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食い尽くし系の夫と離婚したい! 進め方と4つの離婚準備を解説

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更新日:2025年04月16日  公開日:2025年04月16日
食い尽くし系の夫と離婚したい! 進め方と4つの離婚準備を解説

「食い尽くし系(食いつくし系)」とは、家族の食べ物まで勝手に食べてしまう人を指す言葉です。SNSでも話題になっており、「自分の旦那が食い尽くし系で困っている」といった声が見られます。

食事は毎日のことだからこそ、指摘しても治らない状況に頭を抱えている方もいるでしょう。食事のことで配慮のない夫との結婚生活がストレスとなっている女性の中には、離婚を考えている方もいるでしょう。

本コラムでは、食い尽くし系の夫と離婚する方法や、事前準備のポイントなどについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。

目次を

1、「食い尽くし系」とは? モラハラとは違う?

「食い尽くし系」とは、家族の食事やおやつを無断で食べ尽くしてしまう人を指す俗称です。

たとえば、夫に以下のような行動が見られる場合、「食い尽くし系」と表現されることがあります。

  • 妻自身や子どものために買った食べ物を、夫が無断で勝手に食べてしまう
  • 妻が友人からもらった土産物の食べ物を、夫が全部ひとりで食べてしまう
  • 出産後の妻のための出された食事を、夫が勝手に食べてしまう
  • 夫自身のものがあるのに、妻や子どもが食べているおかずを「食べたい」としつこく言って、ダメだと言っても手を出してくる
など


「食い尽くし系」と言うべき夫の行動には、妻や子どもに対する嫌がらせの意図があることは多くないようです。食欲を抑えられない、あるいは無意識にやってしまっているというケースが大半のようです。

そのため「食い尽くし系」の行動は、精神的な攻撃を意図的に加えるモラルハラスメント(通称モラハラ)に当たるとは言い難いことが多いと言えます。

2、食い尽くし系の夫と離婚する3つの方法

なんでもかんでも食い尽くしてしまう相手と一緒に暮らすのが耐えられなくなり、離婚をお考えの方もいるでしょう。食い尽くし系の夫と離婚する方法は、「離婚協議」「離婚調停」「離婚訴訟」の3通りです。

  1. (1)離婚協議|夫と話し合って合意する

    夫と話し合い、合意のうえで離婚する「協議離婚」がもっとも穏便な方法です。いかなる理由であっても、当事者同士の合意があれば離婚することができます。

    離婚条件について話し合うことを、「離婚協議」といいます。離婚協議では、主に以下の事項などを取り決めしましょう。

    ① 財産分与
    婚姻期間中に取得した財産を、夫婦間で公平に分けます。原則として、2分の1の割合で分け合うことが基本です。

    ② 年金分割
    婚姻中に、夫婦のいずれかが厚生年金保険または共済年金に加入していた場合は、その加入記録を夫婦間で公平に分けます。

    ③ 慰謝料
    離婚の原因をいずれか一方が作った場合は、50万円から300万円程度の慰謝料の精算を行います。ただし、食べ物を食い尽くしてしまう行動だけでは、慰謝料請求が認められる可能性は低いと考えられます。不貞行為・DV・モラハラなど、何らかの別の事情が必要です。

    ④ 親権
    離婚後の子どもの親権者について、父母のどちらにするかを決めます。
    令和8年(2026年)5月までに改正民法が施行され、離婚後の共同親権も認められるようになる予定ですが、施行前に離婚した場合は、父母いずれかの単独親権となります。

    ⑤ 養育費
    離婚後に子どもと一緒に暮らさない側が、一緒に暮らす側に対して支払う養育費の額や支払方法などを決めます。裁判所が公表している「養育費算定表」が参考になります。

    ⑥ 面会交流
    離婚後に子どもと一緒に暮らさない側が、子どもと会って交流する際のルールを決めます。


    すべての離婚条件について合意できたら、その内容をまとめた離婚協議書を作成しましょう。公証役場で公正証書を作成するのが安心です。

    協議離婚は、市区町村役場に離婚届を提出し、受理された時点で成立します。夫婦双方と証人2名が署名した離婚届を、最寄りの市区町村役場に提出しましょう。

  2. (2)離婚調停|家庭裁判所で話し合う

    夫婦の話し合いが平行線をたどる際は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。

    離婚調停では、調停委員2名が夫婦の間に入り、双方から個別に話を聞いて仲介を行います。調停委員の仲介によって、夫婦間で直接話し合うよりも、冷静な話し合いができることが多いです。

    調停を通じて合意が得られた場合には、合意内容をまとめた調停調書を作成し、「調停離婚」が成立します。

    完全な合意が得られなかったとしても、細かい論点だけが残っている場合などには、家庭裁判所が審判を行って離婚条件を決定するケースがあります。審判に対して、夫婦双方とも異議を申し立てなければ「審判離婚」が成立します。

    調停離婚が成立した場合は調停成立日から10日以内、審判離婚が成立した場合は審判確定日から10日以内に、最寄りの市区町村役場に離婚届を提出しましょう。夫や証人の署名は不要です。

    参考:「夫婦関係調整調停(離婚)」(裁判所)

  3. (3)離婚訴訟|裁判所に対して強制的な離婚成立を求める

    離婚調停や審判離婚が成立しなかった場合に、引き続き離婚を求めるときは、裁判所に離婚訴訟を提起しましょう。

    離婚訴訟では、以下のいずれかの法定離婚事由が認められる場合に限り、強制的に離婚を成立させる判決が言い渡されます。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 配偶者の生死が3年以上不明である
    • 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがない
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    事案にはよりますが、「食い尽くし系」の行動だけでは、法定離婚事由に当たると判断される可能性は低いでしょう。しかし、不貞行為・DV・モラハラなど、別の悪質な行動が夫に見られる場合は、法定離婚事由が認められることがあります。

    離婚訴訟においては、法定離婚事由に当たる夫の行動を証拠によって立証しなければなりません。客観的な証拠をできる限り豊富に確保しましょう。

    また、離婚訴訟の手続きは専門的で複雑なので、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。なお、令和6年(2024年)5月に民法改正が成立したことに伴い、令和8年(2026年)5月までに回復の見込みがない精神病の規定は削除されるため、ご注意ください。

3、食い尽くし系の夫と離婚する際に準備すべき4つのこと

離婚を考えているときは、いきなり切り出すのではなく、しっかり事前準備を行うことが大切です。食い尽くし系の夫と離婚したいときは、以下のポイントに沿って準備を整えていきましょう。

  1. (1)離婚条件に関する希望を整理する

    離婚協議を始めるに当たって、まずは離婚条件に関する希望を整理しておくことが重要です。自分の希望を全面的に押し通すのは難しいということを念頭に、離婚条件に優先順位を付けてバランスよく交渉してください。

    お金に関する条件を重視するか、子どもに関する条件を重視するかなど、さまざまな方針が考えられます。離婚後の生活をイメージしつつ、自分自身と向き合ったうえで、どのような離婚条件を求めるかをよく考えましょう。

  2. (2)有利な条件で離婚するための証拠を確保する

    有利な条件で離婚を成立させるためには、主張する離婚条件に応じた証拠を確保することが欠かせません。

    以下のような証拠を、できる限り豊富に確保してください。

    ① 財産分与
    • 預貯金通帳など、相手の財産に関する資料
    • 給与明細や確定申告書など、相手の収入に関する資料

    ② 年金分割
    • 年金分割のための情報通知書
    ※年金事務所に申請して取得する

    ③ 慰謝料
    • 動画、音声、画像、メッセージ記録など、慰謝料の原因となる行動を立証できるもの
    • 医師の診断書(DVやモラハラの場合)

    ④ 親権、面会交流
    • 母子手帳や1日のスケジュール表、保育園(幼稚園)の連絡帳など、養育の状況が分かるもの

    ⑤ 養育費
    • 給与明細や確定申告書など、相手の収入に関する資料
    • 私立学校の授業料や医療費など、通常とは別に必要な養育費の内容が分かる資料

    など


    後悔のない離婚を実現するためにも、「これは証拠になり得るのだろうか」と疑問に思うことがあれば、弁護士にご相談ください。

  3. (3)夫との別居を検討する

    何でも勝手に食い尽くしてしまう夫と一緒に暮らすのがつらいとき、自分の心を守るために別居することは、ひとつの選択肢です。
    事前に話し合いができる場合には、別居中の生活費(婚姻費用)も含めて話し合いを行ったうえで別居をするのがよいでしょう。ただし、DVやモラハラを受けていて危険がある場合には、事前の話合いをすることなく別居すべきと言えるでしょう。

    別居期間中の生活費や子どもの養育費については、夫に対して婚姻費用の支払いを請求することが可能です。

    ベリーベスト法律事務所では、裁判所が公表している婚姻費用算定表をもとに、婚姻費用計算ツールを公開しています。無料で簡単にご利用いただくことができますので、ぜひご活用ください。

  4. (4)離婚後の住居や収入源を確保する

    離婚に伴い転居する場合は、離婚後の住居のめどを立てておく必要があります。また、専業主婦(専業主夫)やパート勤務で十分な収入がない場合は、自力で生活できるだけの収入源を確保しなければなりません。

    収入に関しては、就職や転職によって収入を増やすことのほか、自治体の支援制度を利用する、親族から援助を受けるなどの方法も考えられます。

    状況に応じて、どのような方法で収入を確保すべきかを検討しましょう。

4、食い尽くし系の夫との離婚について、弁護士に相談するメリット

食い尽くし系の夫と離婚したい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚について弁護士に相談することの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 離婚手続きの適切な進め方について、アドバイスを受けられる
  • 離婚協議を代行してもらえるので、夫と直接話をするストレスが軽減される
  • 適正な離婚条件の内容や水準が分かり、不利な条件での離婚を避けられる
  • 調停や訴訟が必要になった場合も、対応を一任できる


弁護士のサポートにより、スムーズに離婚ができる可能性が高まります。食い尽くし系の夫に嫌悪感を抱いている方は、離婚について一度弁護士にご相談ください。

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5、まとめ

家族のことを考えず、なんでもかんでも手を出してしまう食い尽くし系の夫に嫌気が差している方は少なくないでしょう。そこから夫婦仲の不和が広がり、離婚を考え始めるきっかけとなっているケースもあります。

離婚条件の取り決めをしっかり行うことは、離婚後の生活を守ることにもつながります離婚を決断した際は、弁護士に相談することをご検討ください

ベリーベスト法律事務所は、離婚に関するご相談を随時受け付けております。後悔のない離婚を実現していただくために、弁護士が精いっぱいサポートいたしますので、お気軽に当法律事務所へご相談ください。

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この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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