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入籍直前に婚約破棄……。相手に対して慰謝料を請求することは可能?

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更新日:2024年08月09日  公開日:2024年05月02日
入籍直前に婚約破棄……。相手に対して慰謝料を請求することは可能?

入籍直前で婚約破棄をされた場合、将来の予定が大きく狂ってしまい、多大な精神的苦痛を被ることになります。

このような婚約破棄による精神的苦痛に対しては、慰謝料を請求することが可能なケースがあります。また慰謝料以外に、婚約破棄によって生じた経済的損害についても、不当な婚約破棄をした相手に対して請求できる可能性があります。

今回は、入籍直前の婚約破棄において、慰謝料や経済的損害を請求する際のポイント・方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、そもそも婚約破棄とは|婚約していたことが認められる条件

そもそも婚約破棄とはどのようなものなのでしょうか。また、入籍直前に婚約破棄となるケースにおいてどのような理由が考えられるのでしょうか。

  1. (1)入籍直前に婚約破棄となる理由とは?

    入籍直前に婚約破棄となる理由には、以下のようなことが考えられます。


    ① マリッジブルー

    入籍直前になると、環境の変化などにより一時的に情緒不安定になってしまい、婚約者との将来に不安などが生じた結果、婚約破棄になることがあります。

    ② 価値観の相違

    結婚を前提に同居を始めると、付き合っていたときには気付かなかった価値観の相違を感じてしまうことがあります。価値観の相違が生じるのは仕方ない場合もありますが、話し合いで解決できないほどの相違が生じると婚約破棄に至ることがあります。

    ③ 他に好きな人ができた

    婚約者以外の人を好きになってしまったということも婚約破棄に至る理由のひとつとして挙げられます。婚約者以外の人に心変わりしてしまい、別の異性と付き合うために婚約破棄に至ることがあります。

    ④ 結婚式の準備などでのけんか

    婚約後は、両親へのあいさつ、新居への引っ越し、結婚式の準備など多忙な日々になるでしょう。お互いに余裕がなくなってくると、ささいなことでもけんかになってしまい、ふたりの関係性に亀裂が生じることがあります。お互いの関係性が修復困難な状態になってしまうと、婚約破棄を選択するケースもあります。

  2. (2)そもそも婚約破棄とは何か?

    婚約破棄とは、婚約成立後、一方的な申し出により婚約を取りやめることをいいます。お互いの合意で婚約を取りやめることは「婚約解消」といい、合意に基づくことから特にトラブルになることもありません。しかし、婚約破棄は、一方の同意がない状況でなされるものですので、婚約破棄の正当性や慰謝料の支払いなどをめぐってトラブルになるケースがあります

    婚約破棄においては、そもそもその前提として、婚約が成立していることが必要です。婚約は、婚姻とは異なり、届け出などの形式が要求されませんので、婚約が成立しているかどうかが曖昧なケースも少なくありません。一般的には、以下のような事情を総合的に考慮して、婚約の成否を判断します。


    • 婚約(結婚)指輪をもらった
    • 両親にあいさつをした
    • 婚約者として友人や知人に紹介された
    • 結婚式場を予約した
    • 結納を行った
    • 新居を契約した
    など

2、入籍直前の婚約破棄で慰謝料請求をする際のポイント

入籍直前の婚約破棄で慰謝料請求をする際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. (1)婚約が成立していること

    婚約破棄を理由に慰謝料を請求するためには、第1章で説明したとおり、男女間で婚約が成立している必要があります。

    婚約自体は、口約束で成立しますが、それだけでは婚約が成立していたことを立証することは困難です。第1章で説明した事情を踏まえて、婚約の成立を立証していくためには、それを裏付ける証拠が必要不可欠となります。

  2. (2)婚約破棄に正当な理由がないこと

    入籍直前に婚約破棄をされたとしても、婚約破棄に正当な理由がある場合においては、たとえ相手からの一方的な婚約破棄であったとしても、慰謝料請求をすることはできません。婚約破棄を理由に慰謝料請求をするには、婚約破棄に正当な理由がないといえる必要があります。

    ① 正当な理由のある婚約破棄
    以下のような理由での婚約破棄は、正当な理由のある婚約破棄といえます。そのため、このような事情が婚約破棄をされた側にある場合には、婚約破棄をされた側から婚約破棄をした側に対して慰謝料請求をすることはできません。


    • 不貞行為
    • DVやモラハラ
    • 多額の借金の発覚
    • 社会常識を逸脱するような言動


    他方、婚約破棄をした側からすると、相手の上記言動で婚約破棄をせざるを得ない状況になっていますので、相手に対して、慰謝料請求をすることができます。婚約破棄による慰謝料請求は、どちらが婚約破棄を申し出たのかということではなく、どちらに婚約破棄の原因があったのか、ということによって判断されます

    ② 正当な理由のない婚約破棄
    以下のような理由での婚約破棄は、正当な理由のない婚約破棄といえます。そのため、このような事情で婚約破棄をされた場合には、婚約破棄を申し入れた側に対して、慰謝料請求することができます。


    • 性格の不一致
    • 価値観の相違
    • 他に好きな人ができた
    • 単純な心変わり
    • 相手の親との不仲

3、慰謝料以外の他の損害に対する損害賠償請求も可能

入籍直前に不当な婚約破棄をされた場合には、慰謝料以外にも以下のような損害を請求することができます。

  1. (1)結婚式の式場予約や準備

    入籍直前の婚約破棄の場合には、すでに結婚式場を予約しており、結婚式の日程が迫ってきていることも考えられます。その際、予約している結婚式場はキャンセルしなければならず、高額なキャンセル料が発生します。
    このようなキャンセル料については、婚約破棄の原因や責任のある側に負担を求めることができます。

  2. (2)引っ越しや新居の購入

    新生活に向けてすでに新居を購入していたり、新たな住居に引っ越しをしていたりするケースも少なくありません。

    そのため婚約破棄によって新居が不要となった場合には、新居の購入費用相当額を損害として請求したいと考える方も多いと思います。しかし、それ自体を損害として請求するのは難しいでしょう。なぜなら、婚約破棄になったからといって、新居の価値がゼロになるというわけではないからです。

    もっとも、不要になった新居を売却して、売却損が発生した場合には、それを損害として請求できる可能性はあります。また、無駄となってしまった引っ越し費用も損害として請求することが可能です。

  3. (3)転職や退職

    婚約に伴い転職や退職をした場合には、収入の減少が生じることがあります。
    婚約をしなければ転職や退職をすることはなかったといえる場合には、転職や退職によって減少した収入について、逸失利益として請求することが可能です。ただし、請求できる期間は、1~2年程度など限定的です。

  4. (4)新婚旅行

    新婚旅行を予約していた場合、予約をキャンセルする際に、キャンセル料が発生する可能性があります。このような新婚旅行のキャンセル代についても、結婚式場のキャンセル料と同様に、婚約破棄の原因や責任のある側が全額負担しなければなりません。

  5. (5)婚約指輪

    婚約指輪を贈られた女性側に婚約破棄の原因がある場合には、男性は、女性に対して、婚約指輪の返還を求めることができます。すでに女性が婚約指輪を処分している場合には、婚約指輪の価格相当額の賠償請求が可能です。

4、婚約破棄による慰謝料や経済的損害を請求する方法

婚約破棄による慰謝料や経済的損害を請求する場合には、以下のような方法で行います。

  1. (1)当事者同士の話し合い

    正当な理由のない婚約破棄をされた場合、相手に対して、慰謝料や経済的損害を請求することができます。これらの支払いを求める場合には、まずは相手との話し合いにより、金額や支払い方法などの取り決めを行っていきましょう。
    当事者間の話し合いで合意に至った場合には、口約束で終わらせるのではなく、必ず合意書などの書面を作成するようにしてください。

  2. (2)内容証明郵便を送る

    相手が話し合いに応じてくれないときは、内容証明郵便を利用して、慰謝料請求などを求める書面を送るとよいでしょう。

    内容証明郵便は、誰から誰に対して、どのような内容の文書が送られたかを証明できる形式の郵便ですので、支払いを強制する効力はありません。しかし、特別な形式の郵便が届いたことで、相手が心理的プレッシャーなどを感じて話し合いに応じてくれる可能性が高くなるでしょう。

  3. (3)調停の申し立て

    入籍直前の婚約破棄では精神的なショックも大きく、当事者同士での話し合いが難しいことも考えられます。そのような場合には、家庭裁判所に慰謝料請求調停の申し立てをすることも考えられます。

    調停では、調停委員を介して話し合いが進められますので、お互いに顔を合わせて話し合いをする必要がありません相手と話し合いをするのがつらい状況であっても、調停であれば安心して自分の主張を伝えることができます

  4. (4)訴訟提起

    当事者同士の話し合いや調停でも解決できない場合には、裁判所に訴訟提起をする必要があります。裁判では、原告において、婚約の成立や損害の発生などを主張立証していかなければなりません。裁判は、専門的かつ複雑な手続きになりますので、弁護士のサポートが不可欠です。そのため、ひとりで対応するのが不安な方は、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

5、まとめ

入籍直前に婚約破棄された場合には、婚約破棄の原因や責任のある相手に対して、慰謝料や経済的損害を請求することができます。

その際には、婚約破棄に正当な理由があるかどうか、婚約破棄で請求できる項目や金額を正確に判断する必要がありますので、まずは弁護士にご相談ください。弁護士であれば、相手との交渉や調停、裁判などの手続きを当事者の代わりに進めることができますので、精神的な負担を大幅に軽減することが可能です。

ひとりでの対応が不安な方は、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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