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子持ち男性が離婚を決めるときとは? 知っておきたい兆候と対策

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更新日:2025年12月24日  公開日:2025年12月24日
子持ち男性が離婚を決めるときとは? 知っておきたい兆候と対策

夫との夫婦関係が悪かったり、夫の態度や行動に違和感を覚えるような変化があったりすると、「もしかして離婚を考えているのでは?」と思ってしまうこともあるでしょう。

実際、子どもがいる家庭で急に夫から「離婚したい」と切り出されたら、驚きと戸惑い、これからの生活への不安が押し寄せてくるものです。

本コラムでは、子持ち男性が離婚を決める主なきっかけや兆候、妻ができる対応策について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を

1、離婚を決めた男性がしがちな言動とは?【3段階で解説】

子持ち男性が離婚を考えているかどうかは、日々のささいな言動から察することができる場合があります。特に子どもがいる家庭では、夫側も葛藤を抱えながら離婚を検討しているケースが少なくありません。

最初に、離婚を決意するまでの段階に応じて、男性が取りがちな言動パターンをご紹介します。ただし、あくまでも一例であり、必ずしもすべてのケースに当てはまるとは限りません。個人差が大きく、段階を飛ばしたり、逆戻りしたりすることもある点にご注意ください。

  1. (1)【段階1】心の距離が生まれ始める

    夫が離婚を考えているかもしれないと感じる最初のきっかけは、「なんとなく普段と様子が違う」という違和感から始まることがあります。この段階では、まだ夫自身も離婚を決断しているとは限りません。

    以下のような変化が見られた場合には、家庭への関心が薄れ始めたサインとして注意深く観察する必要があるでしょう。

    • 会話やスキンシップが減る
      以前は当たり前だったハグや会話が減少し、目を合わせようとしなくなるのは、心の距離が物理的な距離にも表れ始めたサインといえます。
    • スマホを手放さなくなる
      スマートフォンを常に肌身離さず持ち歩いたり、トイレやお風呂にまで持って行ったりするようになるのは、プライベートなやりとりを隠したい気持ちの表れかもしれません。
    • 家庭内での居場所の変化
      リビングにいる時間が減り、自室や書斎にこもりがちになるなど、家族団らんの時間を避けるような行動をとる場合も、心が離れ始めている可能性があります。
    • 外泊や休日の外出が増える
      外泊や遅い帰宅が明らかに増加し、休日も家族と過ごすことを避けるようになる場合、家庭から気持ちが離れているサインといえます。不貞行為(不倫)の可能性も否定できません。
  2. (2)【段階2】離婚を現実的に検討し始める

    下記のような段階では、夫が離婚を現実的な選択肢として考え始めている可能性があります。単なる一時的な不満ではなく、「このままでは無理かもしれない」という認識が芽生えた状態です。

    • お金の使い方に変化が出る
      突然節約を意識し始める、個人名義の貯金口座を新たに開設する、妻の支出に対して以前より厳しくチェックするなどの行動は、離婚後の生活を見据えて経済的な準備を始めている兆しかもしれません。
    • 過去の不満を口に出すようになる
      結婚当初の理想と現実のギャップについて語り出すなど、これまで我慢していた過去の不満を語り出すようになった場合、「我慢してきた自分」を正当化し、離婚理由を整理しようとしている可能性があります。
    • 子どもにだけやさしくする
      妻に対しては冷たい態度を取る一方で、子どもに対してだけは以前と変わらずやさしく接する、または普段以上に甘やかすような行動が見られる場合があります。これは、離婚後の親権や面会交流を意識して「良い父親」としての印象を子どもに残そうという考えからの変化かもしれません。
    • 情報収集を始める
      インターネット検索履歴に「離婚」「弁護士」といったキーワードが見られたり、離婚経験者の話を積極的に聞こうとするそぶりがあったりする場合、離婚へ向けた情報収集をしている可能性が高いといえるでしょう。
  3. (3)【段階3】離婚に向けて具体的な行動をとる

    この段階では、夫の離婚の意志がほぼ固まっており、すでに離婚の準備や手続きの実行段階に入っている可能性が高いといえます。

    • 家族への態度が極端に冷たくなる/トラブルを避けるようになる
      離婚の意志が決定的になると、家族に関わること自体がストレスとなり、妻や子どもに対して全く関心を示さなくなったり、ささいなことで激しくいら立って攻撃的になったりするケースがあります。
      一方、離婚の準備が進むことで冷静になり、以前は夫婦間で衝突していた状況でもトラブルを避け、穏便に済ませるようになるケースもあり得ます。
    • 家に帰ってこなくなる(別居状態)
      単なる外泊ではなく家に帰ってこない状態が続くと、離婚を前提に動いている可能性があります。自分の荷物を少しずつ持ち出し始めるなどの行動も、別居の準備をしているサインといえるでしょう。
    • 書類や荷物の整理を始める
      離婚届や転居届、財産関係の資料を整理する様子があれば、離婚手続きを実行に移している段階だといえます。

2、男性側から離婚を切り出す際の主な離婚理由

2章では、裁判所の統計データをもとに、男性が離婚を決断する主な理由について説明します。

  1. (1)司法統計による離婚理由の上位5つ

    裁判所が公表する令和6年の「司法統計」では、離婚調停において男性側が離婚を申し立てる主な理由は、以下のとおりです。

    • 性格の不一致|9233件(60.0%)
      もっとも多く挙げられているのは、「性格の不一致」です。
      夫婦生活の中で価値観や生活習慣の違いが積み重なり、修復が難しいと感じて離婚を選択するケースが多くあります。これは、特別な事件があったわけではないが、日々のすれ違いが限界に達したパターンともいえるでしょう。
    • 精神的に虐待する|3358件(21.8%)
      妻の言動によって精神的な苦痛を受けたと感じていた場合も、離婚理由になります。
      精神的虐待とは、常に否定する、怒鳴る、無視する、感情を押しつけるなどのモラハラ行為などです。
      妻側にとっては指摘や主張のつもりでも、夫にとっては耐えがたいストレスとなっている可能性があります。「これもDVになるの?」と思うような行為が、実は精神的虐待に該当することもあるため、注意が必要です。
    • 異性関係(不倫)|1820件(11.8%)
      配偶者の不貞行為(不倫)が離婚原因となるケースもあります。
      最近ではSNSやマッチングアプリなどが普及し、異性との出会いが容易になったことで、不倫のハードルが下がっていると言われています。夫に不倫がバレてしまうと、離婚だけではなく、慰謝料を請求されるリスクにも注意しなければなりません。
    • 浪費する|1764件(11.5%)
      お金の使い方に関する価値観の違いも、離婚の原因になります。夫から見て「無駄遣いが多い」「貯金に非協力的」と感じると、将来に不安を抱き、離婚を考え始めることがあるのです。
      特に、子どもがいる家庭では、将来の教育資金に関する考え方で意見の食い違いが生じることもあり、お互いの対立が深まると、離婚を考える理由としては十分なものとなります。
    • 家族親族と折り合いが悪い|1699件(11.0%)
      義理の親や親戚との人間関係も、離婚の引き金になることがあります。
      「実家に干渉されすぎる」「義両親と合わない」など、夫にとって居心地の悪い関係が続くと、精神的な疲弊を招き、離婚という選択肢が浮上する場合があるのです。特に、同居や頻繁な交流がある家庭では、この問題が顕在化しやすくなります。
  2. (2)統計には表れにくい離婚理由

    司法統計に記載されていないものの、実際には多くの夫が離婚を決断する見えない理由やきっかけが存在していることもあります。

    • 子どもが節目の年齢に達した
      子どもが小学校・中学校に進学するタイミングや大学進学・就職・成人などの節目に、夫が「今なら離婚しても影響が少ない」と考えることがあります。「子どもが成長するまで我慢しよう」と思っていた夫が、目標を果たしたと感じて離婚を決意するケースです。
    • 経済的な将来不安や価値観の変化
      中年期になって転職や収入減少、老後資金への不安などから、「この先も一緒にやっていけるのか」と夫婦の将来に疑問を抱き、離婚を考える方もゼロではありません。また、人生の価値観が変わり「残りの人生は自分らしく生きたい」と考えるようになることもあります。

3、夫から離婚を切り出される前に妻ができること

「最近夫の様子がおかしい」「もしかして離婚を考えている?」と感じたとき、焦りや不安で冷静さを失ってしまうかもしれません。しかし、状況を正しく見極め、準備を進めることで、慌てずに対応できるようになります。ここからは、子持ちの夫から離婚を切り出される前に妻ができる具体的な行動をご紹介します。

  1. (1)「本気度」を見極める

    夫が一時的に不機嫌なだけなのか、それとも本気で離婚を考えているのかを見極めることが大切です。

    たとえば、1章で紹介したような【段階2~3】の行動(お金の管理を変える、別居を始めるなど)が見られる場合、かなり本気度が高い可能性があります。一方、【段階1】のスキンシップが減った程度であれば、一時的な倦怠(けんたい)期であることも考えられます。

    まずは客観的に夫の変化を観察し、感情的にならずに冷静に状況を把握することから始めましょう。

  2. (2)冷静な話し合いを試みる

    「離婚したい」とはっきり言われる前であれば、話し合いで関係を修復できる可能性もあります。

    ここで大切なのは、相手を責めるのではなく、「どうしてそう感じるのか」「今の生活で不満に思っていることはあるか」といった本音を聞き出す姿勢です。
    一方的な主張や感情的な態度を取ると、夫が心を閉ざしてしまう可能性があるため、注意してください。

  3. (3)証拠保全をしておく(不倫・モラハラなどの可能性がある場合)

    夫に不倫やモラハラなど離婚に至る原因があるときは、それを裏付ける証拠を集めておきましょう。

    • スマートフォンの通話履歴やLINEのスクリーンショット
    • モラハラ発言の録音やメモ
    • 外泊の記録やクレジットカードの明細
    • スマートフォンのデータフォルダ内の画像や動画
    など


    これらが後の慰謝料請求や親権争いにおいて有力な証拠となることがあります。

    現段階で離婚をするかどうか迷っているという方でも、将来離婚を決断したときのために準備をしておくことで交渉を有利に進められる可能性が高まります。

  4. (4)「離婚届不受理申出書」の提出(離婚したくない場合)

    夫が勝手に離婚届を出してしまうことを防ぐために、「離婚届不受理申出書」を市区町村役場に提出するという方法があります。

    これは、本人の同意なしに離婚届が受理されるのを防ぐ制度です。「まだ話し合いの余地がある」「一方的に離婚を進められそうで不安」という場合には、有効な対処法となります。

  5. (5)第三者や弁護士の介入を検討する

    感情が高ぶって冷静な話し合いができない場合や相手に対して不信感が強い場合には、第三者の介入を検討しましょう。

    共通の信頼できる友人や家族、離婚問題に詳しい弁護士といった中立的な第三者を間に入れることで、話し合いがスムーズになることがあります。特に、すでに別居や離婚準備が進んでいるようなケースでは、早期に弁護士へ相談することが非常に重要です。

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4、離婚することになった場合の流れと注意点

夫婦間の話し合いでは解決できず離婚が現実となってしまった場合には、冷静に今後の流れを把握し、自分と子どもの権利を守るための準備を進めることが大切です。4章では、離婚の進め方とその過程で特に注意すべき点について説明します。

  1. (1)離婚の3つの方法

    夫婦が離婚する方法には、大きく分けて以下の3種類があります。離婚を決断したときは、協議離婚→調停離婚→裁判離婚という流れで手続きが進んでいきます。

    • 協議離婚
      協議離婚とは、夫婦で話し合いを行い、お互いの合意により成立する離婚です。日本で行われる離婚のうち、約9割がこの協議離婚といわれています。
      離婚の合意が成立した場合、口約束では後々のトラブルになるおそれがありますので、合意内容(財産分与・養育費・慰謝料など)は必ず書面に残し、公正証書化しておくことが重要です。
    • 調停離婚
      調停離婚とは、家庭裁判所の調停委員を介して、話し合いによる解決を図る方法です。当事者だけでは協議がまとまらない場合や夫と冷静に話し合うことが困難な場合に利用されます。
      調停では、調停委員という第三者が夫婦の間に入って離婚成立に向けた調整を行うため、当事者だけで話し合うよりもスムーズな解決が期待できます。調停で合意に至ると、内容は調停調書にまとめられ、法的拘束力が生じます。万が一養育費や慰謝料の支払いが滞ったとしても、調停調書に基づいて、相手の財産を差し押さえて強制的に回収することができます。
    • 裁判離婚
      裁判離婚とは、調停でも合意できなかった場合、家庭裁判所に訴訟を提起して、裁判官の判断で離婚を決める方法です。ただし、裁判離婚は「法定離婚事由」が必要なため、法定離婚事由の存在を裏付ける証拠が十分でないと離婚が認められないこともあります。
  2. (2)調停や裁判になった場合の注意点

    夫婦の話し合いだけでは離婚の合意がまとまらないときは、離婚調停や離婚裁判による離婚を目指すことになります。このような法的手続きによる離婚をすることになった場合、以下の点に注意が必要です。

    ① 裁判の前に必ず離婚調停を経る必要がある
    離婚に関しては、「調停前置主義」といって、裁判をする前に家庭裁判所の調停手続き(離婚調停)を経なければならないという制度があります。
    つまり、話し合いがまとまらないからといって、いきなり裁判に進むことはできず、原則としてまずは調停を行うことが必要ということです。

    ② 裁判での離婚成立には法定離婚事由が必要
    裁判離婚では、民法により定められている、以下のような法定離婚事由のいずれかが存在しなければなりません。

    • 配偶者に不貞行為があった
    • 悪意の遺棄(生活費を渡さない、家に帰ってこないなど)
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みがない強度の精神病
    • その他婚姻を継続しがたい重大な事由(DV、モラハラなど)


    これらの事実を証明するためには、客観的な証拠(録音・写真・診断書・メールの記録など)が必要です。有利に離婚手続きを進めるためにも、離婚を決意したときは早めに証拠を確保しておきましょう。

  3. (3)離婚する際の主な争点

    離婚の場面では、感情的な対立だけでなく、お金や子どもに関する重要な問題が複数発生します。離婚の際の代表的な争点としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 財産分与
      婚姻中に夫婦で築いた財産は、原則として2分の1ずつに分けるのが基本です。不動産や預貯金、有価証券、退職金などが対象になります。名義に関わらず、共有財産と判断されれば分与対象になるため、綿密な財産調査が必要です。
    • 慰謝料
      配偶者の不貞やDVなどの離婚原因が夫にある場合、夫に対する慰謝料の請求が可能です。金額は内容によって様々ですが、10万円~300万円程度になることが多いです。
    • 養育費
      未成年の子どもがいる場合、子どもと同居しない親(非親権者・非監護親)がもう一方の親に対して養育費を支払う義務があります。金額は家庭裁判所の「養育費・婚姻費用算定表」に基づいて算出されることが一般的です。養育費の未払いリスクを防ぐため、取り決めた内容は必ず公正証書にしておくことが重要です。
    • 親権・面会交流
      夫婦のどちらが子どもの親権を持つかは、離婚の大きな争点になります。子どもの親権でもめている場合、面会交流とセットで調整をすることでスムーズな合意が得られるケースもあります。親の感情よりも、子どもの利益を最優先に考えて判断することが大切です。

5、弁護士からのメッセージ

子持ちの男性(夫)が離婚を決断する背景には、長年積み重ねてきた不満や価値観のズレ、精神的な限界など、さまざまな要因が絡み合っています。

夫の変化に早く気づき、冷静にその「本気度」を見極めることが、関係修復のカギです。また、万が一離婚という選択を迫られた場合にも、事前に気持ちの準備をしておくことで子どもや自分の生活を守ることができるでしょう。

実際に離婚を切り出されたときには、不安をひとりで抱え込まず、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、Zoomや電話によって弁護士に相談することが可能です。詳しくは「オンライン相談(電話・Zoom)」のページをご確認ください。

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この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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