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相手に弁護士がつき離婚を切り出された。 ひとりで対応できる?

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更新日:2021年05月27日  公開日:2021年05月27日
相手に弁護士がつき離婚を切り出された。 ひとりで対応できる?

ある日突然、弁護士から連絡があり、配偶者が離婚を希望していると言われ、困惑するという方も多いものです。そして、今後の話し合いは、配偶者本人ではなく、弁護士に連絡するようにとの指示を受けます。

こんなとき、いったいどう対応すればよいのか戸惑うでしょう。その戸惑いや焦りを抱えたまま、自分で対応すると、思わぬ不利益を被る可能性があります。離婚を切り出された場合、特に相手が弁護士をつけていた場合は、自分で対応する前に弁護士に相談することをおすすめします。

本記事では、離婚について自分で対応するリスクと、弁護士に依頼した場合のメリット、そして離婚手続きの流れについて、離婚相談の経験豊富な弁護士がご説明します。

1、相手が弁護士をつけてきた場合、ひとりで対応したら、不利になる?

離婚事件で相手が弁護士をつけてきたからと言って、弁護士への依頼が必須となるわけではありません。弁護士をつけることなく、自分で対応することも可能です。

実際、相手が弁護士をつけても、最後まで自分で対応を続ける人もいます。しかし、相手が離婚を望んで弁護士をつけてきた以上、それ以降のすべてのやりとりは「交渉」です。

弁護士に依頼せずに、自分で交渉することのリスクをご説明します。

  1. (1)自分に不利な条件で進むリスク

    離婚も交渉ですから、お互いが自分の有利になることを目指すものです。
    相手が弁護士をつけたのは、自分が法的に不利な立場にならないように、いわば自分の権利を精いっぱい主張するためです。そうなると、こちらも精いっぱい権利を主張しなければ、対等な交渉はできません。しかし、自分で交渉すると、何気ない一言が、自分にとって大きなマイナス要素になってしまう可能性も十分にあります。

    たとえば、電話のやりとりは、相手が会話を録音している可能性があります。そして、自分が発するすべてのセリフが、法的にどんな意味を持つのか、考えながら話さなければなりません。しかし、自分で対応するとなると、言葉の一つ一つについて法的意味を判断しながら会話することはかなり難しいでしょう。発してしまった言葉を後から消すことはできません
    自分の発言が、離婚条件について自分を不利に追い込んでしまうリスクとなる可能性もあるのです。

  2. (2)感情の整理ができないリスク

    離婚は、法的な問題でありながら、感情に左右される側面が強いという特徴があります。

    つまり、感情問題を無視しては、スムーズな解決には進めないと言ってもいいでしょう。とは言え、話し合いをうまく進めるためには感情を整理し、コントロールしたうえで対応する必要がありますが、自分で直接交渉をすると、感情の整理ができないままに話をしてしまうことがあります。冷静な対応ができなくなることのデメリットとしては、次の点が挙げられます。


    • 交渉が長引く
    • 相手の態度を硬直させ、結果として相手の譲歩を引き出せず、自分が不利になる
    • 自分が本当に伝えたいことが伝わらない


    離婚は、人生を左右する大きな出来事です。特に、突然、配偶者の代理人と名乗る弁護士から離婚の申し出があったような場合は、自分の感情を整理することは至難の業と言っていいでしょう。
    しかし、感情が整理できないままに自分で交渉すると、最終的に納得がいかない結果に陥るリスクがあるのです。

  3. (3)交渉のストレスによるリスク

    交渉事は、それ自体が大きなストレスです。
    ましてや、今まで長く人生を一緒に歩んできた配偶者から、突然離婚の申し出を受ければ、それだけで心身のストレスは相当なものとなるでしょう。ストレスをすべて自分で抱えながら、自分の仕事もし、生活を維持することは大変な負担です。
    離婚の交渉にエネルギーをとられていると、自分の仕事、ひいては今後の人生にもダメージを与えかねません。

    特に相手に弁護士がついている場合は、平日の日中に何度も電話がかかってきたり、書面が届いたりします。そして、こちらの忙しさに関係なく急いで回答を求められるなど、相手のペースでどんどん連絡が来るものです。これらをひとりで対応しようとすれば、膨大な手間とストレスを引き受けることになってしまいます。

2、離婚する際に気をつけるべきこと

離婚は法的な手続きですから、離婚の際には慎重にいろいろな手続きを進める必要があります。
さらに、医師などの収入の多い方が離婚する際に気をつけておくべきポイントがあります。以下でご説明します。

  1. (1)財産分与

    財産分与とは、夫婦が婚姻中に共同生活を営みながら協力して築いた財産(これを「共有財産」と言います)を、離婚時にふたりで分けることです。
    相手が専業主婦で、夫が働いて稼いだ収入によって得た財産だけが資産という場合も、配偶者の助けがあったからこそ夫が働き続けられたという理由で、すべて夫婦共有財産として認められるのが通例です。

    共有財産は、あくまでふたりで築いた財産ですから、結婚前からそれぞれが持っていた財産や、相続した財産は含まれません。これを特有財産と言います。

    ① 分与対象となる財産
    婚姻中にふたりで築いた財産はすべて分与対象となりますが、具体的な財産としては、次のようなものが挙げられます。


    • 預貯金
    • 株式や投資信託、有価証券
    • 不動産
    • 動産(自動車、アート作品、宝石など資産価値のあるものすべて)
    • 生命保険の解約返戻金
    • 退職金


    なお、開業医の場合、夫個人の財産と、医療法人の財産の区別が不明確な場合があり、場合によっては、相手方から、医療法人の財産についても分与を求められる可能性があります。
    医療法人の財産と夫個人の財産は、本来はまったく別のもので、医療法人の財産は財産分与の対象にはなりません。
    しかし、個人経営の場合は、名義が法人となっていても実質的には夫と配偶者との共有である、と認められる可能性もあり、大きな争点となり得ます。この点は、慎重な交渉が必要となるポイントです。

    ② 財産分与の割合は常に2分の1?
    分割の割合は、原則として夫婦それぞれ2分の1です。したがって、結婚してからふたりで築いた財産は、その2分の1を離婚の際に相手に渡さなければならないのが原則です。
    ただ、この割合はあくまでひとつの基準であり、夫婦間で合意ができれば、分与の割合を自由に決めることができます
    資産が多額に上る場合は、分与割合が1割違っても金額に大きな差が出ます。安易に2分の1で合意せずに、これまでの仕事や生活における寄与度、医師の場合は仕事の専門性等を踏まえて、慎重に交渉すべきです。

  2. (2)婚姻費用・養育費

    ① 婚姻費用や養育費の計算方法
    離婚を申し出られて、相手が家を出ていった場合は、離婚の請求と合わせて、婚姻費用の支払いを求められることになるでしょう。

    婚姻費用とは、生活費など配偶者と配偶者のもとにいる未成熟の子どもが生活を維持するために必要な費用のことです。別居してから離婚が成立するまでの間は、収入の高い側が低い側に支払い続ける義務があります。なお、養育費とは、離婚が成立した後に、元配偶者が未成熟の子どもを養っている場合に、その子どもの養育に必要となる費用のことです。

    現在、裁判所では、婚姻費用や養育費の算定は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を基準として行われています。

    夫婦それぞれの年収が分かれば、この算定表を利用しておおよその養育費や婚姻費用を知ることができます。 ベリーベスト法律事務所のサイトには、この算定表をもとにした婚姻費用や養育費を簡単に計算できるページもあります。ぜひご活用ください。



    ② 算定表には、年収の上限があることに注意
    この算定表は、一般的な家庭を想定して作られているため、年収に上限があることに注意が必要です。

    具体的には、給与所得者については2000万円(源泉徴収票の支払金額)、自営業者については1409万円(確定申告書の課税される所得金額)までしか、算定表には掲載されていません。したがって、この金額を超える高額所得者については、算定表のもとになっている計算式から婚姻費用を算出する必要があります。

    ③ 高額所得者の場合
    算定表の上限である2000万円からの乖離がどれほどかを考慮して算出方法が検討されることもあるなど、高額所得者の婚姻費用の算定は方法が定まっているとは言えません。一つの考え方として、以下のようなものがあります。

    婚姻費用はあくまでも生活費であって、所得が増えれば増えるほど、生活費がそれに比例して多額になっていくわけではないという考え方から、高額所得者の場合は、「養育費・婚姻費用算定表」を参考にしつつ、生活の実態に合わせて、個別具体的に金額を算出します。
    この場合、主張立証により金額が大きく変動する可能性がありますので、主張立証は慎重に検討して行う必要があります。

    このように、一般的な収入のケースに比べて、高額所得者のケースの場合、算定方法が様々あり、算定方法によっては、通常よりも具体的な主張立証が求められることもあるため、主張立証をどのように行うかによって金額が揺れ動く可能性が高くなります。そのため、自分に有利な計算方法や主張を行う必要が高いと言えます。

  3. (3)慰謝料

    ① 離婚の慰謝料は必ず払わないといけない?
    離婚時の慰謝料とは、婚姻中に精神的苦痛を相手から受けた場合に、その苦痛に対する損害賠償として支払われるものです。したがって、離婚する場合でも、必ずしも慰謝料を支払わなければならないわけではありません。
    通常、離婚時に慰謝料を支払うことになる原因としては、不貞(浮気)や暴力などがあります。

    性格の不一致や、単に相手に対する不満を理由として離婚する場合は、通常、慰謝料は発生しません。配偶者側からの離婚請求では、法的な慰謝料の発生原因が特になくても、とりあえず慰謝料を請求してくるケースは少なくありません。
    離婚と慰謝料は直結するものではありませんので、安易に慰謝料の支払いに応じてはいけません

    ② 慰謝料の金額は収入に比例する?
    また、高額所得者の離婚では、相手方が多額の慰謝料を請求する傾向にあります。有名人の不倫などで1000万円などの多額の慰謝料額が報道されることも影響しているかもしれません。

    しかし、訴訟で認められる慰謝料額には、収入が影響を与える可能性があることは否定できませんが、主要な考慮要素ではありません。
    婚姻費用や養育費は収入に比例して高くなりますが、慰謝料は、精神的な苦痛に対する金額ですから、収入による影響をあまり受けません。ただし、実態として、高額所得者の場合には支払い能力がありますので、法的な根拠は別として、調停や協議の際には、通常よりも高額の慰謝料や解決金の支払いについて合意される場合は多いと言えます。
    仮に慰謝料を支払うべき立場になっても、金額が妥当かどうかはしっかりチェックしましょう

3、離婚相談を受けた弁護士ができること

弁護士に離婚について相談した場合、弁護士ができることについて整理します。

  1. (1)お客さまの話を誠実に聞き、現状を客観的に把握し、アドバイスを行う

    離婚を切り出されたときには、仕事上の大変さとは違う、大きなストレスにさらされるでしょう。弁護士であれば、ご相談者の話を丁寧に聞いて、現状をまず把握します。

    そして、相手の主張の意味を説明し、選択肢をきちんと整理した上で、実情に沿ったアドバイスをすることができます。

  2. (2)財産分与・養育費、慰謝料の適正額を、経験をもとに判断できる

    離婚時には、いろいろな名目で金銭的な要求が飛び交います。しかし、上にご説明したとおり、相手の要求が過大なことも多いため、適正な金額をこちらで計算し直す必要があります。

    とはいえ、特に開業医の財産分与や高額所得者の婚姻費用の計算は、難易度が高い分野です。離婚問題に経験豊富な弁護士であれば、こうした高度な領域についても、適切に判断し、ご相談者が不利にならないようにアドバイスが可能です。

  3. (3)裁判所での手続きや相手との話し合いの代行、調停や訴訟での代理人ができる

    離婚問題でもめてしまうと、避けられないのが調停や訴訟など裁判所での手続きです。

    離婚調停や離婚訴訟は、平日の日中に裁判所に呼び出され、さまざまな書類を提出するように求められます。特に、離婚訴訟では、法的な主張立証を行わなければなりませんから、弁護士に依頼するか否かで、進行や結果に違いが出てくるでしょう。弁護士に相談することで、これらの手続きを代理人として進めてもらうことができ、自分の味方を得ることができます

4、弁護士への依頼した場合の流れ

離婚について、弁護士に依頼した場合の流れを確認しておきましょう。

  1. (1)話し合い(協議離婚)

    状況にもよりますが、まずは、弁護士を通じて離婚に関する話し合いを行います。
    離婚するかどうか、離婚する場合は、財産分与などの経済的条件をどうするか、家(不動産)をどうするか、未成年の子どもがいる場合は親権や養育費をどうするかといった点について話し合い、合意する必要があります。

    これらの点について合意でき、離婚届にふたりで記入押印して役所に提出すると協議離婚が成立します。弁護士は、これらの話し合いを進めるだけでなく、離婚時の合意条件を離婚協議書という書面にまとめ、場合によっては公正証書を作成するなどして、離婚後に紛争が再燃しないようにすることまで行います。

  2. (2)調停(調停離婚)

    調停とは、家庭裁判所で行う、当事者間の話し合いの場です。同じ日に裁判所に出頭しますが、相手とは直接顔を合わせず、それぞれが調停委員に対して自分の主張を行い、相手の主張は調停委員を通じて伝えられることで話し合いが進められます。

    調停は、おおむね1~1.5か月に1度のペースで行われ、平日の日中の数時間を拘束されます。弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として出頭することができ、その場合は本人が欠席することもできますので、本人の負担はかなり軽減されます。ただし、事案によっては、ご本人が出席した方が良い場合もありますので、依頼された弁護士とよく打合せを行うことが重要です。

  3. (3)裁判(裁判離婚)

    離婚調停でも合意に至らない場合は、離婚訴訟に持ち込まれます。離婚訴訟は、話し合いの場ではなく、それぞれが自分の主張をまとめた書面と、証拠を裁判所に提出し、最終的には裁判所の判断(判決)を受ける手続きです。

    訴訟では法的な専門用語が用いられ、法廷の独自のルールで進められますので、自分ひとりで対応するリスクが格段に大きくなります。訴訟になる可能性がある場合は、早めに弁護士に相談、依頼するほうが安全です。

    参考:離婚の流れと種類について

5、まとめ

ベリーベスト法律事務所は、離婚に関する相談件数が豊富な事務所です。また、全国に拠点があり、様々な地域でご相談いただけます。
そして、弁護士費用が分かりにくいという問題にも取り組み、明朗会計で、ご納得いただける費用の説明を心がけております。離婚について不安をお感じの方は、ぜひお早めにベリーベスト法律事務所にご相談ください。担当弁護士が丁寧にお話を伺い、サポートいたします。

参考:事務所案内・全国の拠点一覧

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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