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養育費の決め方や最低限取り決めるべき項目・注意点を弁護士が解説

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更新日:2022年04月22日  公開日:2022年04月22日
養育費の決め方や最低限取り決めるべき項目・注意点を弁護士が解説

子どものいる夫婦が離婚をする際には、育児にかかるお金を公平に分担するため、養育費をしっかり取り決めておくことが重要です。

養育費は親の権利ではなく子どもの権利です。
今回は、養育費を決める手続きや決めておくべき事項、養育費に関する注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、養育費とは?

養育費とは、離婚後に子どもと同居しない親(非監護親)が、子どもと同居する親(監護親)に対して支払う、子どもを育てるための費用です。
養育費には、子どもの生活費や学費などが含まれます。

離婚した後も、親の子どもに対する扶養義務は存続します(民法第877条第1項)。
しかし、非同居親は子どもと一緒に生活しないので、日常生活の中で直接子どものための費用を支払う機会があるケースは多くありません。

そこで非同居親は、同居親に対して養育費を支払うことで、子どもに対する扶養義務を果たすことになります

2、養育費を決める手続きは?

養育費を決めるための手続きには、協議・調停・審判の3つがあります。

  1. (1)当事者同士で話し合う

    まずは両親双方で話し合い、養育費の金額等についての合意を試みるのが一般的です。

    直接の話し合いによって合意できれば、もっとも迅速に養育費を取り決めることができますし、裁判所の手数料も節約できます。

    ただし、当事者の話し合いで合意できた場合も、将来の支払いを確保するために公正証書としておくことをおすすめします。この点については後述します。

    もし当事者だけでの話し合いが難しい場合には、弁護士を代理人として協議を行うとよいでしょう。
    弁護士に相談すれば、養育費のみならず、多岐にわたる離婚条件について、法的な相場を踏まえながら協議を行うことが可能です。

  2. (2)養育費請求調停・離婚調停で話し合う

    夫婦同士の話し合いがまとまらない場合には、裁判所に対して「養育費請求調停」を申し立てるのが次のステップです(参考:「養育費請求調停」(裁判所))。

    養育費請求調停を申し立てるのは、離婚後に養育費について決める場合です。これから離婚しようとする場合には、他の離婚条件と併せて「離婚調停」で話し合います。別途養育費請求調停を申し立てる必要はありません(参考:「夫婦関係調整調停(離婚)」(裁判所))。

    養育費請求調停・離婚調停では、調停委員が当事者の間に入り、双方の意見を調整しながら、養育費に関する合意を目指します。
    客観的な立場にある調停委員の仲介により、冷静な話し合いを期待できる点がメリットです。

    最終的には、裁判官が調停案を提示するなどして、当事者双方が金額等について合意すれば、調停は成立です。合意内容は調停調書にまとめられ、両当事者を拘束します。

  3. (3)家庭裁判所が審判で決定する

    調停が不成立となった場合、養育費請求調停の場合は、自動的に審判手続きへ移行して審理されます。

    審判手続きでは、当事者の提出する資料などを家庭裁判所が調べたうえで、適切な養育費の金額を決定します
    審判によって示された養育費の金額は、審判告知日から2週間の即時抗告期間を経て確定し、両当事者を拘束します。

    離婚調停の中で養育費について話し合っていたものの合意できない場合には、その後の離婚訴訟の中で審理され、最終的に判決がなされます。判決についても確定すれば両当事者を拘束します。

3、養育費について取り決めるべき事項

養育費について取り決める際に、決めておくべき基本的な事項は、1か月当たりの金額・支払い期間・支払い方法・支払い時期です。
また、進学費用やイレギュラーな出費などが含まれる特別費用についても、可能であれば取り扱いを決めておきましょう。

  1. (1)1か月当たりの金額

    養育費は、原則として月額払いとなります。
    そのため、1か月当たりの支払い金額を決めておきましょう。

    養育費の月額は、裁判所が公表している「養育費算定表」に従って定めるのが一般的です(参考:「養育費・婚姻費用算定表」(裁判所))。

    養育費算定表では、支払う側と受け取る側の収入バランスや、子どもの人数・年齢によって、月額の養育費が変動する仕組みになっています
    養育費算定表に従って求められる金額を基本線として、個別具体的な事情を勘案して調整するのがよいでしょう。

    参考:養育費計算ツールはこちら|無料で簡単に計算できます

  2. (2)支払い期間

    養育費の支払い期間は、両親の間で意見が食い違いやすいポイントです。

    「18歳になるまで」「20歳になるまで」「大学を卒業するまで」など、さまざまな考え方がありますが、ルールが存在するわけではありません。

    養育費をいつまで支払うかは、子どもの状況や将来の希望なども踏まえたうえで、両親同士が話し合って決めるべき事柄です。
    子どもができる限り不自由なく暮らせるように、適切な支払い期間を定めましょう

  3. (3)支払い方法・支払い時期

    養育費の支払い方法は、預貯金口座への振り込みとするケースが多いです。
    養育費を取り決める段階で、振込先の預貯金口座を指定しておきましょう。

    また、月払いの養育費を毎月何日までに振り込むのかについても、ルールを取り決めておく必要があります。

  4. (4)特別費用の取り扱い

    月払いの養育費には、標準的な生活費や公立学校の学費などが含まれています。
    しかし実際には、子どもを養育する過程で、以下のようにイレギュラーな出費が発生する可能性もあります。


    • 私立学校の入学金、授業料
    • 部活動の費用
    • 習い事の費用
    • 進学塾に通う費用
    • 海外留学する費用
    • 病気やケガの治療にかかる費用
    など


    こうした出費については、月払いの養育費ではカバーされませんが、本来は両親が公平に分担すべきものです。

    そこで、上記のような費用を「特別費用」として養育費の一環に位置づけ、分担方法をあらかじめ取り決めておくことが望ましいです。
    たとえば、領収書などの提出を条件として実費を折半する、あるいは収入・資産に応じた分担割合を定めるといった形が公平でしょう。

4、養育費について知っておくべき注意点

養育費は、当事者の合意次第でどのように取り決めても構いません。

それでも、養育費に関してよく問題になるポイントについて、正しい理解を前提として養育費の合意をすることが、トラブル防止の観点からは重要です。

以下では、養育費について知っておくべき注意点を3つピックアップして解説します。

  1. (1)離婚後に養育費を増額・減額することも可能

    養育費について合意した時点と比較して、夫婦双方の経済状況や家庭環境などに変化が生じた場合には、養育費の増額・減額請求が認められることがあります。

    基本的には、両親が話し合って養育費の増額・減額を取り決めますが、家庭裁判所の家事調停を利用することも可能です(参考:「養育費(請求・増額・減額等)調停の申し立て」(裁判所))。

    特に、自分の収入が減った場合や、相手の収入が増えたことを知った場合には、養育費の増額・減額を求めましょう。

  2. (2)養育費を一括で支払う場合、贈与税に注意

    養育費は月払いが原則ですが、当事者同士が合意すれば、一括前払いとすることも可能です。
    しかし、一括前払いの養育費は、国税庁の通達により、贈与税の課税対象となる場合があります


    「……生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱うものとする。」


    (参考:「法令解釈通達 第21条の3《贈与税の非課税財産》関係 21の3-5」(国税庁))

    贈与税の非課税枠(基礎控除)は年間110万円までであり、それを超える部分については贈与税が発生します。
    そのため、課税による目減りを考慮すると、養育費は月払いとしておく方が無難でしょう

  3. (3)養育費を過去にさかのぼって請求することはできる?

    養育費について請求する以前の期間について、さかのぼって養育費を請求することは原則として認められていません
    したがって、養育費を請求するのが遅れてしまうと、受け取ることのできる養育費が減ってしまいます。

    受け取る側としては、離婚後の子どもとの生活に支障を生じさせないためにも、養育費に関する話し合いを先延ばしにせず、離婚する段階で取り決めておきましょう。

5、養育費を取り決めたら公正証書の作成を

養育費について、当事者双方が合意に至ったら、その内容を公正証書にまとめて締結することをおすすめいたします。

公正証書は、公証人が作成する信頼性の高い公文書であり、離婚(養育費)に関する合意内容を明確化する意味があります。
また、公正証書に「強制執行認諾文言」を記載しておけば、万が一養育費の不払いが発生した場合に、裁判などを経ることなく強制執行の手続きをとることが可能です

養育費の支払いを確実なものにし、離婚後のトラブルを防止するためにも、公正証書の作成は非常に有意義と言えます。
弁護士にご依頼いただければ、案文の作成から公証役場での手続きまで一貫してサポートいたしますので、ぜひお気軽にベリーベスト法律事務所へご相談ください。

6、まとめ

養育費は、両親が協議または調停による話し合いで決めるか、家庭裁判所が審判または離婚訴訟の判決の中で決定します。
養育費算定表に沿って月額の養育費を決めつつ、特別費用の精算についても合意しておくことが望ましいでしょう

また、協議で取り決める場合には、離婚後のトラブルを防止するためには、養育費を含む離婚条件を、公正証書にまとめておくことをおすすめいたします。

ベリーベスト法律事務所は、適切な条件での離婚を円滑に成立させるため、協議・調停・審判・訴訟の手続きを一貫してサポートいたします。
また、元配偶者に対する養育費の請求も、安心してお任せいただけます。

配偶者との離婚や養育費の請求をご検討中の方は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください

参考:養育費計算ツールはこちら|無料で簡単に計算できます

 
この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 東京都 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-666-694
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
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※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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