精神病を理由に離婚できる? 民法改正後の内容や注意点、進め方を解説
配偶者が強度の精神病(精神疾患)に罹っている場合、婚姻生活を続けていくのがつらくなってしまうこともあるでしょう。
令和8年(2026年)4月1日に施行された改正民法では、法定離婚事由(=裁判で離婚が認められる理由)から「強度の精神病」が削除されました。しかし引き続き、強度の精神病を抱える配偶者に離婚を請求することはできると考えられます。弁護士のサポートを受けながら、スムーズな離婚成立を目指しましょう。
本コラムでは、配偶者の精神病が原因で離婚したいと思った際に知っておくべきポイントを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
目次を
1、配偶者の精神病を理由に離婚できる可能性はある
令和8年(2026年)4月1日から施行された改正民法では、「配偶者が強度の精神病に罹り回復の見込みがないこと」が法定離婚事由(=裁判で離婚が認められる理由)から削除されました。
しかし、配偶者が強度の精神病に罹っていることは「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たり得るので、引き続き離婚を請求することはできると考えられます。
まずは協議(話し合い)から始めて、まとまらなければ家庭裁判所での調停や訴訟で解決を目指していくことになります。
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(1)【令和8年4月改正】法定離婚事由から「強度の精神病」が削除
夫婦が離婚する際には双方の合意によるのが原則ですが、いずれか一方が離婚を拒否するケースもあります。その場合、強制的に離婚を成立させるためには、訴訟(裁判)で「法定離婚事由(離婚原因)」を立証して、裁判所に離婚を認めてもらわなければなりません。
現行民法では、以下の4つの法定離婚事由が定められています。- ① 不貞行為
- ② 悪意の遺棄
- ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
- ④ その他、婚姻を継続し難い重大な事由
従来は「配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと」も法定離婚事由とされていましたが、令和8年4月に施行された民法改正によって削除されました。
削除の背景としては、人権侵害や差別を助長する可能性があるとの懸念や、医学の進歩によって「回復不可能」であるか否かの判断が難しくなったことが挙げられます。 -
(2)強度の精神病は「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たり得る
法定離婚事由から「強度の精神病」が削除されたものの、配偶者が強度の精神病に罹っている場合は、法定離婚事由のひとつである「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たる可能性があります。
実務上は、法改正の前後において、配偶者の精神病が法定離婚事由に当たるかどうかの判断に大きな変化はないと考えられており、精神病の重症度や、配偶者の療養や生活などについてめどを立てたかどうか、などが考慮要素となっています。 -
(3)配偶者と離婚するための手続き|まずは協議や調停から
配偶者と離婚するための手続きには主に「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」があり、この順番で手続きを進めます。
これは、配偶者が精神病だったときの特別な手続きではなく、離婚を希望する方は誰でもこの流れで手続きを進めることになります。① 協議離婚
夫婦間で離婚条件などを話し合い、合意によって離婚します。
詳しい進め方は「“協議離婚”とは? 進め方と決めておくべきことを弁護士が解説」の記事をご参照ください。
② 調停離婚
家庭裁判所での調停で、中立の調停委員を介して話し合い、合意によって離婚します。細かい点についてのみ合意ができない場合には、家庭裁判所が審判によって離婚を成立させることもあります。
詳しい流れは「離婚調停とは? 手続きの流れや“有利に進めるポイント”を解説」の記事をご参照ください。
③ 裁判離婚
家庭裁判所で離婚訴訟(裁判)を提起し、裁判所の判決で離婚を認めてもらえれば離婚できます。当事者が訴訟の中で離婚に合意することができれば、和解して離婚することもあります(「和解離婚」)。なお、離婚訴訟を提起するためには、原則として先に離婚調停を申し立てなければなりません(調停前置主義)。
訴訟の詳細は「離婚訴訟(裁判離婚)の流れは? 費用や期間はどれくらい? 裁判例も紹介」のページをご参照ください。
厚生労働省が公表している令和4年度の「離婚に関する統計の概況」によれば、令和2年度に成立した離婚の種類は以下のとおり分布しており、協議離婚が圧倒的に多数となっています。
協議離婚 88.3% 調停離婚 8.3% 審判離婚 1.2% 和解離婚 1.3% 判決離婚 0.9%
協議や調停によって配偶者と合意すれば、理由を問わず離婚することが可能です。まずは協議離婚を目指す方が大半です。
ただし、精神病の配偶者との協議離婚を無理に成立させようとすると、後で相手から離婚無効を主張されてしまうおそれがあります。そうならないように、次の項目で解説する注意点を踏まえて対応しましょう。
2、精神病の配偶者と離婚しようとする際の注意点
精神病の配偶者と離婚したいときに、やるべきこととやってはいけないことを解説します。
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(1)精神病の配偶者と離婚しようとする際にやるべきこと
精神病の配偶者との協議離婚を無理やり成立させようとすると、後で相手から離婚の無効を主張されるおそれがあります。
後から離婚の有効性について争われることは大きな負担となりますので、それを回避するためには、当事者間での協議離婚ではなく、裁判所での離婚調停や裁判による離婚を目指すことも考えられます。
また、裁判離婚を見据えて、精神疾患をかかえる配偶者の療養や生活のめどを立てることも考えましょう。たとえば、医療施設や介護施設への入所を手配したり、当面の間の医療費・介護費や生活費を支出したりすることがあり得ます。 -
(2)精神病の配偶者と離婚しようとする際にやってはいけないこと
精神病の配偶者と離婚するに当たって、以下の行動をすると深刻なトラブルの原因になり得ます。これらの行動をとることは避けてください。
- 配偶者を一方的に家から追い出す
- 医療費、介護費、生活費などの支援を突然打ち切る
- 精神病に罹っていること自体を理由に相手を責め立てる
3、精神病の配偶者との離婚で訴訟(裁判)になった際の対応ポイント
精神病に罹った配偶者と離婚について話し合っても、相手が拒否して訴訟(裁判)になることは十分想定されます。訴訟が避けられなくなったときに、対応に当たって注意すべきポイントを解説します。
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(1)法定離婚事由を立証するためのポイント
訴訟で強制的に離婚を成立させるためには、法定離婚事由を立証する必要があります。精神病を理由に離婚を請求する場合は、主に「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるか否かが問題となります。
婚姻を継続し難い重大な事由があるかどうかは、さまざまな事情を総合的に考慮して判断されます。具体的には以下に挙げる要素などが考慮されるので、これらのポイントを踏まえて主張・立証を行うことが大切です。【精神病との関係で考慮される要素】
- 精神病が重症であり、回復の見込みがないと医学的に判断されているか
- 介護の負担が重く、婚姻関係を続けさせるのが酷であるといえるか
- 費用の負担などを通じて、相手の療養や生活のめどを立てたか
【その他の事情との関係で考慮される要素】
- 別居している場合は、その期間(長いほど離婚が認められやすい)
- 夫婦間の信頼関係の状況
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(2)離婚請求が認められにくいケースと対策
住居や安定した収入、施設への入所など、相手の生活基盤が整っていない場合は、離婚をすると相手の生活が破綻する可能性が高いでしょう。このような場合には、訴訟で強制的に離婚が認められる可能性は低くなる可能性があります。
離婚が認められにくいと思われる場合は、前章で挙げている立証ポイントを踏まえて、相手に対して経済的な支援を行うなどの対策を講じることも検討する必要があります。対策を講じるにあたっては、弁護士のアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。
もし離婚訴訟で敗訴してしまった場合は、改めて離婚に向けた協議を続けることも考えられます。離婚に向けた課題を整理して解決を試みましょう。
自力で話し合いを続けるのが大変だと感じているなら、弁護士を代理人に立てることをおすすめします。
お悩みの方はご相談ください
4、弁護士からのメッセージ
令和8年4月に施行された民法改正により「強度の精神病」は法定離婚事由から削除されました。
しかし、配偶者の精神病は「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たり得るため、引き続き訴訟で離婚を請求する余地があります。配偶者が精神病に罹り、介護などが大変で離婚を考えている方は、弁護士にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は離婚専門チームを編成しており、離婚に関する無料相談を受け付けております。全国に事務所を展開しており、離婚に詳しい弁護士が多数在籍しておりますので、まずは当事務所へご相談ください。
財産分与・慰謝料・親権・養育費など、離婚に付随するさまざまな問題についても丁寧にサポートいたします。
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- 設立
- 2010年12月16日
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[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
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