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旦那が抱いてくれないことは離婚理由になる? 離婚前の4つの検討項目

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更新日:2025年04月09日  公開日:2025年04月09日
旦那が抱いてくれないことは離婚理由になる? 離婚前の4つの検討項目

旦那が抱いてくれないことで悩んでいる女性の方もいると思います。特に、子どもを望む女性にとっては、旦那が抱いてくれないことは深刻な悩みといえるでしょう。このままセックスレスが続くと、将来妊娠できたとしても、高齢出産のリスクが高まるため、早めに離婚をすることも選択肢のひとつとなるでしょう。

一方、セックスレスを理由に離婚できるのかわからず、離婚を切り出せずにいる方もいるかもしれません。また、離婚とともに、セックスレスに対する慰謝料が請求できるか、確認したい方もいるでしょう。

今回は、旦那が抱いてくれないことを理由に離婚できるかどうか、離婚前に検討すべき4つの事項、離婚時に慰謝料請求ができるかどうかなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を

1、旦那が抱いてくれないことは離婚事由になる?

以下では、旦那が抱いてくれないことを理由に離婚ができるかどうか解説します。

  1. (1)夫婦双方の合意があれば離婚できる|協議離婚・調停離婚

    夫婦の話し合いにより、離婚することで意見が一致すれば、どんな理由でも離婚できます。セックスレスも理由のひとつとなり得ます。離婚したいことを夫に伝え、話し合いの結果、離婚することになった場合は、離婚届に必要事項を記入し、市区町村役場に提出することで離婚成立となります。

    もっとも、当事者だけでは、感情的になってうまく話し合いが進められないケースもあるでしょう。そのような場合には、家庭裁判所への離婚調停の申し立てを検討します。調停は、裁判所の調停委員が夫婦の間に入って話し合いを進めてくれる制度です。この制度を使えば、当事者だけで離婚を話し合うよりは冷静に話し合うことができるでしょう。

    調停も話し合いによって離婚を決める制度ですので、夫婦の合意があれば「旦那が抱いてくれない」という理由でも離婚することができます。

  2. (2)話し合いがまとまらないときは裁判離婚を検討する

    協議離婚や調停離婚でも離婚の合意がまとまらないときは、裁判離婚を検討する必要があります。裁判離婚は、協議離婚や調停離婚のような話し合いによる手続きではなく、裁判所が離婚の可否を判断します。もし配偶者が離婚を拒否したとしても、離婚できる可能性があるでしょう。

    しかし、裁判離婚では、民法が定める以下の法定離婚事由が存在していなければ、裁判所から離婚を認めてもらうことができません(民法第770条1項)。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みのない強度の精神病
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    旦那が抱いてくれない、つまりセックスレスは、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。該当すると判断された場合には、裁判離婚が認められます。詳しくは次の2章で説明しますが、旦那が抱いてくれないというケースでも具体的な事情によっては、裁判離婚が認められる可能性はあります。

2、抱いてくれないことで裁判離婚や慰謝料請求できる可能性があるケース

セックスレスで離婚が可能であることは1章で解説しました。それでは実際どのような事情があれば、「旦那が抱いてくれない」という理由で、裁判離婚や慰謝料請求ができるのでしょうか。いくつかケースを紹介します。

  1. (1)旦那が一方的にセックスを拒否している

    先述のとおり、正当な理由なく配偶者から一方的にセックスを拒否される状況は、法定離婚事由の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。この場合、離婚裁判が認められるだけでなく、慰謝料請求もできる可能性があります。

    年齢が若く、身体的に性行為をすることに支障がないにも関わらず、夫婦の一方が一方的にセックスを拒否し続ける場合には、認められる可能性があると言えます。
    ただし、短期間のセックスレスのみで離婚や慰謝料が認められる可能性は低いと言わざるを得ません。セックスレスを理由に離婚や慰謝料請求をする場合には、ある程度長期間にわたりセックスレスの状況が続いているかどうかが重要な判断材料となります。当事者の年齢など事案の詳細によりますが、数年間性交渉がない状態が続いていて、その後もその可能性がないというような状況の場合には、セックスレスを理由とした離婚や慰謝料請求が認められる可能性もあるでしょう

  2. (2)結婚時に性的不能を隠されていた

    配偶者が性的不能でセックスレスとなった場合も、その状況が続いており、今後も継続することが見込まれる場合には、離婚事由となる可能性があります。

    また、夫が性的不能を自覚しているにもかかわらず、それを隠して結婚した場合には、妻に対する重大な裏切り行為があったと言える可能性があります。このようなケースであれば、離婚に加えて慰謝料が認められる可能性があります。

  3. (3)旦那の不倫が原因でセックスレスになった

    夫が不倫をしていて、それが原因で妻を抱いてくれない場合、セックスレスと不貞行為を理由に離婚や慰謝料請求が可能です。

    ただし、夫の不倫を理由に離婚や慰謝料請求をするには、夫が不倫をした証拠が必要です。離婚を切り出す前に、性行為があったことがわかる不倫相手とのやりとりなどの証拠を集めるようにしましょう。先に離婚を切り出すと、夫が証拠を隠してしまう可能性があるため、注意が必要です。

3、抱いてくれない旦那と離婚する前に検討すべきこと

夫から性行為を一方的に拒否されることが原因で離婚を考えている方は、離婚の準備を進める前に、以下のようなことを検討してみましょう。

  1. (1)セックスレスを解消できないか話し合う

    セックスレスだけが離婚の理由であれば、すぐに離婚を決断するのではなく、セックスレスを解消できないか夫婦で話し合ってみるのも有効な解決法でしょう。

    まずは、セックスレスで悩んでいることを正直に伝えて、一緒に今後の夫婦生活について考えてみるとよいでしょう。夫婦でカウンセリングを受けるという方法もあります。特別な理由があって、夫がセックスを拒否しているわけでなければ、話し合いをきっかけにセックスレスを乗り越えられるかもしれません。

  2. (2)セックス以外の行為で満たされないか検討する

    夫婦の年齢によっては、若いときのような頻度でセックスをするのが難しいこともあるでしょう。また、子どもがいて、夫婦だけの時間が持てずにセックスレスに陥ることもあります。
    そのような場合には、セックス以外の行為で心を満たす方法を考えてみるとよいでしょう。夫婦の愛情表現には、一緒に食事をする、旅行に出掛けるなどさまざまな形があります。セックスレスが、直ちに愛情がないということにつながるわけではありません。

  3. (3)別居して距離を置いてみる

    セックスレスを理由に離婚をしたいと伝えても、夫が真剣に受け取ってくれないこともあるかもしれません。離婚を考えるほどセックスレスで悩んでいる、ということを理解してもらうために、別居から提案してみるのもひとつの方法です。

    別居をしてお互いに距離を置くことで、相手の大切さを再認識でき、夫婦関係を取り戻す話し合いができる可能性もあります。

    別居を経ても離婚したい気持ちが揺るがなかった場合は、改めて夫に離婚を提案しましょう。もし、夫から離婚を拒否されて離婚裁判をすることになっても、別居期間が長くなれば夫婦関係が破綻していると判断され、裁判でも離婚が認められる可能性が高くなります。

    このように、別居は夫婦関係を修復したいときだけでなく、離婚したいときにも有効な手段となります。

  4. (4)弁護士に相談する

    夫婦でよく話し合い、別居などの手段をとってもセックスレスの解消が難しいと感じたら、改めて離婚を検討しましょう。離婚を決断した場合、すぐに夫に伝えるのではなく、まずは弁護士に相談することをおすすめします

    セックスレスを理由に離婚を進めるには、さまざまな準備が必要です。離婚条件などを有利に進めるためには、専門家のアドバイスが欠かせません。弁護士に相談することには、後述するいくつかのメリットがあるため、ご紹介します。

4、離婚をお考えの方は弁護士に相談を

離婚を検討する際、弁護士に相談するメリットを3つ解説しましょう。

  1. (1)裁判で離婚が可能かどうかアドバイスを受けられる

    旦那が離婚に応じてくれない場合、最終的には裁判離婚を検討する必要がありますが、それには法定離婚事由が不可欠です。どのような事情があれば裁判離婚で離婚が認められるか、一般の方は判断が難しいでしょう。

    弁護士であれば、具体的な事情を踏まえて法定離婚事由の有無を判断できます今後の離婚の方針が明確になることで、離婚手続きを進めやすくなります

  2. (2)慰謝料請求を検討できる

    旦那へ慰謝料請求を検討している際にも、弁護士に相談することをおすすめします。

    先述のとおり、旦那が正当な理由なく長期間セックスに応じてくれないという事情は、慰謝料を請求できる事情になります。また、旦那が不倫をしていて、それが夫婦のセックスレスの原因となっているケースでは、不倫も理由に加えて離婚請求や慰謝料請求をすることも可能です。

    弁護士であれば、慰謝料請求できる事情があるかどうかについてアドバイスすることができます。また、慰謝料請求できる事案であれば、納得できる慰謝料を受け取るためのサポートが可能です。その場合には、慰謝料請求に必要な証拠がどのようなものか、どのように集めるべきかなどのアドバイスを行います。

  3. (3)精神的なストレスを軽減できる

    離婚をするには、夫婦での話し合いは欠かせません。また、話し合いで解決できない場合は、離婚調停の申し立てや離婚訴訟の提起が必要になります。

    このような離婚手続きをすべて自分ひとりで行うには、手間がかかるだけでなく、精神的に大きなストレスとなるでしょう。弁護士に依頼すれば、旦那との交渉や調停・訴訟の対応を任せることができるため、精神的なストレスの軽減に期待できます。

    自分だけで手続きを進めるのが不安な方は、弁護士のサポートを受けましょう。

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5、まとめ

旦那が抱いてくれないことを理由に離婚したい場合、夫婦双方の合意があれば離婚することが可能です。ただし、話し合いがまとまらない場合は、裁判離婚を検討する必要があります。

旦那へ離婚を切り出す前に、まずはセックスレスで悩んでいることを正直に伝える、別居するなどの手段を試してみましょう。それでも離婚したい気持ちが変わらなければ、一度弁護士に相談することをおすすめします。

セックスレスなどが原因で、夫婦関係が悪くなり離婚をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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