妻の不倫が発覚! 離婚を考えたときに知っておくべきこと
もしも自分の妻の不倫が発覚したら…誰でも大変なショックを受けるものです。そのようなとき、頭に思い浮かぶのは「離婚」の2文字かもしれません。
しかし、妻が不倫したからといって、一時の感情のみに縛られ、闇雲に離婚の手続きを進めてしまうと、想定もしていなかったような不利益を受けることもあるため、離婚をすべきか否か等について、慎重に検討をすることが重要です。
今回は、妻の不倫が発覚し、離婚を考えたときに注意をするべきポイントを、弁護士が詳しく解説します。
1、妻の不倫の原因は?
妻が不倫していることを知ったら、いきなり「離婚」のための手続きを進めるのではなく、まずは「なぜ妻が不倫したのか」を考えましょう。
原因としてよくあるのは、以下のようなことです。
- コミュニケーション不足
- セックスレス
- 夫の言動や行動に嫌気がさした など
不倫の原因はさまざまですが、もしも、日常生活におけるコミュニケーション不足など双方の努力によって改善できることが原因になっている場合には、これを機に2人で話し合いをして関係を修復することもひとつの解決方法です。
特に、夫婦間に小さな子どもがいる場合などには、離婚により子どもの成育環境に大きな変化が生じてしまうことになるため、離婚を避けて婚姻関係を継続するほうがよいケースもあります。
2、やっぱり妻の不倫が許せない! 離婚のときに決めておくべき7つのこと
そうはいっても、どうしても妻の不倫を許せない場合や、夫婦関係の修復が見込めない場合などには「妻と離婚するしかない」という判断もあり得ます。
ただし、離婚をするときには、いくつかの注意点があります。
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(1)慰謝料請求
妻の不貞が発覚した場合には、離婚をするか否かにかかわらず、妻もしくは不貞の相手方に対して不貞慰謝料を請求できる可能性があります。ただし、その際には「不貞の証拠」が必要になってきます。
漫然と妻もしくは不貞の相手方に「慰謝料を払ってほしい」と伝えても、妻や不貞の相手方は不貞関係にあったことを否定するなど責任を認めないことが予想されます。このとき証拠がなければ、裁判をしても、不貞の事実が証明できず、慰謝料を支払わせることができないという事態に陥ってしまうこともあります。
したがって、事前にできるだけ多くの証拠を集めておきましょう。
なお、不倫慰謝料の相場は、不倫が原因で離婚に至った場合は300万程度、離婚はしない者の慰謝料を請求する場合は100万円程度といわれています。
ただし、相手方の経済力とあなたが受けた損害によって、慰謝料額は変わります。双方が合意に至れば、高額となることもありますし、数十万に留まることもあるため、相場どおりになるとは限りません。 -
(2)財産分与
財産分与も重要です。たとえ妻が不倫をしたことが原因で離婚に至ったとしても、婚姻時から別居時までに夫婦で築き上げた共有財産については、財産分与をする必要があります。
そのため、男性側としては、妻の不倫が原因で離婚に至った場合でも、財産分与義務を負ってしまうことがあるという点には注意が必要です。 -
(3)住宅ローンなどの名義
住宅ローンを組んでいる場合などには、離婚するに際して名義変更が必要になるケースもあります。
たとえば夫婦共同名義で住宅ローンを組んでいるケースなどでは、金融機関も交えて今後のローンの支払い名義を誰にするのかという点の協議が必要になるケースもあります。 -
(4)子どもの親権
子どもがいる夫婦では、離婚後子どもの親権者をどちらにするかを定める必要があります。
日本では離婚後の共同親権が認められていないため、夫婦のうち、どちらかが親権者となる必要があるためです。
一般的な傾向として、特に子どもの年齢が低い場合には母親が親権を獲得するケースが多いです。たとえ妻が不倫していても子どもの親権をとられてしまうこともあるので、男性側が子どもの親権者となることを希望する場合には、自分が親権者となった場合の子どもの成育環境を整えるなど慎重な対応が必要です。 -
(5)面会交流権
子どもがいる場合に、離婚後又は別居中に子どもを監護養育していない親は、子どもを監護している親に、子どもと面会をすることを求めることができます。この権利のことを、「面会交流権」といいます。
妻の不倫が原因で離婚した場合であっても、妻には面会交流権がありますから、妻が息子や娘たちに会いたいと伝えてきたら、基本的に会わせなければなりません。
心情的に、自分としては妻とは関わりたくないと思っても、子どもと妻の親子関係は基本的に一生続くということは、きちんと理解しておく必要があります。 -
(6)養育費
子どもの親権を持たないことになった親は、親権を持ち、子どもの財産を管理する義務と権利を持つ者に、子どもの養育費を渡す義務があります。
養育費は、子どもが、自らの親と同等の健康活文化的な生活を送るために必要なお金です。子どものために支払うお金であって、離婚をした元配偶者に対して支払うお金ではありません。
もしあなたが親権をとらなかった場合、不倫をした妻にお金を支払う形になるため、抵抗がある方も多いようです。しかし、「親権を持たない親が離れていてもできること」のひとつが養育費でもあります。どこまで進学してほしいかなど、子どもの将来を見据え、離婚をする際、しっかり決めておく必要があるでしょう。
もしあなたが親権を獲得できたときは、当然、子どもの母親である妻に対して養育費の請求が行えます。
子どものためのお金ですから、女だから支払わなくてよいというものではありません。しかし、養育費などの金額は、支払う側の経済力に大きく左右されるものです。つまり、離婚後の妻が、経済的に自分だけの生活を維持することで精いっぱいとなる状態であれば、実際に養育費を受け取ることは難しいかもしれません。 -
(7)離婚後の生活について
時代の変化とともに家事・育児を夫婦で分担しているという家庭も増えているとは思いますが、女性が中心となって家事や育児を負担している家庭も多いといえます。
当然ですが、離婚後は男性も、自分で家事をする必要がありますし、子どもの親権者となった場合には育児をする必要もあります。他方で、今までどおり仕事も継続する必要があります。そのため、離婚後に生活環境がどのように変化するのかという点も踏まえて、離婚をすべきか否かの最終的な決断を下す必要があります。
いずれにしても、離婚後すぐにでも、安定した生活を営めるよう、しっかりと準備しておく必要があるでしょう。
3、離婚の手順は? 離婚する際に残しておくべき「書面」について
結婚する際、双方の合意があれば成立したように、離婚も原則、双方の合意があれば即時に成立させることができます。
しかし、離婚は、これまでひとつ屋根の下で営んできた生活をわける必要があるため、決めなければならないことや決めておいたほうがよいことが結婚以上にたくさんあります。
離婚の際、決定したことがあとからトラブルにならないよう、あらかじめ手を打つためには、「書面」を必ず残す必要があります。
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(1)離婚の手順とは?
離婚には、状況によって次のような種類があります。
- 協議離婚……話し合いによって互いが合意して成立した離婚
- 調停離婚……家庭裁判所で行われる調停制度を利用して成立した離婚
- 審判離婚……家庭裁判所による審判を受け、合意したとき成立する離婚
- 裁判離婚……裁判によって判決が下され、成立した離婚
一般的に、まずは協議離婚を目指して双方で話し合いを行い、話し合いが難しい状態になったとき、調停へ移行し、それでも合意できないときに裁判となります。
民法では、離婚に関しては「調停前置主義」を採用しているため、調停を行わずにいきなり裁判を起こすことはできません。 -
(2)書面作成の重要性
調停離婚や裁判離婚など、裁判所が関与した離婚については、離婚が成立したときに決まったことをすべて記載した公的な効力を持つ書類が必ず発行されます。この書面は、離婚後、必要な支払いがなされないなど、万が一の際に大きな力を持ちます。
しかし、協議離婚をする場合は自らが用意しなければ、書面を残すことができません。そこで、協議離婚が決まったときは、必ず「協議離婚合意書(離婚協議書)」という「書面」を作成しておくべきです。協議離婚合意書とは、夫婦が話し合いをして取り決めた離婚条件をとりまとめた書面です。
協議離婚合意書を作成していない場合、財産分与や慰謝料、親権や養育費などの各種の問題について、夫婦の合意内容を証拠として残すことができません。あとになって、不倫をした妻が「そんな約束はしていない」などと発言し、金銭の支払いを拒絶する可能性もでてきます。
そこで、離婚に関する合意内容を示す証拠として、協議離婚合意書を作成しておく必要があるのです。 -
(3)公正証書の作成について
このとき、単なる書面ではなく「公正証書」にしておくことを検討すべきです。
公正証書とは、公証人法に基づいて任命される「公証人」が公文書として作成する書面で、非常に信用性の高いものです。
公正証書において「強制執行認諾条項」を入れておくと、離婚後に妻が約束どおり金銭を支払わなかったときに、妻の財産や給料債権を差し押さえることが可能となります。
ただし、公正証書を作成すると、反対に自分が支払い義務を果たさなかった場合には、自分の財産や給料債権を差し押さえられてしまいます。
たとえば、妻の不倫で離婚するパターンでも、夫が妻に財産分与しなければならない事案はありますし、妻が親権者となったら養育費支払いも必要です。そのようなときに公正証書があると、自分が不払いとなったときに、妻から預貯金や生命保険解約金、給料債権などを差し押さえられる可能性があるので、公正証書を作成するときには、そういったリスクについても正確に理解しておく必要があります。
4、不倫をした妻と離婚するメリットは?
実際に離婚をすべきか否かという判断に迷われている場合には、そもそも“離婚にどのようなメリットがあるのか”という点を考えてみましょう。
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(1)ストレスが軽減される
不倫した妻と同居して生活を続けるのは、非常に大きなストレスとなることが予想されます。
口論が絶えない状態になることもあり得ますし、妻が相手の男性と連絡を取り合っているのを目の当たりにすることもあり得るでしょう。離婚した場合には、そのような精神的ストレスから解放される可能性があります。 -
(2)自分の時間が増える
結婚生活を送っていると、どうしても自分の時間は限られてしまいます。他方で、離婚をした場合には、自分の好きな趣味などの時間を増やすこともできます。
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(3)再婚も検討できる
妻側が不倫をしている場合であっても、離婚が成立するまでは婚姻関係が継続していますから、男性側が他の女性と恋愛関係になった場合等には、男性側は逆に妻側から不貞慰謝料の請求をされてしまうおそれもあります。
他方で、離婚をした場合には、婚姻関係は解消されるため、男性側は、別の女性と恋愛をしたり結婚したりすることも基本的に自由にできることになります。 -
(4)子どものためになるケースがある
夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、親が離婚すると子どもの成育環境が悪化してしまうケースも多いですが、一概にそうとはいえません。
子どもにとっても、家庭内で両親の口論が絶えず、常に家の中がピリピリした状態で過ごすのは、大きなストレスになり得ます。
離婚したとしても、子どもの成育環境がきちんと整っていれば、子どもがのびやかに成長していけることもあります。子どもにとって何が一番であるのかという視点を常に持つようにすることは大切であると思います。
5、不倫した妻との離婚で弁護士へ依頼すべきケース
妻が不倫したとき、自分ひとりで離婚の手続きを進めても、希望どおりになるとは限りません。できるだけ有利に離婚を進めるためには、専門家である弁護士に対応を依頼しましょう。
以下で、弁護士に相談すべきケースをご紹介します。
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(1)話し合いすらまともにできない
不倫した妻と離婚しようとしても、妻が話し合いを拒絶するので、離婚に向けた話し合いがまったく前に進まないことがあります。また、話し合い自体は行えているものの、お互いの主張内容に開きが大きいため、話し合いが一向にまとまらないということもあるでしょう。
そのような場合には、第三者である弁護士を間に入れることで話し合いがスムーズに進むこともあります。 -
(2)妻が離婚を拒否している
次に、不倫した妻が離婚を拒絶して譲らない場合にも、弁護士への相談をおすすめします。
日本では、協議離婚や調停離婚を成立させるためには、夫婦の双方が離婚に応じることが必要です。妻が離婚を拒絶している限り、こういった方法で離婚することができず、最終的には離婚訴訟をするしかありません。
ただ、弁護士が介入して不倫した妻と交渉をして、法的な判断内容等を踏まえて説得をした場合には、妻の考えが変わる可能性もあります。
また、どうしても妻が離婚に同意せず、で調停も不成立になった場合には、弁護士に任せて離婚訴訟を行い裁判所に裁判離婚を求めることも可能です。 -
(3)早く離婚を成立させたい
不倫した妻と関わりたくないので、早く離婚を成立させたいケースでも、弁護士に相談すると効果的です。
弁護士が介入して不倫した妻に交渉を持ちかけると、妻のほうも「夫は本気で離婚しようとしている」ことを実感し、真剣に離婚を考えるようになりますし、弁護士が交通整理をするので、余計な方向に話がそれず、ダイレクトに離婚に向けた話し合いを進めることが可能となるからです。 -
(4)できるだけ多くの慰謝料を請求したい
できるだけ多額の慰謝料を請求したいならば、弁護士に対応を依頼しましょう。
自分たちで交渉をすると、どうしても夫は高額な慰謝料を求め、不倫した妻は減額を求めるので、話が平行線になりがちです。弁護士が介入すると、さまざまな工夫を凝らして交渉したり、粘り強く相手を説得したりして、妥当かつ可能な限り高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まります。 -
(5)妻に親権を譲りたくない
不倫した妻が親権を譲らないので話ができないケースでも、なるべく早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
親権者を決めるにあたっては、母親優先の基準といって、特段の事情のない限り、母親の監護養育が優先されるべきであるという考え方がとられていますので、原則として不貞をした妻でであっても親権者として認められてしまうこともあります。
また、親権者を定めるにあたっては、現状尊重の原則といって、変更すべき特段の事情がない限り、既に監護を続けている、その同一の監護権者が引き続き監護すべきであるという考え方もとられています。妻が子どもの監護をしている場合には、仮に妻が不貞をしていても、親権者は妻であると認められてしまう危険があります。
弁護士であれば、父親が親権者と認定されるためには、どのような事情が必要であるか、個々の事案ごとにアドバイスをすることができますので、子どもの親権者となることを希望され、妻が親権を譲らないと主張するケースでも、なるべく早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
6、まとめ
以上のように、妻の不倫によって離婚をするケースであっても、必ずしも夫が思っているようにスムーズに手続きが進むとは限りません。慰謝料を支払ってもらえない可能性もありますし、親権をとられてしまうおそれもあります。有利に離婚を進めるためには、弁護士によるサポートを受けることが重要です。
ベリーベスト法律事務所では、離婚問題、男女問題に積極的な取り組みを進めておりますので、お困りの際には、お早めにご相談ください。
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