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子どもの親権を取り戻す! 離婚後に親権を変更する方法と流れ

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更新日:2023年09月28日  公開日:2018年05月24日
子どもの親権を取り戻す! 離婚後に親権を変更する方法と流れ

離婚するときに、相手側に親権を譲ってしまったものの、「やっぱり親権を取り戻したい」と考える方も少なくありません。

子ども自身が親権者の変更を望んでいる場合もありますし、相手が子どもと会わせてくれないケースや子どもがまともな生活を送っていないように感じるケース、相手が再婚したので不安を感じているケースなど、さまざまな理由があるでしょう。

しかし、親権の変更をしたいときは、夫婦の話し合いのみによって決定することはできず、家庭裁判所で一定の手続きを経ることが必要です。

本コラムでは、離婚後に子どもの親権者を変更する方法や条件、手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 離婚専門チームの弁護士が分かりやすく解説します。

1、親権変更は、話し合いだけで決められない

  1. (1)離婚後の親権者変更は可能

    そもそも、離婚の際にいったん取り決めた親権者を変更することなど、可能なのでしょうか?
    この点、離婚後の親権者変更は、認められています。協議離婚などでいったん一方を親権者と定めても、その後に今の親権者が不適格であるという事情が発生した場合には、法律上、一定の手続きを経て親権者を変更できます

  2. (2)協議による親権者変更は認められない

    それでは、どのような手続きを経れば、親権者の変更ができるのでしょうか?
    たとえば、夫婦が話し合いをして、役所に届け出ることなどにより、親権者を変更することはできるのでしょうか?


    実は、親権者の変更については、このような簡易な方法による変更は認められていません。子どもの親権は、子どもの現在の生活環境や今後の人生に対しても大きな影響を及ぼす重大な要素です。そのような重要なことを、親の話し合いだけでころころ変えることは妥当でないと考えられるためです。


    たとえ、離婚合意書において「子どもが小学校に入学したときに親権者を変更する」などと書いていても、当該文言に基づいて親権が移るということはありません。

  3. (3)親権者変更調停が必要

    では、子どもの親権者を変更するためには、どのような手続きをとったら良いのでしょうか?

    この場合、必要とされるのは「親権者変更調停」です。


    親権者変更調停とは、家庭裁判所で行われる調停手続きのひとつであり、元夫婦(子どもの両親)が子どもの親権者について話し合うための制度です。親権者変更調停では、「調停委員」と「調停官(裁判官)」が関与して、親権者の変更をすべきかどうか、話し合いを進めていきます


    調停の話し合いによって子どもの親権者変更をするためには、まずは、父母双方が合意する必要があります。それに伴い、本当に親権を変更しても良いと言えるケースかどうか、家庭裁判所の調査官が子どもの状況を調査します。調査官の調査により、親権者を変更しても特段問題がなく、妥当だということになれば、調停によって親権者の変更が認められます


    家庭裁判所調査官は、子どもの親や子ども自身と会って話をしたり、家庭訪問や学校訪問をしたりして子どもの生活環境、家庭環境、養育環境、監護者、監護補助者の状況などを調べ、親権者変更について、意見を提出します。

  4. (4)親権者変更審判について

    調停で父母が子どもの親権者変更について合意できない場合には、調停は「審判」という手続きに移行します。
    審判では、裁判官が親権変更の是非について判断することになりますが、裁判官は、子どもの生活環境等を実際に見聞きした調査官による調査結果を非常に重要なものとして受け止め、親権者変更の是非を判断します。

  5. (5)例外的に調停・審判が不要なケース

    なお、離婚後に生まれた子どもについて、認知した父親を親権者に指定する場合には、父母が合意して届け出ることにより、子どもの親権者を変更することができます。
    それ以外のケースでは、上記のような親権者変更調停や審判の申し立てが必要となります。

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2、親権を変更することが可能なケース

親権者変更調停を申し立てたとしても、必ずしも親権者変更が認められるとは限りません。


あくまで、親権者の変更は子どもの利益のために行われるものですが、やみくもに生活状況を変えることは子どもの健全な成長にとっても望ましくありません。そのため、親権者変更を認めてもらうには、現状の環境を変えてでも、親権者の変更をすべきと言える、それなりの理由や必要性を要求されます


以下では、どのようなケースで親権変更を認めてもらえるのか、見てみましょう。

  1. (1)子どもが親権者から虐待、育児放棄などを受けている

    まずは、子どもが現在の親権者から虐待や育児放棄を受けている場合が考えられます。そのような状況では、今の親権者に継続して子どもを育てさせると、子どもの健全な成長を期待できません。
    このような場合、他方の子どもの親や祖父母などが家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てれば、親権者変更が認められる可能性が高いです。

  2. (2)親権者が死亡、重大な病気、行方不明の場合

    次に、親権者が死亡したり、重大な病気にかかったり、行方不明になった場合が考えられます。いったんは親権者を定めても、その人が死亡したり、行方不明になったり、重大な病気にかかったりして子どもの養育ができなくなった場合には、親権者の変更が認められやすいと言えます。


    ただし、親権者が死亡した場合には、「未成年後見」という手続きが開始するので、「未成年後見人」が子どもの法定代理人となります。当然に他方の親に親権が移るわけではないので、注意が必要です。この場合でも、親権者を変更するためには、他方の親が親権者変更の審判を申し立てる必要があります。

  3. (3)子どもが親権者変更を望んでいる

    子ども自身が親権者の変更を望んでいるケースでも、親権者変更が認められることがあります。
    ただ、このケースについては、子どもの年齢によって対応が異なります。小さい子どもには自分の適切な親権者を選ぶほどの判断能力がないと考えられるので、たとえば小学校低学年くらいの子どもが「パパ(ママ)と暮らしたい」などと言ったとしても、必ずしも親権者が変更されるわけではありません。


    子どもが15歳以上になってくると、子どもの意思を尊重してもらえることが多くなるので、子どもの意思により、子どもが望む方に親権者を決めることができる場合があります。

  4. (4)養育状況が大きく変わった

    たとえば、今の親権者が海外勤務に変わった場合など、子どもの養育状況が大きく変わってしまうときなどにも親権者の変更が認められる可能性が高くなります。


    ただし、環境が変わったからと言って、必ずしも親権者を変更すべきとは判断されるわけでではありません。変更することが子どもの福祉にかなうケースにおいてのみ、変更が認められます。


    以上のように、親権者変更が認められるためには、子どもの健全な成長のため、親権者変更を要すると言える事情が必要です。
    単に「再婚するので子どもがいると不都合」「親権をとった相手方が再婚したことに納得できないから、子どもを奪いたい」「養育費を払いたくない」などの理由で親権者変更を求めても認められないと考えたほうがいいでしょう。


    また、面会交流を認めてもらえない場合、それだけでは親権者変更が認められませんが、そこに他の理由(実は虐待していて、会わせると虐待が発覚するので会わせないケースなど)がある場合、変更してもらえる可能性があります。

3、親権を変更する場合の手順・流れ

以下では、具体的に親権者を変更するときの手続きの進め方をご紹介します。

  1. (1)まずは、親権者変更調停を申し立てる

    親権者を変更したいときには、まずは「家庭裁判所」で、「親権者変更調停」を申し立てる必要があります。申し立て先の家庭裁判所は、今の親権者の住所地を管轄する家庭裁判所ですが、当事者の合意によって別の家庭裁判所を管轄とすることも可能です。



    申し立ての際の必要書類

    • 申立書:親権者変更調停の申し立て内容を記載する書面
      ※書式は、家庭裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。
    • 当事者目録:父母や子どもなど、関係する当事者を記載した目録
    • 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • 相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)

    申し立てにかかる費用

    • 子ども1人について1200円の収入印紙
    • 連絡用の郵便切手
  2. (2)親権者変更調停の流れ

    親権者変更調停を申し立てると、裁判所で調停期日が決まり、申立人と相手方の双方に呼出状が届きます。


    期日において、申立人と相手方が調停委員を介して話し合います。このとき、申立人としては、親権者を変更すべき事情を具体的に説明・主張することが必要です。また、双方の主張の状況等を踏まえ、いずれかの段階で調査官の調査が行われます。


    調停を進める際には、今までの養育状況や、両親それぞれの経済力、子どもの年齢や性別、就学状況なども考慮されます。子どもの年齢が15歳以上になっていたら、必ず子どもの意見が聞かれますし、15歳未満でも、ある程度大きい子どもなら意見を考慮されることがあります。


    こうしたやり取りを進めて、双方において親権者の変更についての合意ができ、裁判所としても最終的に親権者を変更しても良いと判断すれば、調停で親権者変更が認められます。その場合、「調停調書」が作られて、後日、自宅宛に送られてくるので、それを役所に持っていけば、親権者変更の届出ができます

  3. (3)不成立になったら親権者変更審判になる

    親権者変更調停をしても話し合いが成立せず、調停が不成立になってしまったら、自動的に審判手続きに移行します。


    審判になると、裁判官がそのケースにおけるあらゆる状況を調査して、親権者変更を認めるかどうかを検討し、最終的な判断を下します。
    審判になると、裁判官は調査官の調査で作成された「調査報告書」を参考にして審判をすることになります。裁判官は、調査官の調査を非常に重視しますので、調査官の調査への対応は、親権者変更審判の当事者にとって、非常に重要です


    なお、親権者が行方不明になっているなどの事情で調停に出席できないことが明らかであれば、調停を飛ばしていきなり親権者変更審判を申し立てることも認められます。

    審判によって親権者変更が認められた場合には、家庭裁判所から審判書が届きます。


    調停や審判によって新しく親権者になった場合、調停成立や審判確定の日から10日以内に、調停調書や審判書と審判の確定証明書を持参して、市区町村役場において親権者変更の届出をする必要があります

4、親権者変更調停は弁護士に依頼するべき?

親権者変更調停を進めるときには弁護士に依頼することも可能ですが、依頼した方が良いのかどうか、迷われる方もおられるでしょう。
以下では、弁護士に対応を依頼すべきケースについて、ご説明します。

  1. (1)相手が親権者変更に反対している場合

    ひとつは、相手方が親権者変更に反対しているケースです。
    このような場合には、調停を起こしても、相手が強硬に親権者変更に反対する場合が多いので、調停は不成立になることが予想されます。そうなると審判になりますが、審判になったとしても、必ずしも親権者を変更してもらえるとは限りません。


    親権者変更が認められるためには、相手方が養育放棄しているとか、子どもが心から親権者変更を望んでいるなど、親権者変更を必要とするような特別な事情が必要ですし、調査官調査に対する適切な対応も必須です。経験のない一般の方がおひとりで対応していると、適切に対応することは難しく、不利になって申し立てを棄却されてしまうこともありえます。


    弁護士であれば、調査官調査への適切な対処方法をアドバイスできますし、弁護士自身が調査官と話し合って申立人に変更すべき事情をアピールすることも可能です。

    裁判所に提出する書面の作成や裁判所での手続きへの同席、意見の陳述等も可能なので、申立人にとっては非常に心強いです。相手が親権者変更に反対しているならば、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。

  2. (2)状況が有利か不利か分からないとき

    親権者変更を申し立てても、自分にとって状況が有利か不利か分からないケースがあります。
    たとえば、相手に明らかに虐待などの問題があればこちらが有利と言えますが、そういったことを証明する手段がないなら不利です。こうした相手の抱える問題の証明方法や、自分の持っている証拠が有効かどうか不明なことも多いでしょう。自分では「親権者を変更してもらえるはず」と期待していても、裁判所の考える基準に沿わず、あえなく棄却されてしまうケースも多いです。


    そのようなときには、やはり法律の専門家である弁護士に対応を相談して、適切な対処方法のアドバイスを受けることが重要です。弁護士に相談をすれば、状況を客観的に分析して、最適な対応をして親権者変更の可能性を最大限に高めることが可能となります。

  3. (3)スムーズな親権者変更を希望する場合

    なるべくスムーズに親権者変更を認めてほしいケースでも、弁護士への依頼をおすすめします。
    ご本人が対応していると、裁判所が知りたいと考えている事項を把握するのが難しく裁判所の求める事項が分かったとしても、ご本人から的確な回答ができないということもあります。裁判所との意思疎通が適切に図れないと、その分、期日を重ねることになり、手続きが長期化してしまいます。

    そうすると、最終的には親権者変更が認められるとしても、多大な時間や労力がかかります。


    弁護士に対応を依頼すれば、必要な書類作成や裁判所とのやり取りなどを弁護士が行うので、ご本人にかかる手間が大きく削減されますし、弁護士が申立人側に有利な事情を説明して、裁判所や調査官を説得するので、スムーズに親権者を変更してもらいやすくなります。

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5、まとめ

離婚後に子どもの親権を変更することはできますが、親権者の変更が認められるケースは限定されており、親権者変更調停や審判が必要です。

変更のための手続きも専門的で複雑になる場合があるため、親権変更を進めていくなかで不備はないかと不安を感じることもあるでしょう。

ベリーベスト法律事務所では、離婚後の親権に関するお悩みについてのご相談を受け付けております。

来所が難しい方のために、Zoomなどを活用したオンライン相談のご予約も承っておりますので、親権変更の可能性を最大限に高めたい場合や、スムーズに親権者を変更されたい場合には、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。知見豊富な弁護士が親身になってお話を伺いながら、親権を取り戻すサポートをいたします。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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