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配偶者のいびきでストレスや健康被害が……離婚できる? 弁護士が解説

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更新日:2026年02月04日  公開日:2026年02月04日
配偶者のいびきでストレスや健康被害が……離婚できる? 弁護士が解説

夫や妻のいびきが原因で眠れない、夜中に何度も目が覚めるといった悩みを抱えている方は少なくありません。

慢性的な睡眠不足は、心身に大きなストレスをもたらし、仕事や家庭生活に支障をきたすこともあります。なかには「もう一緒に生活を続けるのは限界かもしれない」と感じ、離婚を考える方もいるでしょう。

残念なことに、法律上「いびき」そのものは離婚理由にはあたりません。特に、相手が離婚に応じない場合、裁判で「いびき」だけを根拠に離婚を認めてもらうのは難しいのが実情です。

ただし、いびきの改善を促しても無視される、治療を拒否する、長期間の別居につながっているなど、夫婦関係の破綻が明らかであれば「婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚が認められる可能性はあります。

本コラムは、配偶者のいびきに悩む方に向けて、離婚できる条件や離婚を切り出す前に準備すべきこと、離婚時に請求できるお金などについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

目次を

1、いびきは離婚理由になるのか? 離婚できる条件とは

配偶者のいびきが原因で強いストレスを抱え、いびき離婚を考える方は少なくありません。以下では、いびきを理由として離婚できる条件について説明します。

  1. (1)協議離婚なら「いびきがきっかけ」でも離婚可能

    日本の法律では、夫婦が合意すれば、理由を問わず離婚することが可能です。

    これを「協議離婚」といい、離婚届を役所に提出するだけで成立します。そのため、配偶者のいびきがきっかけであっても、双方が離婚に合意すれば法的に問題はありません。

  2. (2)相手が離婚に反対する場合は「いびき」だけでは離婚は難しい

    相手が離婚を拒否している場合は、家庭裁判所での「離婚調停」や「離婚裁判」を経なければ離婚は成立しません。

    裁判離婚が認められるためには、以下、民法770条1項で定められた「法定離婚事由」のいずれかに該当する必要があります。

    【法定離婚事由】
    • 不貞行為(浮気・不倫)
    • 悪意の遺棄(生活費を渡さない、同居を拒むなど)
    • 3年以上の生死不明
    • その他婚姻を継続しがたい重大な事由


    いびき単体では、これらの事由には該当しません。しかし、いびきに加えて不貞行為やモラルハラスメントなど、明確に法定離婚事由にあたる事実があれば、裁判でも離婚は認められます

    いびきが理由で離婚を考えている場合は、他の要因との関係性も含めて総合的に主張できるように備えていきましょう。

  3. (3)いびきが「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められる条件

    いびきそのものは離婚事由に該当しませんが、状況によっては「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められる可能性があります。たとえば、以下のようなケースです。

    • 医師の診断をすすめても治療を拒否し続ける
    • 相手がいびきについて無関心で、思いやりのない態度を取り続ける
    • いびきが原因で長期間にわたり、別居せざるを得ない状態になっている
    • 生活習慣の改善を怠り、健康被害を与え続けている
    など


    このように、「改善を求めても応じない態度(改善努力の欠如)」「生活態度の不摂生」「配偶者への思いやりの欠如」などが積み重なり、夫婦関係が完全に破綻していると裁判所に判断されれば、離婚が認められる可能性はあります

    離婚が認められるかどうかは個別の事情によるため、証拠の収集や専門家への相談が重要です。

2、離婚を進める前に準備すべきこと

いびきが原因で離婚を考えている場合、すぐに離婚を切り出すのではなく、まずは改善のための努力や証拠の準備をしておくことが重要です。

特に、裁判離婚を視野に入れると、「改善を求めても無視された」「健康被害が続いた」といった事実を立証できるかどうかが大きなポイントになります。以下では、離婚を有利に進めるために取るべき具体的な準備について説明します。

  1. (1)いびき改善に向けた取り組み

    離婚を検討する前に、まずは配偶者にいびき改善やいびき対策を働きかけましょう。
    たとえば、以下のような対策が考えられます。

    • 耳鼻咽喉科や睡眠専門医への受診を促す
    • 寝室を分けて生活してみる
    • 生活習慣(飲酒・肥満・睡眠姿勢など)の改善をすすめる
    など


    これらの取り組みを試みても相手がいびき治療を拒否したり、無関心な態度を取り続けたりする場合、その姿勢自体が「思いやりの欠如」として裁判で考慮されることがあります。

    また、いびきによって同居が難しくなり、やむを得ず別居を開始した場合には、その経緯を記録しておくことが重要です。これらは将来的に裁判で夫婦関係の破綻を立証するための証拠となる可能性があります。

  2. (2)いびきを理由とする離婚を有利に進めるために集めるべき証拠

    離婚を有利に進めるためには、客観的な証拠収集が重要です。

    いびき自体を録音するだけでは証拠として弱いため、いびきによって生活に支障をきたした事実を裏付ける証拠を用意する必要があります。具体的には、以下のような証拠が有効です。

    • 睡眠障害や体調不良について医師に相談し、診断書を取得する
    • いびき改善を求めたが拒否されたやり取り(LINE・メール・手紙など)
    • 別居期間や生活状況を記録した日記や家計簿
    など


    これらの証拠は、単なる「いびきがうるさい」という不満ではなく、実際に婚姻関係が修復困難な状態にあることを示す根拠として機能します。

  3. (3)不貞やモラハラなど他の離婚事由がある場合の準備

    いびきだけを理由に裁判離婚を成立させるのは、難しいのが実情です。
    しかし、いびき問題に加えて以下のような行為がある場合、離婚事由として強力な証拠となります。

    • 不貞行為(浮気・不倫)
    • DV(暴力)やモラルハラスメント(精神的虐待)
    • 生活費を渡さない、家事育児を放棄するなどの悪意の遺棄
    など


    これらは民法で定められた離婚原因に該当する可能性があるため、証拠があれば裁判でも離婚が認められやすくなります。いびき問題だけに注目するのではなく、日常生活での他の問題点についても証拠を集めておくことが大切です

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3、離婚する場合に請求できるお金|慰謝料請求はできる?

離婚を考えるとき、多くの方が気になるのが「お金の問題」です。特に、配偶者のいびきが原因で心身に負担を抱えた場合、慰謝料が請求できるのかどうかを知りたい方も多いでしょう。

以下では、離婚時に一般的に請求できるお金と、いびきが慰謝料請求の対象になり得るかについて解説します。

  1. (1)離婚する場合に請求できるお金

    離婚の際に、慰謝料以外に請求できる可能性のあるお金には、以下のようなものがあります。

    ① 財産分与
    財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を分ける制度です。対象となる財産には、預貯金や不動産、車、退職金などが含まれ、原則として2分の1ずつ分けるのが基本です(清算的財産分与)。

    ② 養育費
    未成年の子どもがいる場合、離婚後に子どもを監護していない親は、養育費を支払う義務があります。養育費の金額は、家庭裁判所の養育費算定表を目安に決めるのが一般的です。養育費の金額は、収入や子どもの人数・年齢などによって異なります。
    ベリーベスト法律事務所では、養育費を無料で計算できるシミュレーションツールを公開しておりますので、ご活用ください。

    ③ 年金分割
    婚姻期間中に夫婦の一方が厚生年金に加入していた場合、離婚後に相手の年金記録を分割できます(年金分割制度)。専業主婦(夫)などの場合、老後の生活保障に直結するため重要です。
  2. (2)いびき単体では慰謝料請求は難しい

    慰謝料とは、配偶者の不法行為や有責行為によって精神的苦痛を受けた場合に請求できるお金です。代表的なのは、不貞行為(不倫)やDV(身体的暴力)、モラハラ(精神的虐待)などが挙げられます。

    一方、いびきは基本的に病気や体質によるものであり、配偶者に故意や悪意がないことが多いため、慰謝料の対象になることはほとんどありません。

    そのため、いびきだけを理由に慰謝料を請求しても、裁判で認められる可能性は低いと考えられます。

  3. (3)いびきが原因で健康被害が生じている場合には慰謝料請求できる可能性あり

    いびきが原因で一定の事情が重なっていれば、慰謝料が認められる可能性はゼロではありません。

    特に、以下のような状況が認められる場合には、いびきに関する問題が「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)に該当すると判断されるとともに、慰謝料の請求が認められる可能性があります。

    • いびきが原因で慢性的な睡眠障害になり、医師の診断を受けている
    • 配偶者に治療をすすめても拒否され続けた
    • 健康被害や長期の別居につながり、婚姻関係が破綻した


    このようなケースでは、いびきそのものではなく、「改善に応じない姿勢」や「健康被害・別居の結果」が重視されます。この判断はケースバイケースであり、請求が認められるかどうかは証拠の有無や夫婦関係全体の状況によって変わります。

4、離婚したいときに弁護士に相談するメリット

いびき問題が原因で離婚を考えていても、「本当に離婚できるのか」「慰謝料は請求できるのか」など、不安や疑問は尽きません。特に、相手が離婚に反対している場合や財産分与・養育費など金銭面での対立が予想される場合には、弁護士に相談した方がよいでしょう

以下では、弁護士に相談する主なメリットを説明します。

  1. (1)相手との交渉を任せられる

    配偶者との直接の話し合いは感情的になりやすく、合意形成が難しくなることがあります。
    弁護士に依頼すれば、代理人として相手方との交渉を一任できるため、精神的な負担を軽減しつつ、無用なトラブルを避けて離婚を進めることができます。

    また、離婚調停や裁判に発展した場合でも、弁護士が手続きや主張の整理を行い、あなたの立場を法的に適切に主張してくれます。そのため、不安の多い離婚問題を安心して任せることができます。

  2. (2)財産分与や養育費の交渉を有利に進められる

    財産分与や養育費は、離婚後の生活設計に直結する重要な問題です。しかし、正確な財産額の把握や養育費の算定は、法律や実務に関する知識が不可欠です。

    弁護士に依頼することで、隠された財産の調査や適正な養育費の請求が可能になり、経済的に有利な離婚を目指すことができます

  3. (3)慰謝料が請求できる場合があるか見極められる

    いびきが原因で健康被害が出ている場合、慰謝料を請求できる可能性はありますが、事案によって認められるかどうかは大きく異なります。

    弁護士に相談することで、次のようなポイントを法的観点から客観的に判断してもらうことができます。

    • どのような証拠を集めればよいか
    • 請求が認められる可能性があるか
    • 他の離婚事由と併せて請求できるか


    自分だけでは判断が難しい部分について、法的な見解に基づいて対応を見極められることは大きなメリットです。

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5、弁護士からのメッセージ

配偶者のいびきは深刻なストレスや健康被害をもたらすことがあります。

協議離婚であれば、夫婦が合意すれば「いびきがきっかけ」でも離婚が可能ですが、相手が反対する場合、裁判離婚では「いびき単体」での離婚は認められず、治療拒否や長期別居など夫婦関係が破綻している実態が必要です。

そのため、いびきによるストレスを発端に離婚を考えている方は、離婚の可否や集めるべき証拠、離婚に向けてできることなどのアドバイスをしてもらうためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

いびきの悩みから離婚を真剣に考えている方は、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。離婚専門チームの弁護士が親身にお話を伺いながら、サポートいたします。

なお、弁護士相談は、来所による直接相談だけでなく、電話やZoomを活用したオンライン相談も可能です。

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この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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