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妻源病・夫源病を理由に離婚できる? 離婚の進め方や必要な準備とは

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更新日:2024年10月02日  公開日:2024年10月02日
妻源病・夫源病を理由に離婚できる? 離婚の進め方や必要な準備とは

妻源病とは、妻と一緒にいることが原因で体調不良などがあらわれる症状のことをいいます。また、その逆の症状を夫源病といい、夫と一緒にいることが原因でさまざまな症状があらわれます。妻源病や夫源病は、医学的な診断名ではありませんが、一緒に生活することを苦痛に感じて、これを理由として離婚を考える方も少なくありません。

では、妻源病や夫源病を理由に配偶者と離婚することはできるのでしょうか。また、離婚をする際にはどのような準備を進めればよいのでしょうか。

今回は、妻源病・夫源病を理由とする離婚の可否や離婚に向けた準備などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、妻源病とは?

妻源病とはどのような症状なのでしょうか。以下では、妻源病とその反対の夫源病の特徴や症状・原因などについて説明します。

  1. (1)妻源病の特徴や症状・原因

    妻源病(さいげんびょう)とは、妻が近くにいることで夫の身体や心に不調がでてしまう症状をいいます。妻源病は、医学的な診断名ではありません。その逆である、「夫源病」は、石蔵文信医師が患者と向き合う中で症状に気付き、命名したものです。
    妻源病であらわれる症状としては、主に以下のようなものが挙げられます。

    • めまい
    • 動悸(どうき)、息切れ
    • 頭痛
    • 不眠
    • 性欲減退
    • うつ状態


    仕事などで自宅の外にいる時間はこのような症状がでないものの、自宅に帰り、妻の顔を見たり、休日に妻と一緒に過ごしたりしていると症状があらわれる場合には、妻源病の可能性があるようです。夫を妻源病にしてしまう妻の言動としては、主に以下のようなものが挙げられます。

    • 常に自分が正しいと思い込み、夫を非難する
    • 子どもに夫の悪口を吹き込む
    • 夫の行動を常に監視する
    • 友人の夫と比較して自分の夫をおとしめる
    • 周囲の人よりも収入が少ないと文句を言う
    • 問題が生じたらすべて夫のせいにして責める
  2. (2)夫源病の特徴や症状・原因

    夫源病(ふげんびょう)とは、妻源病の反対の症状で、夫が近くにいることで妻の身体や心が不調になることをいいます。夫源病も、妻源病と同様に医学的な診断名ではなく、症状についても妻源病と似ています。

    妻を夫源病にしてしまう夫の言動としては、主に以下のようなものが挙げられます。

    • 常に自分が正しいと思い込み妻を非難する
    • 子どもに妻の悪口を吹き込む
    • 妻の行動を常に監視する
    • 友人や親戚の妻と比較して自分の妻をおとしめる
    • 家事や育児を協力しない
    • 生活費を渡さない
    • 常に上から目線で話をする
    • 人前では愛想がよいものの、家だと機嫌が悪い

2、妻源病・夫源病を理由に離婚できるの?

妻源病または夫源病を理由に離婚することができるのでしょうか。以下では、妻源病または夫源病を理由とする離婚の可否およびその方法について説明します。

  1. (1)話し合いによる協議離婚や調停離婚であれば離婚可能

    夫婦が離婚する方法には、以下の3つの方法があります。

    • 協議離婚
    • 調停離婚
    • 裁判離婚


    このうち、協議離婚と調停離婚は、夫婦の話し合いにより離婚をする方法ですので、お互いが離婚に合意していれば、離婚理由が妻源病または夫源病であったとしても離婚することができます。そのため、妻源病または夫源病を理由に離婚をする場合には、まずは相手との話し合いによる協議離婚を目指すとよいでしょう。

    当事者同士の話し合いでは解決できない場合には、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。調停では、裁判所の調停委員が夫婦の間に入って、話し合いを進めてくれますので、お互いに顔を合わせる必要がありません。妻源病または夫源病の場合、相手と顔を合わせるだけでさまざまな体調不良の症状があらわれる可能性もありますので、調停が有効な手段となるでしょう。

  2. (2)裁判離婚は法定離婚事由がなければ離婚できない

    協議離婚および調停離婚を成立させるためには、夫婦双方の合意が必要になります。相手が離婚に反対している場合には、協議離婚および調停離婚では離婚できませんので、最終的には裁判離婚による離婚を目指すことになります。
    しかし、裁判離婚では、以下の法定離婚事由のいずれかに該当する事情がなければ離婚は認められません。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 配偶者の生死が3年以上不明
    • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    妻源病または夫源病は、上記の法定離婚事由のいずれにも該当しません。そのため、妻源病または夫源病を理由に裁判離婚をするのは困難といえます。
    ただし、妻(夫)からモラハラや暴力を受けている、妻源病が原因で夫婦仲が悪化しているにもかかわらずお互いやり直す意思がない、夫から生活費を渡してもらえないなどの場合は、婚姻関係の維持が困難であるとして「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性もあります。

3、配偶者が離婚を拒否する場合にできること

妻源病や夫源病の状況にある家庭では、配偶者が離婚を拒否することも考えられます。そのような場合には、以下のような対処法を検討してみましょう。

  1. (1)配偶者と別居をする

    相手に離婚を申し出ても無視されたり、拒否されたりすれば、なかなか離婚をすることができません。そのような場合には、まずは別居してみることも手段のひとつです。

    妻源病または夫源病は、相手と一緒に生活することでさまざまな症状があらわれますので、距離を置くことでストレス源から解放され、そのような症状は大幅に緩和されるでしょう。

    また、妻源病や夫源病だけでは法定離婚事由に該当しないケースであっても、長期間の別居という事情があれば法定離婚事由が認められる可能性もあります。そのため、将来の裁判離婚のためにも有効な手段といえるでしょう。

  2. (2)離婚ではなく関係修復を試みる

    妻源病または夫源病で悩んでいる方は、離婚以外に選択肢がないと思い込んでいる方も少なくありません。しかし、離婚となれば離婚後の生活への不安や子どもがいる場合には子どもへの影響などもありますので、離婚ではなく関係修復を試みるというのもひとつの選択肢になります。

    まずは、本当に離婚したいのか、相手とやり直すことができないのかなど自分の気持ちを改めて整理してみるとよいでしょう。関係修復という選択肢をとるのであれば、一方的に自分の意見を押し付けるのではなく、夫婦でお互いの気持ちを伝えて歩み寄ることが大切です。

4、離婚を進める前に必要な準備や知っておくべきこと

スムーズに離婚手続きを進めるためには、あらかじめ以下のような準備を行っておくとよいでしょう。

  1. (1)自分が希望する離婚条件をまとめておく

    離婚にあたっては、養育費、親権、財産分与、慰謝料、年金分割などの条件を取り決める必要があります。いきなり離婚を申し出たとしても、どのような条件で離婚したいかが明確になっていないとスムーズに話し合いを進めることができません。

    そのため、相手に離婚を切り出す前にまずは自分が希望する離婚条件をまとめておくとよいでしょう。ただし、離婚条件の中には、金額の相場や決め方などのルールがあるものも含まれていますので、弁護士にアドバイスをもらいながら考えていくのがおすすめです

  2. (2)相手の有責性を立証するための証拠を集める

    相手からの暴力、モラハラ、不貞行為があった場合には、それを理由に慰謝料を請求することができます。ただし、裁判で慰謝料を請求するためには、相手の有責性を証拠によって立証していかなければなりませんので、あらかじめ十分な証拠を集めておくことが重要です。

    どのような証拠が必要になるかは、具体的な状況や有責事由によって異なりますので、ご自身で判断できないときは、弁護士に相談するとよいでしょう。

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5、まとめ

妻源病とは、妻と生活することが原因で夫の体調が悪くなる症状で、その反対を夫源病といいます。協議離婚や調停離婚であれば、妻源病または夫源病を理由に離婚できる可能性がありますが、裁判離婚をするのであれば、法定離婚事由に該当する事情が必要です。

妻源病または夫源病を理由に離婚をするには、法的観点からのアドバイスが不可欠となりますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として相手と交渉をしてくれますので、ご自身の負担は大幅に軽減します。また、調停や裁判などの法的手続きも任せられますので不安なく離婚手続きを進めることができるでしょう。
妻源病や夫源病を理由に離婚をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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