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精神病になったら離婚されても仕方ない?

2017年12月01日
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精神病になったら離婚されても仕方ない?

「病めるときも、健やかなるときも……」
結婚とは、この言葉のとおり、生涯より沿い支えあうことを誓いあってするものです。
このことについては、民法第752条でも「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と明言されています。

しかし、あなた自身が精神病になってしまった途端とたん、配偶者の態度が一変してしまったと悩む方は少なくありません。場合によっては、精神病を理由に離婚を求められる方もいます。

精神病になったことで苦しんでいるとき、一番の理解者であってほしい配偶者が理解してくれない、それどころか離れようとしていることに、どうしたらいいのかと途方にくれる方も多いでしょう。おそらくこの情報を調べてこのページにたどり着くことさえ、大変な労力が必要だったことと思います。

そこで今回は、精神病と離婚をテーマにお送りします。あなたの人生において重要な局面に、少しでもお役に立てれば幸いです。

1、精神病は離婚の理由になる?

当事者が話し合いや調停で合意したうえで離婚する場合には、どのような理由で離婚することも自由ですが、訴訟になった場合には、法律によって決められた事由が認められない限り離婚請求は認められません。
民法第770条1項は、訴訟となった場合にも離婚しうる事由として以下の5つを定めています。

  1. 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

四号において精神病が離婚の理由になる場合があると定められていますが、「強度の精神病」かつ「回復の見込みがない」という限定がかけられてます。

結婚をして夫婦になるということは、法的な面で見ると「婚姻」という契約を結び、「協力義務」と「扶助義務」を互いに負う関係になるということです。つまり、配偶者が病に苦しんでいるときは協力しなければなりませんし、生活全般も扶助しなければならないのが、夫婦となったふたりに課せられた義務でもあります。
しかしながら、当事者の意思を無視し、能力を超えてまで、病者の保護を強制することはできないという考えから、「強度の精神病」かつ「回復の見込みがない」場合にだけ、精神病はそれ自体で離婚の事由になるということです。

  1. (1)「強度の精神病」とは

    「強度の精神病」とは、その精神障害の程度が婚姻の本質である夫婦の相互協力義務を十分に果たせない程度に達している場合をいい、必ずしも心神喪失の状況に達していることは必要ではないと考えられています。
    「強度の精神病」であるかどうかは、まずは専門医の鑑定を受けて、その結果をもとに、最終的には法律的に判断されます。

  2. (2)「回復の見込みがない」とは?

    次に、「回復の見込みがない」かが問題になります。これも、「強度の精神病」と同じく、専門医の鑑定を素材にして、最終的には裁判所により法律的に判断されることになります。「回復の見込みがない」かは、ある程度長期間にわたる治療をしていないと判断が難しい問題ですから、長期間の治療がない場合には、これはなかなか認められないということになります。

    精神病患者は、年々増加していると言われています。厚生労働省が発表しているデータを見ると、患者数そのものは年々増加していることは確かです。しかし一方で、入院が必要と診断される重篤なケースは、年々微弱していて、平成26年度の統計においては26万5500人とされています(厚生労働省「平成26年患者調査」)。

    また、現代医療は年々発達しています。再発しやすいと言われているうつ病も、さまざまなアプローチによって治癒はできますし、社会復帰されている方もたくさんいらっしゃいます。
    こういった状況の変化から、現在は、「回復の見込みがない」と判断されるケースは少なくなっています。

    ただし、本人が、治療の努力をしていない場合には、治療を受けて回復する可能性を自分でつぶしているということになりますから、「回復の見込みがない」という点において、不利に考慮される可能性があるといえます。

    治療の努力をしていないとは、具体的には、

    • 不眠や情緒不安定などの状態が続いており、周囲に通院を勧められているのに病院へ行かない
    • 禁酒などの生活改善指導、通院頻度など、医師の指示に従っていない
    • 医師から処方された薬を、自己判断で飲まない

    など

    これらの事情が認められれば、不利に考慮される可能性がありますので、治療は継続しましょう。

2、精神病患者でも離婚を認められてしまうケースとは?

  1. (1)総合考慮によって

    仮に「強度の精神病」かつ「回復の見込みがない」と認められないとしても、離婚が認められてしまう場合があります。その多くのケースが、強度かつ回復の見込みがない精神病(法770条1項4号)ではなく、その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(5号)に該当するとして離婚を認めたものです。

    精神病により、家族に悪影響が出ている、DVや暴言がある、子育てなど家庭のことに一切協力しないなどの事情が認められる場合に、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するとして、離婚請求を認めているケースがあります。

  2. (2)病気以外の離婚理由がある

    民法770条では、強度かつ回復の見込みがない精神病以外にも離婚ができる事由を挙げています。

    具体的には、

    • あなた自身が不倫をしている・していた
    • 生活費を渡さない、ギャンブル等の浪費癖がある
    • あなた自身が家に帰らない
    • 家事や育児に協力せず、パートナーに押し付けている
    • 暴力をふるう、ものに当たる、暴言を吐くなど、DVと評価される行動をしている

    など

    あなたについて、上記のような事由が認められる場合には、病気はとにかくとして、離婚が認められる可能性があります。

  3. (3)離婚の条件に生活の援助がある

    仮に「強度の精神病」かつ「回復の見込みがない」と認められてしまったとしても、離婚が認められない場合があります。 民法770条2項は、1項で挙げた事由が認められる場合でも、「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認める」場合には、離婚できないと定めています。精神病に関して言えば、「強度の精神病」かつ「回復の見込みがない」という一事をもって離婚請求を認容してしまうと、病者の看護者がいなくなるなどして病者の生活環境が劣悪になってしまうという場合は、ただちに離婚を認めてしまうことは妥当ではないという考えから、離婚請求が否定される可能性があるということです。
    最高裁判所は、「民法は、単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一時をもって直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等について出来る限りの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込みのついた上でなければ、直ちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許されない法意であると解すべきである」と判示し、「具体的な方途の見込み」の存在を、離婚を認める要件とする考え方を示しています(最判昭和33年7月25日民集12巻12号1823頁)。

    現在の実務においても、この「具体的な方途」が講じられているかどうかが重視されています。

    その後の裁判例においては、

    1. 将来の療育費について可能な範囲の支払いをなす意思があることを表明し、夫婦間の子をその出生時から引き続き養育している等の事情が認められる事例
    2. 離婚後に妻が生活保護を受けられるような措置を夫が講じ、また、離婚後でも妻に面会に行く等精神的援護をするという意思表示をしている事例

    などで、「具体的な方途」があるとして離婚が認められています。
    したがって、「具体的な方途」として、将来の療育費の支払いについて提案がなされるなどした場合には、離婚が認められるということになります。
    精神病は早期回復例が少なく、数年にわたる治療が必要となるケースが多いものです。一般的に、配偶者に支えてもらえることで、より良い治療ができると言われていますが、残念ながら、あなたを支えるべき配偶者の体力・精神力・経済力にも限界があります。配偶者側の離婚への意志が固く、かつ、数年分の生活費を補てんするなどの条件提示がある場合は、調停委員から離婚を承諾するよう、勧められるケースもあります。

3、調停に呼び出されたとき、どうすべきか

  1. (1)調停とは

    話し合いでは和解できない場合、配偶者が離婚に向けた調停を申し立てることがあります。その場合、あなたのもとへ、裁判所より通知が届きます。

    裁判所から通知が来ると、驚いたり、慌てたりしてしまうかもしれません。しかし、調停はあくまで話し合いの場です。なにかを罰したり、裁いたりする場所ではありませんから、過剰な不安を抱く必要はありません。

    調停は、男女2名の調停委員にあなたの主張を伝えることで、互いの希望の落としどころを探してくれる話し合いの制度です。調停委員は、いわば仲介役です。話をするときは、パートナーとあなたは別々に呼ばれるため、顔を合わせることはありません。調停委員には、あなた自身の意見をしっかり伝えてください。

    調停は、男女2名の調停委員にあなたの主張を伝えることで、互いの希望の落としどころを探してくれる話し合いの制度です。調停委員は、いわば仲介役です。話をするときは、パートナーとあなたは別々に呼ばれるため、顔を合わせることはありません。調停委員には、あなた自身の意見をしっかり伝えてください。

  2. (2)弁護士に依頼する

    しかし、体調や状況によっては、調停委員とはいえ、知らない人の前で話をすることや、そもそも裁判所へ足を運ぶことそのものが難しいこともあるでしょう。そんなときは弁護士を代理人とするのも一つの手です。

    弁護士を代理人とすると、多くのメリットがあります。法的なアドバイスはもちろん、状況を有利に進めるためのアドバイスを受けることができます。さらには、調停に同行してもらうことはもちろん、あなたが調停に行けないときも、代わりに出席してくれます。

    弁護士に実際に依頼すると弁護士費用がかかりますが、弁護士事務所によっては無料の法律相談を行っていますし、法テラスや市区町村でも無料の法律相談を提供していますので、まずは、無料の相談をしてみることをおすすめします。現在の状況を正確に把握して、今後の対応についてアドバイスを受ければ、混乱し途方に暮れている現状から抜け出すこともできるかもしれません。

4、情のない相手とは別れてしまうのも一つの手

ここまでは、あなたが離婚を回避する方法についてお届けしました。

人間、誰しも体調不良や、ピンチに襲われることがあります。そんなとき、問われるのが、夫婦の絆です。「配偶者が辛い思いをしているときに別れようと考える人」は、本当にあなたの人生の伴侶としてふさわしいでしょうか。

配偶者もおそらく悩み、考えた末の結論でしょう。とはいえ、あなたの精神状態を顧みず、離婚を求めることには怒りもあるのではないでしょうか。
配偶者との信頼関係が維持できないと感じるのであれば、よいきっかけと考えて離婚するのも一つの手です。

もし、あなたは離婚を希望していないにも関わらず、相手から離婚をきりだされた場合、あなたは相手に対して、以下の要求が可能となります。

離婚した場合

  • 財産分与
  • 相手の要求により離婚をしたことに対する慰謝料請求
  • (親権があなたにあれば)子どもの養育費
離婚はせず、別居だけの場合
  • 婚姻費用(生活費)

今、決断を下すことはとても苦しいことです。一緒に困難を乗り越えることで絆を深めた夫婦もたくさんいます。状況が難しく、冷静な判断ができないと思ったとき、一人で抱え込まないでください。ぜひ、あなたを診察している病院の医師やカウンセラー、そして、弁護士に相談してみましょう。必ず力になってくれるはずです。

5、まとめ

今回は、精神病になってしまったとき、配偶者が離婚を申し出たときは受け入れなければならないのか?という問題についてお送りしました。
精神病があなたにもたらす苦痛は、言葉にできないものでしょう。そのうえ、信頼していたはずの配偶者から離婚を切り出されれば、さらなる苦痛を感じるものと思います。

結論としては、『重度の精神病』であり、『回復の見込みがない』と言えなければ、精神病だけを理由に離婚することは容易ではありません。とはいえ、精神病があり、配偶者から拒絶された状態では、話し合いの場を持つことさえ困難なこともあります。そんなときは、ぜひ弁護士に相談してみてください。きっとあなたの力になります。

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