セックスレスを理由に離婚できる? 子あり離婚における親権や養育費
子どもがいる(子あり)夫婦の中には、セックスレスでお悩みの方もいるかもしれません。2022年の司法統計によると、離婚調停の申立て動機のうち、セックスレスを含む性的不調和が理由であったものは、夫側で全体の6番目(1669件)、妻側で全体の7番目(2733件)に多い数字となっており、セックスレスを理由に離婚を考える夫婦が一定数いることがわかります。
では、セックスレスを理由として離婚することはできるのでしょうか。また、子あり夫婦では離婚する際にどのようなことを検討すべきなのでしょうか。今回は、セックスレスを理由とする離婚の進め方や子あり夫婦が知っておくべき離婚条件について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、セックスレスが理由でも離婚はできる?
そもそもセックスレスを理由に離婚することができるのでしょうか。
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(1)セックスレスを理由に離婚できるケース
相手が離婚に同意してくれるのであれば、協議離婚により離婚することができます。この場合には、離婚原因がどのようなものであるかは問われませんので、セックスレスが離婚理由であっても離婚することができます。
しかし、相手が離婚に同意してくれない場合には、離婚裁判へと進んでいきます。離婚裁判では、以下の法定離婚事由のうち、いずれかの事由がなければ離婚することはできません。- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病にかかり回復見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
セックスレスで離婚をする場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかがポイントになります。
一言でセックスレスといっても、期間、程度、経緯、理由などは夫婦それぞれですので、セックスレスだから常に離婚できるというわけではありません。セックスレスで離婚が認められる可能性があるのは、正当な理由がないにもかかわらず長期間、性交渉を拒否しているようなケースです。 -
(2)離婚できない可能性が高いケース
夫婦がセックスレスであったとしても、以下のようなケースでは、離婚できない可能性が高いです。
① ご自身が不倫中など有責配偶者であるケース
ご自身が不倫をしており、それが夫婦関係の破綻の原因となった場合には、有責配偶者にあたります。有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められませんので、不貞行為より前からセックスレスがあるとしても、あなたからの離婚請求が認められるのは難しいでしょう。
② 相手が妊娠中など体調不良によるセックスレスであるケース
法定離婚事由に該当する可能性のあるセックスレスは、正当な理由がないにもかかわらず、性交渉を拒んだようなケースです。妊娠中や体調不良時などは、性交渉に応じないことに正当な理由がありますので、セックスレスであるとしても法定離婚事由には該当しないでしょう。
そのため、妊娠中や体調不良を理由に性交渉を断られたとしても、離婚が認められない可能性が高いでしょう。
③ お互いにセックスを望んでいない
お互いにセックスを望んでいない場合には、セックスレスになったとしてもそれが夫婦関係の破綻の原因とはいえません。このようなケースでは、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」には該当せず、離婚できない可能性が高いでしょう。
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(3)離婚することと子どもの有無は関係がない
離婚するかどうかは、夫婦の問題になりますので、子ありか子なしかというのは離婚を判断・決定する事情ではありません。
子ありだから離婚が認められないということではありませんが、子あり夫婦だと離婚にあたって子どもに関する事項を決めなければなりません。しっかりと話し合って決めなければ、不利な条件で離婚してしまうリスクもありますので注意が必要です。
2、子どもがいる方が離婚する際に知っておくべきこと
子ありでの離婚を検討している方は、スムーズに離婚をするためにも離婚する前に以下のことを知っておくべきでしょう。
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(1)子どもの親権はどう決まるのか
子あり夫婦の場合、離婚にあたって、子どもの親権をどちらにするかを決めなければなりません。
子どもの親権は、まずは夫婦の話し合いによって決めることになります。夫婦の話し合いで決められないときは、離婚調停となり、最終的に離婚訴訟で判断することになります。その際には、以下のような事情を考慮して、どちらが親権者としてふさわしいかが判断されます。- 監護の継続性
- 兄弟不分離の原則
- 子の意思の尊重
なお、セックスレスや不貞行為などの事情は、それ自体は子どもの親権とは関係ありません。そのため、これらの事情があったとしても、親権の判断において直ちに不利な事情となるわけではありません。ただし、不貞行為を行うために子どもを家に放置した等、子どもの監護状況に悪影響を与えている場合には、判断に影響します。
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(2)子どもの養育費の請求方法
子どもの親権を獲得した親は、子どもと一緒に生活することになります。子どもと暮らすにあたっては、生活費、教育費、医療費などさまざまな費用がかかりますので、それらの費用は、養育費として非監護親に対して請求することができます。離婚訴訟の場合には、その訴訟の中で金額が決定されます。
養育費は、離婚時に夫婦の話し合いによって、金額や支払い方法などを決めることになります。その際には、裁判所が公表している「養育費算定表」を利用するとスムーズに決められる可能性が高くなります。
養育費算定表とは、夫婦双方の収入と子どもの人数に応じた養育費の相場がまとめられた表です。誰でも簡単に養育費の相場を利用することができますので、まずは話し合いの基準となる金額を把握するために、利用するとよいでしょう。 -
(3)子どもの有無にかかわらず財産分与は必要
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築き上げた共有財産を清算する制度です。これは、子どもの有無にはかかわりません。離婚後の経済的不安を解消するためにも忘れずに請求するようにしましょう。
財産分与も夫婦の話し合いによって決めることになりますが、適正な財産分与を行うには、事前の財産調査が重要になります。相手がどのような財産を有しているのか把握していないのであれば、離婚を切り出す前に、相手の財産をしっかりと調べておくようにしましょう。 -
(4)慰謝料請求はできるケースとされてしまうケースがある
離婚により慰謝料を請求できるかどうかは、相手に婚姻関係を破綻に導いた原因があるかどうかによって変わってきます。たとえば、相手が不倫をしていた、DVをしていた、モラハラをしていた、正当な理由なく性交渉に応じなかったなどの理由があれば、相手に対して慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。
他方、ご自身にこのような事情がある場合には、相手から慰謝料請求される可能性がありますので注意が必要です。
なお、性格の不一致は、よくある離婚理由のひとつですが、夫婦のどちらか一方が悪いというものではありませんので、性格の不一致のみを理由とした慰謝料の請求はできません。
3、セックスレスを理由にした離婚の進め方
離婚の理由が「セックスレス」である場合には、以下のような流れで離婚を進めていきます。
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(1)セックスレスの証拠を集める
セックスレスを理由に離婚をするためには、セックスレスが「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを証拠により立証していかなければなりません。
離婚裁判になれば、証拠が重視されますので、証拠が不十分だと慰謝料請求や離婚請求が認められないおそれもあります。そのため、離婚を切り出す前にしっかりと証拠を集めておくようにしましょう。
セックスレスは、夫婦生活というプライベートな事柄ですので、証拠収集は容易ではありません。それでも以下のような証拠を集めることで、セックスレスを立証できる可能性があります。- セックスレスのことが書かれた日記
- 夫婦のメール、LINEのやり取り
- セックスレスについて話し合った会話の録音
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(2)正直な気持ちをしっかり話し合う
離婚するための十分な証拠が集まった段階で、相手に離婚を切り出します。その際は、相手に対して離婚したいという思いとその理由をしっかりと伝えることが大切です。なぜなら、離婚したいとだけ告げられても、理由がわからなければ相手も同意することができないからです。
セックスレスは、夫婦で話し合う機会がなくどちらか一方が抱え込んでしまうことも多い問題です。正直な気持ちをしっかり話し合うことで、状況が好転する可能性もありますので、まずはじっくりと話し合いを進めていくとよいでしょう。 -
(3)話し合いが難しいときや、離婚を拒否されたとき検討すべきこと
夫婦での話し合いが難しいときや離婚を拒否されてしまったときは、これ以上話し合いを続けても離婚が成立する見込みがありません。そのため、次の段階として、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
離婚調停は、裁判所の調停手続きを利用して、話し合いによる解決を図る制度です。調停では、家庭裁判所の調停委員から合意に向けた働きかけや調整がなされますので、夫婦だけで話し合うよりも離婚の合意が成立する可能性が高い手続きといえます。
ただし、離婚調停は、あくまでも話し合いの手続きですので、相手が離婚に応じてくれない場合には、調停不成立となります。そうなった場合は、最終的に離婚訴訟を提起する必要があります。
4、離婚を検討し始めたら弁護士に相談すべき理由
以下のような理由から、離婚を検討し始めた方は、弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)個別事情に即した離婚の進め方を知ることができる
離婚の進め方には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つの方法があります。どの方法を選択すべきかは、離婚に至る経緯、理由、相手の態度などによって異なります。
弁護士に相談をすれば、夫婦の個別事情に即した離婚の進め方をアドバイスしてくれますので、スムーズに離婚の手続きを進めることができます。セックスレスが離婚の理由である場合には、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかによって離婚の進め方が変わってきます。そのため、まずは弁護士に相談するようにしましょう。 -
(2)弁護士を正式依頼すべきタイミングがわかる
弁護士を依頼するタイミングは、人それぞれです。ただし、弁護士に依頼するタイミングが遅れると、不利な条件で離婚に応じてしまうリスクがありますので、離婚を決意したら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、気軽にご相談いただけるよう、初回の弁護士相談は60分無料(一部有料)となっています。弁護士に相談することで、今後の進め方についてアドバイスを得られるとともに、どのタイミングで弁護士に依頼すればよいかも知ることができます。
適切なタイミングを逃さないためにも、早めに弁護士にご相談ください。 -
(3)依頼したら相手との交渉から対応してもらえる
相手と離婚の話し合いをするのが苦痛だという方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人となって、相手との交渉をするため、ご自身で交渉をする必要がなくなります。離婚の話し合いは、非常にストレスのかかるイベントですので、そのようなストレスから解放されるのは大きなメリットといえるでしょう。
また、弁護士に依頼すれば、離婚調停や離婚裁判になったときも引き続き対応してもらうことができます。
5、まとめ
夫婦が離婚する理由には、さまざまなものがありますが、セックスレスもその理由のひとつになります。セックスレスは、その期間、程度、経緯、理由によっては、法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性もあります。
どのように離婚を進めるべきかは、夫婦の状況によって異なりますので、まずは弁護士に相談してアドバイスを受けるとよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所は初回の弁護士相談は60分無料(一部有料)となっています。セックスレスでの離婚をお考えの方は、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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