“協議離婚”と“調停離婚” どちらを選ぶべき?
夫婦が話し合いによって離婚をする方法には、「協議離婚」と「調停離婚」の2つがあります。
両者の違いやメリット・デメリットを正しく理解したうえで、ご自身の状況に合った方法を選択し、円滑に離婚を成立させましょう。
この記事では、協議離婚と調停離婚の違い・手続き・注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、離婚の3つの方法について|協議離婚・調停離婚・裁判離婚
まずは簡単に、法律上認められた3つの離婚の方法を紹介します。
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(1)協議離婚とは?
協議離婚とは、夫婦が話し合ったうえで離婚を成立させることをいいます。
弁護士が代理人として離婚協議を代行することもありますが、それ以外には第三者の仲介などが入らないため、もっともシンプルな離婚の方法といえるでしょう。 -
(2)調停離婚とは?
調停離婚とは、家庭裁判所の離婚調停によって離婚を成立させる方法です。
調停離婚の場合、調停委員が夫婦の間に入って、個別に言い分を聴き取りながら合意(調停)の成立を目指すのが特徴となっています。
なお、調停不成立の場合には、家庭裁判所が審判を行って離婚を成立させるケースが存在します。このようなケースを、特に「審判離婚」と区別して呼称することもあります。 -
(3)裁判離婚とは?
裁判離婚とは、離婚訴訟(離婚裁判)の判決によって、強制的に離婚を成立させる方法です。
夫婦のいずれかが離婚に反対している場合、合意によっては離婚を成立させることができません。その場合、法定離婚事由(民法第770条第1項各号)が存在することを条件として、家庭裁判所が離婚を命ずる判決を行います。
なお、離婚訴訟を提起するためには、先だって離婚調停を申し立てることが必須とされています(調停前置主義。家事事件手続法第257条第1項)。
2、協議離婚と調停離婚の違い|どちらを選ぶべき?
協議離婚と調停離婚は、どちらも夫婦間の合意によって離婚を成立させる方法ですが、両者の間にはさまざまな違いが存在します。
<協議離婚と調停離婚の主な違い>
協議離婚 | 調停離婚 | |
---|---|---|
直接対話の有無 | 夫婦が直接対話する(弁護士を代理人とすることは可能) | 調停委員を介するため、夫婦は直接対話しない |
時間 | 夫婦が自由に決められる | 家庭裁判所との調整が必要 |
場所 | 夫婦が自由に決められる | 必ず家庭裁判所で行われる |
期間 | 迅速にまとまるケースが多い | 半年~1年程度かかる |
費用 | 安価 | 高額 |
強制執行の可否 | 執行証書を作成すれば可能 | 調停調書に基づき可能 |
協議離婚と調停離婚のどちらが適しているかは、夫婦の置かれている状況や関係性などによって異なります。
上記の各違いを踏まえると、大まかには以下のような方針で、協議離婚と調停離婚を使い分けるとよいでしょう。
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(1)歩み寄りの姿勢がお互いにあれば協議離婚
夫婦仲がそれほど険悪ではなく、条件次第では互いに歩み寄って離婚を成立させられそうであれば、協議離婚をするメリットが大きいと考えられます。
協議離婚のメリットとして大きいのは、時間・場所が自由である点と、協議の期間が短く済みやすい点です。要するに協議離婚には、調停離婚よりも簡便に離婚を成立させることができるメリットがあります。
また、弁護士に離婚協議の代理を依頼すれば、相手方と直接交渉をする必要はなくなるので、夫婦仲が多少険悪であったとしても、協議離婚を成立させられる可能性が出てきます。
協議離婚が成立すれば、調停離婚よりも時間と労力を節約できる分、弁護士費用の総額を抑えることもできるでしょう。
なお後述するように、協議離婚をする場合には、財産分与・養育費・婚姻費用などの支払いに関して、相手が支払わないなどのトラブルが発生することに備え、強制執行認諾文言付きの公正証書(執行証書)を作成しておくことをおすすめいたします。 -
(2)条件があまりにも違い過ぎる場合には調停離婚
夫婦が互いに求める離婚条件があまりにも違い過ぎる場合には、当事者同士の話し合いで離婚を成立させることは困難です。この場合、離婚調停を通じて第三者の客観的な視点を入れた方が、離婚問題を建設的に解決するためには有益でしょう。
たしかに調停離婚には、時間や場所の自由が利かないこと・長期化しやすいこと・費用がかかることなどのデメリットがあります。しかしながら、離婚協議を長引かせて、時間を空費してしまうより、事態の収拾を早く付けた方が得策であるケースでは、おすすめの離婚方法です。
3、協議離婚の手続きの流れと注意点
協議離婚を目指す方は、協議開始から離婚成立までの手続きや注意点を把握しておきましょう。
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(1)協議離婚の手続きの流れ
協議離婚の手続きは、大まかに以下の流れで進行します。
① 離婚協議の開始
まずは、夫婦のどちらか一方から相手方に離婚意思を伝え、離婚に関する協議を開始します。
離婚協議が開始すると、夫婦は別居するケースが多いですが、同居のまま離婚協議を行う夫婦も一定割合存在します。
夫婦で直接話し合うのが難しい場合には、弁護士を代理人に立てましょう。
② 離婚条件の合意・離婚協議書の作成
離婚条件について合意に至った場合、その内容を離婚協議書にまとめておきます。
離婚協議書は後述するように、執行証書(公正証書)の形式としておくことをおすすめいたします。
③ 離婚届の提出
離婚協議書の作成後、市区町村役場に離婚届を提出します。
協議離婚の場合、離婚届の提出期限は特にありません。 -
(2)協議離婚で決めておくべき事項
協議離婚をする際には、最低限以下の事項を夫婦間で取り決めておきましょう。
① 財産分与
夫婦の共有財産をどのように分けるかについて取り決めます。
② 婚姻費用
別居開始から離婚成立までの生活費などをどのように分担するかについて取り決めます。
③ 年金分割
厚生年金保険の加入記録をどのように分割するかについて取り決めます。
④ 親権
子どもの親権をどちらが得るかについて取り決めます。
⑤ 養育費
子どもの養育費をいつまで、どの程度の金額支払うかについて取り決めます。
⑥ 面会交流
子どもと同居しない親が、子どもと面会交流する頻度・場所・方法などについて取り決めます。 -
(3)協議離婚時には離婚公正証書を作成すべき
協議離婚をする場合、必ず離婚条件などをまとめた離婚公正証書を作成しておきましょう。
離婚公正証書を作成するメリットの1つは、合意内容を明確化できる点です。
「合意した・していない」の水掛け論が発生することを防ぎ、離婚後のトラブル防止につながります。
もう1点、離婚公正証書に「強制執行認諾文言」を記載しておくと、財産分与・婚姻費用・養育費などが不履行となった場合に、直ちに強制執行の手続きをとれるメリットがあります(民事執行法第22条第5号)。
なお、このような強制執行認諾文言付きの公正証書を、「執行証書」と呼びます。執行証書(公正証書)の作成は、弁護士にサポートを依頼するのがおすすめです。
4、調停離婚の手続きの流れと費用
調停離婚は、協議離婚に比べると、手続きの流れがやや複雑です。 また調停申し立てには、一定の費用もかかる点に留意しておきましょう。
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(1)調停離婚の手続きの流れ
調停離婚の手続きは、大まかに以下の流れで進行します。
① 離婚調停の申し立て
原則として相手方の住所地の家庭裁判所に、離婚調停を申し立てます。
当事者間の合意があれば、別の家庭裁判所に申し立てることも可能です。
② 調停期日|調停委員による言い分の聴き取り・調整
家庭裁判所に足を運び、調停期日に出席します。
調停委員が個別に言い分を聴き取り、その内容を踏まえて、双方に歩み寄りを促します。
③ 調停成立・調停調書の作成
夫婦がすべての離婚条件について合意したら、調停は成立となります。
合意内容は調停調書に記載され、当事者双方を拘束します。
④ 離婚届の提出
調停成立の日を含めて10日以内に、市区町村役場に離婚届を提出します。 -
(2)調停離婚にかかる費用
離婚調停を申し立てる際には、以下の費用を家庭裁判所に納付する必要があります。
- 収入印紙1200円分
- 連絡用の郵便切手(1000円前後、家庭裁判所によって異なります)
これだけであれば低額ですが、弁護士を代理人とする場合には、離婚調停に関する弁護士費用が発生する点に注意しましょう。
5、離婚について弁護士に相談・依頼すべき理由
配偶者との離婚を弁護士にご相談・ご依頼いただくと、主に以下のメリットを得ることができます。
- 離婚に関するご希望の内容を、弁護士とのご相談の中で整理することができます。
- 決めておくべき離婚条件に漏れがなくなり、離婚後のトラブルを防止できます。
- 配偶者から提示された要求について、法的な観点から合理性を検討、判断できます。
- 配偶者との交渉、調停、審判、訴訟などを弁護士に代行してもらえるので、時間や労力、精神的負担が大きく軽減されます。
配偶者との離婚をご検討中の方は、お早めにベリーベスト法律事務所の弁護士へご相談ください。
6、まとめ
協議離婚と調停離婚の大きな違いは、手続きの簡便さと調停委員による仲介の有無にあります。
協議離婚の方が簡便な手続きで済むので、可能であれば協議離婚を目指す方が、当事者にとっての時間的・経済的負担は小さくなります。
しかし、夫婦双方が提示する離婚条件があまりにも違い過ぎる場合には、調停委員による客観的な視点からの仲介を受けて、調停離婚を目指す方がよいでしょう。
協議離婚・調停離婚のいずれを選択する場合でも、法的に妥当な離婚条件を取り決め、離婚後のトラブルを防止するため、弁護士に代理を依頼することをおすすめいたします。
ベリーベスト法律事務所では、依頼者に有利な条件で円滑に離婚を成立させるため、経験豊富な弁護士が親身になってサポートいたします。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
-
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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