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偽装離婚は犯罪って本当?偽装離婚する前に知っておきたいこと

2018年08月20日
  • 離婚
  • 偽装離婚
偽装離婚は犯罪って本当?偽装離婚する前に知っておきたいこと

「偽装離婚」をご存知でしょうか?
聞いたことはあっても、具体的にどういうことかわからない、という方も多いでしょう。
最近では、生活保護を不正受給するため、借金逃れするため、子どもを保育園に入れるためなどの目的で、偽装離婚する夫婦が増えています。軽い気持ちでやってしまいがちな偽装離婚ですが、実際にすると、「犯罪」が成立する可能性もあります。
今回は、「偽装離婚」の問題点について、法的な観点から解説します。

1、偽装離婚とは?

そもそも、「偽装離婚」とはどういったことなのでしょうか?

  1. (1)偽装離婚と、その目的

    偽装離婚は、「実際に結婚相手と離婚するつもりはないけれど、離婚届のみを役所に提出すること」です。偽装離婚すると、戸籍が書き換わるので、夫婦は戸籍上「他人」となります。夫と妻は、それまでの既婚者としての地位を失い、それぞれが独身者となり、住民票も分けることが通常です。
    しかし、偽装離婚の場合、実態としての夫婦の結婚生活は、ほとんどあるいはまったく変わりません。住民票だけを別々にして、そのまま同じ家に住み続けることもありますし、別居するとしても、頻繁に会って一緒の時間を過ごします。

    偽装離婚の目的は、以下のようなことです。

    • 生活保護、児童扶養手当の受給
    • 財産隠し(借金逃れなど)
    • 保育園に優先的に入れるため

    以下で、それぞれについて詳しく説明します。

  2. (2)生活保護費、児童扶養手当の不正受給

    まず、生活保護費を受給しようという目的を持ったケースです。
    夫婦として生活していると、夫などが外で働いて収入を得ているので、世帯として充分な収入があると判断されて、生活保護を受けにくいです。
    これに対し、離婚して世帯を分けてしまい、妻が子どもを引き取ったことにすると、妻の世帯にはほとんど収入が得られないことになり、生活保護の申請が通る可能性が高まります。また、離婚すると、親権者となった親は、児童手当や児童扶養手当(母子手当)を受けることも可能です。
    生活保護と児童扶養手当を足すと、婚姻中よりも、毎月20万円以上も多くお金が入ってくることも、珍しくありません。

  3. (3)財産隠し

    次に、財産隠し目的を持ったケースもあります。
    たとえば、借金に追われている場合には、自己破産が有効な解決方法となりますが、破産すると、破産者の財産はすべて失われてしまいます。
    ただ、自己破産するとき、配偶者への「適正な範囲の財産分与」や「慰謝料の支払い」であれば、特に問題視されずに認められます。
    そこで、この制度を悪用して、自己破産前に離婚し、配偶者に「財産分与」と称して夫婦の共有財産を渡して、自分は一文無しの状態となって自己破産することがあります。
    偽装離婚なので夫婦の実体はなくならず、自己破産後も、以前と変わらない生活と財産を維持したまま、借金だけをなくそうという算段です。

  4. (4)保育園に優先的に入れるため

    最近は、待機児童問題のために、保育園に優先的に入れるという目的を持つケースも増えてきています。
    待機児童問題とは、保育園不足により、子どもが認可保育園には入れないという問題です。
    ただ、母子家庭や父子家庭などのひとり親家庭の場合、優先して認可保育園に入れる自治体が多くなっています。そこで、保育園に入れない親が、子どもを保育園に入れるために偽装離婚するのです。
    この場合にも、夫婦や家族としての実態は変わらず、子どもと両親が一緒に暮らし続けていたり、近くに住んで頻繁に会ったりしていますが、書類上だけで離婚をして、子どもを保育園に入れようとすることになります。

2、偽装離婚が判明する3つのパターン

近年、偽装離婚についてネットでその方法が記載されていること等により、他の人もやっているし、どうせバレないだろうという安易な気持ちでおこなってしまう人が増えてきています。しかし、偽装離婚は判明する可能性が十分あります。以下は、偽装離婚が判明するパターンを説明します。

  1. (1)生活保護不正受給の場合

    偽装離婚の目的の多くは、生活保護費の不正受給です。
    確かに、夫婦を別世帯にすると、比較的簡単に生活保護を受けることも可能です。
    しかし、生活保護を受給していると、ケースワーカーや福祉事務所、役所による監督を受けることになります。最近では、不正受給の生活保護者も多いので、「生活保護Gメン」による見回りが厳しくなっています。地域住民の相談援助をしているケースワーカーが生活保護受給者の自宅を訪れ、様子を見にくることも多いですし、財産状況のチェックも行われます。
    生活状況に疑わしい点があり、不正受給や偽装離婚の疑いがあると思われたら、頻繁に訪問され、最終的に偽装離婚が判明するケースがあります。
    また、近所の住民が不審に感じて役所に通報するパターンもあります。

  2. (2)財産隠しの場合

    自己破産前に妻に財産分与するなどして、財産隠しをしようとする場合にも、問題があります。
    自己破産をするときには、破産前に離婚していれば裁判所に報告しなければなりません。離婚条件や財産分与の内容についても、申告義務があります。
    財産分与や慰謝料が不自然に多額であったり、今の生活状況に不自然な支出があったりすると、「破産管財人」に状況を調べられて、財産隠しのための偽装離婚がバレる可能性が十分あります。

  3. (3)不正な保育園入園の場合

    待機児童になることを嫌い、偽装離婚によって子どもを保育園に入れたときにも、問題点はあります。
    たとえば、近隣住民や、保育園の他の父兄との関係、保育園の先生とのやり取りなどにおいて、「本当は離婚していないのでは?」と思われて偽装離婚が判明する可能性があります。

3、偽装離婚が知られるとどうなる?

もしも偽装離婚を役所や周囲に知られると、思った以上の不利益が及ぶことになります。
具体的には、どのようなことになるのでしょうか?

  1. (1)刑事罰(公正証書原本不実記載罪)が適用される

    まずは、刑事罰が適用される可能性があります。
    偽装離婚で成立する罪は「公正証書原本不実記載罪」(刑法157条1項)です。
    これは、公務員に対して虚偽を申し立てることにより、戸籍や登記簿、公正証書、それらに変わる電磁的記録に不実な記載をさせるときに成立する犯罪です。
    つまり、役所の人に虚偽を申し立てて、虚偽内容の戸籍を編成させたら、公正証書原本不実記載罪が成立するのです。
    刑罰は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。

    偽装離婚のために離婚届を提出し、その後に偽装離婚がバレたら、警察に呼び出されて事情聴取を受けたり、公正証書原本不実記載罪で逮捕されたりする可能性があります。悪質な場合には、起訴されて上記の刑罰が適用されることもあります。

  2. (2)生活保護が打ち切られる、返還を求められる

    生活保護の受給目的で偽装離婚する夫婦もいますが、その場合、偽装離婚が判明すると、当然生活保護費の受給は停止されます。
    また、生活保護制度を悪用していたと判断されると、これまで受給した生活保護費を返還するように求められるケースもあります。
    また、いったん不正受給者とされた場合、要注意人物とみなされるため、その後に本当に生活に困ったときにも、生活保護の受給を認めてもらえなくなる可能性が高くなります。

  3. (3)破産で、免責が認められなくなる

    借金逃れのために偽装離婚を利用するケースでも、偽装離婚が判明すると大きな問題があります。この場合、「破産免責」が認められなくなる可能性があるからです。
    免責というのは、破産したときに、借金返済義務を免除にしてもらえる決定のことです。

    ところが、偽装離婚の虚偽の財産分与で財産隠しをしようとすると「免責不許可事由」に該当します。免責不許可事由とは、免責が認められなくなる事情のことです。

    つまり、偽装離婚による虚偽の財産分与を裁判所や管財人に知られると、免責不許可事由があると判断されて、免責してもらえなくなるのです。すると、借金が残ってしまうので、自己破産した意味がなくなります。

  4. (4)詐欺破産罪になる

    破産の際に偽装離婚すると、免責が認められないだけではなく、「詐欺破産罪」(破産法265条)という犯罪になってしまいます。
    詐欺破産罪とは悪質な財産隠しをした場合に成立する犯罪です。
    刑罰は、1か月以上10年以下の懲役または1000万円以下の罰金刑となっており、非常に重くなっているので、注意が必要です。
    このように、自己破産をするときに、偽装離婚によって財産隠しをすると、免責が認められなくなるだけではなく、重大な犯罪も成立してしまうので、絶対にしてはいけません。

  5. (5)保育所を退所させられる

    待機児童問題回避のために、軽い気持ちで偽装離婚してしまった場合も、偽装離婚が判明すると、子どもが保育所から退園させられる可能性が高くなります。
    また、罪のない子どもに対しても、世間から冷たい目線を向けられることとなり、子どもにも辛い目に遭わせることになってしまいます。


    以上のように、偽装離婚によって一時的には得をしたと思っても、すぐに判明していまい、反対に大きな不利益が及ぶ可能性が高いので、偽装離婚は絶対にしないことです。

4、偽装離婚をする前に考えるべき4つのこと

もしも、生活費が足りないなどの理由で偽装離婚を考えているなら、実行する前に、以下の4つのことを考えるべきです。

  1. (1)リスクを考える

    まずは、偽装離婚に伴うリスクや子どもへの悪影響について、考えてみましょう。
    偽装離婚したら、先に説明したとおり「公正証書原本不実記載罪」が成立して、警察に逮捕されたり裁判されたりする可能性があります。結果として、一生消えない前科がついてしまう可能性もあるのです。
    職場にバレたら、懲戒解雇されるかもしれません。
    偽装離婚して生活保護や児童扶養手当てを受けるためだけに、それだけの大きなリスクを負う価値があるでしょうか?
    通常は、ないと考えられるでしょう。

  2. (2)子どもへの影響を考える

    次に、子どもへの影響も無視できません。
    親が偽装離婚や生活保護費不正受給のような不正行為をしている家庭内では、子どもがまっすぐに育っていけない可能性が高くなります。親も子どもに対し「正しいことをしなさい」と指導できなくなるでしょう。
    また、偽装離婚が周囲にバレると、子どもまで周囲から白い目で見られますし、親に前科がついたら、子どもは一生「前科者の子ども」になってしまうのです。

    このようなことを考えると、偽装離婚する価値などないはずです。

  3. (3)他の解決方法がないか、調べてみる

    偽装離婚をしようとする人は、何かしらの問題を抱えていることが多いです。
    収入が足りなくて最低生活費にも足りないケース、浪費癖があって困っているケース、多額の負債を抱えているケース、子どもが障害を抱えていてお金がかかるケースなど、いろいろあるでしょう。
    そのような場合、偽装離婚以外にも、生活保護などの行政支援を受けられる可能性があるので、役所に相談に行くべきです。特に、子どもや親に障害がある場合には、行政から給付や援助を受けられる可能性が高くなります。
    また、子どもが保育園に入れない場合、無認可の保育所をあたることも可能ですし、親や親戚に相談してみることも考えられます。
    借金問題を抱えているならば、偽装離婚による財産隠しを考えるのではなく、きっちり法的に整理することを考えましょう。

  4. (4)債務や夫婦の問題は、弁護士に相談する

    もしも、多額の借金を抱えている場合や、生活費が足りない、夫婦生活がうまくいっていない、旦那さんや奥さんとの関係に疑問がある場合などには、まずは、弁護士に相談をしましょう。
    偽装離婚を考える方は、たいてい何か、根本的な問題を抱えているものです。
    それがお金の問題なのか、子どもの養育の問題なのか、夫婦関係の問題なのかはケースによって異なりますが、弁護士は法律の専門家として、ケースに応じた適切なアドバイスができます。弁護士に相談すると、偽装離婚以外の解決方法が見えて、気が軽くなることもありますし、自分でも意識していなかった問題の根本に気づくことができて、解決の糸口をつかめるケースも多いです。

    ベリーベスト法律事務所では、借金問題、夫婦間の問題、子どもの問題など、家庭内で起こりがちな各種のトラブルを数多く解決してきました。
    秘密は厳守しますし、初回ご相談は60分無料でお伺いしておりますので、偽装離婚をする前に、まずは一度、当事務所の弁護士まで、ご相談ください。

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