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別居中の妻から多額の生活費を請求された! 婚姻費用の基礎知識と減額について

2019年07月11日
別居中の妻から多額の生活費を請求された! 婚姻費用の基礎知識と減額について

別居した途端、妻から生活費を請求されて驚く方もいらっしゃることでしょう。まして、別居の原因が妻にあると考えているような場合には、妻の生活費を払いたくないという気持ちもあるかもしれません。
しかし、夫婦である以上、別居中の費用(婚姻費用)の支払いは避けては通れません。本コラムでは婚姻費用の基礎知識や減額する方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、婚姻費用とは

  1. (1)婚姻費用についての基礎知識

    結婚すると、夫婦(子がいれば子も)は同居して共同生活を営むことになります。その生活全体にかかる費用が婚姻費用です。
    夫婦それぞれの収入・財産に応じた生活水準を基準として、食費や居住費、交際費、医療費、子どもの教育費など、婚姻生活で必要となる費用ともいえます。

  2. (2)誰が払うのか

    民法上、婚姻費用は、夫婦間で分担すべきものとされています(民法760条)。その根拠は、夫婦間の生活保持義務です。具体的には、夫婦はお互いに同程度の生活をさせる義務がある、いわば、ひとつのパンを同じ大きさで分け合うべきであるという考え方に基づいています。

    現実的には、夫婦のうち、収入の多いほうが少ないほうへ生活費を渡すことで、夫婦が同程度の生活水準を保つことになります。夫婦が同居している場合は、衣食住を共にしているので、婚姻費用が問題なることはめったにありません。しかし、たとえば夫が専業主婦の妻に対して給料を全く渡さなくなった場合には問題となります。
    また、夫婦関係が悪化して、別居に至った後、夫が妻への生活費の支払いをストップさせ、妻から婚姻費用を請求されるということは現実によくある話です。

  3. (3)いつまで払うのか

    夫婦が不仲になった場合、そして、時には離婚話さえ出ている場合、別居した妻に対して婚姻費用を払うのは、夫としては納得がいかないこともあります。
    しかし、婚姻費用は、あくまで法律上の夫婦間の生活保持義務を根拠としますので、不仲で別居中であっても、通常は正式に離婚が成立するまで、または、夫婦関係が修復して同居により財布がひとつとなるまでは、婚姻費用を支払い続ける義務があるのです。

2、婚姻費用の相場と、金額の決め方について

  1. (1)婚姻費用に相場はない

    婚姻費用の額は、慰謝料のように相場感で決められるものではなく、裁判所が使う計算式によって決められていきます。原則としては、夫婦双方の収入と、子どもの人数と年齢に応じて決まります。
    細かく言えば、たとえばローンや賃料を誰が負担しているか、その家には誰が住んでいるか、特殊な養育費がかかるかなど、通常と異なる事情があれば修正がなされます。

    なお、この計算式自体は複雑ですが、いちいち計算しなくても、簡単に婚姻費用の目安がわかるように、裁判所のホームページで算定表が公表されています。この表を見れば、仮に妻から婚姻費用の支払いを裁判所に申し立てられた場合、自分がどれくらい婚姻費用を支払わなければならないのか見積もることができます。ただし、夫婦双方の年収が必要ですので、収入のわかる書類を用意してから確認しましょう。

  2. (2)基本は夫婦の話し合いで決められる

    婚姻費用には算定基準がありますが、これは裁判所が用いる基準です。したがって、夫婦の間で話し合いがまとまるのであればその金額で合意すればよく、必ずしも裁判所の基準で決めなければならないわけではありません。本人たちが良ければ、たとえ裁判所が用いる基準の金額とはかけ離れていても、それで決定すればよいわけです。

  3. (3)話し合いでまとまらない場合は、調停・審判で決定される

    とはいえ、夫婦間で簡単に婚姻費用がまとまるとは限りません。妻は多く払ってもらいたいし、夫はなるべく払いたくなく減額したいわけですから、結局、まとまらずに紛争が大きくなる場合もあります。
    このような場合は、通常、妻側が裁判所に調停を申し立てて、支払いを求めてくることが多いものです。

    調停を申し立てられると、夫側に裁判所から呼び出し状が来ます。呼び出し状を放っておくと、自分の知らないところで審判に移行し、婚姻費用の支払額が決定される可能性があります。婚姻費用は妻と子どもの生活費そのものなので、相手が来ないからと言って放っておけば生活に困窮する場合もあるからです。

    この点は、離婚調停と異なる点です(離婚調停は片方が出席しないまま勝手に結論が出されることはありません)ので、裁判所の呼び出しは無視せず対応するようにしましょう。
    調停や審判では、原則として、裁判所の婚姻費用算定基準に沿って金額が決定されます。

3、婚姻費用の減額は可能?

  1. (1)調停で減額する方法

    調停では、婚姻費用の算定基準を中心に金額を検討しますが、とはいえ、調停とはあくまで話し合いの場でもあります。調停委員はお互いの言い分を聞いて、できるだけ合意ができるように調整を図ります。

    たとえば、収入はあるけれども、多額の借金もあって弁済が苦しいだとか、自分が病気で収入が減っているとか、さまざまな事情を率直に伝えることで、減額に向けて調整してくれる可能性もあります。もちろん、相手が承諾しなければ調停は成立しませんが、できるだけの減額主張はしてみる価値があるでしょう。

  2. (2)一度決定した婚姻費用は減額できる?

    婚姻費用をいったん取り決めた後、その決まった分担額を減額させることはできるでしょうか。収入は当然変動しますし、社会経済事情も移り変わりますから、そうした事情に合わせて、婚姻費用の支払いを減らしたいというときもあるはずです。
    まず、手続きとしては、婚姻費用減額調停という手続きを家庭裁判所に申し立てることは可能です。しかし、実際に減額を認めるかという点については、裁判所は非常に厳しい態度をとっています。

    というのは、将来の収入が変動すること、社会情勢が変化することは、いわば当たり前のことであって、そうした事情もある程度前提としたうえで婚姻費用を決定したと考えられているからです。

    過去の裁判例でも、「事情の変更による婚姻費用の減額は、その調停や審判が確定したときには予測できなかった後発的な事情の発生により、その内容をそのまま維持させることが一方の当事者に著しく酷であって、客観的に当事者間の衡平を害する結果になると認められるような例外的な場合に限って許される」と判断しています(東京高等裁判所平成26年11月26日判決)。収入が多少減った程度では、婚姻費用を減額変更できないと考えたほうがよいでしょう。

  3. (3)支払いを拒否したらどうなる?

    婚姻費用の金額に納得できず、支払いを拒否した場合は、差し押さえなどの強制執行を受けるリスクがあります。給料や預貯金、不動産などが対象となります。
    なお、婚姻費用については、一般の金銭の差し押さえよりも強力な権利が付与されている点に注意が必要です。

    具体的には、未払いがあると、未払い分だけではなく、将来の支払い分についても同時に強制執行できることになっています。さらに、給料差し押さえの場合、一般の金銭では、原則として給料の4分の1までしか差し押さえることはできません。しかし、婚姻費用の場合は、給料の2分の1までの差し押さえが認められます。一度決まった婚姻費用は、きちんと払い続ける必要があるのです。

4、実際の婚姻費用減額の事例とポイント解説!

実際に当事務所でご依頼を受けて、相手の請求額からの減額が認められた事例をご紹介します。
ご相談に来られた方は40代男性でした。男性は離婚調停中で、離婚成立までの婚姻費用について、妻から38万円が請求されました。当事務所弁護士が代理人となって調停対応を行い、調停は成立させないほうが得策と判断して審判へ移行させた結果、最終的には月額26万1000円での審判が成立し、12万円近く減額することができました。

5、別居から離婚に至った場合、未払い婚姻費用は請求される?

別居中に婚姻費用の未払い分がある場合、さかのぼって支払う必要があるのでしょうか。
この点については、原則として婚姻費用は請求したときから支払うということになっています。
調停などで婚姻費用をいつから支払うと取り決めた以降は、その決まりごとに従って支払い義務が生じています。未払いの婚姻費用もただの支払い遅延ですから、支払う必要があります。これは財産分与とは無関係です。
他方、離婚までの間に、婚姻費用のきちんとした請求がないままずるずると来ていたのであれば、未払い分を支払う必要はありません。

6、まとめ

どんなに不仲で、離婚話が進んでいても、戸籍上の夫婦である限りは、婚姻費用を支払うべき義務があるわけです。この義務は、離婚が正式に成立するまで消えることはありませんので、婚姻費用を支払いたくなければ、早期に離婚を成立させるしかありません。

調停や審判などで決まったのに、もし支払わなければ、差し押さえなどの不利益を受けるリスクもあります。また、婚姻費用を払わない夫の態度に相手が腹を立てて、離婚がスムーズに進まなくなり、結果として長期にわたって婚姻費用を払わされることになる可能性も高まります。
婚姻費用については、きちんと相手と話し合って正当な金額を決定すること、決定した以上は腹をくくってきちんと遅れることなく支払うこと、そして、並行して離婚話を進めることが得策といえるでしょう。

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