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産後クライシスで離婚をお考えの方へ|乗り越えるための7つの方法

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更新日:2024年06月18日  公開日:2018年05月07日
産後クライシスで離婚をお考えの方へ|乗り越えるための7つの方法

妊娠・出産によって女性のホルモンが変化したり、慣れない育児で心身に負担が掛かったりすることで、パートナーが敵のように感じてしまうこともあります。

このような産後クライシスが原因で夫婦仲が悪化し、そのまま関係性を修復できずに離婚に至る夫婦は珍しくありません。

しかし子どもがいるからこそ、その場の感情や勢いで離婚に踏み切るのではなく、可能であれば少し気持ちや体を休めて、じっくり考えてみましょう。

本コラムでは、産後クライシスとはどのようなものなのか、また産後クライシスを乗り越える方法、離婚を検討すべきケースなどについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

1、産後クライシスとは?

産後クライシスとは?

そもそも「産後クライシス」とはどのようなものなのか、疑問に思う方もいるでしょう。
これは、妻の出産後約2~3年ほどの間で、夫婦の愛情が急激に冷めてしまうことです。

産後クライシスで夫婦関係が悪化してしまうと、最悪の場合、離婚に至ることもあります。

厚生労働省が公表している「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、離婚したときの末の子どもの年齢は0~2歳がもっとも多く、次いで3~5歳が続きます。

このデータからも、子どもがいる夫婦では、出産してから数年以内に離婚を選択しているケースが多いということがわかります。

2、産後クライシスのセルフチェック

産後クライシスのセルフチェック

実際に、「私たちも産後クライシスでは?」と不安になった方もおられるでしょう。
以下では、産後クライシスをセルフチェックする方法をご紹介します。いくつあてはまるか、チェックしてみましょう。

  1. ①産前は夫が好きだったのに、出産後は嫌いになった
    出産前は夫のことを大好きだと思っていた方が、出産後、突然夫を嫌いになることがあります。自分でもどうしてかわからず、悩んでしまいます。
  2. ②夫の言動の小さなことでも気に入らない
    夫が悪いことをしていなくても、小さな言動が気になってイライラしてしまうことがあります。
  3. ③夫が育児、家事を手伝ってくれない
    産後、夫が家事や育児を手伝ってくれないので、放置されているように感じてイライラしてしまいます。
  4. ④夫が育児や家事を手伝ってくれても腹が立つ
    夫が家事や育児を手伝ってくれていても、なぜか腹が立つことがあります。
    やり方が自分とは違うのでおかしいと感じたり、「邪魔しないで!」などと言ってしまったりすることもあります。
  5. ⑤下の子を産んだ後、上の子に八つ当たりしてしまう
    上の子がいるときには、下の子を産むと、イライラして上の子に八つ当たりしてしまうことがあるので、注意が必要です。子どもはどうしてよいのか分かりませんし、妻は自分でもコントロールができなくて、悩んでしまいます。
  6. ⑥ついつい、夫にきつい発言をしてしまう
    何もされていないのに、常にイライラしているので、夫にきつい発言をしてしまいます。ヒステリックになってしまうこともあり、自分でもどうしたらいいのかわからない方が多いです。
  7. ⑦夫婦生活が嫌、触られるのも嫌、セックスレスになった
    出産後、突然夫との性生活が嫌になることがあります。性生活どころか、触られるのも嫌で、生理的に嫌悪感を感じたりするケースもあり「このままでは夫婦を続けていけないかも」と感じます。妻があまり性交渉を拒絶し続けると、夫が妻の浮気を疑うこともあります。
  8. ⑧出産後、「別人のようになった」と言われる
    出産後、妻が何事にもイライラしたり気分が沈んだりすることが多く、楽しそうな顔をすることがなくなるので、「別人のようになった」と言われることがあります。
    夫も妻の考えていることがわからなくなり、夫婦の心の距離がどんどん離れていきます。
  9. ⑨常に、「寂しい、しんどい」という、うつ状態になった
    産後、なぜかうつっぽくなり、「何もやる気が起きない」「良い事なんて何もない」「結婚しなければ良かった」「子どもなんて要らなかった」などと思ってしまったりすることもあります。
  10. ⑩夫に父親の自覚がないので、イライラする
    子どもが生まれたというのに夫に自覚がなく、「おむつの交換は無理」「泣いてるよ、どうすんの?」などと言うので、妻が「こんな人と一緒にいて良いのだろうか?」と感じ、イライラします。
  11. ⑪夫婦の会話が減った、なくなった
    産後、夫婦の会話が激減したり、なくなったりすることもあります。コミュニケーションがなくなると離婚につながりやすいので、要注意です。
  12. ⑫夫を友人の旦那と比較してしまう
    産後、夫と友人の旦那を比べて悲しい気持ちになってしまう方がいます。
    本当は、友人の旦那が良いわけではないとわかっていても、なぜか自分の夫がつまらないもののように思えてしまうこともあります。
  13. ⑬出産後、夫が浮気した
    出産後、夫婦関係がうまくいかなくなるので、夫が浮気してしまうパターンです。

上記のうち、あてはまるものが多ければ多いほど要注意です。

3、産後クライシスが起こる理由

産後クライシスが起こる理由

産後クライシスが起こる理由はひとつの要因に限らず、複数の要因からも生じると言われています。その中でも、代表的なものを見ていきましょう。

  1. (1)夫に父親の自覚がない

    産後クライシスの原因のひとつには、夫に父親としての自覚がないことがあるといわれています。
    昔から、「女性は子どもを宿している10か月の間に母親となり、男性は、子どもが生まれてから育てている間に父親になる」と言われます。
    妻は出産前に既に「母親」となっているので、出産後、夫が赤ちゃんの世話や存在に戸惑っている様子を見て「自覚がない」と感じ、イライラしてしまうのです。

  2. (2)夫が育児を手伝わない、手伝いが不足している

    赤ちゃんの世話や存在への戸惑いから、夫が育児を手伝わなかったり、手伝ってもそれが不十分なことがあります。最近は、世の中でも「イクメン」夫が注目を集めていて、これが理想的な夫のありかたと考えている方もいるでしょう。
    片や自分たち夫婦を見ると、夫は子育てを手伝ってくれない、理想の夫像とギャップがあると感じてしまったら、妻には不満が溜まってしまいます。
    また、夫が少し子どもの相手をしただけで「俺はイクメン」などと言うので、妻が余計に腹を立ててしまうケースもあります。

  3. (3)妻のホルモンバランスの変化

    妊娠中や出産後、妻の女性ホルモンバランスが大きく変化します。妻は、それまでと比べてイライラしやすくなったり涙もろくなったりして、情緒不安定な状態になりやすいです。

    また、母性本能が強くなるので、「子供を守る」という気持ちが強く働きます。出産前は許せていたことでも許せなくなってしまうので、夫に対して過剰に攻撃的になってしまうのです。

  4. (4)妻の生活が変化する

    妻は、子どもを産むと、大きく生活が変わります。
    それまでは仕事をして世間とも関わりを持ち、さまざまな人とコミュニケーションをとっていた方でも、産後は家の中にいる時間が長くなり、子どもと二人の生活になります。
    このようなことが妻にとって大きなストレスになり、「私ばかりが苦しい思いをしている」という気持ちが募って夫へのイライラに形を変えます。

  5. (5)育児疲れ

    赤ちゃんと一日中一緒にいてお世話をするのは、本当に大変です。夜泣きもあるので、睡眠不足になります。
    育児疲れになると、小さな事でも許せなくなりますし、以前なら許せたことでも、受け入れられなくなってしまいます。

  6. (6)コミュニケーション不足

    子どもが生まれると、妻は子どもにかかりきりになってしまうために夫の相手をする時間が減ります。そうすると、セックスレスになったり、家庭内別居状態になってしまったりするケースもあり、夫婦の心の溝はどんどん深まります。

4、産後クライシスを乗り越える方法

産後クライシスを乗り切越える方法

産後クライシスを乗り越えるためには、以下のようなことを試してみましょう。

  1. (1)夫に気持ちをはっきり伝える

    産後クライシスによる離婚を避けるには、夫とのコミュニケーションが大切です。
    日頃から、自分がどのようなことに不満を感じているのか、辛い思いをしているのか、自分でもコントロールできなくて困っていることなど、辛い気持ちや悩み、不安などを率直に伝えましょう
    夫も、それを聞いたら考えを変えることがありますし、努力するようになって夫婦関係が改善されることも多いです。

  2. (2)理解するための努力をする

    夫婦関係を維持するには、お互いが相手を理解することが重要です。

    夫婦はもともと他人ですから、考え方も価値観も違って当然であり、相手を完全に受け入れられなくても、理解して尊重し合える関係になるのがベストといえるでしょう。
    夫の考えに賛同できなくても、正しいところはあるはずです。そうした部分を受け入れるようにして、二人で進んで行くための努力をしましょう。

  3. (3)悩み相談窓口を利用する

    家族や夫に頼れないときには、自治体の女性相談や育児相談を利用してみるのもひとつの方法です。経験豊富な女性の相談員が担当していることも多く、産後クライシスを乗り越えるための解決のヒントを得られたり、気持ちが楽になったりすることもあります。

  4. (4)カウンセリング、通院

    どうしてもつらく気分が落ち込んでいるとき、うつ状態ではないかと思われる場合などには、カウンセリングを受けたり、医療機関を頼ることもおすすめです。
    産後うつが酷くなると毎日が辛いだけのものとなってしまい、それが原因で大切な家族も壊れてしまうこともあるため、辛さが過ぎると思われる場合には早めに専門家に頼った方が良いでしょう。

  5. (5)自分の時間を作る

    たまには親に子どもを預けたり、休日には夫に子どもを見てもらったりして、意識的に自分の時間を作って、ストレスを解消しましょう。

  6. (6)夫と子ども、2人きりで過ごさせる

    夫に父親の自覚を持たせるためには、子どもと2人で過ごす時間を作ることも重要です。
    たとえばお風呂に入れさせたり散歩に連れて行かせたりして、自分ひとりで子どもを世話する時間を持たせます。すると、子どもに愛情を感じ、だんだんと「父親」としての自覚や責任感を持つようになるだけでなく、妻の大変さを実感できるため、態度も徐々に変わってくることがあります。

  7. (7)出産後の妻の変化を理解してもらう

    出産後、女性はホルモンバランスが変わることや育児疲れすることについて、知識を持ってもらいましょう。口で説明するだけでは伝わりにくければ、本を読んでもらっても良いですし、夫婦カウンセリングを受けるのも良いでしょう。
    女性の変化を知ることで、夫は妻の大変さを理解して、妻に対する関わり方が変わることがあります。

5、離婚を検討したほうが良いケース

離婚を検討したほうが良いケース

産後クライシスを乗り越えようと努力を重ねても、離婚を避けられないケースはあるものです。以下のような状況であれば、真剣に離婚することも検討してもいいかもしれません。

  1. (1)夫が不倫している

    産後、夫婦関係が悪化して夫が不倫するようになったら、当然ながらに離婚は検討すべきことです。不倫が遊びであれば、戻ってくる可能性もありますが、不倫相手に本気になったらもはや夫婦関係を修復することが困難となります。また不倫(不貞行為)は、裁判でも離婚が認められる法定離婚事由のひとつであり、慰謝料請求が認められる可能性もあるため、弁護士に相談しましょう。

  2. (2)DV、モラハラがある

    産後、夫婦関係が悪化するなどして夫からDVやモラハラ被害を受けているならば、離婚することを検討してもいいかもしれません。出産前からDVなどがある場合にも同じです。
    母親が父親から殴られているところを見続けたり、異常な関係性の父母のもとで育ったりすると、子どもの成長にも悪影響が及ぶことがあるために早めに決断したほうがよい場合もあります。

  3. (3)生活費を入れてもらえなくなった

    夫が生活費を入れなくなった場合に、離婚を検討する方もいるでしょう。
    結婚していても、生活を維持するための最低限度の費用さえも入れてもらえないなら、いっそのこと離婚して行政給付や養育費をもらった方が楽になるケースもあります。

    どのくらいの養育費を受け取れるのかは、「養育費計算ツール|ベリーベスト法律事務所」のページで簡単に計算することが可能です。無料でシミュレーションできますので、ご活用ください。

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6、まとめ

まとめ

産後クライシスによる離婚は、決して珍しい話ではありません。

離婚にあたっては、親権や養育費、財産分与、慰謝料など、さまざまな条件を取り決めすることが必要です。だからこそ、後悔のないように、感情任せで離婚のことを決断すべきではないと言えます。

パートナーと離婚することを決めたものの、ひとりで進めていくことに不安がある際は、弁護士に相談しましょう。
最善の結果となるよう、弁護士はあなたの味方となります。

ベリーベスト法律事務所では、離婚をお考えの方からのご相談を受け付けております。離婚専門チームの知見ある弁護士が納得のいく離婚を実現できるようにサポートいたしますので、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所までお問い合わせください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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