離婚時にペアローンの返済はどうなる? 5つの選択肢と注意点
夫婦のマイホームをペアローンで購入した場合、「離婚できないのではないか」と考える方がいらっしゃいます。また、「離婚後も相手のローンを払い続けなければならないのか」と不安を抱えている方も少なくありません。
実際、ペアローンは夫婦それぞれが住宅ローンの契約者となる仕組みであるため、離婚後に返済義務が残ることも多く、トラブルに発展しやすいと言えます。そのため、「離婚したくても住宅ローンのせいで身動きが取れない」と感じてしまう方は多いでしょう。
ペアローンがあるからといって離婚できないわけではありませんが、離婚時に何も対策をしないでいると、離婚後の返済トラブルや信用情報への悪影響、将来的な生活設計への支障といった深刻な問題につながるおそれがあります。
本コラムでは、ペアローンの基本的な仕組みや離婚時に知っておくべき注意点、家を「売る」「残す」場合の具体的な選択肢、返済が滞った場合に起こり得るリスクについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が解説します。
目次を
1、「ペアローンを組んでいると離婚できない」は本当?
結論からいえば、ペアローンがあっても離婚することはできます。ただし、仕組みを正しく理解していないと離婚後に思わぬトラブルを抱えてしまう可能性があるため、注意が必要です。まずは、住宅ローンの基本的な仕組みから確認していきましょう。
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(1)住宅ローンには4つの契約形態がある
住宅ローンには、大きく分けて以下の4つの契約形態があります。
・単独債務
夫または妻のどちらか一方がローン契約者となる形です。返済義務を負うのは契約者のみで、もっとも一般的な住宅ローンです。
・連帯債務型
夫婦が共同でローン契約を結び、双方が主債務者となる形です。金融機関に対しては、それぞれが全額について返済義務を負います。
・連帯保証型
一方が主債務者となり、もう一方が連帯保証人になる形です。主債務者が返済できなくなった場合、連帯保証人が代わりに返済義務を負います。
・ペアローン
一般的に、夫婦それぞれが別々に住宅ローンを契約し、互いに相手のローンの連帯保証人となる仕組みです。それぞれが独立した債務者であり、住宅ローン控除をそれぞれ受けられるというメリットがあります。
このように、ペアローンは「夫婦それぞれがローン契約者である」という点が最大の特徴です。
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(2)ペアローンがあっても離婚はできる
離婚届の提出と住宅ローンの契約は法的に別の物であり、住宅ローンを理由に離婚が制限されることはありません。しかし、問題となるのは離婚後もローン契約が残る点です。
ペアローンでは、夫婦それぞれが金融機関と直接契約しているため、離婚しても自動的に契約が解消されることはありません。
その結果、下記のような問題が生じます。- 自分は住んでおらず、元配偶者だけが住んでいる場合も、自分に請求が来る
- 自分は支払っていても、相手の支払い状況によっては自宅が差押えられる
- 住宅ローンが残っていることで新しい生活を始めにくい
このような事情から、「ペアローンがあると離婚できない」と誤解されがちですが、正確には「離婚はできるが、ローン問題を整理せずに離婚すると大きなリスクがある」というのが実情です。
離婚時は、住宅ローンを含めてきちんと検討・処理するようにしましょう。
2、ペアローンがあって離婚するときの基本的な3つの注意点
ペアローンがある状態で離婚する場合、ローンの問題を処理せずに話を進めてしまうと、後から大きなトラブルに発展しかねません。特に、以下の3点は多くの方が誤解しやすいため、事前にしっかり押さえておくことが重要です。
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(1)財産分与とローンの支払い義務は別問題
離婚時には「財産分与」が行われます。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、原則として2分の1ずつ分け合う制度です。住宅についても、婚姻期間中に購入したものであれば共有財産に該当し、分与の対象となります。
ただし、財産分与と住宅ローンの支払い義務は別問題です。
たとえば、離婚協議(=離婚について夫婦で話し合いをすること)で「家は妻が取得し、住宅ローンもすべて妻が支払う」と合意したとしても、その合意内容がそのまま金融機関との契約に反映されるわけではありません。
すなわち、銀行からローンを借りているのが夫であれば、銀行からの請求は夫にされることになります。
ペアローンは、あくまで金融機関との契約であり、銀行にとっては「どちらが離婚したか」「どのような合意をしたか」は無関係だからです。
そのため、たとえ財産分与の合意書や公正証書を作成して、元夫婦間においてローンの返済に関して何らかの合意をしたとしても、銀行が別途承諾しない限り、ローン契約のとおりの義務を負い続けることになります。 -
(2)離婚原因が相手にあってもローン返済義務は消えない
「不倫をされた」「DVやモラハラを受けた」など、離婚原因が相手にある場合でも、住宅ローンの返済義務が免除されることはありません。
もっとも、離婚条件の調整において、下記のような形で実質的な調整を行うことは可能です。- 財産分与として住宅は相手方に渡すが、慰謝料の代わりに有責配偶者がローンを支払い続ける
- 財産分与として住宅を相手方に渡し、相手方が住宅ローン負担する(住宅ローンの名義と支払者が異なる)
ただし、これもあくまで夫婦間の合意にすぎず、金融機関との関係を変えるものではない点に注意が必要です。
住宅ローンの名義と支払者が異なると、住宅ローンの期限の利益喪失条項に違反したとして、一括弁済を求められるリスクもありますので、慎重な検討が必要です。 -
(3)家の名義とローン
ペアローンで家を購入する場合、ローンの金額の比率と自宅の共有持分の比率を一致させるのが一般的です。そして、共有持分を持っていることがローンの前提になりますので、持分を失えば、ローン契約の期限の利益喪失条項に反したとして、一括弁済を求められる可能性があります。
離婚の際に、当事者双方のローンをいずれも一方が支払うことを合意し、自宅の所有者をローンを負担し続ける一方に変更したいと考えても、銀行の承諾を得ずに名義変更を行えば、一括弁済を求められるリスクは生じます。
名義を一方の単独所有に変更したい場合には、事前にローンを借りている金融機関に相談して債務引受を行ったり、別の金融機関での借換えを行うなどする必要があります。
お悩みの方はご相談ください
3、売る? 残す? 離婚時にペアローンはどうすることができる?
ペアローンがある状態で離婚する場合、「家をどうするか」は避けて通れない問題です。
選ぶ選択肢によって将来のリスクや負担が大きく変わるため、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで判断するようにしましょう。
以下では、ペアローンがある場合の代表的な選択肢を説明します。
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(1)【売る】家を売却してペアローンを返済する
売却価格がローン残高を上回る「アンダーローン」の場合は、売却代金でローンを完済し、残った金額を財産分与として分けることができます。
一方で、売却価格がローン残高を下回る「オーバーローン」の場合には、自己資金を出して不足分を補ったり、事前に金融機関と交渉した上で 任意売却を行ったりするなどの対応が必要です。
任意売却であれば、競売よりも高値で売却できる可能性があり、生活再建の余地を残しやすいというメリットがあります。
ただし、金融機関と事前の調整が必要であり、早めの相談が重要です。 -
(2)【残す①】一方が住み続けて、ローンを一本化もしくは借り換えを行う
離婚後もどちらか一方が自宅に住み続けたい場合、その人が住宅ローンを一本化し、単独名義にする方法があります。
この方法のメリットは、ローン関係が整理され、将来的なトラブルを回避できる、住環境を変えずに済むという点にあります。ただし、以下の点には注意が必要です。- 単独で住宅ローン審査に通るだけの収入・信用力が必要
- 金融機関の審査が厳しく、必ずしも認められるとは限らない
審査に通らなければ、他の方法を検討しなければなりません。
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(3)【残す②】一方が住み続けて、家を出る側の持ち分(権利)を買い取る
家を出る側の持ち分を買い取るという選択肢があります。
この場合、持ち分の評価額を算定したり、買い取り資金をどのように用意するかを検討したりすることが必要です。
また、持ち分を買い取ったとしても、ローン契約自体が残ったままであれば、連帯保証や返済義務が消えない点には注意が必要です。 -
(4)【残す③】変わらずペアローンのまま、支払いを続ける
離婚後も住居をそのままにし、ペアローンを維持する選択肢もあります。しかしこの方法は、以下のようなリスクを抱えています。
- 相手が支払いをやめた場合、連帯保証人になっていれば自分に請求が来る
- 連絡が取れなくなったり、取りにくくなったりするなどトラブルに発展しやすい
- 現在のローンの返済が完了しなければ、新たな住宅ローンを組めない可能性が高い
そのため、一時的な対応としてはあり得ても、長期的にはリスクが高い方法といえます。
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(5)【残す④】ローンを一本化して、賃貸に出す
自宅を第三者に貸し出し、家賃収入でローンを返済する方法も考えられます。ただし、この方法には以下の注意点があります。
- 住宅ローンは原則として「自己居住用」であり、賃貸利用には金融機関の承諾が必要
- 無断で賃貸に出すと契約違反になる可能性がある
- 家賃収入がローン返済額を下回ると持ち出しが発生する
そのため、事前に金融機関へ相談し、条件を確認したうえで慎重に判断するようにしましょう。
4、ペアローンを解消しないまま、離婚後に返済が停滞したらどうなるのか
ペアローンを解消しないまま離婚し、その後どちらかの返済が滞ると、深刻な問題に発展するおそれがあります。以下では、実際に起こり得るリスクについて具体的に説明します。
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(1)相手が支払わないと自分に請求がくる
ペアローンでは、夫婦それぞれが住宅ローンの契約者であり、互いに連帯保証人になっているケースが一般的です。そのため、離婚後に元配偶者が返済を滞らせた場合、金融機関はもう一方に対しても支払いを請求します。
たとえ、離婚協議書で「相手が全額支払う」と決めていた、実際には自分が家に住んでいないといった事情があっても、金融機関には関係ありません。
結果として、突然に多額の支払いを求められることもあるため、注意が必要です。 -
(2)信用情報に傷がつきローンやクレジットが使えなくなる
返済が遅れると、個人信用情報に「延滞」の記録が残ります。
これは、いわゆる「ブラックリスト」に載るという状態で、一度信用情報に傷がつくと、日常生活に下記のような支障が生じます。- 新たな住宅ローンが組めない
- 自動車ローンやカードローンの審査に通らない
- クレジットカードが作れない、更新できない
これは、自分が支払いを滞らせていなくても、相手の滞納が原因で発生する可能性がある点に注意が必要です。
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(3)滞納が続くと競売にかけられる可能性がある
返済の滞納が長期化すると、金融機関は、住宅を競売にかける手続きを進めます。
競売になると、下記のような深刻なデメリットが生じます。- 市場価格よりも大幅に安い金額で売却される
- 売却してもローンが完済できず、借金だけが残る
- 近隣に知られやすく、精神的負担が大きい
競売を避けるためには、滞納が始まる前、もしくは初期段階での対応が重要です。
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(4)新たな住宅ローンや賃貸契約が難しくなる
返済遅延や競売の情報が信用情報に登録されると、将来的な住居の選択肢が大きく制限されることに注意が必要です。たとえば、下記のような問題が生じることがあります。
- 新たに住宅を購入したくてもローンが組めない
- 賃貸住宅の入居審査に通らない
- 保証会社の審査で断られる
離婚後の生活再建を考えるうえで、これは非常に大きなリスクといえるでしょう。
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(5)リスクを避けるにはローンの処理を優先すべき
上記のようなリスクを回避するためには、離婚時にペアローンをどう整理するかを最優先で考えることが重要です。
具体的には、ローンの一本化や売却による清算、名義・返済方法の見直しなど、状況に応じた対策を検討する必要があります。
離婚後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、感情的な話し合いだけで済ませず、早い段階で専門家に相談することが大切です。
お悩みの方はご相談ください
5、ベリーベストの解決事例と弁護士からのメッセージ
ペアローンが原因で離婚協議が進まないケースは少なくありません。
ベリーベスト法律事務所が対応した事例では、夫の不貞行為をきっかけに離婚を希望したAさんが、ペアローンの残る自宅の扱いに悩まれていました。
弁護士が受任後、早期に調停を申し立てたことで話し合いが進展し、最終的には「自宅を売却する、または売却できない場合は夫が借り換える」という条件で合意に至りました。これにより、将来の返済リスクを回避したうえで離婚を成立させることができたという解決事例があります。
ペアローンが絡む離婚では、不動産とローンの整理が最大の課題となります。早い段階で弁護士に相談することで、状況に応じた現実的な解決策を見つけることが可能です。
離婚でお困りの際は、離婚専門チームを編成するベリーベスト法律事務所までご相談ください。知見・経験豊富な弁護士が、離婚実現に向けて尽力いたします。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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更新日:2026年03月30日 公開日:2026年03月30日
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