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専業主婦が離婚するとき財産分与は請求できる? 確認すべきポイント

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更新日:2024年08月09日  公開日:2022年12月19日
専業主婦が離婚するとき財産分与は請求できる? 確認すべきポイント

離婚をしたいとお考えになっても、専業主婦の方の多くは、離婚後の生活を考えたときに経済的な不安がどうしても生じてしまうものです。そのため、経済的な不安からなかなか離婚に踏み出せないという方も少なくないでしょう。

しかし、専業主婦であっても離婚時に財産分与を求めることができます。特に婚姻期間の長い夫婦であれば、ある程度大きな金額を財産分与で請求することができる可能性があることを知っておくべきです。

今回は、専業主婦が離婚時に請求する財産分与のポイントについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、専業主婦が離婚するとき相手に請求できるもの

専業主婦として暮らしていた方が離婚をする場合には、以下のような請求を考えましょう。

  1. (1)財産分与

    財産分与とは、婚姻期間中に築いた夫婦の共有財産を離婚時に清算する制度です。専業主婦が家事や育児によって外で働いている夫を支えてきたからこそ、夫は仕事に集中できたといえます。つまり、直接的に収入を得ていなかったとしても、専業主婦は財産の維持・形成に貢献をしてきたといえます。

    そのため、専業主婦であっても離婚時に財産分与を求めることができるのです。

  2. (2)養育費

    夫婦に子どもがいる場合には、離婚時に夫婦のどちらか一方を親権者に指定しなければなりません。親権者に指定された者が基本的に子どもと一緒に生活をすることになりますので、子どもと離れて暮らす親に対して養育費を請求することができます。なぜなら、子どもと離れて暮らすことになったとしても、子どもの親であることに変わりなく、養育の義務があるためです。

  3. (3)慰謝料

    離婚にあたって、相手が離婚(婚姻関係の破綻)を生じさせたと言える事情(不倫、暴力など)がある場合には、慰謝料の請求をすることができます。

    ただし、相手が自らに責任がある(有責である)と認めてくれるとは限りません。そのため、慰謝料を請求する側で相手が有責であるという事実が誰にでもわかるような事情を立証しなければなりません。したがって、慰謝料を請求する場合には、しっかりと証拠を収集しましょう。

  4. (4)年金分割

    年金分割とは、離婚時に夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金記録や共済年金記録を分割して、将来的に自分の年金を算出する際の基礎にすることができるという制度です。専業主婦期間のあった方や配偶者よりも収入が少なかった方は、年金分割を求めることによって、将来受け取れる年金を増やすことができます

参考:年金分割の基本と注意したいポイント

2、収入を得ていなくても財産分与は半分の権利がある!

前述の通り、財産分与は、夫婦の財産形成・維持に対する貢献度に応じて財産を分ける制度です。夫婦の貢献度は、基本的には等しいものと考えられています。そのため、財産分与の割合については、原則として2分の1となります。

夫がサラリーマン、妻が専業主婦というケースでは、夫婦の財産形成は主に夫の収入によってなされているという面がありますが、妻も家事や育児によって夫を支えることによって財産形成に貢献をしているといえます。そのため、妻が専業主婦であったとしても、財産分与の割合は、原則として2分の1です。

離婚をするとその後は自らの生活費を稼ぐ必要がありますが、長らく専業主婦だった場合、就職は容易ではありません。離婚後の経済的な不安を少しでも解消するためにも、離婚時には、財産分与を請求してしっかりと確保することが大切です。

3、財産分与で受け取れる割合が変わるケース

繰り返しになりますが、財産分与の割合は、2分の1が原則とされています。しかし、事案によっては、その割合が変わることがあります。

本章では、財産分与の割合が変わる可能性があるケースについて紹介します。

  1. (1)2分の1よりも少ない割合になる可能性があるケース

    具体的には、以下のものが挙げられます。

    ① 夫の知名度や特殊な資格・能力による稼ぎが大きい場合

    夫の知名度や特殊な資格・能力による稼ぎが大きい場合には、財産形成に対する夫の貢献度が高いと判断されますので、専業主婦の方が受け取ることができる財産分与の割合は、2分の1よりも少なくなる可能性があります。

    たとえば、夫が会社の経営者、医師、弁護士、スポーツ選手などの特殊技能や資格が必要な職種であり、それによって高額な収入を得ているという場合、財産分与の割合が修正される可能性がありますので注意が必要です。

    ② 家事や育児をしていない場合

    専業主婦であっても2分の1の割合で財産分与を求めることができるのは、家事や育児によって財産形成に貢献をしていると評価できるからです。

    もし、専業主婦が家事や育児をしていない場合には、その前提が崩れてしまいますので、財産分与の割合は、2分の1よりも少なくなる可能性があります。

    ③ 妻が有責配偶者であった場合

    財産分与は、夫婦の共有財産の清算を目的として行われる「清算的財産分与」が中核を占めます。しかし、財産分与には、慰謝料の要素を含む「慰謝料的財産分与」という要素もあります。

    一般的に慰謝料は、財産分与とは別に請求するお金になりますが、慰謝料的な考慮がなされた結果として、専業主婦がもらうことができる財産分の割合が2分の1よりも少なくなる可能性はあります。しかしながら、一般的には、慰謝料については別途請求し、財産分与は2分の1で考えるのが通常です。

  2. (2)2分の1よりも多い割合になる可能性があるケース

    以下のケースに該当する場合、財産分与の割合が2分の1よりも多くなる可能性があるでしょう。

    ① 夫の浪費があった場合

    財産分与は、夫婦の貢献度に応じて財産を分ける制度です。夫がギャンブルや遊興などで多額のお金を消費していたような場合には、財産形成に対する夫の貢献度は低いものと評価される可能性があります。

    このような場合には、夫の財産分与の割合を2分の1よりも少なく修正した結果、専業主婦の財産分与の割合が2分の1よりも多くなる可能性があります。

    ② 双方が話し合いで合意をした場合

    財産分与の方法については、夫婦の話し合いによって自由に決めることができます。したがって、当事者双方が合意さえしていればこの割合を変えることは法律上問題ありません。

    たとえば、夫婦の共有財産として自宅がある場合には、それをどちらがもらうかでもめることがありますが、養育費や慰謝料の代わりとして、夫名義の自宅を妻が取得する場合も考えられるでしょう。この場合には、2分の1よりも多い割合で妻が財産分与を受けることができます。

    ただし、財産分与として過大な財産を取得した場合には、贈与とみなされて高額な贈与税が課税される可能性もありますので注意が必要です。

    ③ 夫婦財産契約で財産分与の割合が定められていた場合

    夫婦財産契約とは、婚姻前に夫婦で財産などに関する取り決めをする契約のことであり、契約後に登記を行います。夫婦財産契約は、結婚前にしかすることができず、結婚後は原則として変更できない極めて特殊な契約ですので、利用している方は非常に少ないです。

    夫婦財産契約で財産分与の割合を定めた場合には、その取り決め内容が2分の1ルールに優先しますので、内容次第では、専業主婦が2分の1よりも多い割合で財産分与を受けることができます。

4、財産分与の対象になる資産を調べよう

財産分与をする場合には、どのような財産が対象となるのかを把握し、しっかりと調べることが大切です。

  1. (1)財産分与の対象になる財産

    財産分与の対象となる財産は、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産です。財産分与の対象かどうかは、当該財産の名義ではなく、夫婦の協力によって維持形成されたかという実態によって判断されます。後述する「特有財産」に該当しない限り、婚姻中に夫婦の協力によって維持形成されたとして、財産分与の対象になります。

    財産分与の対象になる代表的な財産としては、以下のものが挙げられます。

    • 現金、預貯金
    • 不動産
    • 退職金
    • 自動車
    • 有価証券、投資信託
    • 生命保険や学資保険の解約返戻金
    • 借金やローンなどの負債


    他方、夫婦の協力とは無関係に形成された財産については、財産分与の対象にはなりません。このような財産を「特有財産」といいます。

    特有財産にあたるものとしては、以下のものが挙げられます。

    • 結婚前から持っている財産
    • 親から相続した財産
    • 親族から贈与を受けた財産
    • 別居中に取得した財産
  2. (2)財産分与の対象となる財産の調べ方

    適切な財産分与の金額を計算するためには、共有財産をすべてリストアップする必要があります。そのためには、お互いがそれぞれ持っている財産を開示する必要があります。夫婦であってもお互いの財産をすべて把握しているわけではありませんので、まずは、相手に対してすべての財産を明らかにするように求めてきましょう。

    相手が任意に開示をしないという場合には、弁護士に依頼をして弁護士会照会という方法をとることによって、相手の財産を明らかにすることができる場合があります。また、裁判所の調査嘱託という方法によっても相手の財産を明らかにすることができる場合があります。

    これらの方法は、個人では難しい方法となりますので、相手が財産を隠している疑いがある場合には、専門家である弁護士に相談をすることをおすすめします。

5、相手が財産分与に応じない場合はどうすべき?

相手が財産分与に応じない場合にはどのように対応すればよいのでしょうか。

  1. (1)先に離婚してしまうと請求できなくなる?

    とにかく離婚をしたいというとき、財産分与や養育費の取り決めをせずに、離婚届を提出してしまいたいとお考えになるかもしれません。もちろん、離婚後であっても財産分与や養育費を請求することはできます。しかし、どうしても先に離婚をしなければならない理由がない限りは、先に離婚をするのは避けた方がよい場合が多いです。

    なぜなら、先に離婚をしてしまうと相手が話し合いに応じてくれない状態に陥ったり、離婚を交渉材料として有利な離婚条件を引き出すことができなくなったりしてしまうからです。

    また、財産分与の請求は、離婚後2年にしなければなりません。2年を超えると、一切請求できなくなります。場合にはよりますが、一般的には、財産分与についてもしっかり条件を決めてから離婚したほうがよいでしょう。

  2. (2)財産分与の請求方法

    財産分与を請求する場合には、まずは当事者間の話合いをされる方も多いです。専業主婦であっても、2分の1の割合で財産分与を求めることができますので、しっかりと権利を主張していくことが大切です。

    話し合いによって合意が得られない場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行い、離婚調停の中で財産分与の話し合いをしていくことになります。調停になれば、裁判所の調査嘱託という方法を利用することができますので、相手が財産の開示に応じないという場合でも調査嘱託を利用すれば相手の財産を明らかにすることができる場合もあります。

    調停でも合意できない場合には、最終的に離婚裁判を行います。離婚裁判では、財産分与を求める場合には、証拠に基づいて主張立証をしていく必要があります。また、こちらから特有財産の主張や財産分与割合の修正を主張する書面を提出したり、相手から主張された場合の反論の書面を提出したりする必要があります。法的知識がなければ適切な対応は困難といえますので、弁護士への依頼をご検討ください。

  3. (3)弁護士に相談したほうがよいケース

    適切な財産分与を受けることができれば、専業主婦であっても離婚後の経済的な不安が緩和され、安心して離婚に踏み切ることができるでしょう。そのため、婚姻期間が長く、財産分与の対象財産の額が高額になる熟年離婚のケースであればなおさら、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士が対応することによって、相手の財産を正確に把握したうえで、最終的に得られる財産分与の額を増やすことができる可能性が高くなります。

    また、相手が自営業や小規模な会社の経営者であるという場合には、実質的に夫婦の共有財産にあたるものが会社名義に移されているおそれもあります。会社名義の財産と共有財産の選別をするには法的知識が不可欠となりますので、弁護士のサポートがなければ適切な対応は難しいでしょう。

    さらに、離婚にあたっては、財産分与以外にも親権、養育費、慰謝料、面会交流、年金分割などの条件を取り決める必要があり、その際に相手ともめてしまうこともあります。離婚自体や離婚条件でもめているという場合には、当事者同士の話し合いではスムーズな解決は期待できません。話し合いを持つこと自体が難しい場合、弁護士に依頼すれば今後顔を合わせることなく離婚までの話し合いを進めることが可能です。

    いずれの場合においても、まずは弁護士に相談をしてから話し合いを進めることをおすすめします。

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6、まとめ

専業主婦であっても、家事や育児などによって、財産形成に貢献をしてきたことでしょう。そのため、原則として2分の1の割合で財産分与を求めることができます。

相手から「専業主婦には財産分与は認められない」、「2分の1の割合で財産を渡すことはできない」などの主張がなされた場合には、弁護士を間に入れて交渉したほうがスムーズな解決が期待できます。財産分与など離婚に関する問題でお悩みのときは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。親身になって対応します。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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