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養育費請求の調停、相手が来ないときはどうなる?

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更新日:2022年06月16日  公開日:2022年06月16日
養育費請求の調停、相手が来ないときはどうなる?

子どもの生活費等に充てる養育費の支払いを求めるため、裁判所に調停を申し立てたとしても、相手が来ない場合があります。

今回は、養育費に関する調停に相手が来ない場合の流れや、その後の手続きを経て確定した養育費が支払われない場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、実際の状況ごとに申し立てるべき調停は異なる

養育費の支払いにつき、父母間の協議により合意できない場合は、家庭裁判所の調停手続きを利用して話し合いを行います。

養育費に関する調停は、離婚前であれば「夫婦関係調整調停(離婚)」、離婚後であれば「養育費請求調停」となり、それぞれ手続きが異なります

  1. (1)離婚前 - 夫婦関係調整調停(離婚)

    「夫婦関係調整調停(離婚)」は、夫婦が離婚に向けた話し合いを行うための手続きで、「離婚調停」とも呼ばれます。

    夫婦関係調整調停(離婚)では、主に以下の内容が話し合われます。


    • ① そもそも離婚をするかどうか
    • ② 離婚をする場合の条件
      ・ 親権
      ・ 養育費
      ・ 面会交流
      ・ 財産分与
      ・ 年金分割
      ・ 婚姻費用
      ・ 慰謝料
      など


    養育費は、離婚の際に決めるべき条件のひとつという位置づけです。調停委員が間に入って話を聞き、夫婦間での合意を目指します。

    話し合いの中で当事者の一方または裁判所が調停案を提示することがあり、調停案に双方が同意すると、調停離婚が成立します。
    その一方で、もし夫婦関係調停調整(離婚)が不成立となった場合、当事者は離婚訴訟を提起することができます。

    なお、「調停前置主義」(家事事件手続法第257条)により、離婚訴訟を提起するには、その前に必ず調停を申し立てる必要があります。したがって、原則として、夫婦関係調停調整(離婚)を飛ばして、いきなり離婚訴訟を提起することはできません。

  2. (2)離婚後 - 養育費請求調停

    「養育費請求調停」は、養育費を取り決めずに離婚をした後の夫婦が、養育費について話し合うための手続きです。

    養育費請求調停では、離婚前の夫婦関係調整調停(離婚)とは異なり、養育費のみに論点が絞られます。養育費請求調停が不成立となった場合は、家庭裁判所が審判によって結論を示します。

    夫婦関係調停調整(離婚)とは異なり、以下の2点が養育費請求調停の大きな特徴です。

    • 訴訟手続きは用意されていないこと
    • 調停が不成立となった場合に、別途申し立て等の手続きを要することなく、調停から審判へ移行すること

2、相手が来ないとき、調停はどう進む?

夫婦関係調整調停(離婚)や養育費請求調停を申し立てたとしても、相手が来ないケースもあります。もし、調停に相手が来ない場合、どのように進行することになるのでしょうか。

  1. (1)待合室でしばらく待機

    調停期日に相手が来ない場合、しばらく待合室で待機することになります。待機時間は、裁判所の判断によって異なりますが、おおむね30分程度です。

    待合室が分かれていますが、相手が来ていないことは裁判所書記官が教えてくれます。

    裁判所書記官は、相手に電話して出席の可否を確認します。相手に出席を拒否されたり、何度電話しても連絡がつかなかったりした場合には、その調停期日は終了になります。

  2. (2)次回期日の指定 or 調停不成立

    初回の調停期日であれば、相手が来ない場合でも、取りあえず次回期日が指定されるケースが多いです。相手の気が変わって次回は来るかもしれませんし、たまたま忘れていただけという可能性もありますので、様子見の意味合いがあります。

    しかし、2度・3度と続けて相手が来ない場合には、家庭裁判所の判断により、調停不成立となるのが一般的です。

    なお、家庭裁判所の判断を待たずに、申立人が自主的に調停申し立てを取り下げることもできますが、その後に審判で判断してもらいたい場合や訴訟を提起したい場合には、申し立てを取り下げるのではなく、裁判所に不成立としてもらうようにしましょう

  3. (3)調停不成立の場合は訴訟または審判へ移行

    相手が来ないために、夫婦関係調整調停(離婚)や養育費請求調停が不成立となった場合には、訴訟または審判の手続きに移行します。

    夫婦関係調整調停(離婚)の場合、調停が不成立となった後の手続きは「離婚訴訟」です。離婚訴訟を提起するかどうかは、当事者の判断に委ねられています。

    養育費請求調停の場合、調停が不成立となった場合の手続きは「家庭裁判所の審判」です。調停不成立後、自動的に審判手続きへと移行します。

3、調停を申し立てるときの手続き方法と必要な費用

夫婦関係調整調停(離婚)と養育費請求調停について、申し立ての必要書類・申立先・費用をそれぞれまとめました。

  1. (1)調停申し立ての必要書類

    夫婦関係調整調停(離婚)および養育費請求調停を申し立てる際に、必要となる書類は以下のとおりです。


    <夫婦関係調整調停(離婚)の必要書類>
    • 申立書+写し1通
    • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • 審理のために必要な書類(養育費については、申立人の収入に関する資料)


    <養育費請求調停の必要書類>
    • 申立書+写し1通
    • 対象となる子の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • 申立人の収入に関する資料(源泉徴収票写し、給与明細写し、確定申告書写し、非課税証明書写し等)
  2. (2)調停の申し立て先

    夫婦関係調整調停(離婚)および養育費請求調停の申立先は、いずれも原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページ「裁判所の管轄区域」で調べることができます。

    なお、当事者間で合意すれば、別の家庭裁判所に調停を申し立てることも可能です。

  3. (3)調停申し立てにかかる費用

    夫婦関係調整調停(離婚)または養育費請求調停を申し立てる場合、申立書に収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙の金額は、夫婦関係調整調停(離婚)では1200円分、養育費請求調停では子ども一人につき1200円分です。
    また、連絡用の郵便切手(数千円程度)の納付も求められます。金額や券種は申立先の家庭裁判所によって異なりますので、事前に確認しておくとよいでしょう。

    さらに、調停申し立てを弁護士に依頼する場合には、別途弁護士費用(着手金・報酬金・日当・実費等)が発生します。弁護士費用の詳細については、依頼を検討されている弁護士にご確認ください。

    参考:ベリーベストに依頼する場合の弁護士費用はいくら?

4、調停や審判で決まった養育費が支払われないときにできること

調停・審判・訴訟の手続きを通じて確定した養育費を相手方が支払わない場合には、回収のために、強制執行の手続きを行うことができます

養育費に関する調停が成立した場合や、養育費に関する家庭裁判所の審判・判決が言い渡された場合には、裁判所から当事者に対して以下の書面が交付されます。


  • 調停成立時:調停調書
  • 審判時:審判書
  • 判決時:判決書


これらの書面はいずれも「債務名義」(民事執行法第22条)と呼ばれ、強制執行の申し立てに必要な書類です。強制執行は、債務名義に執行文の付与を受けた後、執行裁判所に対して申し立てを行うことで開始されます。

強制執行を申し立てる際には、相手が所有する財産を特定する必要があります。もし、相手が所有する財産の内容や所在が分からなければ、「財産開示手続」(同法第196条以下)や「第三者からの情報取得手続」(同法第204条以下)を利用することも可能です。

強制執行は専門的かつ事前の準備が重要な手続きです。弁護士にご依頼いただくことでスムーズに対応できます。

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5、養育費請求調停を申し立てるとき弁護士に相談したほうがよい理由

相手との間で養育費に関する協議がまとまらず、調停手続きを通じた解決を図る際には、弁護士にご依頼いただくことをおすすめします。

養育費に関する調停を、弁護士に依頼する主なメリットは、以下のとおりです。

① 調停の進め方についてアドバイスを受けられる
どのような主張を展開すべきか、どのような証拠を準備すべきか、調停委員への対応などについてアドバイスを受けられます。

② 相手の所得や資産を調査できる
養育費の算定基礎となる所得や、強制執行の対象となる資産などについて、弁護士会照会や調停手続きなどを通じて調査できます。

③ 客観的な金額相場を踏まえて養育費を請求できる
裁判所が公表している養育費算定表を適切に参考にしたうえで、増額事由を考慮したうえで合理的な金額の養育費を請求できます。

④ 調停期日等における対応を一任できる
弁護士は代理人として、調停・審判・訴訟の期日に、依頼者に代わって出席できます。
期日当日の対応を弁護士に一任することも可能になるため、依頼者の負担を大きく軽減することもできます。

弁護士にご依頼いただくことで、適切な養育費の請求を、大きなご負担なくスムーズに行うことができます。配偶者・元配偶者に対する養育費の請求をご検討されたときは、お早めに弁護士までご相談ください。

6、まとめ

養育費に関する調停に相手が来ない場合、最終的に調停は不成立となります

調停不成立となった後は、離婚前であれば離婚訴訟、離婚後であれば家庭裁判所の審判による解決へと移行します。調停・審判・訴訟の各手続きにおいて、養育費に関してより良い結果を得るために弁護士にご依頼いただくのがおすすめです。

ベリーベスト法律事務所は、離婚や養育費の請求に関するご相談を、随時受け付けております。子育てに関する経済的なご負担が少しでも軽減されるように、弁護士が親身になって養育費の請求をサポートすることが可能です。

相手に適正な養育費を支払ってもらいたいときは、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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