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国際結婚した相手がビザのために離婚を拒否! 対応策を弁護士が解説

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更新日:2022年05月20日  公開日:2020年04月09日
国際結婚した相手がビザのために離婚を拒否! 対応策を弁護士が解説

離婚は、結婚のときよりもエネルギーを要するものといわれています。

特に国際結婚した夫婦が離婚する際は、非日本国籍の配偶者は在留資格を変更しなければならないため、離婚する時点で取るべき手続きが複雑化しがちです。

日本の滞在資格がいわゆる配偶者ビザである場合、離婚時点でしかるべき手続きを地方出入国在留管理局(2019年4月1日より入国管理局から組織改正)宛てに行っておかないと、在留資格の取り消しによる国外退去や罰金などの処分を科される可能性があります。

こういった背景があるため、離婚を申し出ても応じようとしない外国人配偶者も存在します。また、離婚後の親権者が外国人配偶者となる場合、子どもの養育環境や面会交流などの観点から外国人配偶者に引き続き日本に滞在して子育てをしてほしいと思う方もいることでしょう。

そこで本コラムでは、離婚した後も外国人配偶者が日本に滞在するために取るべき手続きについて、国際結婚や国際離婚を取り扱っているベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

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1、ビザと在留資格の違い

ビザ(査証)と在留資格は同一のもの、と思っている方は多いようです。しかし、本質的な意味において大きく異なります。

ビザとは、「日本への入国に問題ない」と判断されたときに、その渡航目的に応じて発行される証明書のことです。発行されたビザは、日本への入国時にチェックされ、問題なく入国できた時点でビザの効力は無くなることになります。

一方、在留資格とはビザのチェックが終わり日本への入国が許可されたときに付与される、日本に滞在するための資格のことです。その意味で、在留資格とは「どのような目的で、何を根拠に日本に滞在しているのか」と言い換えることも可能でしょう。
このように、ビザとは入国するために必要な証明書、在留資格とはその国に滞在するために必要な資格のことをさしています。

日本における在留資格は、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」および関連法令で規定されており、現在は29種類あります。このうち、日本人と外国人の国際結婚に関係してくる在留資格は、「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」です。

なお、この2つの在留資格は一般的に総称して「配偶者ビザ」と呼ばれることが多いため、本コラムにおいても特に断りのないかぎり2つの在留資格を「配偶者ビザ」と総称して解説します。

2、改めて理解しておきたい配偶者ビザ(在留資格)とは

いわゆる配偶者ビザ(在留資格)には、「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」の2種類があります。

  1. (1)日本人の配偶者等

    入管法別表第2によると、「日本人の配偶者等」とは「日本人の配偶者もしくは特別養子または日本人の子として出生した者」の在留資格をいいます。
    日本人の配偶者等の在留期間は5年・3年・1年または6か月であり、入管法第21条の規定により住居地を管轄する地方出入国在留管理局に申請することで更新が可能です。

  2. (2)永住者の配偶者等

    「永住者の配偶者等」とは、「永住者等の配偶者または永住者等の子として本邦で出生し、その後引き続き本邦に在留している者」の在留資格のことです。
    在留期間は日本人の配偶者等と同じであり、更新することも可能です。

3、離婚すると、配偶者ビザ(在留資格)は取り消される?

  1. (1)離婚した後の配偶者ビザ(在留資格)について

    国際結婚した外国籍の配偶者と離婚したからといって、直ちに外国籍の配偶者が日本から国外退去となるわけではありません。基本的には離婚した後も配偶者ビザ(在留資格)の在留期限まで滞在することが可能です。

    ただし、入管法第22条の4第1項7号の規定により、正当な理由なく配偶者としての活動をせずに6か月以上を経過すると、配偶者ビザ(在留資格)の取り消しの対象となる可能性があります
    正当な理由に該当するかは個別に判断されることになりますが、たとえば以下のような場合が該当すると考えられます。


    • 配偶者と離婚調停中、または離婚訴訟中の場合
    • やむを得ない事情のために配偶者と別居しているが生計を一にしている場合
    • 配偶者から暴力(DV)を受けていて、一時的な避難または保護を必要とする場合
    • 本国にいる親族の傷病などにより、再入国許可による長期間の出国をしている場合
  2. (2)離婚した際に必要な手続き

    国際結婚による離婚の場合は、日本人の配偶者と離婚または死別したときは、その事由が生じたときから14日以内に、出入国在留管理庁長官に対してその旨を届け出なければなりません(入管法第19条の16第3号)。

    この届け出を怠った場合は20万円以下の罰金、虚偽の届け出を行った場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科されます。

  3. (3)永住権は取り消される?

    外国人配偶者が日本の永住権を保有している場合は、配偶者ビザ(在留資格)と異なり離婚したことを理由に永住権が取り消されることはありません。すでに日本国籍を取得している場合も同様です。

4、離婚した後、取得できる可能性があるビザ(在留資格)

日本人の配偶者と離婚すると、外国人配偶者は配偶者ビザを在留資格とすることは基本的にできません。
したがって、離婚後も外国人配偶者が日本に住み続けるためには「定住者」「就労」「永住者」の在留資格のうち、いずれかに変更する必要があります

  1. (1)定住者ビザ(在留資格「定住者」)

    定住者ビザは、配偶者ビザと同様に就労に関する制限がないというメリットがあります。
    定住者ビザの取得は、定住者告示で定められているもののほか、法務大臣が個々の外国人について、特別な理由を考慮して居住を認めるものです。そのため、申請には人道上の理由や特別な理由が求められます。

    定住者告示とは、定住者を取得するための条件を告示したものです。日系人やその配偶者、日本人の実子などが該当します。なお、定住者告示に該当しない場合であっても、日本人や永住者と離婚、死別したものの在留を希望するもの、日本人との間に生まれた実子を扶養する場合などが該当します。

    ただし、定住者ビザへの在留資格変更が認められるには、婚姻期間や素行不良がないか、一定の収入があるかなども重視されるため、誰でも簡単に取得できるわけではありません。また、離婚に至った理由や経緯も重視される傾向があるようです。

    なお、在留資格は在留期間ごとに更新手続きが必要です。在留期間は、5年を超えない範囲で個々に指定されます。

  2. (2)就業ビザ

    日本で就労することができる在留資格、いわゆる就業ビザに該当するのは16種の職種です。注意していただきたい点は、配偶者ビザと異なり就業ビザは仕事内容が限定され、いわゆる単純労働といわれる職種では就業ビザへの変更が原則として認められません。
    つまり、外国人配偶者本人の学歴・職歴・保有資格・スキルなどの諸条件を満たさなければ、認められないのです。

    具体的な一例としては、芸術、報道、医療、教育、介護などに関わる職種が該当します。職種ごとに細かい要件は異なるため、外務省や出入国在留管理庁のサイトを確認することをおすすめします。

  3. (3)永住者

    日本の永住権を取得すると、永住者として在留期間の制限なしに日本に滞在することができるようになります。
    取得するための法律上の要件は、下記の通りです。


    • 素行が善良であること
    • 独立して生計が立てられる資産又は技能を有すること
    • 永住することが日本の国益にかなうと認められること


    なお、婚姻中に配偶者ビザから永住者へ変更する場合は、素行や生計は不問とされています。ただし、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、引き続き1年以上在留することが求められます。

  4. (4)在留資格変更を弁護士に依頼するメリット

    配偶者ビザから前述したいずれかの在留資格へ変更する手続きなどは、行政書士に依頼することも可能です。
    しかし離婚が原因となり在留資格を変更する場合は、在留資格の変更以外にも、離婚にまつわる諸問題(親権、財産分与、慰謝料など)が付随します。ましてや国際結婚による離婚は、日本人配偶者との離婚と比較してトラブルが一層複雑化しやすくなる傾向があります。したがって、国際結婚による離婚については、早いうちから弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

    離婚問題の解決実績が豊富な弁護士であれば、法的なアドバイスはもちろんのこと、外国人配偶者との交渉、調停や裁判になった場合の代理人として対応します。もちろん、取得可能なビザに関するアドバイスや、配偶者ビザからの在留資格変更に関する手続き、サポートを依頼することも可能です。

5、まとめ

国際結婚による離婚は、親権や財産分与などのもめ事に加えて、ビザに関する問題も関係します。
その点、ベリーベスト法律事務所であれば、専門チームが強力にサポートできるだけではなく、ビザ申請に特化した対応も可能です。英語、中国語であれば通訳サービスもあるため、離婚問題とあわせて対応をお任せください。
国際結婚による離婚でお悩みの際は、ぜひベリーベスト法律事務所までご相談ください。あなたのために、ベストを尽くします。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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