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離婚調停中にやってはいけないこと、やっておいたほうがいいこと

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更新日:2024年03月11日  公開日:2022年12月26日
離婚調停中にやってはいけないこと、やっておいたほうがいいこと

離婚調停で有利な結果を得るためには、やってはいけないこと・やっておいたほうがいいことがあります。

当日の手続きの流れなどを念頭においたうえで、弁護士とともに十分な準備を整えて離婚調停に臨みましょう。

今回は、離婚調停中にやってはいけないことや避けるべき不利な発言、やっておいたほうがいいことなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、離婚調停の基礎知識

離婚調停に臨むに当たって、まずは離婚調停に関する基礎知識を押さえておきましょう。

  1. (1)近年の離婚調停の件数

    2022年(令和4年)の司法統計によると、「婚姻中の夫婦間の事件」に係る家事審判・調停の新受件数は、以下のように推移しています。

    昭和24年 1万1818件
    昭和30年 1万3961件
    昭和40年 2万2735件
    昭和50年 3万9578件
    昭和60年 4万3853件
    平成7年 4万7721件
    平成17年 5万7818件
    平成26年 4万7685件
    平成27年 4万8764件
    平成28年 4万7717件
    平成29年 4万5777件
    平成30年 4万4045件
    令和元年 4万3492件
    令和2年 4万1037件
    令和3年 3万9886件
    令和4年 3万7528件

    参考:「令和4年 司法統計年報(家事編)」(裁判所)

    2014年(平成26年)以降は、毎年4万件前後以上の離婚等に関する家事審判・調停が申し立てられています。
    このように、離婚トラブルに巻き込まれている方は、決して珍しくない状況です。

  2. (2)離婚調停における調停委員の役割

    離婚調停は、男女1名ずつの調停委員が当事者の話し合いを仲介してくれます。

    各当事者は、部屋に交互に入りながら、調停委員と個別に面談して、離婚に関する主張や希望を伝えます。調停委員は、各当事者から聞き取った内容をもとに、当事者間の合意(調停)が成立するように調整を行います。

    調停委員に選ばれるのは、以下に挙げるような有識者であり、年齢も原則として40歳以上70歳未満と決まっています。

    • 弁護士
    • 医師
    • 大学教授
    • 公認会計士
    • 不動産鑑定士
    • 建築士
    • 地域社会に密着して幅広く活動してきた人
    など

    出典:「調停委員」(裁判所)

    調停委員が中立的な立場から仲介・調整を行うことで、離婚に関する話し合いの円滑化が期待されています。

  3. (3)離婚調停の申し立てに必要な費用

    離婚調停を申し立てる場合、裁判所に対して以下の費用等を納付することが必要です。

    • 収入印紙1200円分
    • 連絡用の郵便切手(数千円分程度)


    また、調停に臨む際に弁護士に依頼する場合は、弁護士費用がかかります。
    ベリーベスト法律事務所の離婚に関する弁護士費用については、当事務所の費用ページをご覧ください。

  4. (4)離婚調停の手続きの流れ

    離婚調停は、おおむね以下の流れで進行します。

    • ① 離婚調停の申し立て
      以下のいずれかの家庭裁判所に対して、離婚調停を申し立てます。
      ・ 相手方の住所地を管轄する、家庭裁判所
      ・ 相手方との間で管轄を合意した家庭裁判所(管轄合意書の提出が必要)
    • ② 調停期日の連絡
      申し立てが受理されると、家庭裁判所が当事者に対して調停期日を連絡します。
    • ③ 調停期日
      調停期日では、主に調停委員との面談、家庭裁判所調査官による調査、調停案の提示が行われます。
      調停成立の見込みがあるうちは、調停期日が1か月~1.5か月に1回程度開催されます。
      • (a)調停委員との面談
        各当事者は調停委員との間で、おおむね30分程度の面談を交互に2回行います(計2時間程度)。
        離婚に関する主張や希望は、面談の際に調停委員へ伝えましょう。
        なお、調停委員から主張書面や根拠資料の提出を求められた場合には、弁護士と協力しながら準備して提出します。
      • (b)家庭裁判所の調査官による調査
        子どもの親権が争われている場合や面会交流について争いがある場合には、家庭裁判所の調査官が調停期日に同席したり、子どもや学校などに対する調査を行ったりする場合があります。
      • (c)調停案の提示
        調停がある程度進んだところで、裁判官(または調停官)が当事者双方に対して調停案を提示することもあります。
        調停案に双方が同意すれば、調停は成立です。
    • ④ 調停成立or不成立
      調停成立となった場合、調停調書が作成されます。
      調停調書は、当事者双方に対して拘束力を持ちます。たとえば、養育費について調停が成立した場合、その後に不払いが生じると、調停調書をもとに強制執行をすることが可能です。
      これに対して、調停不成立となった場合は、通常、離婚訴訟(離婚裁判)を提起することになります。

2、離婚調停中にやってはいけないこと・不利な発言

調停期日の当日は、調停委員に対して悪い印象を与えないことが重要です。
そのためには、調停期日の当日や普段の生活において、やってはいけないことを確認しておきましょう。

  1. (1)離婚調停当日にやってはいけないこと・不利な発言

    調停期日の当日は、調停委員に対して悪い印象を与えないようにするため、以下の行動は差し控えるべきでしょう。

    • ① 遅刻をする
    • ② 自分の非をかたくなに認めない
    • ③ 感情的・一方的な主張をする
    • ④ 抽象的でわかりにくい主張をする
    • ⑤ 譲歩の姿勢を全く示さない
    など


    また、調停中には、以下のような不利な発言をすることも避けるべきです。


    • ・配偶者のことを過剰に悪く言う
    • ・脅迫めいた言葉や暴言を吐く
    • ・過去の発言と矛盾した発言
    • ・自分の希望条件と違うのに、譲歩するような発言
    • ・「配偶者には自分が直接交渉する」というような発言
    • ・「すでに別の交際相手(もしくは交際に発展しそうな相手)がいる」と素直に答える
    など


    離婚調停中にどんな行動や発言をしてはいけないのか、より具体的なことは弁護士にアドバイスを求めましょう。

  2. (2)離婚調停中の生活においてやってはいけないこと

    離婚調停が続いている最中は、普段の生活においても、婚姻関係を破壊するような行動を取ることは厳禁です。
    たとえば以下のような行動が発覚すると、調停が不利なかたちで進んでしまう可能性がありますし、調停委員に対して悪印象を与える可能性が高いのでご注意ください。

    • ① 配偶者以外の異性と性交渉をする
    • ② 配偶者に対してDV・モラハラなどの嫌がらせをする
    • ③ 子どもを連れ去る
    • ④ 婚姻中に取得した財産を勝手に処分する
    など
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3、離婚調停中にやっておいたほうがいいこと

反対に、離婚調停において調停委員を味方に付けるため、調停期日に向けた事前準備や普段の生活において、やっておくべきこともあります。

  1. (1)離婚調停に向けてやっておくべき事前準備

    調停委員に与える印象を良くしつつ、効果的にご自身の主張を伝えるためには、以下のような事前準備を整えておくのがよいでしょう。

    • ① 清潔な身なりを心がける
    • ② はきはきと受け答えできるようにする
    • ③ 弁護士とともに、主張すべきポイントを整理する
    • ④ 弁護士とともに、調停委員に対して主張を伝える練習をする
    など
  2. (2)離婚調停中の生活においてやっておくべきこと

    特に子どもの親権や面会交流が論点になっている場合、家庭裁判所の調査官による調査が予想されるため、普段から調査を意識した生活を送っておくべきです。

    家庭裁判所の調査官の調査では、どちらが親権者にふさわしいかを判断するため、家庭環境が具体的に観察されます。
    親権を獲得したい場合は、ある程度以上の期間にわたり、以下のポイントに留意した生活を送ってください。

    • ① 子どもと関わる時間を増やす
    • ② 育児に関する作業(食事の用意、洗濯、掃除、学校や保育園等への対応)をたくさん担当する
    • ③ 衣食住を安定させる(健全な養育環境を整える)
    など

4、離婚調停について弁護士ができるサポート

離婚調停に臨む場合、弁護士を代理人に立てることがおすすめです。弁護士は以下のサポートを通じて、依頼者にとって有利な条件による離婚が成立するように尽力いたします。

  1. (1)法的に適切な構成で主張を行う

    調停は話し合いではありますが、裁判所で行う手続きであるため、法的な根拠があることや、その後の訴訟で認められうるものであるかも重視されます。また、細かい主張については書面で提出するよう求められることも多々あります。そのため、法的な観点から吟味したうえで、適切な主張を書面で行うことが必要ですが、弁護士に依頼することでこの点について任せることができます。

  2. (2)相手方や調停委員に対して反論する

    離婚調停の相手方は、事実のうち都合のよい部分だけを切り取り、ご自身にとって不利となる内容の主張を行ってくるでしょう。
    また、早く調停を成立させようとして、調停委員が強引に説得を試みるケースもあります。

    弁護士は、相手方や調停委員が不当な主張・働きかけをしてきた場合には厳然と反論を行い、依頼者にとって不利な解決を拒否します。

  3. (3)適切な見通しを共有する

    離婚の際には、財産分与・慰謝料・親権・養育費など、さまざまな離婚条件を決める必要があります。

    弁護士は、不和の原因や家庭の状況、当事者双方の希望を総合的に考慮したうえで、離婚条件に関する適切な見通しや解決を検討し、依頼者にとってできる限り有利な解決を目指します。

  4. (4)精神的にサポートする

    離婚調停は、相手方から理不尽な主張をぶつけられることも多く、また、大きな選択や決断を迫られることもあるため、当事者にとっては精神的な負担が大きい手続きと言えます。

    そんななか、調停中に不利な発言をしてしまわないか、不安に思うことも多いでしょう。
    弁護士は、不安が解消されるように適切なアドバイスを行うだけでなく、話し合いの矢面に立ち、選択や決断の際には適切な見通しを示すことでその心理的な負担を小さくします。

  5. (5)離婚訴訟に発展しても継続的にサポートする

    離婚調停が不成立となった場合は、離婚訴訟へと手続きを移すことになります。
    離婚訴訟では、離婚調停以上に厳密な主張・立証が求められるほか、手続きも非常に専門的で複雑です。

    弁護士にご依頼いただければ、離婚調停に引き続き、離婚訴訟の対応も全面的に代行できます。
    専門的で複雑な訴訟手続きについて戸惑わずに対応できる点が、弁護士へご依頼いただくことの大きなメリットです。

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5、まとめ

離婚調停では、不利な発言など、やってはいけないこと・やっておくべきことなどがさまざまです。さらに、離婚調停を申し立てた後は、事前準備や当日の対応、生活上の注意点など、注意すべきポイントがたくさんあります。
当事者がひとりで対応することは難しいため、弁護士へのご依頼がおすすめです。

ベリーベスト法律事務所は、離婚に関するご相談を随時受け付けております。
協議離婚(円満離婚)から調停離婚・裁判離婚まで、さまざまな手続きを通じて円滑な離婚成立をサポートいたします。
離婚に関してご不安な場合や、今後についてお悩みのことがある場合には、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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