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離婚に最適なタイミングはある? スムーズに離婚を進めるためのポイント

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更新日:2022年12月12日  公開日:2022年12月12日
離婚に最適なタイミングはある? スムーズに離婚を進めるためのポイント

離婚をしたいと考えている方の中には、離婚後の生活に対する不安や子どもへの影響などの懸念事項があり、どのようなタイミングで離婚をすればよいか悩んでいるという方も少なくないでしょう。

離婚のタイミングは、夫婦によってさまざまですが、離婚をしたいと考える理由によっては最適なタイミングがある場合もあります。

今回は、離婚をするのに最適なタイミングと、スムーズに離婚を進めるためのポイントについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、離婚に最適なタイミングはある?

離婚に至る理由は夫婦によってさまざまですが、どのようなタイミングで離婚を切り出すのが最適なのでしょうか。

  1. (1)法定離婚事由に該当する事情がある場合

    民法に定めのある法定離婚事由に該当する事情がある場合には、相手が離婚を拒否していたとしても、裁判で離婚が認められる可能性が高くなります。そのため、法定離婚事由に該当する事情があり、離婚をしたいと考えるのであれば、証拠を確保した時点で離婚を切り出してよいでしょう。

    なお、民法が定める法定離婚事由に該当する具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。

    ① 不倫(不貞行為)が発覚した場合
    不貞行為とは、配偶者以外の異性との間で肉体関係を持つことをいい、一般的には「不倫」や「浮気」といわれます。不貞行為が発覚した場合には、相手に対する信頼が失われ、これ以上一緒に生活をしていくことが難しいと考える方が多いのではないでしょうか。

    そのため、不貞行為が発覚した時点が、離婚を考えるタイミングといえるでしょう。ただし、不貞行為を理由に離婚をするためには、相手が不貞行為をしたという証拠が必要です。離婚を切り出した後は証拠をつかむのが難しくなってしまいますので、しっかりと証拠をつかんでから離婚を切り出すようにしましょう

    ② DVやモラハラを受けている場合
    配偶者からDVやモラハラを受けているという場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」として法定離婚事由に該当する可能性があります。配偶者から度重なる暴力を受けているようなケースでは、生命に危険が及ぶおそれもあります。行政のサポートを受けられる場合もありますので、DVを受けている場合には、警察等に相談するなど、すぐに別居や離婚に向けて動くことも考えるべきでしょう
    離婚裁判において、DVやモラハラを理由に離婚を認めてもらうには、それを裏付ける証拠が必要です。DVについては動画や写真、医師の診断書、モラハラについては録音や動画などの証拠を確保したいところです。ただし、生命に危険がある場合には、証拠を確保することは二の次です。警察や行政に相談し、すぐにでも別居や離婚に向けて動きましょう。

    ③ 配偶者が生活を顧みない場合
    夫婦には、法律上、同居義務や協力扶助義務があるため、これらの義務を正当な理由なく履行しない場合には、「悪意の遺棄」という法定離婚事由に該当します。

    たとえば、配偶者が愛人の家に入り浸って自宅に帰ってこない、健康であるにもかかわらず仕事も家事もしない、ギャンブルばかりしており生活費が足りない状態が続いているといったケースが挙げられます。

    このような状況だと、夫婦としての生活を続けていくことが難しくなるので、離婚を考えるタイミングだといえるでしょう。

    ④ その他
    配偶者の生死が3年以上明らかでない場合や、配偶者が強度の精神障害になり回復の見込みがないという場合も法定離婚事由に該当します。

  2. (2)法定離婚事由に該当する事情がない場合

    単なる性格の不一致、他に好きな人ができたといった事情は、法定離婚事由には該当しません。法定離婚事由に該当する事情がない場合、離婚するためには双方の同意が必要であるため、離婚を切り出すタイミングは慎重に検討する必要があります。

    いきなり離婚を切り出したとしても拒否されることが予想される場合には、しばらく別居をするなど、夫婦の距離を置いてから離婚の話し合いを進めるということも有効な手段といえるでしょう。

  3. (3)子どもがいる場合

    夫婦に子どもがいる場合には、子どものことも考えたうえで最適なタイミングを考えていく必要があります。離婚をすれば、夫婦のどちらか一方が親権者となり、子どもを引き取ることになります。場合によっては、子どもの名字が変わったり、引っ越しにより転校を余儀なくされることもあるでしょう。

    離婚というイベントだけでも子どもにとっては大きな精神的負担になるので、子どもの進学のタイミング、子どもが自立したタイミングなど、できる限り子どもへの影響が少ないタイミングでの離婚を選択することが大切です。

2、離婚のタイミングを逃さないために考えておきたいこと

離婚のタイミングを逃さないためにも、離婚を検討している方は、以下のことを考えておくようにしましょう。

  1. (1)不倫やDVの証拠を集める

    不倫やDVなどの法定離婚事由に該当する事情がある場合には、相手が離婚を拒否したとしても最終的には裁判によって離婚をすることができます。しかし、そのためには、相手が不倫やDVをしたということを証拠によって証明しなければなりません

    たとえば、不倫であれば、不貞行為の動画、不倫相手とのLINEなどのやり取り、ホテルに入っていくところを写した写真などが証拠になります。このような証拠を確保する前に離婚を切り出してしまうと、後からでは証拠の確保が難しくなる可能性があるので注意が必要です。

  2. (2)慰謝料はどうするのか

    配偶者に婚姻関係の破綻を招いた原因(不倫、DVなど)がある場合には、離婚時に慰謝料請求をすることができます。また、配偶者だけではなく不倫相手に対して、慰謝料を請求することも可能です。

    慰謝料を請求することを検討している場合は、慰謝料請求の根拠となる証拠を集めるとともに、誰に対して、どのタイミングで、いくら請求するのかを考える必要があります。その際に弁護士にご相談するのがよいでしょう。

  3. (3)家庭内の財産状況の把握

    離婚をする際には、財産分与によって夫婦の共有財産を清算することができます。
    しっかりと財産分与を受けるためには、相手の保有している財産も含めた、家庭全体の財産状況を整理しておくことが大切です。

    なお、別居をしてからでは、相手がどのような財産を保有しているのかを探ることが難しくなります。別居を切り出す前に把握しておきましょう。

  4. (4)親権の獲得

    子どもがいる場合は、親権者を決めなければいけません。相手が素直に親権を譲ってくれればよいですが、相手も親権を希望する場合には話し合いでは解決することができず、調停や裁判に発展することがあります。
    調停や裁判において親権者を決定する場合には、それまでの監護状況(子どもをお世話してきた状況)が非常に重要です。親権の獲得を希望する場合には、子どもの世話を積極的にすることに加えて、子どもの世話をしてきたことがわかる資料(母子手帳や保育園の連絡帳など)を確保しておきましょう。

  5. (5)別居をするかどうか

    離婚を切り出すと、お互いに気まずい関係になり、一緒に生活することが難しい状態になる可能性があります。そのため、離婚の話を切り出す際には、別居についても考えておきましょう。近くに両親など頼れる親族がいなければ、アパートなどを探す必要がありますので、あらかじめ不動産会社を訪ねるなどして大方の目星をつけておいたり、先に契約しておくとよいでしょう。

    また、別居をした場合、自身の方が収入が低い場合や、子どもを連れていく場合には、婚姻費用という生活費を請求することができる可能性があります。お互いの収入から、どの程度の金額が相場になるのかを調べておくことによって、別居後の生活の見通しを立てることができます。

3、離婚に最適なタイミングであっても切り出す際に注意した方がよいこと

離婚に最適なタイミングであったとしても、離婚を切り出す際には以下のような点に注意しましょう。

  1. (1)離婚はすぐに成立しない可能性がある

    自分は離婚をしたいと考えていたとしても、相手が自分と同じ気持ちであるとは限りません。また、離婚することには同意していたとしても、親権、慰謝料、財産分与などの離婚条件でもめてしまうと、話し合いによって解決することが難しいこともあります。

    このような場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。離婚調停では、調停委員が夫婦の間に入って話し合いを進めてくれるため、夫婦だけで話し合いをするよりもスムーズに進む可能性があります。

    しかし、調停も協議離婚と同様に話し合いの手続きですので、離婚や離婚条件について合意ができなければ、調停は不成立となって終了します。それでも離婚したいと考える場合には、最終的に離婚裁判によって解決を図ることになります。ただし、離婚裁判では、法定離婚事由に該当する事情がなければ離婚は認められません

  2. (2)感情的な話し合いは避ける

    離婚の話し合いは、お互いに感情的になってしまうことがあるでしょう。しかし、感情のぶつけ合いになってしまえば、肝心の離婚協議が難しくなるので、冷静に話し合うことが大切です。

    どうしても感情的になってしまい話し合いが進まないという場合は、しばらく別居をしてお互いに距離を置くというのも一案です。法定離婚事由に該当する事情がないケースでは、別居期間を重ねることで離婚が認められることになりますので、そういった意味でも別居をすることは有益です。
    また、弁護士に依頼すれば、相手との交渉を弁護士に任せることができます。顔をあわせることも、相手と直接話し合う必要もなくなるので、精神的な負担も軽減するでしょう。

  3. (3)離婚条件についての希望や、離婚後の生活について考えておく

    離婚の話を切り出すまでに、状況に応じた準備を、しっかりと整えておくことが大切です。ご自身の希望や相手に請求したいことなどを整理しつつ、離婚後の生活プランまで具体的に考えておくと良いでしょう。

    また、別居を考えている場合は、離婚を切り出す前にアパートを借りておけば、離婚の話を切り出した後すぐに別居をスタートさせることができます。落ち着いて対処できるだけではなく、配偶者にも離婚の本気度が伝わるでしょう。

    このような準備をすることなく、いきなり離婚の話を切り出してしまうと長期にわたって離婚問題に悩まされてしまう可能性もありますので注意が必要です。

4、ケース別・離婚を切り出すときに押さえておきたいポイント

離婚を切り出す際には、ポイントを押さえたうえで進めることが大切です。

  1. (1)不倫(不貞行為)が発覚した場合

    配偶者が不倫をしていたとしても、素直に不倫の事実を認めてくれないケースもあります。そのため、不倫を理由に離婚を切り出すには、証拠を確保したうえで話し合いを進めていくことが重要です

    配偶者が不倫を認めた場合には、後日そのことを否定できないようにするためにも、少なくとも、不倫を認めたことを文書に残しておくとよいでしょう。

  2. (2)配偶者との生活に限界を感じた場合

    配偶者との生活に限界を感じたことを理由に離婚を切り出したとしても、お互いの認識に違いがあれば、すぐに離婚に応じてくれないことも多いです。

    相手が離婚に応じない場合は、最終的には離婚訴訟を提起することになりますが、離婚訴訟で離婚が認められるためには、前述した法定離婚事由が認められる必要があります。
    該当する事由がある場合には、訴訟による解決も見込んで進めていくことができます。
    ただし、ご自身のケースが法定離婚事由に該当するかを、ご自身で適切に判断することは難しいでしょう。そのため、離婚を切り出す前に弁護士に相談をするなどして、離婚が成立する可能性があるのか、アドバイスを得るとよいでしょう

  3. (3)DVやモラハラを受けている場合

    DVやモラハラをしている相手に対して離婚を切り出すと、感情的になった相手からさらにひどいDVやモラハラを受けるおそれがあります。そのため、DVやモラハラを理由に離婚を切り出す場合には、別居の準備を整えるなど、ご自身の身の安全を確保してから切り出すことが大切です

    また、自分で離婚を切り出すのが難しいという場合には、弁護士に依頼して、弁護士を窓口に話し合いを進めていくとよいでしょう。

5、まとめ

離婚理由は、夫婦によってさまざまです。そのため、離婚の最適なタイミングも事情によって異なります。また、たとえ適切なタイミングだったとしても、切り出し方によっては、トラブルになる可能性や、離婚問題が長期化してしまうリスクがあります。
トラブルを最小限に抑え、離婚協議を有利に進めるためにも、離婚を切り出す前に弁護士へ相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、離婚問題の対応実績が豊富な弁護士が中心となり、解決まで徹底的にサポートします。離婚に関する問題を抱えている方は、ぜひベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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