金分割は、離婚が成立した日から2年以内に手続きをしなければなりません。この期間を経過してしまうと、原則として年金分割を行うことができなくなりますので注意が必要です。

  2. (2)お金に関する条件は強制執行認諾文言付きの公正証書の作成を

    離婚時には、慰謝料、財産分与、養育費などお金に関する取り決めをすることが多いです。夫婦間の話合いでお金に関する取り決めや物を渡す取り決めをした場合には、離婚協議書などの書面に合意内容を残しておくことが大切ですが、できれば、公正証書としておくことをおすすめします。

    公正証書とは、公証役場の公証人が作成する公文書をいいます。強制執行認諾文言付きの公正証書を作成することによって、将来、債務者が義務を怠った時に、裁判手続きを経ることなく強制執行を行うことが可能です。

    将来のリスクを軽減するために有効な手段となりますので、自身が支払いを受けるものがある場合には、出来る限り強制執行認諾文言付きの公正証書を作成するようにしましょう

    このように、離婚時には、考えることや定めておくことが多岐にわたりますし、進め方によって有利にも不利にもなります。少しでも負担を減らし、自身に有利な条件とするため、離婚の手続きは弁護士に依頼することをおすすめします。

5、まとめ

不倫が離婚の原因である場合には、夫婦関係に大きな亀裂が生じることになりますので、当事者同士で話し合いを進めることが難しいこともあります。離婚をしたいという方、離婚を求められたという方のどちらの立場であっても、不利な条件での離婚を回避するためには弁護士のサポートが必要です。

不倫での離婚についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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