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統合失調症の夫や妻と離婚したいと考えた時に知っておきたいこと

2018年09月14日
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統合失調症の夫や妻と離婚したいと考えた時に知っておきたいこと

結婚した当初は、お互い健康状態に問題がなくても、結婚生活を送る中で、何かがきっかけで統合失調症などの精神疾患にかかる可能性は否定できません。配偶者が統合失調症になれば、配偶者は職を失ったり家での介護・看護が必要になったりします。統合失調症の治療には長い年月がかかるため、介護・看護をしている側が疲弊してしまい、離婚を考えるケースもあります。

本記事では、統合失調症にかかった配偶者との離婚を考えた時に知っておきたいことについて解説していきたいと思います。

1、そもそも統合失調症とは?

統合失調症は、思考・行動・感情を統合する能力が長期間にわたって低下し、その経過中にある種の幻覚、妄想、ひどくまとまりのない行動が見られる精神疾患のひとつです。統合失調症の症状は一般の人には理解がしづらく、また慢性化する傾向もあるため、家族をはじめとする周囲の人々が長期にわたり統合失調症の患者をサポートすることが必要です。

  1. (1)統合失調症の現状

    統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかるとされる精神疾患です。厚生労働省が公表した平成26年の「患者調査」によると、日本では統合失調症で入院治療を受けている患者はおよそ16万6000人、精神科などで通院治療を受けている患者はおよそ7万人。治療を受けていない患者も一定数いることを考慮に入れると、国内にはおよそ77万3000人の患者がいると推測されます。(出典:厚生労働省「平成26年(2014)患者調査の概況」)

  2. (2)統合失調症の原因

    統合失調症の根本的な原因は、まだ明らかになっていません。遺伝が原因とも考えられていますが、全く同じ遺伝子を受け継いでいるはずの一卵性双生児の場合でも、2人とも発症する割合は50%程度なので、遺伝だけが原因とは言えません。統合失調症は、もともとその人が持っている遺伝子や脳の構造・環境の変化と、進学・就職・結婚といったライフイベントなどで生じるストレスとが相互に絡み合って起こるのではないかと考えられています。

  3. (3)統合失調症になると社会生活が困難に

    統合失調症になると、各種の幻覚や妄想などの陽性症状や、感情の鈍麻・平板化、思考や会話の貧困などの陰性症状が現れるといわれています。妄想や幻聴にさいなまれたり、意欲が減退してしまったり、会話の文脈がまとまらなくなってコミュニケーションに支障が生じたりして、社会生活を送ることが難しくなる傾向があります。

2、統合失調症の特徴は?

統合失調症は、主に10代後半~30代の若い世代に発症しやすいのが特徴です。主に、「陽性症状」「陰性症状」「解体症状」といった症状が見られますが、それぞれがどのような症状なのかについてみていきましょう。

  1. (1)陽性症状

    統合失調症にかかると、聞こえるはずのないものが聞こえる「幻聴」、見えるはずのないものが見える「幻視」、におうはずのないものがにおう「幻嗅」といった幻覚が現れます。また、「誰かに覗かれている」「隣の人が咳払いをしているのは自分への警告に違いない」などの妄想が現れる点も統合失調症の大きな特徴です。これらの幻覚と妄想が「陽性症状」と呼ばれるものです。

  2. (2)陰性症状

    また、表情の変化に乏しい、話している相手と視線を合わせられない、ことばの抑揚がないといった感情の平板化や、身だしなみを整える、TPOにふさわしい服装ができなくなる、仕事や勉強などに興味がなくなるなどの意欲の低下が起こることもあります。これらの感情の平板化、無気力症状が「陰性症状」と呼ばれるものです。

  3. (3)解体症状

    さらに、集中力が続かない、大事な場面ほどうまくいかず失敗する、失敗続きで自信をなくす、まとまりのない思考や会話になる、まとまりのない行動をとる、不適切な感情が現れるといった認知機能の障害も起こります。このような認知機能の障害が「解体症状」と呼ばれるものです。

3、統合失調症の夫や妻と離婚は可能か?

もし、配偶者が統合失調症になってしまった場合、介護・看護疲れで離婚を考えたくなることもあるでしょう。しかし、配偶者が統合失調症などの精神病を患っていることを理由に離婚はできるのでしょうか。

  1. (1)「強度で回復の見込みがない精神病」であれば離婚できる

    民法で規定されている離婚事由の一つに、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと」(770条1項4号)があります。配偶者が強度の精神病にかかっていて、なおかつその病気が回復する見込みがないと判断されれば、離婚ができる可能性があります。

  2. (2)「強度の精神病」とは

    「強度の精神病」とは、その精神障害の程度が婚姻の本質ともいうべき夫婦の相互協力義務、ことに他方の配偶者の精神的生活に対する協力義務を十分に果たしえない程度に達している場合をいいます。つまり、夫婦が精神的なつながりを持ちながら夫婦関係を継続することが不可能なほどの状態に陥っていることを指すといえます。たとえば、「監視されている」「狙われている」などの趣旨が不明確なことを常に言っている、ひたすら独り言をつぶやいていて聞く耳を持たないなど、夫婦間でコミュニケーションが取れない状態になっていれば、「強度の精神病」であると認められやすいでしょう。

  3. (3)「回復の見込みがない」とは

    一般的に、「回復の見込みがない」とは、不治の病にかかっていることを指しますが、現代では医学の進歩により、統合失調症は不治の病とは言えなくなりつつあります。本当に回復の見込みがないかどうかは、病気の性質上、相当の期間治療を続けてみなければ判断ができないとされるのが一般的です。たとえ再発を繰り返していたとしても、それだけでは「回復の見込みがない」とは認められません。過去の裁判例では「病状が軽く回復の見込がある以上は再発する可能性の多い精神病の場合でも離婚の事由にならない」と判断されたこともあります。

  4. (4)「強度で回復の見込みがない精神病」はどう判断する?

    「強度で回復の見込みがない精神病」であるかどうかは、基本的に医師が書いた診断書の内容によって判断することになります。しかし、判断材料はそれだけではありません。夫婦として協力しながら生活できる能力はあるか、子どもの世話はできるか等の要素も考慮した上で総合的に判断されます。最近では医療の発達により、夫婦間で意思疎通が図れる程度に薬で症状を緩和することもできるようになってきました。そのため、かつては不治の病と考えられていた統合失調症も、「強度で回復の見込みがない精神病」であるとは必ずしもいえない状況になっています。

  5. (5)精神病を理由にした離婚請求はハードルが高い

    夫婦には相互に協力して結婚生活を送る義務があります。どちらかが病気になったときにも、支え合って夫婦関係を維持していく必要があるのです。過去の裁判例の考え方では、離婚をするのであれば、病気療養中の配偶者が離婚後も今まで通り治療を継続し、安定した生活を送っていけるような具体的な方策も取らなければならないとされています。そのため、たとえ配偶者が統合失調症などの病気や精神障害に陥っても、裁判所はなかなか離婚を認めようとしないのです。

  6. (6)「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」として離婚が認められた例はある

    民法で規定される離婚事由の一つに、「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(770条1項5号)というものがあります。
    過去の裁判例には、精神病に起因する配偶者の言動が婚姻を継続しがたい重大な事由にあたるとして離婚が認められたものがあります。たとえば、統合失調症を患っている妻に対し、夫が離婚を請求した事件で、裁判所は、妻は統合失調症であるが、それが強度であり、かつ回復の見込みがないとは認められないとして、民法770条1項4号を理由とする離婚請求は棄却したうえで、「婚姻生活の破綻の主な原因は妻の粗暴で家庭的でない言動にあり、夫がそれを今後許容していくことは難しい」として、夫からの離婚請求を認めました。ただし、離婚後も妻の療養生活を支える要請のためか、夫から妻へ財産分与として1000万円を支払うよう命じています。

4、統合失調症の夫や妻と離婚する時の手順

統合失調症を発症した配偶者と離婚をするときには、その配偶者が離婚する・しないを判断できる(意思能力がある)状態であるかどうかで取るべき方法が異なります。

  1. (1)配偶者に意思能力がある場合

    配偶者が意思能力のある状態であれば、夫婦間で離婚することについて話し合いを行います。まずは、離婚に向けて財産分与や慰謝料、未成熟子がいれば親権や養育費のことなどについても話し合うことが必要です。ある程度年齢を重ねてからの離婚であれば、年金分割や退職金の分割についても話し合っておいたほうがよいでしょう。このような話し合いが夫婦間でまとまれば、裁判所の関与を必要とせず、協議離婚が認められます。
    協議が整わない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申立てます。調停を成立させるためには、調停委員に統合失調症の症状が原因で結婚生活を続けることはできないと納得してもらえるようにすることが大切です。

  2. (2)配偶者に意思能力がない場合

    協議離婚や調停離婚は、裁判所が関与するかどうかの違いはありますが、いずれも話し合いの結果、当事者の意思(合意)に基づいて離婚するものです。
    ですから、配偶者が離婚するかしないかを判断できない(意思能力のない)状態のときには、協議離婚や離婚調停を行うことができません。そのため、協議や調停を経ることなく、離婚を認めてもらうための訴訟を提起することになります。しかし、意思能力のない配偶者が自ら裁判をすることはできませんし、弁護士に依頼することもできません。そこでまず、家庭裁判所に対して、意思能力のない配偶者に成年後見人をつけてもらうよう審判の申立てを行い、その後、その成年後見人を相手に離婚裁判を提起するのが一般的です。

5、統合失調症を理由に離婚したいと考えたら弁護士にご相談を

統合失調症などの精神疾患を理由とした離婚は、裁判で認めてもらうことがなかなか難しくなっています。そのため、配偶者の精神疾患を理由に離婚を考えた時には、法律の専門家である弁護士に相談し、協力を得ることが望ましいです。

  1. (1)離婚が認められるかどうか判断してもらえる

    弁護士であれば、配偶者の現在の病状を丁寧にヒアリングした上で、過去の事例を参考に離婚が認められるかどうかを予測することができます。また、弁護士に依頼することで、今後の見通しも立てられるので、裁判になってからもどういう流れで進んでいくかをあらかじめ把握することが可能です。

  2. (2)訴訟を提起するための準備もしやすい

    離婚裁判では、統合失調症を理由に離婚を請求しても簡単には認めてもらえないことが多くあります。しかし、弁護士に依頼をすれば、結婚生活を続けることは困難で離婚もやむを得ない状態であることを裁判で説明するための資料を集め、訴訟の準備を進めることができます。

  3. (3)手続面でも精神面でもお客様をサポート

    弁護士に依頼をすれば、裁判所での手続や書類作成などをまとめて依頼することができるので、手続的な負担を減らすことができます。また、離婚裁判になると長期戦になりますが、物心両面で弁護士からサポートを受けながら最後まで手続を進めることができるでしょう。

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