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養育費の時効に注意! 養育費が未払いになっているときの対処法

2019年06月13日
養育費の時効に注意! 養育費が未払いになっているときの対処法

「養育費の支払いが滞って困っている」「そもそも相手と養育費について取り決めをしていない」という方は決して少なくありません。しかし、養育費には時効が存在するので注意が必要です。
本コラムでは、養育費の時効や中断させる方法などについて弁護士が解説いたします。

1、養育費には時効があることを知っていますか?

たとえば、離婚の際に親権者を母親と決め、父親は子どもと離れて暮らしているケースはよくあります。親権者ではなくとも、親であることには変わりありません。したがって、こうした場合でも、子どもが成熟するまでは、父親には子どもを扶養する義務があります。
そして、子どもを実際に養育している親は、子どもを養育していない親に対して、子どもを育てていくための費用、つまり養育費を請求することができます。

養育費の支払い義務は、「生活保持義務」と呼ばれるもので、いわばひとつのパンを分け合う義務です。仮にパンが小さいとしても、小さいから分配しなくても良いということにはなりません。小さいなら小さいなりにちゃんと分けなさいということなのです。

養育費の具体的な金額や支払い方法は、離婚の際に相手と話し合って取り決めをしておくのが一般的です。しかし、養育費は親権とは異なり、取り決めをしていなくても離婚自体は可能です。そのため、離婚を急いだ場合や相手ときちんと話し合いができなかった場合など、養育費の取り決めをせずに離婚してしまったケースもあります。
そのような場合でも、離婚成立後に改めて、元夫(元妻)に対して養育費の支払い請求をすることができます。ただし、場合によっては時効にかかってしまい、請求権が制限される場合があります。以下、具体的なケースに沿って、養育費の請求の時効についてご説明します。

  1. (1)養育費について取り決めをしなかった場合

    離婚の際に養育費の金額や支払い方法について、全く取り決めをしなかったというケースです。
    この場合、過去の養育費について子どもを引き取って育てている母(父)は、父(母)に対して過去の養育費の請求ができる可能性はあります。しかし、実務的には請求した時から、養育費を請求できるとされています。

  2. (2)養育費について取り決めをしたが、支払いを拒否されている場合

    離婚の際、夫婦間で養育費の金額や支払い方法を協議して決定したという場合です。この場合は、具体的に毎月いくら支払うという、定期的な支払いの合意をすることが通常です。このような定期的な支払いの取り決めは、民法では、定期給付債権とされ、消滅時効の期間は5年となります(民法169条)。
    そうすると、いったんこの取り決めをした後に相手が払わなくなった場合、5年を経過すると、それ以前のものは消滅時効が完成しているということになります。

  3. (3)調停や裁判など、裁判所で養育費について決定した場合

    一方、家庭裁判所での調停または審判において養育費の支払いについて決定した場合は、そのときから 10年間は消滅時効で請求権が消えることはありません(民法174条の2)。10年を経過すると順次請求権が消滅時効にかかっていきますので早めに請求することが必要です。

2、養育費の時効を中断させる方法について

  1. (1)時効の中断があれば、時効は仕切り直し、時効が完成するのを阻止できます

    時効が完成して相手が援用(時効が完成しているから払わないという意思をこちらに伝えること)すれば、もともとあった請求権も消えてしまいます。

    そもそも時効制度とは、権利があるならきちんと行使しなさい、行使せずに放置し過ぎると、請求できなくなるよという趣旨の制度です。したがって、請求する意思をしっかり示したり、逆に、相手が支払いの意思を示していれば、時効は完成しないという仕組みです。
    具体的には、次のような行為があれば、時効が中断します。ここでいう時効の中断とは、一般用語でいう一時的な中断という意味ではなく、中断行為があった時点から、新たに5年または10年といった時効の計算が始まる、つまり、今まで進んできた時間がゼロにリセットされる強力なものです。

  2. (2)債務承認

    債務承認とは、請求される側が「自分には確かに支払い義務があります」と認める行為です。具体的には、支払い義務を認める念書を書くなどの行為のほか、債権を一部でも支払えば、支払う意思があることを認めたといえるので、支払い自体も債務承認に該当します。

  3. (3)裁判上の請求

    裁判を提起して、請求を起こすことで時効を中断できます。正式な裁判のほか、調停の申し立てにも同じく中断の効果が得られます。

  4. (4)仮差押、差押

    裁判を提起する前に、相手が財産隠しをすることを防ぐため、差し押さえを仮に進めることができます。裁判自体はまだ結論が出ていませんので、あくまで「仮」差し押さえです。裁判で勝訴すれば、その差し押さえ対象の財産価値を、請求者が取得できます。
    この仮差し押さえにも、時効中断の効果が認められています。
    また、強制執行を認める内容を記載した公正証書があれば、わざわざ裁判をしなくても、いきなり強制執行をすることができます。強制執行にも時効中断の効力があります。
    時効の中断は何度でもできます。したがって、時効が完成する前に中断を繰り返すと半永久的に養育費の時効は完成しなくなります。

3、養育費の時効が完成しそうな場合は?

このように、時効を中断させる方法はいくつかあります。とはいえ、相手が払ってこない場合、いきなり裁判を提起したり、差し押さえなどの手続きに踏み切るのは大変です。手続きを進めるだけでも数ヶ月かかる可能性もあり、この間に、時効が完成してしまえば何の意味もありません。そこで、このような場合に、一時的に時効の完成を遅らせる手段が別に用意されています。これが「催告」という請求行為です。
具体的には、相手方に対して、裁判外で、請求の意思表示を行うと、その時点から6ヶ月間は時効が進まなくなるというものです。たとえば、うっかりしていて、あと3日で養育費の時効が完成してしまうというときに、急に裁判を起こすとか、強制執行に入ることは現実的には困難です。そんなとき、取りあえず、3日以内に相手に請求の意思を明確に伝えれば、そこから6ヶ月以内に裁判または強制執行をする猶予期間が与えられるという仕組みです。
ということは、この請求の意思表示がいつ相手に届いたか、これが重要です。仮に時効完成の後に届いていれば意味がなくなるからです。
そのため、意思表示の到達地点をはっきりと記録に残せる内容証明郵便で送付するべきです。

4、時効完成後は養育費を請求できない?

なお、消滅時効は、5年が経過すれば請求権が消えてしまうわけでありません。相手が、消滅時効を援用することで、初めて請求自体ができなくなります(民法145条)。したがって、相手が消滅時効に気づかず、任意に支払ってくる可能性もありますから、計算上は時効が完成している場合でも、請求はしてみるべきでしょう。

5、未払いの養育費を請求する方法について

  1. (1)離婚協議書がある場合

    日本の場合、離婚した夫婦のうち90%以上が協議による離婚です。協議離婚自体は、夫婦で離婚届を書いて提出さえすれば成立します。したがって、養育費や慰謝料などについて取り決める場合は、それとは別に離婚協議書を作成することになります。
    離婚協議書がある場合は、その書面に記載したとおりの養育費の支払い義務が法的に認められます。したがって、相手からの支払いが止まったら、相手に対して、口頭や手紙などで請求をしっかり行いましょう。内容証明郵便を用いることも、心理的にも効果が高いと言われていますので、放っておくことなく請求を続けることが重要です。
    離婚協議書の弱点は、それ自体に強制執行をする効力がないことです。請求を続けても相手が養育費を支払ってこない場合は、結局のところ、裁判に訴えるしかないのです。

  2. (2)公正証書、調停証書がある場合

    離婚協議書を、公証役場で公正証書という方式で作成した場合は、裁判を起こす必要はありません(ただし、公正証書に養育費の支払いが滞ったら強制執行を受けることを認める文言がある場合に限る)。
    この場合は、いきなり相手の給料や銀行口座などに強制執行をかけていくことが可能です。これはかなり強い効果があります。勤務先に裁判所からの強制執行が入ることは、多くの人にとって避けたいことですし、銀行に差し押さえが入れば取引上の問題も深刻です。公正証書がある場合は、相手に対して、「養育費を支払わないと強制執行をせざるを得ない」と伝えるだけでも効果がある程度見込めるでしょう。
    また、調停調書や裁判の判決がある場合も、いきなり強制執行が可能です。とはいえ、強制執行は複雑な手続きですので、ご自身のみで進めることはなかなか困難です。

    そのため、裁判所では、調停など裁判所で取り決めた内容に反して、相手が支払いを行わない場合、裁判所から相手に連絡をとって支払いを促してくれるというサービスがあります。これを履行勧告と言います。費用は無料です。
    履行勧告は、単なる督促の電話ですので、法的効力はありません。しかし、裁判所から電話がかかってきて養育費を支払うようにと言われれば、多くの人は支払わないといけないという気持ちになるものです。実際、履行勧告によってある程度、養育費の回収が進んだケースは多くみられますので、調停調書がある場合には、一度家庭裁判所に相談してみるとよいでしょう。

6、まとめ

せっかく養育費を取り決めたものの、その後の支払いが途中で止まってしまうことは残念ながらよくあることです。そして、たとえふたりで取り決めた養育費であっても、相手にお金を請求することは抵抗やストレスを感じるものです。とはいえ、抵抗感からずるずると時が過ぎると、時効にかかるリスクも大きくなり、後で悔やむことにもなりかねません。
養育費はお子さんの成長にとって大切なものであり、父親がそれを負担することは法律上の当然の義務です。養育費の不払いでお悩みがあれば、ためらうことなく、ぜひ弁護士にご相談ください。ベリーベスト法律事務所では、おひとりおひとりのご事情に応じて親身にお話を伺います。特に、強制執行については、弁護士の関与が必須であり、相手の事情によって回収の可能性も大きく異なります。ぜひお早めにご相談ください。

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