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会話のない夫婦の離婚|離婚前に考えるべきことと離婚の進め方

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更新日:2023年10月10日  公開日:2023年10月10日
会話のない夫婦の離婚|離婚前に考えるべきことと離婚の進め方

新婚当初は仲のよかった夫婦でも婚姻生活を重ねるにつれて会話が減ってくることがあります。会話がなくなる理由には、さまざまな原因があると思いますが、会話がない状態では夫婦に必要なコミュニケーションを取ることができず、離婚を考える方もいるでしょう。

そもそも、夫婦の会話がないという理由で離婚をすることができるのでしょうか。また、離婚を考えた場合には、まずはどのような準備から始めればよいのでしょうか。

今回は、会話のない夫婦が離婚をする場合の進め方などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、夫婦の会話がないから離婚をしたい……離婚を切り出す前に把握しておくべきこと

会話のない夫婦が離婚したいと考えた場合には、離婚を切り出す前に以下のことを把握しておくことが大切です。

  1. (1)希望する離婚条件を整理する

    離婚自体は、離婚届を記入し、それを市区町村役場に提出することで成立します。
    しかし、離婚をするにあたっては、離婚をするかどうかということだけでなく、養育費、親権、慰謝料、財産分与、年金分割などさまざまな条件を決める必要があります。

    いきなり離婚を切り出したとしても、希望する離婚条件がまとまっていなければ、スムーズに話し合いを進めることはできません。そのため、あらかじめ希望する離婚条件を考えて、相手との離婚条件のすり合わせを行うことが重要です

  2. (2)今後の住まいを確保する

    離婚後は、それまで一緒に生活していた夫婦が別々に生活していくことになります。離婚に伴い自宅を出ていく場合、離婚後の住まいを確保する必要があります

    離婚を切り出した後に離婚の話し合いが長引くと、お互い気まずい状態で一緒に生活をしていかなければなりません。その場合には、離婚前に別居をするという選択肢もありますが、別居後の住まいを確保していなければそのような選択はできません。
    近くに実家があり、実家で暮らせるという場合はよいですが、そうでない場合などは早めに離婚後の住まいを確保するようにしましょう。

  3. (3)離婚後の収入源を確保する

    離婚が成立するまでの別居期間中は、原則として、夫婦のうち収入が少ない側が収入の多い側から、婚姻費用という生活費をもらうことができます。しかし離婚後は、相手からの援助はなくなります。離婚後に経済的な不安なく生活していくためには、仕事をして生活費を確保するなどの対応が必要となります。専業主婦の方などは、離婚後の収入源を確保しておくことが大切です

2、後悔しないために、離婚したいと思ったら考えること

離婚で後悔しないためにも、本当に離婚すべきかどうかをじっくりと考えることも大切です。

  1. (1)本当に離婚したいのかどうか自分の気持ちを整理する

    夫婦の会話がないことが原因で離婚を考えた場合、まずは、本当に離婚したいのかどうか自分の気持ちを整理することが大切です。

    DVや不倫など明確な原因がある場合には、離婚を決断しやすいですが、夫婦の会話がないという理由だと必ずしも離婚をしたほうがよいとまではいえません。子どもがいる場合には、離婚により子どもへの影響が生じたり、離婚後の生活にも不安が残ったりするでしょう。
    現在の婚姻生活を続けていくことと、不安は残るものの離婚して新たな一歩を踏み出すことを比較して、どちらが自分や家族にとってよい選択なのかをじっくりと考えるようにしましょう。

  2. (2)やっぱり離婚したくないという場合の対処法

    離婚すべきかどうかを検討した結果、やっぱり離婚したくないというケースもあるでしょう。
    もっとも、婚姻関係を継続するとしても、会話のない仮面夫婦のままという状態が続くのはあまり好ましい状態とはいえません。そのような場合には、以下のような離婚回避・関係改善方法を検討することができます。

    ① 相手に関心を持つ
    会話のない相手との関係を改善するためには、まずは、相手に関心を持つことが大切です。
    夫婦の会話がなくなった原因にはさまざまなものがあると思いますが、相手への無関心もその原因のひとつである場合があります。

    とはいえ、いきなり会話を増やすというのは難しいかもしれませんが、相手への批判や文句は避けるようにしたり、会話以外でもちょっとしたプレゼントや相手が好きな料理を作ったりするといった行動により会話の糸口が見つかることもあります。
    このように相手に関心を持つことで、じっくりと夫婦関係を改善できる可能性があるでしょう。

    ② 夫婦カウンセリング
    夫婦ふたりでは、どうしても関係改善が難しいという場合には、第三者の協力を得ることも検討してみましょう。夫婦の関係改善をサポートしてくれるところとしては、夫婦カウンセリングというものがあります。
    夫婦ふたりでカウンセリングを受けるのが効果的ではありますが、ふたりでの参加が難しい場合には、まずはひとりでのカウンセリングも可能です。カウンセラーに話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になり、夫婦生活改善のきっかけがつかめるかもしれません。

3、夫婦の会話がないことを理由に離婚できる? 離婚の進め方とは

そもそも夫婦の会話がないことを理由に離婚できるのでしょうか。以下では、会話のない夫婦が離婚するための方法について説明します。

  1. (1)協議離婚

    協議離婚とは、夫婦の話し合いにより離婚をする方法です。協議離婚では、後述する裁判離婚のように離婚するにあたって法定離婚原因は必要ありませんので、夫婦の合意があれば離婚をすることができます。そのため、夫婦の会話がないという理由でも相手が離婚に同意してくれば、離婚は可能です。

    ただし、日常で夫婦の会話がない状態において、離婚の話し合いをしようとしてもうまく話をすすめられず、夫婦げんかになってしまう可能性もあります。その場合には、後述する調停離婚なども検討するとよいでしょう。

    なお、夫婦の話し合いにより離婚の合意に至った場合には、必ず離婚協議書を作成し、合意した離婚条件などを記載しておくようにしましょう。そして、離婚協議書は、公正証書の形にしておくことがおすすめです。
    養育費、慰謝料、財産分与の支払いが含まれる場合には、相手による不払いが心配になる方も多いと思います。その場合は執行認諾文言付公正証書を作成することで、相手の不払いがあった際にも、直ちに相手の財産を差し押さえて、強制的に未払い分を回収することが可能となります

  2. (2)調停離婚

    調停離婚とは、裁判所の離婚調停を利用して離婚をする方法です。裁判所の手続きを利用することになりますが、離婚調停は、協議離婚と同様に基本的には話し合いの手続きになります。そのため、夫婦の合意がなければ調停を成立させることはできませんが、第三者である裁判官や調停委員が話し合いに参加してくれますので、当事者同士の話し合いよりもスムーズな解決が期待できる手続きといえます。

    夫婦ふたりだけでは離婚の話し合いが難しい場合でも、調停であればお互いに顔を合わせる必要もありませんので、自由な意見を交わすことができるでしょう

  3. (3)裁判離婚

    裁判離婚とは、裁判所が夫婦の離婚を認めるかどうかを判断する方法です。裁判所が離婚を認めるためには、以下のような法定離婚事由が存在することが必要となります

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 配偶者の生死が3年以上明らかでない
    • 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    夫婦の会話がないという理由だけでは、上記の法定離婚事由のいずれにも該当しません。
    そのため、裁判離婚により直ちに離婚することは難しいといえます。もっとも、配偶者の不貞行為により夫婦の会話がなくなったというように、夫婦の会話がなくなった原因や理由が上記の法定離婚事由に該当する場合には裁判離婚が可能なケースもあります。

4、離婚を決心したら、まずは弁護士に相談を

離婚を決心した方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)弁護士が代理人となって協議できる

    弁護士は、本人に代わって相手との話し合いを行うことができます。夫婦ふたりだけでは話し合いが難しいケースでも、弁護士が対応することで、スムーズな話し合いを進めることが期待できます。また、相手との交渉はすべて弁護士が対応しますので、交渉による精神的負担も大幅に軽減されるでしょう

  2. (2)離婚の進め方についてアドバイスできる

    夫婦の会話がないことが原因で離婚をする場合、法定離婚事由の有無によって離婚の進め方が異なってきます
    法定離婚事由に該当する事情がない場合には、協議離婚または調停離婚によって離婚を進めていかなければなりませんが、法定離婚事由に該当する事情があれば裁判離婚も選択肢のひとつになります。どのような選択肢があるかによって、離婚の進め方や方針が変わってきますので、まずは弁護士に相談して、離婚の進め方についてアドバイスを受けるとよいでしょう。

  3. (3)離婚に必要な証拠収集のサポートをしてもらえる

    会話がないことに加えて、相手からのDVやモラハラ、不倫などがあった場合には、相手に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

    しかし、慰謝料請求をするには、請求する側で相手にDV、モラハラ、不倫などがあったことを立証しなければならず、そのためには証拠が不可欠となります。どのような証拠が必要となるかは、具体的な事案によって異なってきますので、必要な証拠を集めるためには弁護士のアドバイスが不可欠です。少しでも有利な条件で離婚するためにも、弁護士のサポートを受けながら進めていくとよいでしょう

5、まとめ

会話のない夫婦が離婚をしたいと考えたときは、まずはしっかりと準備を整えてから離婚手続きを進めていくことが大切です。十分な準備がない状態で離婚を切り出しても、有利な条件で離婚を進めるのは難しく、必要な証拠を集めることができなくなるなどのリスクもあります。

少しでも有利な条件で離婚するには、専門家である弁護士のサポートが不可欠となります。相手との離婚を決断したら、まずは、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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