離婚が失敗だったと後悔したくない! 事前に知っておくべきことは?
「生涯を共に支えあう」と誓いあってしたはずの結婚。でも、生活を共にするうちに、「こんなはずじゃなかった」が積み重なり、「毎日が辛い」に変化して、やがて「離婚したい」と考えてしまう方もいるでしょう。
しかし、離婚は結婚以上にエネルギーが必要な行為だといわれています。それだけに、勢いのままに離婚をしてしまうと、後々の人生にも影響を及ぼしてしまうことがあり得るのです。
そこで今回は、離婚してから取り返しのつかない後悔をする前に離婚を意識したタイミングで押さえておくべきポイントを本コラムでご紹介いたします。
1、離婚しなければよかった!後悔する理由とは
多くのケースで離婚が困難を伴うといわれているのは、なぜでしょうか。
単純に離婚するというだけであれば、夫婦がお互い離婚届に署名捺印し、市役所に離婚届を提出すればよいだけですから、手続き上難しいことは何もありません。
しかし、離婚をする際には、夫婦で築いた財産をどうするのか、子供との関係をどうするのかなど、決めなければならないことが多くあります。
また、結婚中は夫婦共同で営んできた生活も、離婚後はそれぞれが自立して生活していく必要が生じるなど、これまでの生活から大きな変化が生じます。離婚については勢いで踏み切ったものの、その後の生活について全く考えておらず、実際に一人で生活をスタートしてみたところ、こんなはずではなかったと感じる方もいるのが現実です。
では実際に離婚に踏み切った方は、具体的にどのようなことで後悔しているのかを、あらかじめ知っておきましょう。
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(1)離婚に伴い貧困状態に陥った
離婚に伴う変化で最も大きいのが、経済面での変化です。離婚によって、経済面で苦境に立つことになってしまう方は少なくありません。
結婚中たとえ共働きであったとしても、家計全体の収入は減少しますから、少なからず生活の状況には変化が生じます。
特に結婚中、家事に専念されていた方は、離婚すると共に、収入を得るため就労する必要に迫られることになります。また、職務経験が乏しいことなどを理由に、就労先をすぐに見つけることには、実際上困難が伴います。また、子どもの親権者となった場合、子どもを監護養育しながら働くこととなるので、勤務時間や勤務形態が限定せざるをえないこともあります。
一刻も早く離婚したいがばかりに、しっかり決めるべきことを決めずに離婚してしまったため、後々、金銭的な問題でもめている……、という相談は、頻繁に寄せられています。離婚するときには、離婚をした後もお互いが自立した生活を送れるように、金銭面についてのきちんとした取り決めをしておかなければ、生活が立ち行かなくなってしまう可能性が生じます。 -
(2)子どもにも心身ともに負担をかけている
扶養すべき子どもがいる夫婦の離婚では、子どもの心に大きな影響を及ぼすことは少なくありません。反抗的になった、甘えすぎるようになった、ふさぎ込むようになったなど、言葉ではうまく表現できない子どもならではの表現で訴えます。
特にこれまで、あなたの配偶者が子どもに対して惜しみない愛情を注いでいた場合は言うまでもありません。あなたにとっては他人になりたい相手でも、子どもにとっては、たとえ離婚したとしても、あなた同様かけがえのない人だということに変わりありません。
そうであるにもかかわらず、離婚の際に配偶者と子どもとの関わり方を何も決めないで繋がりを全て絶ってしまうケースがあります。
このような場合、子どもとしては、これまで当然のものとして受けていた愛情を、離婚後、突然失ってしまったように感じ、心に大きな傷を残すことになるケースが少なくないのです。
また、経済的な余裕がなくなることによる子どもへの影響も忘れてはなりませんし、親であるあなたが多忙と貧困によって心の余裕が失われ、コミュニケーションが希薄になってしまう可能性も十分にあり得るといえるでしょう。 -
(3)約束を反故にされた
上記のような後悔をしないために離婚する際に、養育費はいくら払う、この共有財産はこのように分ける、子どもとは月何回面会させる等、事前にきちんと約束をして離婚したという場合もあります。
しかし、お金を払う側の収入が減った、転職した、再婚した等という状況の変化により、突然一切の支払いが行われなくなったり、一方的に減額されたり、といったケースはよく耳にします。また財産をこのように分けると決めていながらそれが全く実行されないということもあります。子どもと会わせるという約束であったのに、色々と理由を付けて全く会わせてくれなくなったということもあります。
離婚するとはいえ決めた約束は守るであろうと信頼していたとしても、約束の仕方についてきちんと考えなければ、反故にされたときになすすべがなくなり、後悔してしまう結果になります。
2、離婚を意識したときにやっておくべきこと6つ
前項では、離婚したあと後悔したケースを3つ述べましたが、どのケースも、慎重に離婚後の生活のイメージと準備を重ねて、しっかり決めるべきことを決めてから離婚すれば、回避することが可能なことばかりです。そこで、離婚を意識したら、必ず確認・準備をしておかなければならないことを6つ挙げました。
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(1)離婚しなければならない理由を確認
離婚することについて、あなただけでなく、配偶者も合意すれば、離婚することに理由は不要です。
しかし、もし配偶者が離婚を拒んだ場合は、調停員や裁判官という第三者を介した話し合いを行う離婚調停を行わなければなりません。また、調停でも相手が離婚に合意しなければ、裁判をしなければなりません。
配偶者が離婚について合意している場面では問われない「離婚しなければならない理由」も、調停や裁判となったときにはとても重要になります。というのも、裁判では、民法の定める「離婚事由」がなければ、離婚することはできないためです。調停の場においても、裁判になった場合の見通しは重視されますので、十分な離婚の理由がなければ不利な条件をのまなければならない場面も出てきます。
配偶者が離婚を拒否している場合や離婚するかどうか迷っているが、調停にまで至らない場合も、離婚しなければならない理由を踏まえて条件を話し合うこともあるでしょう。冷静かつスムーズに話し合い、不利な条件で離婚しないためにも、あらかじめしっかりと「離婚しなければならない理由」を考えておく必要があるのです。 -
(2)法定の離婚事由に該当するかどうか場合を確認
民法第770条1項は、離婚事由として
- ①配偶者に不貞な行為があったとき(自由な意思に基づいて配偶者以外の者と肉体関係を持つことです。)
- ②配偶者から悪意で遺棄されたとき(具体的には、正当な理由なく生活費を払わなかったり、一緒に住もうとしないなどといった事情が該当します。)
- ③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- ④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
を挙げています。
以上のように、必ずしも①ないし④の事情に該当しない場合であっても⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある時には離婚が認められることになっています。反対に①ないし④の事情に該当した場合であっても、様々な事情から婚姻の継続が相当と判断された場合には、離婚が認められないこともあります(民法第770条2項)。
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由については、例えば、以下のような場合が考えられます。- 長期間別居が続いている
- 配偶者から殴られる、酒を飲んで暴れられるなど、日常的に暴力を受けている
- 配偶者に恐怖を感じるほど、繰り返し罵られる、暴言を吐かれている
- 配偶者が無断で多額の借金を重ねたり、浪費を繰り返している
- 親族関係の不和があり、不和の解消のために配偶者が協力しようとしない
これらの事情は、いずれか一つがあれば直ちに離婚できるというものではなく、具体的な状況や程度等によって判断が分かれ得るところです。あなたのケースにおける見通しが知りたい場合には、専門家への相談されることをお勧めします。
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(3)離婚理由をもとに証拠を集める
もし、あなたの離婚したい理由が、法定の離婚事由に当てはまる場合であっても、あなたの話だけでは配偶者や第三者は必ずしも信じてくれません。
裁判や調停になったときには裁判官などの第三者を説得する必要がありますし、配偶者を納得させ、場合によっては話し合いにおいて優位に立てるように、離婚事由にあてはまる事実を証明する証拠を用意しておくことが重要です。
例えば、相手から日常的に暴力を受けている場合には、暴力を受けた直後の写真を撮っておき、すぐに病院を受診して診断書を取っておくことが考えられます。相手が不貞行為をしている場合には、興信所や探偵を依頼して不貞行為があった事実を明らかにするとともに、不貞相手を特定しておくことなどが考えられます。浪費や生活費を入れてもらえないといった事情がある場合には家計の状況を記録しておき、預金通帳を保管しておくことも考えられます。また、相手とのメールのやり取りを残しておいたり、相手との会話を録音しておくことも様々な場面において重要な証拠となりえます。
もっとも、行きすぎた証拠収集行為により損害賠償請求を受けることになる可能性もありますし、行き過ぎた証拠収集行為によって取得した証拠は裁判において使うことができないと判断される可能性がある点には注意が必要です。
また、ケースによって有用となる証拠は異なり、折角集めた証拠も無駄になってしまう可能性がありますので、どのような証拠を集めるのが必要かつ相当であるのかについては慎重に考え、場合によっては専門家に相談しましょう。 -
(4)財産、親権、養育費、面会交流について考えておく
離婚の際に、決めなければならないことは多数に渡りますが、主要な決めごととして①財産分与③親権④養育費④面会交流が挙げられます。それぞれについて決めておくべきことや注意点をピックアップします。
① 財産分与
財産分与とは、夫婦間の経済的格差を是正するため、夫婦の一方が一定額の財産給付を求めることができるとする制度です。
そこでまずは、現在、あなたと配偶者の共有財産が、具体的に何があるのかを改めて確認しておきましょう。まずは、通帳や不動産登記などの書類があるかどうかを確認し、財産を単純に半分ということでよいのか、不動産については名義をどうするのか、あるいは売ってしまうか等も決める必要があります。大きい家具についてもどちらが所有することにするか等も決める必要があります。
離婚の際にどのように分割するか決めていなかった共有財産があった場合、離婚ができた後であっても、その財産の分割のために争いが再燃してしまう恐れがあります。また、財産分与においては、単純に財産を分け合うだけではなく、離婚後において生活が困窮してしまう方に対して、収入が安定するまでの間の一時手当金としてお金を払ってもらう、あるいは慰謝料的な意味合いをもってお金を支払ってもらうという例もあります。万全を期するのであれば、自己判断をせずに事前に専門家に相談するのがベターです。
② 親権
子どもがいる場合は、どちらが親権者になったほうがいいのか、考えておきましょう。このときには、子どもにとって一番幸せなのはどのような形かという観点から考えるべきとされています。
親権に関しては、「母親だから子どもへ惜しみない愛情を注げる」と単純に判断されるものではありません。
裁判や調停においては、「これまで、どのように子どもに接して生活をしていたか」が問われます。一般的には、専業主婦であった女性が親権を取りやすいといわれるのは、それまでの監護養育の大部分を女性側が担っているためです。
そして、子どもが憂いなく育つために必要な、離婚後の生活環境についても問われます。今後十分な監護養育を行うことができるか、精神的経済的に安定しているかなど様々な事情を総合的に考慮されることになります。今まで働き詰めで子どもと接する時間のなかったという男性の場合は、ときに転職や周囲の協力なども必要になるかもしれません。専業主婦であった方の場合は経済的な安定という観点から就労が求められるかもしれません。子どもが安心して生活できる基盤をいかに作り、継続できるかがカギを握ります。
親権で争いになる可能性がある場合は、単に「親権がほしい」と考え、主張するだけではなく、これまでどのような監護養育をおこなってきたか、今後の自分の精神的経済的な安定という側面も含め、どのような形で子どもとかかわっていくことができるか、改めて確認しましょう。
③ 養育費
子どもの親権をとることできる場合は、相手から養育費をいくら払ってもらうか、ということについても考えておく必要があります。
養育費については、相手の収入とあなたの収入、子どもの人数、年齢に照らして月いくらくらいになる、という一定の目安となる基準が裁判所のホームページにおいて公開されています。これは、絶対の基準というわけではありませんが、調停や裁判においては目安にされますので、検討の一材料にすることをおすすめします。
④ 面会交流
子どもがいる場合には、面会交流をどうするのかについても考えておく必要があります。元配偶者に暴力や暴言があるなど、面会交流させること自体が子どもにとって悪影響となるケースでない限り、面会交流そのものは子どもにとって大切な時間となるはずです。ぜひ検討してください。 -
(5)離婚後の生活基盤を整えておく
次に、離婚後の生活について計画を立てておく必要があります。
離婚後に、経済的に困難な状況が予測される場合、ある程度、自分自身の力で生活費を維持できる環境をどのように準備するかあらかじめ考えておく必要があるでしょう。
もし今、あなたが専業主婦などで働いていないようでしたら、まずは仕事を始めましょう。もしすぐに正社員になれなくても、パートなどで稼ぎ、お金を貯金しておきましょう。離婚に伴う手続きや離婚後の新生活準備、独立した生活のためには、少なからずお金が必要となります。お金がなくて動けないという状況を作らないよう、離婚前から準備しておくことをおすすめします。
子どもの親権を取りたいと考えている場合は、離婚後の生活でどのように子どもと接していけばよいのかも考えておきましょう。場合によっては実家に頼ることや転職も検討して、子どもが安心して生活できる環境の準備をしておく必要があります。また、自らの力で一定程度の安定した収入を得ることはとても重要です。
子どもの親権を相手に渡す場合は、養育費を欠かさず払えるよう、あなた自身も生活基盤や日常生活を見直しておきましょう。養育費は、別れた配偶者に託した子どもを、健康的に育ててもらうために渡すお金です。子どもの命や人生にも関わることになります。子どものいる方が離婚を視野に動くときは、養育費の支払いを念頭において行動してください。 -
(6)約束の仕方を考える
調停や裁判を行わずに、相手との話し合いだけで解決できそうな場合であっても、それだけで安心してはいけません。
口約束は簡単に反故にされる恐れがありますから、約束していないも同然ともいえます。最低限、離婚協議書を作成することは必要ですし、約束を反故にされてしまった場合に備えて、強制執行によって約束を実現することができる、執行認諾条項というものがついた公正証書を作っておくことを強くおすすめします。
また、取り決める事柄が複雑であったり、後々争いになりそうな場合を想定して、調停を申し立てて合意した内容を「調停調書」に残してもらった方が望ましいこともあるかもしれません。
3、まとめ
離婚後、「生活できないほどお金に困っている」、「子どもに辛い思いをさせている」、「約束が守られなかった」などの理由で、安易に離婚してしまったことを後悔している方は少なくありません。離婚したい!という感情だけに突き動かされずに、今回のコラムを参考にして、離婚の際に考えなければならないことを改めて見つめ直してください。
いままでお話ししたように離婚の際には、様々な局面においてご自身の判断だけで進めることが難しい局面があります。離婚をされる際に、分からないこと、迷うことがあれば一度専門家に相談してみることを強くおすすめいたします。あなたが新しい生活を心置きなくスタートできるよう、全力でサポート致します。
- 所在地
- 〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
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[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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