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セックスレス離婚で後悔しないための切り出し方と成功に向けたロードマップ

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更新日:2025年08月20日  公開日:2025年08月20日
セックスレス離婚で後悔しないための切り出し方と成功に向けたロードマップ

セックスレスを理由に離婚を決意したものの、どうやって相手に切り出せばよいのかわからず悩んでいる方もいるかもしれません。

相手を傷つけずにスムーズに離婚の話し合いを進めるためには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。離婚を伝えるタイミングや場所、伝え方などを身につけておくことで、有利な条件で離婚できる可能性が高くなるでしょう。

本コラムでは、セックスレスで離婚するときの相手への切り出し方や損をしないための基礎知識などについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

目次を

1、セックスレス離婚の現実と切り出す前に考えるべきこと

セックスレス離婚とはどのようなものなのでしょうか。以下では、セックスレス離婚の概要とセックスレス離婚を切り指す前に考えるべきことについて説明します。

  1. (1)セックスレス離婚とは?

    セックスレス離婚とは、セックスレスを主な原因として離婚することをいいます。

    セックスレスとは、夫婦間で一定期間性交渉がない状態をいい、一般社団法人日本性科学会によると、病気など特別な事情がないのに1か月以上性交渉がない場合がセックスレスであると定義されています。

    また、一般社団法人日本性機能学会が20歳以上の男性を対象に実施した性機能の実態に関する調査を行っています。結果としては、性交頻度が「1か月に1回未満~1年に1回未満」と「性交未経験」を合わせると70.4%になり、調査対象となった男性におけるセックスレスの割合は約70%にものぼることが判明しました。

    さらに令和5年司法統計によると、離婚調停の申立て理由のうち「性的不調和」を理由にするものは夫側が申立人になる事件で1592件(申立て理由全体の6番目)でした。他方で、妻側が申立人になる事件でも「性的不調和」を理由としたものは2642件(申立て理由全体の7番目)あったことがわかっています。したがって、セックスレスをはじめ、夜の生活を理由に離婚をする夫婦は多数存在しています。

  2. (2)離婚を切り出す前に考えるべきこと

    セックスレスを理由に離婚を切り出す前に、まずは以下のことを考えましょう。

    ① 離婚以外に道はないかを再検討する
    セックスレスではあるものの相手に対する愛情が残っている場合には、離婚ではなく夫婦関係の再構築を検討してみてもよいかもしれません。
    特に、子どもがいる場合、離婚により子どもに悪影響が生じる可能性があるため、いったん冷静になって離婚以外に本当に選択肢がないのか再検討してみるとよいでしょう。

    ② 離婚後の生活設計を考える
    離婚以外に選択肢がないという場合には、離婚後の生活設計を考えるようにしましょう。
    離婚後は子どものための養育費はありますが、その他は自分の収入だけで生活をしていかなければなりません。特に専業主婦の方は、新たに仕事を探す必要があります。経済的な不安があると離婚に踏み切ることができませんので、離婚後の生活設計はしっかりと考えておきましょう。

    ③ 相手が不貞行為をしていないか確認する
    配偶者が不倫をしていて性的な欲求が満たされていると、夫婦間ではセックスレスに陥ることがあります。そのため、セックスレスを理由に離婚を検討する場合、相手が不貞行為をしている可能性について検討する必要があるでしょう。
    直接確認しても素直に答えてくれるケースはほとんどありません。不審な行動がないか確認し、不貞行為の証拠がないかどうか調べてみることも検討してください。なお、勝手に相手のスマホにログインしてLINEやSNSのDMを確認するなど、プライバシーを侵害するような証拠収集の手段をとると、別の法的問題に発展してしまう可能性があります。証拠収集が難しい場合は、弁護士に相談し、適切な証拠収集方法を検討しましょう。
  3. (3)セックスレスになりうるケースと夫婦関係修復に向けたアプローチ

    夫婦がセックスレスになる原因にはさまざまなものがありますが、代表的な原因として以下のようなものが挙げられます。

    • 相手に異性としての魅力を感じない
    • 仕事や家事、育児による疲労
    • セックスに興味がなくなった
    • セックスを求めても断られる
    • 不倫により性的欲求が満たされている


    夫婦のセックスレスは、夫婦のコミュニケーション不足などが原因で生じることが多い傾向があります。セックスレスを解消し、夫婦関係を修復したい場合は、夫婦カウンセリングをはじめとした専門家への相談などを検討するとよいかもしれません。医学的見地に基づき、適切なアドバイスを得ることも選択肢のひとつになりえます。

2、傷つけあいたくない! 離婚を切り出す際のポイント4つ

相手を傷つけることなく離婚を切り出すには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. (1)離婚の意思を伝えるタイミングと場所

    離婚の意思を伝えるタイミングは、お互いが落ち着いて話ができるタイミングにするべきです。

    特に、子どもがいる家庭では子どもに影響が出ないようにするためにも、以下のようなタイミングで離婚を切り出すべきでしょう。

    • 子どもが家にいないとき
    • 子どもが寝た後
    • 子どもを実家に預けたとき


    また、離婚の話は周囲に他人がいる状況だと周りの目が気になって言いたいことも言えなくなってしまいがちです。できる限り自宅など2人きりになれる場所で離婚を切り出した方がよいケースもあります。

    ただし、相手からのDVやモラハラのおそれがあるときは、2人きりで話し合いをすることは大変危険です。ファミレスやカフェなど人目のある場所で話し合いを行うことをおすすめします。

  2. (2)けんかを回避する! 相手への伝え方

    離婚を切り出すときは、「セックスレスがつらくて離婚をしたい」などと自分の気持ちをしっかりと伝えることが重要です。その際は、自分の意見だけを押し付けるのではなく、相手の気持ちを尊重しながら伝えることで、感情的な対立を回避することが可能です。

    また、話の流れを予測して、相手の態度に応じた言葉を準備しておけば、スムーズに話し合いを進めることができます。

    セックスレスで離婚をしたいという自分の希望を伝えたら、相手の気持ちも確認して、今後どうしていくのが夫婦として最善なのかを話し合っていきましょう。

  3. (3)相手が感情的になったときの対処法

    セックスレスを理由に離婚をしたいと伝えたときに、相手が感情的になってしまった場合、そのまま話し合いを進めても口論になるだけで建設的な話し合いは難しいでしょう。

    このような状況になったときは、いったん離婚の話し合いを中断して、再度落ち着いて話ができる状態になるまで待つ方がよいでしょう。焦って離婚の話し合いを進めても逆効果ですので、時間をかけてじっくりと話し合いを進めることを検討してください。

  4. (4)弁護士など第三者に立ち会ってもらうことも検討を

    夫婦だけでは冷静な話し合いが難しいという場合は、親や友人、弁護士などの第三者に立ち会ってもらうことも検討した方がよいかもしれません。

    セックスレスは、非常にデリケートな話題です。そのため、親や友人に聞かれるのは避けたいという場合には、専門家である弁護士に依頼することを検討してみてはいかがでしょうか。

    弁護士であれば、自分の代わりに相手との話し合いを進めてもらうことが可能です。これによって負担を大幅に軽減できるでしょう。離婚協議が完了して合意書を作成する際にも、弁護士に依頼していれば、弁護士に作成してもらえます。離婚問題についての知見が豊富な弁護士とよく相談しながら進めることをおすすめします。

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3、セックスレス離婚に向けた準備と損をしないための知識

セックスレス離婚で損をしないようにするためには、以下のような準備をしておいた方がよいでしょう。

  1. (1)離婚協議で決めるべきこと|財産分与、慰謝料、年金分割

    セックスレスで離婚をする場合、決めるべきことは離婚をするかどうかだけではありません。

    以下のような離婚条件についても取り決めが必要です。

    • 財産分与
    • 年金分割


    セックスレスだけを理由とする場合には慰謝料請求は困難な場合が多いですが、不貞など別の理由もある場合には慰謝料を請求できる場合もあります。

    また、夫婦に子どもがいる場合には、親権、養育費、面会交流についての取り決めも必要です。いきなり離婚を切り出しても自分が希望する離婚条件が明確になっていない状態だと、相手から不利な条件を押し付けられてしまうリスクがあります。そのため、あらかじめ希望する離婚条件を明確にしておくようにしましょう。

  2. (2)慰謝料請求するなら証拠集めは必須

    相手が、不貞行為をしているケースであれば、慰謝料を請求できます。

    ただし、慰謝料請求をするには不貞行為の証拠が必要です。相手に離婚を切り出す前に十分な証拠を確保しておくようにしてください。不貞行為については、メールやSNSで不貞行為をしていることがわかるやり取り(スクリーンショット)、ホテルへ入る瞬間の写真、いわゆるラブホテルへ入ったことがわかる履歴などが証拠として考えられます。

    浮気・不倫の証拠となり得るもの ポイント:直接的に肉体関係を立証できるもの 写真・動画・録音・音声データ・クレカ明細・領収書・メール・SNS等・手帳・日記・メモ・探偵事務所の調査報告書・GPS・ホテルのサービス券

    証拠がない状態で離婚を切り出しても、相手に離婚の意思がなければ簡単には自分の非を認めてはくれず、逆に自分に不利な証拠を処分してしまう可能性もありますので注意が必要です。離婚を切り出す前に、証拠として有効かどうか弁護士に確認しておくことも検討してみてください。

  3. (3)弁護士への相談は早い方がベスト

    セックスレスを理由に離婚をお考えの方は、相手に離婚を切り出す前に弁護士に相談することをおすすめします

    有利な条件で離婚をするには事前にしっかりと準備をしなければなりません。それには、弁護士によるアドバイスやサポートが不可欠となりますので、できる限り早いタイミングで弁護士に相談するようにしましょう。

  4. (4)セックスレスが離婚原因として認められないケース

    離婚について話し合いで解決しない場合には、家庭裁判所の調停や訴訟(裁判)に進むことになります。話し合いや離婚調停では夫婦が合意すればどのような理由でも離婚できますが、訴訟(裁判)になると、民法に定められた事由に該当する場合のみ離婚が認められます。
    ではセックスレスは離婚理由として認められるのでしょうか。
    夫婦の性生活は、婚姻生活において重要な一側面です。そのため、相手が正当な理由なく一方的に性交渉を拒否し、セックスレスの状態が長期間にわたる場合、法定離婚事由のひとつである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、裁判離婚が認められる可能性があります。

    ただし、その判断は個別事情により判断されるため、必ず「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとは言えません。たとえば、セックスレスの経緯やその他の事情によっては、セックスレスを理由に離婚することができない可能性もあります。

    セックスレスが法定離婚事由に該当しない可能性が高い主なケースは以下のとおりです。

    • 夫婦のどちらもセックスに消極的
    • 病気や年齢が理由でセックスができない
    • 妊娠中や体調不良によるセックスレスである
    • 離婚請求をする側が不貞行為をしている(有責配偶者に該当する)

4、セックスレス離婚で弁護士相談が最適な理由

以下のような理由からセックスレスで離婚をお考えの方は、弁護士に相談するのがおすすめです。

  1. (1)プライバシーが守られる

    セックスレスは、非常にデリケートな話題です。そのため、セックスレスで離婚を悩んでいても親や友人には話しにくいという方も少なくありません。そのような場合には、弁護士に相談してください。

    特に、離婚問題についての知見が豊富な弁護士は、セックスレスを理由とするケースを含めさまざまな離婚事案を数多く扱っています。このようなデリケートな悩みを相談したとしても、親身になって適切な解決方法をアドバイスできるため、安心して相談にお越しください。

    また、弁護士には守秘義務がありますので、相談した内容が外部に漏れる心配もありません。

  2. (2)適切な条件での離婚を目指せる

    離婚をする際には、離婚以外にもさまざまな離婚条件の取り決めが必要になります。特に、慰謝料、財産分与、養育費などの金銭的な条件は、離婚後の生活とも直結する重要なものです。可能な限り離婚する前に交渉し、有利な条件で離婚することが、新しい生活を安心してスタートできるか否かのカギを握ります。

    弁護士に相談すれば、弁護士は適切な条件や相場をご説明し、具体的な状況やご希望を踏まえてアドバイスします。よくわからずに不利な条件で離婚してしまうリスクを回避することができます。

    また、弁護士に対応を依頼することにより、相手との交渉を弁護士に任せることも可能です。会話が難しくなってしまった相手とも、適切な条件で離婚できるよう交渉を行えます。

  3. (3)裁判などを視野に入れた対応が可能

    相手との話し合いでは離婚に至らないときは、家庭裁判所に離婚調停の申立てや離婚訴訟の提起を検討することになります。特に、離婚訴訟では法定離婚事由がなければ離婚が認められませんので、セックスレスが法定離婚事由に該当するかどうかが重要なポイントになります。

    弁護士に相談すれば、具体的な状況からセックスレスなどの現在の状況から裁判離婚が可能であるかについて意見やアドバイスをもらえますので、裁判を視野に入れた交渉や証拠収集を行うことが可能です。

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5、まとめ

セックスレスを理由に離婚をする場合、相手に対する離婚の切り出し方によっては、トラブルになる可能性があります。離婚を切り出すタイミングや場所、話し方などを工夫することでスムーズな話し合いを実現できる可能性がありますので、本コラムを参考に実践してみるとよいでしょう。

ただし、離婚時には取り決めるべき事項がたくさんあります。できる限り安心して新生活を送れるような条件で離婚するためにも、切り出す前に弁護士に相談しておくのがおすすめです。セックスレス離婚をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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