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夫婦間で起きるモラハラの特徴は? 対処法や離婚の流れを弁護士が解説

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更新日:2025年08月06日  公開日:2025年08月06日
夫婦間で起きるモラハラの特徴は? 対処法や離婚の流れを弁護士が解説

モラハラとは、道徳や倫理に反する言動によって相手に精神的な苦痛を与える行為を指す言葉です。モラハラは、夫婦間でも発生しやすく、モラハラを受け続けると精神的に追い詰められてしまい、正常な判断ができない精神状態になってしまうこともあります。

配偶者による言動が「モラハラかもしれない」と感じたときは、すぐに第三者に相談するとともに状況が改善しなければ離婚も検討した方がよいかもしれません。

今回は、夫婦間で起きるモラハラの特徴と対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を

1、夫婦間で起きるモラハラの特徴は?

夫婦間で起きるモラハラにはどのような特徴があるのでしょうか。以下では、夫婦間のモラハラの特徴・具体例とモラハラのチェックリストを説明します。

  1. (1)夫婦間のモラハラの特徴・具体例

    モラハラとは、道徳や倫理に反する言動によって相手に精神的な苦痛を与える行為を指します。言葉や態度により継続的に傷つけたり支配したりするもので、身体的な暴力とは異なり外からは見えにいのが特徴です。そのため、被害者自身も「自分が悪いのでは?」と思い込んでしまうことがあります。

    夫婦間で起きるモラハラの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 「お前は何をやってもだめだ」「誰もお前なんか相手にしない」など否定的な言葉を浴びせる
    • 話しかけても返事をしない
    • 交友関係や外出を制限する
    • お金を一方的に管理され、経済的な自由を与えない
    • 常に浮気を疑い、スマートフォンを勝手にチェックする
    • 自分の行動を正当化し、相手が悪いように仕向ける
  2. (2)夫婦間のモラハラのチェックリスト

    以下では、夫婦間でモラハラがあるかどうかを確認するためのチェックリストを紹介します。すべてに当てはまる必要はありませんが、複数該当する場合はモラハラの可能性が高いでしょう。

    チェック項目 チェック欄
    「バカ」「ダメなやつ」「価値がない」といった言葉で罵られる
    意見や考えを言うと「そんなのはおかしい」と否定される
    ミスをすると「お前のせいだ」と全ての責任を押しつけられる
    機嫌が悪くなると無視や沈黙を続ける
    被害を訴えると「被害妄想だ」と言われる
    急に優しくなるなど、態度の落差が激しくて混乱する
    友人や実家との関係を制限される
    外出や仕事、趣味に口を出してくる
    家計を完全に管理され、自由にお金を使わせてもらえない
    自分の行動を常に監視・チェックされている
    楽しい・安心できる時間がない
    いつも相手の顔色をうかがっている
    自分の価値や存在意義を感じられない

2、モラハラを受けた際の対処法

以下では、配偶者からモラハラを受けたときの対処法を説明します。

  1. (1)周囲に相談する

    モラハラ被害者は、「自分が悪い」と思い込んでしまい、モラハラ被害を受けているにもかかわらず自分ではモラハラに気づけないケースが多いです。

    自分が置かれている状況が深刻なモラハラであることを理解するには、第三者による客観的な意見が重要です。一人で抱え込まずに信頼できる家族や友人に相談してみるとよいでしょう。

  2. (2)本人にモラハラを自覚させる

    モラハラ加害者は、自分がモラハラをしているという自覚がないことが多いです。本人がモラハラをしていることに気づくことで、夫婦間のモラハラが改善される可能性があります。配偶者に対して、具体的な行為を挙げてモラハラにあたることを説明してみてもよいでしょう。

    ただし、モラハラ加害者に対してモラハラを指摘したり、自覚を促そうとしたりすることは、相手の反発を招き、モラハラがエスカレートするおそれもあります。精神的・身体的に危険を感じる場合は、無理に関係改善を試みず、まずは安全を最優先に、信頼できる第三者や専門機関、弁護士に相談するようにしましょう。

  3. (3)DV相談プラスや配偶者暴力相談支援センターなどに相談する

    モラハラの被害者は、配偶者から交友関係を制限されてしまうことが多く、家族や友人と疎遠になってしまい相談できる相手がいないということもあります。

    そのような場合は、国や自治体が設けている公的な相談窓口を利用することも有効な対処法といえます。モラハラに関する相談ができる窓口としては、以下のようなところが挙げられます。

    • DV相談+(プラス):電話やチャットで24時間365日相談可能
    • 配偶者暴力相談支援センター:専門の支援員による電話、メール、面接相談が可能
  4. (4)別居や離婚を検討する

    配偶者によるモラハラで精神的につらいと感じるときは、別居をして配偶者との距離を置いてみてもよいかもしれません。モラハラ加害者からの精神的支配から逃れて、冷静になって夫婦関係を見つめなおすことで、今後の方向性を明確にすることができます。

    また、モラハラを続ける配偶者と一緒に生活するのが難しいときは離婚を検討するのもよいでしょう。

3、モラハラを理由に離婚する際の流れ

モラハラを理由に離婚する場合、以下のような流れで進めていきます。ただし、モラハラ加害者は、常に自分が正しいと考える傾向にありますので、話し合いでは離婚の合意に至らない可能性も高いです。

まずは夫婦で離婚の話し合い(協議離婚・交渉)をし、合意した場合は解決。不合意の場合は調停の申し立てを行い、離婚調停へ進む。調停も不成立の場合は離婚裁判(訴訟)を提起し、敗訴した場合は不成立となる。
  1. (1)話し合いで解決しそうな場合は協議離婚を進める

    協議離婚とは夫婦の話し合いによって成立する離婚のことをいいます。日本でもっとも多い離婚の形式がこの協議離婚で、裁判所を介すことなく、夫婦の合意が成立すれば離婚をすることができます。

    話し合いで解決しそうな場合にはまずは協議離婚による離婚を目指します。しかし、モラハラが原因で離婚する場合、モラハラ被害者は精神的に支配されている状態であり、一方でモラハラ加害者は常に自身が正しいと考える傾向にありますので、対等に話し合いをすることができないことが多く、協議離婚で解決するのは難しいことがあります。

  2. (2)話し合いがまとまらない場合は、離婚調停を申し立てる

    離婚の話し合いがまとまらないときは家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。

    離婚調停では、家庭裁判所の調停委員が夫婦の間に入ってくれますので、直接顔を合わせて話し合いをする必要がありません。また、モラハラ加害者は、第三者がいる前では常識的にふるまう傾向がありますので、離婚調停を利用することで相手の一方的な意見を押し付けられる心配が小さくなるかもしれません。

    ただし、離婚調停も協議離婚と同様に夫婦の合意がなければ離婚は成立しませんので、相手が離婚を拒否する場合は、調停不成立となってしまいます。

  3. (3)離婚調停で相手が合意しない場合は、離婚訴訟を検討する

    離婚調停で相手が離婚に同意してくれないときは、最終的に離婚訴訟を検討することになります。

    離婚訴訟は、協議離婚や調停離婚とは異なり、当事者の合意ではなく裁判官が離婚の可否を判断します。その際には、以下の法定離婚事由のうちいずれかに該当する事情がなければ離婚を認めてもらうことができません。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 配偶者の生死が3年以上不明
    • 回復の見込みがない強度の精神障害(2024年5月の民法改正により削除予定)
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    モラハラは、法定離婚事由のうち「その婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。モラハラを理由に離婚するなら、モラハラがあったことを証拠により立証しなければなりませんので、訴訟提起前にモラハラを立証する証拠を集めておくことが重要です。

    ただし、証拠集めのために身の安全が脅かされる場合は、無理に証拠を集めるのではなく、まずは弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

4、離婚する前に知っておくべきこと

モラハラを理由に離婚を検討中の方は、離婚する前に以下の事項を知っておくべきです。

  1. (1)自分で抱え込まずにまずは第三者へ相談する

    モラハラを理由に離婚する場合、モラハラの証拠となる録音・録画、メモなどを集めることも大切ですが、それよりもまずは第三者に相談するようにしてください。

    継続的なモラハラを受けている人はモラハラ加害者により精神的に支配されている状態ですので、自分一人では冷静な判断ができなくなっていることが多いです。モラハラから抜け出すには第三者のサポートが必要になりますので、一人で抱え込まずに第三者に相談することが重要です。
    今後、モラハラ加害者との離婚を考えているなら、弁護士に相談することをおすすめします

  2. (2)離婚後の住居や収入源を確保しなければならない

    離婚後は配偶者と別々に生活することになりますので、離婚後の住居を確保しなければなりません。特に、モラハラを理由に離婚する場合、離婚の話合いをするよりも前に別居を開始することも多いため、早めに住居を確保した方がよいでしょう。モラハラ被害から早く抜け出すことにもつながります。

    また、離婚後は子どもの養育費はありますが、配偶者から自身の生活費を受け取ることはできません。自分で生活できるだけの収入減を確保することも必要です。すぐに仕事が見つかるとは限りませんので、早めに行動するようにしましょう。

  3. (3)子どもがいる場合は親権や養育費を決める必要がある

    夫婦に子どもがいる場合、親権や養育費を決める必要があります。

    相手がモラハラ加害者である場合、親権者としての適格性に問題があるとされるケースもあります。モラハラがあったことを立証することができれば、親権者の判断にあたって有利な事情として考慮してもらうことができます。

    なお、養育費については、裁判所が公表している養育費算定表を用いることで簡易・迅速に養育費の相場を把握することができます。

  4. (4)慰謝料請求や離婚条件などについて弁護士への相談する

    モラハラからすぐにでも抜け出したいという気持ちも十分に理解できますが、焦って離婚をするのは禁物です。

    離婚にあたっては、親権や養育費、慰謝料、財産分与など様々な離婚条件の取り決めが必要です。離婚後、不安なく生活するためにも適正な離婚条件を定めることが重要です。それには専門家である弁護士のサポートが有効です。離婚をお考えの際は、弁護士に相談することをおすすめします。

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5、まとめ

モラハラは、相手に精神的な苦痛を与える行為であり、長期化するほど心身に深刻な影響を与えます。夫婦間でも暴言や侮辱が続く場合、離婚に備えてモラハラの証拠を集めたり別居を検討したりすることが大切です。

モラハラを理由に離婚したい場合、話し合いでは解決できない可能性があります。このようなケースでは、離婚調停や離婚訴訟が必要になることがあるため、法的な知識やサポートを得るためにも、モラハラで悩んでいる方は早めに弁護士に相談するようにしてください。

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この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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