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再構築後にやっぱり離婚したい場合は? 決断のタイミングや慰謝料など

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更新日:2024年04月09日  公開日:2024年04月09日
再構築後にやっぱり離婚したい場合は? 決断のタイミングや慰謝料など

夫婦関係がいったん危機に瀕した場合、一度は関係の再構築に成功しても、やっぱり離婚したいと考える方はたくさんいらっしゃいます。

夫婦関係再構築後の離婚を検討する場合は、そのメリット・デメリットを比較した上で、本当に離婚すべきかどうか慎重に判断しましょう。また、弁護士に相談して十分な事前準備を整えることも大切です。

本記事では、夫婦関係を再構築した後にやっぱり離婚したい場合の注意点を、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、夫婦関係の再構築後に、やっぱり離婚したい場合はどうする?

夫婦関係を再構築した後に、考え方や状況が変わってやっぱり離婚したいと思う方は少なくありません。

離婚は生活に大きな影響を及ぼすので、まずはご自身の感情や考えを整理し、本当に離婚すべきかどうかよく考えましょう。ご自身だけで抱え込まずに、周囲の人や心理カウンセラー・弁護士などの専門家に相談することもよい方法です。

専門家については、その種類ごとにサポート内容が異なる点にご留意ください。精神的なケアについては心理カウンセラー、財産分与・慰謝料・養育費などの金銭請求や親権争いについては弁護士と、お悩みの内容に応じて相談先を使い分けましょう。

2、夫婦関係の再構築後に離婚するメリット・デメリット

夫婦関係の再構築後に離婚することには、メリット・デメリットの両面があります。ご自身にとってどちらが上回るかをよく考えた上で、離婚すべきかどうかを適切に判断しましょう。

  1. (1)夫婦関係の再構築後に離婚するメリット

    夫婦関係の再構築後に離婚することには、主に以下のメリットがあります。

    ・夫婦関係に関する違和感を解消できる
    →再構築によっても払拭できなかった違和感を解消し、改めて自分自身の幸せを追求しやすくなります。

    ・時間的な制約が少なくなる
    →共同生活に伴う時間的な制約が少なくなり、仕事や趣味、新たな人々との交流などに時間を費やしやすくなります。

    ・DVやモラハラなどの被害から逃れられる
    →配偶者(夫・妻)からDVやモラハラなどを受けている場合は、離婚によってその被害から逃れることができます。

    ・配偶者の生活費を支出せずに済む
    →離婚によって配偶者に対する扶養義務がなくなるため、収入の少ない配偶者のために生活費を支出せずに済みます。
  2. (2)夫婦関係の再構築後に離婚するデメリット

    夫婦関係の再構築後に離婚することには、主に以下のデメリットがある点に注意が必要です。

    ・子どもにストレスを与えるかもしれない
    →親である配偶者と別居することや、転校が必要になることなどに伴い、子どもにとっては大きなストレスが生じる可能性があります。

    ・配偶者の収入をあてにできなくなる
    →離婚後は婚姻費用を請求できなくなるため、配偶者の収入によっては自身の生活費を賄えなくなります。

3、夫婦関係再構築後の離婚を決断すべきタイミングと対応

夫婦関係の再構築後に離婚を決断すべきタイミングとしては、以下の例が挙げられます。状況に応じて、適切な対応を心がけましょう。

  1. (1)配偶者がやっぱり離婚したいと言ってきた時

    ご自身が夫婦関係に違和感を抱いている状況において、配偶者の側から離婚したいと言ってきた場合は、離婚を決断すべきタイミングかもしれません。
    離婚することについて夫婦の意向が一致していれば、協議によってスムーズに離婚を成立させることができます。

    円満に離婚できそうな状況であっても、離婚条件についての話し合いはきちんと行っておきましょう離婚条件について揉めるようであれば、弁護士への相談をおすすめします

  2. (2)子どもが進学する時

    子どもが小学校・中学校・高校・大学へ進学する時期は、離婚を決断しやすいタイミングといえます。転校による子どもへの影響が少ないからです。

    転校を機に離婚したい旨は、前もって配偶者に伝えておくことが望ましいでしょう。余裕をもって離婚の希望を伝えて、転校の時期までに離婚条件などの話し合いがまとまる可能性を高めたいところです。

    離婚の話し合いが長引きそうな場合は、監護者など子どもに関する事項を優先的に取り決めましょう。法的手続きを通じて取り決めることも考えられますので、弁護士のアドバイスをお求めください。

  3. (3)経済的自立のめどが立った時

    経済的に自立できるかどうかは、離婚によって生じる重要な懸念事項の一つです。言い換えれば、経済的自立のめどが立てば、配偶者との離婚を決断してもよいタイミングといえるでしょう。

    経済的自立の可否については、資産や収入、現在の支出の状況、将来における支出の見込み、家族(両親など)からの援助の有無など、さまざまな事情を総合的に考慮して判断する必要があります。
    離婚を切り出す前にシミュレーションを行い、配偶者の資産・収入がなくても生活が成り立つかどうかを確認しましょう。

4、夫婦関係再構築後の離婚について知っておくべきこと

夫婦関係の再構築後に配偶者と離婚したい方は、以下の事項について基礎知識を備え、適切な対応ができるようにしておきましょう。いずれの準備・対応についても、弁護士にご相談いただければサポートいたします。

  1. (1)離婚に先立つ事前準備

    配偶者に対して離婚を求めるに当たっては、以下の事前準備を整えましょう。

    ・経済的自立の準備
    →資産、収入、支出、援助の状況などを踏まえて、経済的自立に向けた準備を整えましょう。

    ・別居後の住居の確保、子どもの転校先の確認
    →配偶者と別居した後の住居を、必要となる費用(家賃など)とともに調べておきましょう。可能であれば、実家に身を寄せることも考えられます。
    また子どもがいる場合は、別居後の転校先についても調べましょう。

    ・配偶者の資産、収入の調査
    →財産分与の請求額は、配偶者とご自身が婚姻中に取得した資産を合算した上で計算します。別居した後では、配偶者の資産、収入を調査するのが難しくなるケースが多いため、できる限り別居前に調べておきましょう。

    ・離婚原因に関する証拠の確保
    →不貞行為(浮気、不倫)・DV・モラハラなど、配偶者の行為が離婚原因となっている場合は、その証拠を確保しておきましょう。
    有力な証拠を確保しておけば、配偶者が離婚を拒否した場合に、訴訟を通じて離婚を請求できます。また不貞行為の場合は、不倫相手に対する慰謝料請求においても証拠の確保が重要です。
  2. (2)離婚時に取り決めるべき条件

    配偶者と離婚する際には、以下の離婚条件を取り決めましょう。離婚条件について協議がまとまらない場合は、離婚調停や離婚訴訟を通じて決めることになります。

    ① 財産分与・年金分割
    夫婦が婚姻期間中に取得した財産については、名義の如何を問わず、夫婦間で公平に分けることになります(=財産分与)。
    また財産分与の派生として、婚姻期間中における厚生年金(共済組合の組合員である期間を含む)の加入記録について、年金分割を請求することも可能です。

    ② 慰謝料
    不貞行為・DV・モラハラなど、離婚の責任が夫婦のうちいずれか一方にある場合は、慰謝料の支払いについても取り決めます。
    それが原因となって離婚する場合の慰謝料額は100万円から300万円程度が標準的で、離婚の原因となった行為の内容や、その行為によって被害者が受けた精神的ショックの大きさなどによって金額が決まります。

    ③ 親権
    夫婦間に子どもがいる場合は、離婚後の親権者をどちらか一方の親に定めます。

    ④ 養育費
    離婚後に子どもの親権者となる側は、元配偶者に対して養育費を請求できます。養育費の金額を簡易的に計算するには、裁判所が公表している養育費算定表を利用するのが便利です。
    参考:「平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」(裁判所)

    ⑤ 面会交流の方法
    親権者ではない側の親と子どもの面会交流について、頻度・連絡方法・子どもの受渡し方法その他の条件を決めます。

    ⑥ 婚姻費用
    離婚成立前に別居期間が生じ、その間の婚姻費用が支払われなかった場合には、離婚時に、別居期間中の生活費(婚姻費用)を精算することもあります。婚姻費用の金額を簡易的に計算するには、裁判所が公表している婚姻費用算定表を利用するのが便利です。
    参考:「平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」(裁判所)
  3. (3)離婚手続きの種類

    離婚手続きには、離婚協議・離婚調停・離婚訴訟の3種類があります。いずれの手続きによる場合でも、弁護士を代理人とすることで適切な対応が可能となります。

    ① 離婚協議
    夫婦の話し合いによって離婚条件などを取り決めます。合意ができたら、離婚協議書を作成しますが、金銭の支払いが含まれる場合には、公正証書にしておくことも多いです。

    ② 離婚調停
    家庭裁判所の調停を通じて離婚条件などを話し合います。離婚調停では、民間の有識者から選任される調停委員が夫婦間の話し合いを仲介します。離婚調停で離婚が成立した場合には、裁判所によって調書が作成されます。

    ③ 離婚訴訟
    夫婦のうち一方が離婚を拒否している場合に、裁判所の判決によって強制的に離婚を成立させます。離婚を認める判決を得るには、不貞行為などの法定離婚事由(民法第770条第1項)を立証することが必要です。

5、まとめ

夫婦関係の再構築後にやっぱり離婚したい場合は、まず身近な第三者や専門家に相談して気持ちを整理しましょう。
その上で、離婚のメリットとデメリットを比較し、本当に離婚すべきかどうかをよく考えましょう。離婚を決断した場合には、実際に離婚を切り出すタイミングを見極めることも大切です。

離婚を成立させるための手続き(協議・調停・訴訟)への対応については、弁護士に相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所は離婚に関するご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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