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財産分与の具体的な計算方法と知っておくべき3つのポイント

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更新日:2023年03月27日  公開日:2023年03月27日
財産分与の具体的な計算方法と知っておくべき3つのポイント

離婚を検討されている方のなかには、離婚後の経済的な事情に不安があるために、なかなか離婚に踏み切ることができないという方も少なくありません。

婚姻期間の長い夫婦であれば、財産分与の金額が高額になる傾向にあります。そのため、離婚の際に適切に財産分与をすることによって、離婚後の経済的な不安を解消することができる可能性もあります。

ただし、財産分与で適切な金額を受け取るためには、具体的な計算方法や相手の財産を調査する方法などについて理解しておく必要があります。

本コラムでは、財産分与の具体的な計算方法と知っておくべき3つのポイントについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、財産分与の割合は、原則2分の1ずつ

まず、財産分与という制度に関する、基本的な事項から解説します。

  1. (1)財産分与とは

    財産分与には、「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」という3つの要素があります。
    そのなかでも、清算的財産分与が中心的な要素になります。

    清算的財産分与とは、夫婦が婚姻生活中に築き上げた財産を夫婦の貢献度に応じて分与する制度のことをいいます。婚姻期間が長い夫婦であれば、貯金がたまったり、自宅を購入するなどして財産分与の対象となる財産が高額になる場合が多いため、結果として財産分与でもらうことができる金額も高額になる傾向にあります。

  2. (2)財産分与の割合は2分の1ずつが原則

    財産分与は、財産の形成や維持に対する夫婦の貢献度に応じて財産を分ける制度です。
    基本的に、夫婦の貢献度は等しいものと考えられています。そのため、財産分与の割合は、2分の1となるのが原則です。

    この原則は、夫がサラリーマンで妻が専業主婦である夫婦であっても変わりません。
    このような夫婦の場合、夫婦の財産それ自体は主に夫の収入によって形成されているとしても、妻も育児や家事によって夫を支えることによって財産の形成と維持に貢献していると考えられるためです。

2、具体的な財産分与の計算方法

財産分与の計算をする際の流れについて解説します。

  1. (1)財産分与の対象となる財産の洗い出し

    財産分与を行う前提として、まずは、財産分与の対象となる財産をすべて洗い出す必要があります。

    財産分与は、夫婦が築き上げた財産を分ける制度であるため、財産分与の対象となる財産は、夫婦の協力関係によって維持や形成されてきた財産となります。
    これを「共有財産」といいます。
    共有財産にあたるかどうかは、「財産の名義が夫婦のどちらになっているか」といった形式面ではなく、夫婦の協力関係によって形成・維持されたものであるかという実質面で判断するのがポイントです。

    共有財産として洗い出すべき財産としては、次のようなものがあります。

    • 現金
    • 預貯金
    • 不動産
    • 有価証券(株式、投資信託など)
    • 保険の解約返戻金(生命保険、学資保険など)
    • 退職金
    • 負債(住宅ローン、学資ローンなど)


    共有財産とは異なり、夫婦の協力関係とは無関係に維持や形成がされてきた財産のことは、「特有財産」といいます。特有財産は、財産分与の対象にはなりません。

    特有財産の代表的な例としては、次のようなものがあります。

    • 婚姻前にためた預貯金
    • 親から相続した財産
    • 親から援助を受けた住宅購入資金
  2. (2)各財産の評価

    財産分与の対象となる財産を洗い出すことができたら、次は各財産について適切に評価していきましょう。

    現金や預貯金については、後述する基準日時点の残高がそのまま評価額になりますが、その他の財産については評価にあたっていくつか注意点があります。

    たとえば、退職金の場合、婚姻前に働いていた期間が含まれている場合には、それを除外して計算をする必要があります。
    具体例を元に考えてみましょう。退職金が3000万円、勤務期間が30年でそのうち婚姻後の勤務期間が20年という場合には、「3000万円×20年÷30年=2000万円」が財産分与の対象となります。

    不動産の場合には、現金や預貯金のような画一的な評価方法がなく、固定資産税評価額、路線価、不動産会社の査定額、不動産鑑定士による鑑定額などさまざまな評価方法があります。どの評価方法を採用するかによって評価額は大きく異なってくるため、財産分与の対象に不動産が含まれる場合には、特に注意が必要です。

  3. (3)集計した財産を寄与度に応じて分ける

    財産分与の対象となる財産を洗い出して、評価もできたら、すべての財産を表などにまとめてリストアップしましょう。
    その際には、夫名義の財産と妻名義の財産を分けてリストアップすると、財産分与の計算がより簡単になります。

    たとえば、リストアップの結果、夫名義の財産が4000万円、妻名義の財産が1000万円であったとすると、この夫婦の共有財産は合計5000万円になります。
    夫婦の財産維持・形成に対する貢献度が等しいものとすると、財産分与の割合は2分の1となるので、財産分与によって夫が2500万円、妻が2500万円を取得します。

    通常、それぞれの名義財産はそのまま維持した状態で、超過する側から不足する側に対してお金が支払われるのが一般的です。上記のケースでは、夫が妻に対して、財産分与として1500万円を支払うことになります。

3、財産分与の計算で知っておくべき3つのポイント

財産分与の計算をする際に抑えておくべきポイントは3つあります。

  1. (1)相手の財産が不明な場合

    適正な財産分与を行うためには、財産分与の対象となる財産をすべて洗い出す必要があります。
    自分の財産であれば特に苦労することはありませんが、相手が保有している財産については、財産分与の前にしっかりと調査をすることが大切です。

    まずは、相手に対して、すべての財産を開示するよう求めていきましょう。
    ただし、相手が素直に応じてくれないこともあるため、離婚の話を切り出す前から、相手の財産に関する資料を集めておくようにしてください。
    たとえば、銀行から封書やハガキが届いていれば、その銀行に口座を保有している可能性が高いといえます。また、証券会社から封書やハガキが届いていれば、その証券会社で株式を保有している可能性が高いといえます。

    任意の財産開示に応じてもらえないという場合には、弁護士に依頼して、「弁護士会照会」という方法で調査することもできます。また、調停や裁判にまで事態が進んでいれば、裁判所を通じて調査嘱託という方法によっても相手の財産を明らかにすることが可能です。

  2. (2)財産分与の基準時について

    財産分与の基準日には、どの時点の財産を財産分与の対象にするのかという「財産分与の範囲の基準時」と、どの時点を基準に財産を評価するのかという「財産分与の評価の基準時」があります。

    財産分与は、夫婦が協力して築き上げた財産を分ける制度であるため、財産分与の範囲の基準時は、夫婦の協力関係が終了した時点となります。一般的には、夫婦は別居することで協力関係が終了すると考えられているため、別居時が財産分与の「範囲」の基準時となります。

    他方で、財産分与の「評価」の基準時については、どの時点を基準に評価するのかは夫婦の協力関係とは無関係なものであるため、直近の金額を基準として決めるのが公平であると考えられています。
    したがって、財産分与の評価の基準時は、協議離婚なら離婚時、調停離婚なら調停成立時点、裁判離婚なら事実審の口頭弁論終結時が基準となります。

  3. (3)財産分与を請求できる期間(時効)について

    財産分与は、一般的には離婚と同時に行いますが、離婚後に財産分与を請求することもできます。

    ただし、離婚後に財産分与を請求する場合には、請求期限がある点に注意が必要です。
    離婚後の財産分与は、離婚から2年以内に請求しなければ、権利が消滅してしまいます。
    2年を過ぎてしまうと、財産分与を請求することができなくなってしまうため、離婚後に財産分与を請求することを検討されている方は、忘れずに期限内に請求しましょう。

4、財産分与の基本的な進め方と注意点

では、財産分与の基本的な進め方と注意点を整理していきましょう。

  1. (1)財産分与の基本的な進め方

    財産分与は、一般的には以下のような流れで進めていきます。

    ① 話し合い
    財産分与をする場合には、まずは当事者同士の話し合いによって財産分与の方法などを決めていくことになります。
    基本的には、離婚の話し合いとあわせて、離婚条件のひとつとして財産分与に関する話し合いを行うことになります。

    ② 調停(離婚調停・財産分与請求調停)
    当事者同士の話し合いで解決することができない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。離婚前であるなら「離婚調停の申立て」、離婚後であるなら「財産分与請求調停の申立て」を行います。

    調停では、家庭裁判所の調停委員が夫婦の間に入って話し合いを進めてくれます。そのため、当事者だけで話し合うよりもスムーズな解決が期待できます。

    ③ 裁判・審判
    調停は、あくまでも話し合いの手続きであるため、当事者の合意がなければ調停を成立させることはできません。

    当事者の合意が得られず、離婚調停が不成立になった場合には、離婚裁判を起こす必要があります。
    一方で、財産分与請求調停が不成立になった場合には、自動的に審判の手続きに移行するため、特別な申立ては不要です。

    裁判や審判になった場合には、当事者による主張立証をふまえて、最終的に裁判所が適切と考える財産分与の方法を決定します。

  2. (2)財産分与の注意点

    婚姻期間が長い夫婦では、財産分与の金額も高額になる傾向があるため、離婚後の生活の不安を緩和するためにも適正な金額で財産分与を受けることが大切です。
    そのためには、財産分与の前提として相手の財産をしっかりと洗い出す必要があります。
    弁護士にご依頼いただくことで、相手が隠している財産について弁護士会照会や調査嘱託などの方法によって、相手の財産を明らかにすることができる場合があります。

    また、離婚に際しては、養育費や慰謝料など財産分与以外の離婚条件についても決めることになります。離婚に関する法的知識がなければこれらの条件について適切に決めていくことは難しいため、弁護士のサポートは不可欠といえます。

    不利な条件で離婚をしないためにも、離婚を検討されている方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

財産分与は、離婚後の生活にも直結する非常に重要な事柄です。離婚することを優先するあまり適切な分与を行わないと、後々後悔することにもなりかねません。特に、経済的な不安を抱えている場合は、しっかりと取り決めることが大切です。

財産分与の算出や請求でトラブルになってしまうと、当事者間で解決するのは難しくなるでしょう。
離婚を検討されている方や、財産分与に関してお困りの方は、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください。経験豊富な弁護士が、問題解決にむけて全力でサポートします。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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