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公正証書作成に備えたい! 離婚するとき作成する際に必要な準備は?

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更新日:2022年01月27日  公開日:2020年11月26日
公正証書作成に備えたい! 離婚するとき作成する際に必要な準備は?

夫婦が離婚するときには、財産分与のことや養育費のこと、慰謝料のことなどさまざまな取り決めをしなければなりません。そのときに、口約束では後々トラブルになる可能性があるため、合意内容を離婚協議書にまとめることが必要です。そのうえで、作成した離婚協議書は公正証書にしておいたほうがよいと聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし、公正証書作成はどのようなもので、どのようなメリットがあるのか、ご存じではない方は少なくありません。本コラムでは、公正証書とはどのようなものか、公正証書作成の手順とあわせて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、公正証書とは?

公正証書とは、2人以上の間で定めた権利や義務に関する契約を、公証役場で公文書として作成した証書のことです。

一般的に、お金の貸し借りなどだれかと大事な約束をしたいときには契約書を結びます。その契約書を公正証書にしておくと、相手が約束を守らなかったときに裁判をせずに強制執行をすることができるようになります。また、公正証書は裁判になったときの有力な証拠資料にもなるので、いざというときにとても役立つものです。

  1. (1)公正証書はどのようなシーンで作成されるのか

    公正証書は以下のようなシーンで作成されます。

    <お金の貸し借りをするとき>
    お金の貸し借りをするとき、金銭消費貸借契約を公正証書にしておけば、借り主がお金を返さなかったときに公正証書を債務名義として強制執行をすることができます。

    <遺言書をつくりたいとき>
    遺言書を残したいときに、遺言者が公証人に遺言の内容を伝えることで公正証書遺言をつくることができます。紛失や盗難、改ざんの心配がないので確実に遺言を残せますし、被相続人の死後、家庭裁判所にわざわざ検認をしてもらう必要もありません。

    <任意後見契約を結ぶとき>
    任意後見契約とは、将来高齢になって判断能力が低下したときに備えて、自分の後見人になってもらえるようお願いするための契約です。任意後見契約を結ぶときは公正証書を利用することが法律で義務づけられています。

    <事業用定期借地契約を結ぶとき>
    事業用定期借地契約とは、ショッピングモールや工場など事業をするために長期でその土地を借りるときに結ぶ契約のことです。事業用定期借地契約についても、締結するときに公正証書を利用することが法律で義務づけられています。

    <養育費や慰謝料などの支払いの約束をしたいとき>
    協議離婚をするときに、夫婦間で養育費や慰謝料など金銭の支払いの約束をして、合意した内容を離婚協議書にまとめます。その内容を公正証書にしておくと、相手方が約束どおりに支払わないときに強制執行をすることができます。

  2. (2)公正証書を作成したほうがよい金額の目安は?

    公正証書を作成する前には何らかの契約を結びますが、原則として公正証書にするときの契約金額にルールや制限はありません。そのため、契約金額がいくらであっても公正証書にすることができますが、ひとつの目安として債権(債務)の金額が60万円以上の契約書を公正証書にする考え方があります。

    その理由は、60万円以下の場合は少額訴訟が利用できるためです。少額訴訟は1回の期日で判決が出るので、迅速な強制執行が可能になります。ただし、少額訴訟の際にも証拠が求められるので、契約書など約束の内容を記した書面は作成しておいたほうがよいでしょう。

2、離婚時に作成する公正証書に持たせられる役割

調停離婚や裁判離婚のときは、調停調書や判決書が債務名義となります。しかし、協議離婚では、自分たちで準備をしない限り相手方が約束を守らなかったときに約束を守らせるための根拠がない状態になります。そこで、離婚するときに証書を利用することになります。

  1. (1)離婚手続きにおける公正証書の役割とは

    離婚するときには、養育費や慰謝料、財産分与、婚姻費用などを収入の多いほうから少ないほうへ支払う義務が生じます。養育費は長期にわたって支払い続けなければならないものですし、養育費以外のものの金額も高額になることがあるので分割払いとすることがあります。

    そのため、協議離婚の際に条件面で合意した内容を離婚協議書にまとめ、それをもとに公正証書を作成することで確実に約束を守ってもらうことができます。離婚公正証書は、いわば離婚契約書のようなものなのです。

    参考:離婚協議書と公正証書の違い

  2. (2)公正証書を作成するメリット

    公正証書を作成すると、お金を受け取る側にはもちろん、支払う側にとってもメリットがあります。

    受け取る側は、強制執行認諾文言を含めた公正証書を作成することをおすすめします。相手方が約束したとおりに養育費などのお金を支払わない場合に、裁判をしなくても相手方の資産や給与を差し押さえ、そこから支払いを受けることができるようになるためです。相手方も給与を差し押さえられると職場に支払いをしていないことがばれるため、不払いを防止する効果も期待できるでしょう。

    また、支払う側にとっては、公正証書を作成しておくことでそこに書かれている内容以外の債務が発生する心配がなくなるので、安心して生活設計をすることができます。

3、公正証書の作成前にすべき準備と必要書類

公正証書は公証人が作成しますが、その内容まで公証人が決めてくれるわけではありません。事前に内容を決めて、必要書類をそろえたうえで公証役場に出向いて作成することになります。

  1. (1)事前に話し合っておくべきこと

    公正証書作成の前に、夫婦2人で離婚条件について十分に話し合い、すり合わせをしておくことが非常に重要です。離婚公正証書の場合は、金銭の支払いについて取り決めをすることが多いので、離婚条件を事前にすり合わせたうえで支払いの内容や金額、支払期限を必ず明記します。

    たとえば、養育費であれば支払いの終了時期として「子どもが18歳になるまで」「20歳になるまで」「高校卒業まで」「大学卒業まで」などさまざまな考え方があります。そのため、子どもの進路の希望にあわせて決めることが必要です。

    また、年金の納付記録についても離婚成立時までのものについては夫婦で分割できます。その際、公正証書または認証により年金分割の合意に関する手続きを済ませておくと、離婚成立後にどちらか一方だけで手続きができるようになります。年金分割の手続きは忘れずにしておきましょう。

    参考:公正証書作成前に取り決めておくべきこと

  2. (2)公正証書作成時の注意点

    公正証書を作成するときは、以下の点に注意が必要です。

    ◆法律上無効になることは記載できない
    公証人も法律の知識が豊富なため、夫婦双方が入れてほしい内容であっても、法律上無効になるようなことは公正証書に記載できません。

    ◆公正証書作成は夫婦2人で行う
    公正証書は、夫婦のどちらか1人だけで作成できるとお考えの方も多いかもしれませんが、離婚公正証書は夫婦2人で手続きを行う必要があります。

    ◆あとから内容を変更することは難しい
    公正証書作成が完了したあと、しばらくたってから「やはりあの内容は変えたい」などと考えても、原則として法律で認められること以外は変更できません。

  3. (3)公正証書作成に必要な書類

    公正証書作成に必要な書類は、自分で公証役場に出向く場合と弁護士などの代理人に依頼する場合とで異なります。

    <自分で出向く場合>

    • 夫婦2人分の写真付きの身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
    • 印鑑証明書(公証役場によっては求められる場合があります)
    • 戸籍謄本
    • 公正証書の記載内容に関する書類(住宅を譲渡するときは登記情報や固定資産評価額のわかる書類、住宅ローンの名義変更をするときは住宅ローンの契約書、年金分割であれば年金分割のための情報通知書と年金手帳の写しなど)
    • 認印


    <弁護士などの代理人に依頼する場合>

    • 本人の作成した、契約内容が書かれた委任状(本人の実印を押すことが必要)
    • 本人の印鑑証明書
    • 代理人の身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
    • 代理人の認印

4、公正証書作成の手順とかかる手数料

公正証書の作成はどのように進むのでしょうか。また、手数料はどれくらいかかるのでしょうか。

  1. (1)事前準備をする

    夫婦でよく話し合い、公正証書にする内容を決めておきます。前述のとおり、いったん公証役場で申し込みをしたあとは内容の変更ができません。また、当事者双方で認識あわせをしておかなければ、公正証書を作成してもかえってトラブルが生じる可能性があるので、内容は慎重に調整や検討を重ねましょう。また、印鑑証明書や戸籍謄本、その他契約内容に関する書類で取り寄せが必要なものは早めに取り寄せておきましょう。

  2. (2)公証役場で公正証書作成を申し込む

    内容をしっかり固めたら、公証役場に公正証書作成を申し込みます。予約の要否など事前に電話などで確認しておくとスムーズです。申し込みのときに公正証書の完成日を予約できるところもありますので、「この日までに欲しい」という希望があれば伝えておきましょう。

    申し込んだあとは、公証人が公正証書を準備する間、しばらく待つことになります。待っている間に公証役場から内容について問い合わせなどの連絡が入ることがありますので、連絡があれば対応するようにしましょう。

  3. (3)公証人と公正証書を完成させる

    公証人が契約者または代理人の本人確認を行います。その後、契約者は公証人の面前で公正証書の内容を確認し、公正証書の原本に契約者と公証人がそれぞれ署名・押印すれば完成です。

    完成した公正証書の原本は、公証役場で原則20年間保管されます。
    原本とともに作成される正本と謄本については、正本は権利者(お金をもらう側)に、謄本は義務者(お金を支払う側)にそれぞれ交付されます。

  4. (4)公正証書の作成にかかる公証人手数料は?

    公正証書の作成にかかる公証人手数料は契約書に定める支払金額により異なります。具体的には、ひとつの契約書に複数の支払い項目がある場合は別々に計算してあとから合算されることになるのです。

    たとえば、財産分与・慰謝料・養育費の3項目あれば、それぞれの金額から手数料を計算し、それを合計したものを公証役場に支払います。なお、養育費の部分については、支払期間が10年以上にわたる場合でも10年までを限度として計算します。

    手数料は以下のとおりです。

    目的の価額手数料
    100万円以下5000円
    100万円を超え200万円以下7000円
    200万円を超え500万円以下11000円
    500万円を超え1000万円以下17000円
    1000万円を超え3000万円以下23000円
    3000万円を超え5000万円以下29000円
    5000万円を超え1億円以下43000円
    1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
    3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
    10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額


    日本公証人連合会「10 手数料」より引用)

5、公正証書作成時、弁護士に依頼するメリット

公正証書作成に手慣れている方はそう多くはないでしょう。そのため、トラブルのないように作成するには、弁護士に依頼することで、スムーズな作成をサポートできます。

  1. (1)何をどう準備すればよいかわかる

    離婚公正証書を作成するとき、「何から始めてよいかわからない」という方は多いでしょう。弁護士に相談すれば、依頼者の状況にあわせてどのようなことを事前に決める必要があるか、どのような書類を準備すべきかをアドバイスすることができます。

    相手方との話し合いが難しい場合は、弁護士が間に入って条件面のすり合わせなどの対応を行うことも可能です。

  2. (2)依頼者に有利な公正証書作成ができる

    公正証書を作成する前には離婚協議書(合意書)を作成することになります。その際、弁護士が協議の段階から対応を委任することで、依頼者に有利な、かつ法的にも問題のない内容の離婚協議書ができます。

    また、その内容を公正証書にも反映させることで、間違いのない離婚公正証書ができあがるでしょう。公証役場での手続きも弁護士にお任せできるので、公証役場に出向くための手間暇も省けます。

  3. (3)強制執行もスムーズ

    公正証書が完成したのちに、相手方が養育費や財産分与などを支払わない場合は、強制執行をすることになります。そのときも、弁護士に依頼しておけば弁護士が代わりに相手方の財産を差し押さえて強制執行をしてくれるので、一連の手続きがスムーズにできます。

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6、まとめ

協議離婚の場合は、きちんと合意内容を離婚協議書にまとめたうえで公正証書にしておくメリットがより大きくなります。しかし、内容の思い違いをしているとあとからトラブルになる可能性もありますので、話し合う段階からきちんと認識違いのないように公正証書の内容を詰めていくことが大切です。

「公正証書作成をしたことがなく、何をどうしてよいかわからない」という方も多いと思います。公正証書の作成は弁護士に依頼することもできるので、作成を検討されている方はベリーベスト法律事務所までご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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