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子どもがいるが好きな人ができた。離婚したい場合はどうする?

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更新日:2024年07月24日  公開日:2024年07月24日
子どもがいるが好きな人ができた。離婚したい場合はどうする?

結婚している場合で、配偶者以外に好きな人ができたとき、それを理由に配偶者と離婚したいと考える方もいるでしょう。

お互いの合意があれば離婚はできますが、一方的に好きな人ができたからという理由だけでは簡単に離婚することはできません。また、子ありの場合には、子どものことについても考えていかなければなりません。スムーズに離婚の話し合いを進めるためにも、ポイントをしっかりと押さえておくようにしましょう。

今回は、好きな人ができたときの子あり離婚で知っておくべきことについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、好きな人ができたという理由で離婚できるのか?

離婚理由は、夫婦によってさまざまですが、「好きな人ができた」ということを理由に離婚することはできるのでしょうか。

  1. (1)話し合いでは離婚は困難なことも

    夫婦がお互いに離婚に合意できていれば、どのような理由であっても離婚することができますこのような夫婦の話し合いによる離婚を「協議離婚」といいます
    しかし、相手に「好きな人ができたから離婚してほしい」と伝えたとしても、素直に受け入れてはくれない可能性が高いでしょう。むしろ、それを伝えたことにより不倫を疑われるなどのトラブルに発展する可能性も考えられます。

    そのため、「好きな人ができた」という離婚理由であっても、それを正直に相手に伝えるかどうかは、慎重に判断することが必要です。

  2. (2)離婚できるかどうかは法定離婚事由の有無による

    相手が離婚に応じてくれない場合には、まずは離婚調停を行い、離婚調停で離婚が成立しない場合には最終的に離婚訴訟を提起することになります。離婚訴訟では、裁判所が離婚の可否を判断してくれますが、離婚を認めてもらうためには、以下の法定離婚事由のうちいずれかの事由が存在することが必要になります。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 配偶者の生死が3年以上不明
    • 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    好きな人ができたという理由は、上記の法定離婚事由のいずれにも該当しませんので、その理由だけでは裁判所に離婚を認めてもらうことはできません。しかし、好きな人ができたという理由以外にも、配偶者が不貞を行っている、DV行為があるといった法定離婚事由がある場合には、好きな人ができたことを正直に話さなくても離婚できる可能性があります。

  3. (3)好きな人と不倫していた場合には離婚できない可能性もある

    好きな人ができると、離婚前でも交際を開始し、肉体関係を持ってしまうこともあるかもしれません。
    しかし、離婚前に配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは、「不貞行為」に該当しますので、離婚時に配偶者から慰謝料を請求されるリスクがあります。さらに、不貞行為をした本人は、有責配偶者にあたりますので、自ら離婚を請求しても、裁判所から認められなくなってしまうなどのリスクが生じます。そのため、好きな人ができたとしても、離婚するまでは交際するのは控えたほうがよいでしょう

2、子ありで好きな人ができたことを理由に離婚する場合の注意点

子ありの夫婦の場合、好きな人ができたという理由で離婚する際には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)親権

    子ありの夫婦が離婚する場合には、離婚後、父または母のどちらか一方を子どもの親権者に指定しなければなりません。親権には、基本的に子どもと一緒に生活する監護権もセットになっていますので、離婚後も子どもと一緒に生活したい場合には、親権の獲得を目指していく必要があります。

    しかし、離婚理由として「好きな人ができたから」という理由を正直に伝えると、相手の反発を招き、親権争いが深刻化するリスクがあります。また、裁判所において争う場合も、不利な事情として考慮される可能性がありますので注意が必要です。

  2. (2)養育費

    離婚後、子どもと別々に生活する非監護親は、監護親(子どもと一緒に暮らす親)に対して、養育費の支払いをしなければなりません。夫婦の離婚理由によっては、養育費を払いたくないと考える方もいるかもしれませんが、養育費は子どもの権利ですので、どのような理由で離婚するとしても、親としてしっかりと支払っていかなければなりません。

    養育費の金額は、まずは夫婦の話し合いによって決定します。お互いが納得できればどのような金額でも問題ありませんが、養育費の金額で、もめるようであれば裁判所が公表している養育費算定表を利用してみるとよいでしょう。養育費が定まらない場合、離婚と一緒に話し合うのであれば離婚調停で、離婚は先にしたうえで養育費だけの話合いを行うのであれば養育費調停で話し合いを行います。その際には、養育費の算定表がベースとなります。

  3. (3)面会交流

    面会交流とは、子どもと非監護親が定期的に会ったり、手紙のやり取りをしたりして交流することをいいます。面会交流は、子どものための制度ですから、子どものことを第一に考えて取り決めをしていくようにしましょう。

    好きな人ができたと伝えたことをきっかけとする離婚は、円満な離婚ではなく、当事者間の対立も深いことが多くなります。当事者間の対立が深い場合、離婚後に面会交流の実施が困難になる可能性も高くなります。そのような事態が想定される場合には、面会交流の頻度、日時、場所、方法などをできる限り具体的に定めておくことが大切です。

3、好きな人ができて離婚する場合に把握しておくべきこと

好きな人ができて離婚する場合には、子どもに関すること以外にも把握しておくべきことがあります。

  1. (1)慰謝料の支払いが生じる可能性がある

    好きな人ができて離婚前にその人と肉体関係を持ってしまうと、「不貞行為」にあたり、慰謝料の支払い義務が生じてしまいます。肉体関係まで至っていなかったとしても、ふたりでホテルに宿泊した証拠などがあれば、不貞行為を否定できず、慰謝料の支払いが命じられるリスクもありますので注意が必要です。

    また、不貞行為以外にも婚姻中にDVやモラハラ、悪意の遺棄などの行為があった場合には、それらを理由に慰謝料の支払い義務が生じる可能性もあります。

  2. (2)配偶者に離婚を切り出した結果、別居するとなれば婚姻費用の支払いも生じる

    離婚するまでは夫婦であることに変わりはありません。そのため、離婚を前提に別居することになった場合、収入が多いほうが相手や相手と一緒に暮らす子どもの生活費となる婚姻費用を支払わなければなりません。

    婚姻費用の金額は、基本的には夫婦の話し合いで決めることになりますが、話し合いが困難な場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担調停の申し立てを行います。調停では、婚姻費用算定表に基づいて、お互いの収入や子どもの人数に応じた婚姻費用の金額で合意することが多いです。調停でも合意できない場合には、裁判所が判断する審判に移行して、裁判所が金額を決定しますが、その際にも婚姻費用算定表に基づいて計算します。そのため、夫婦の話し合いでも、当初から婚姻費用算定表を参照しながら話合いを行うことで、スムーズに婚姻費用の金額を定められる可能性が高まります。

  3. (3)財産分与や年金分割なども決める必要がある

    財産分与とは、夫婦が婚姻中に築き上げた夫婦の共有財産を清算する制度です。お互いの協力関係により維持・形成された財産であれば、どちらの名義であるかにかかわらず、原則として2分の1の割合で分けることになります。

    年金分割とは、夫婦の婚姻期間の保険料納付額に対応する厚生年金記録を分割し、それぞれ自分の年金額を計算する基礎にすることができる制度です。

    このように、離婚時には、さまざまな離婚条件を決める必要があります。スムーズに離婚の話し合いをすすめるためにも、あらかじめ離婚条件を定めるために必要となる証拠などを集めて、どのような条件での離婚を希望するのかを考えておくとよいでしょう。

4、子ありで好きな人ができた場合の離婚問題を弁護士に相談するべき理由

子ありで好きな人ができた場合の離婚は、相手ともめたり、話が進まなかったりする可能性がありますので、離婚問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです

  1. (1)離婚できるかどうかを判断してもらえる

    夫婦が離婚する理由はさまざまです。お互いの話し合いで離婚に合意できればどのような理由でも離婚できますが、相手が離婚に応じてくれない場合には、法定離婚事由の有無によって、今後の離婚の進め方が変わってきます。

    好きな人ができたことによる離婚をお考えの方は、基本的には、その理由だけでは裁判離婚まで進めるのは困難です。しかし、その他の具体的な状況によっては、法定離婚事由に該当するような事情がある可能性もありますので、まずは弁護士に相談してみるとよいでしょう。
    弁護士であれば、今後の離婚の進め方などについて、適切なアドバイスをすることができます。

  2. (2)弁護士が代理人として対応することができる

    離婚を決意したら、まずは相手との話し合いをします。しかし、お互いの関係性によっては、直接顔を合わせて話し合いをすることが困難なケースもあるでしょう。
    そのような場合には、弁護士に依頼することを検討しましょう。弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として相手と離婚の交渉をすることができますので、直接顔を合わせて話し合うストレスはありません。また、話し合いで離婚に至らなかったとしても離婚調停や離婚裁判などの手続きを引き続き任せることができますので、安心です。

  3. (3)適切な離婚条件で離婚できる可能性が高まる

    離婚をする際には、親権、養育費、慰謝料、財産分与、年金分割などさまざまな離婚条件の取り決めが必要になります。離婚前に別居する際には、婚姻費用の取り決めも必要です。
    適切な離婚条件で離婚をするには、離婚に関する法的知識や経験が不可欠です。弁護士に依頼すれば、適切ではない不利な条件で離婚に応じてしまうことがないよう、状況に応じた最適な離婚条件で離婚できる可能性が高くなります。どのような条件で離婚するかによって、離婚後の生活も大きく変わってきますので、適切な条件で離婚するためにも、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。

5、まとめ

子ありで、好きな人ができたという理由でも、お互いの合意があれば離婚することは可能です。しかし、離婚する場合にはさまざまな取り決めが必要となること、また不倫していた場合には慰謝料を請求される可能性があることなどを理解しておく必要があります。

好きな人ができて離婚を考えている場合は弁護士に相談すれば、最適な離婚の進め方を提案してもらえます。まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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