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【経営者の方向け】別居後の財産分与を有利に進める方法とは

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更新日:2024年10月09日  公開日:2021年02月25日
【経営者の方向け】別居後の財産分与を有利に進める方法とは

離婚前に別居した場合、いつの時点の財産を対象に財産分与すべきなのでしょうか?
別居後離婚するまでの間に財産の変動があった場合、考慮されるのかが重要な問題となります。

本コラムでは別居後の財産変動が財産分与において考慮されるのか、経営者が別居するときの注意点や財産分与を有利に進める方法について弁護士が解説します。
離婚を考えている経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

1、会社経営者のよくある別居原因は?

会社経営者が妻と不仲になり、別居するケースでは以下のような理由がよくみられます。

  1. (1)男女問題

    経営者である夫に、妻とは別の好きな人ができて「人生をやり直したい」と考えて別居するパターンです。

  2. (2)生活リズムが合わない

    経営者は忙しい職業です。仕事にのめり込んで家に帰ってこないことも多いでしょう。妻と生活リズムが合わず、別居に至るケースは少なくありません。

  3. (3)配偶者が共同経営者で、経営方針が異なる

    妻と共同経営をしている場合、経営方針が食い違って次第に心が離れていくケースもみられます。

2、別居後の財産分与、正しい分け方

別居後に財産分与する場合、財産分与はいつの時点を基準に行うのでしょうか?

  1. (1)別居後の財産分与の基準日

    離婚前に別居したケースでは、原則として「別居日が財産分与の基準日」となります。別居後は夫婦の家計が別々になり「共同して財産を築く」前提が崩れるためです。別居後に財産を使い込んでも、反対に財産を殖やしても財産分与の計算としては評価されません。
    たとえば住宅ローンがある場合には「別居時の住宅ローン残高」を基準に家の価値を計算します。

  2. (2)例外的に財産変動が考慮される場合

    ただし別居後も夫婦が協力して財産を築いていた、あるいは別居後も家計を分けなかったなどの事情があれば、別居後の財産変動も考慮するのが公平となるでしょう。そういった事情があれば、裁判時や離婚時までの財産変動が考慮される可能性もあります。

    別居後の財産分与の基準時は、基本的には「別居時」、例外的に「裁判時や離婚時」が基準とされる可能性があると理解しましょう。


    「離婚時の財産分与は弁護士にご相談ください」のページでは、財産分与の対象になるもの・ならないもの、注意点などについて解説しています。ぜひご参考ください。

    適切な分配・損をしないために離婚時の財産分与は弁護士にご相談ください

3、離婚を前提にした別居の注意点

離婚前に別居する場合、以下のような点に注意が必要です。

  1. (1)生活費(婚姻費用)を払う

    婚姻期間中の夫婦には、相互に扶養し合うべき「相互扶助義務」があります。収入や社会的地位、子どもの学費などを考慮して生活費(婚姻費用)を支払う必要がありますが、別居していても法律上は夫婦ですので、当然別居中も生活費を負担する義務を負います。また、きちんと婚姻費用を支払わないと、法律上は「悪意の遺棄」と評価されてしまいます。相手側から慰謝料を請求される可能性もありますので、注意が必要です。必ず適正な金額の生活費(婚姻費用)を支払いましょう。

  2. (2)高額な生活費を請求されても相場以上は払わなくて良い

    経営者が別居すると、相手から驚くほど高額な生活費を要求されるケースは少なくありません。しかし高所得者だからといって、相場よりも高額な費用を負担する必要はありません。生活費には「相場の金額」があるので、適正な金額を算定して払えば十分です。払いすぎにならないよう、専門家にアドバイスを求めて相場の金額を算定しましょう。

  3. (3)妻が浪費、財産を持ち出した場合の対応

    財産分与の対象となる財産は、別居時を基準として算定されます。そのため、別居後に妻が浪費したり財産を使い込んだりしても原則考慮されません。妻に財産を持ち出された場合でも、その財産を特定できれば財産分与の対象にできます。
    離婚前に別居するなら、どういった財産があるのかしっかり把握しておきましょう。

  4. (4)相手の財産を把握できなくなるリスク

    離婚前に別居すると、相手の財産を把握しにくくなります。特に経営者の場合、夫婦の名義でさまざまな資産へ分散投資しているケースも少なくありません。別居前にしっかり夫婦の財産状況を把握してく必要があります。

  5. (5)忙しいので話し合いをしないのはNG

    経営者は毎日忙しく仕事をしているものです。しかし多忙を理由に財産分与に関する話し合いを放置すると、相手に有利になる可能性が高まります。離婚に至るまで、継続的に婚姻費用を払わねばならないからです。

    高額所得者である経営者が妻に払うべき生活費の金額は、一般サラリーマンよりずいぶん高額になるでしょう。放置すればするほど、相手側へ多くのお金を支払わねばならず支出が増えてしまいます。忙しくても放置せず、きちんと話し合いを進めましょう。

    参考:高額所得者の養育費、婚姻費用、財産分与について解説

4、単身赴任や家庭内別居の財産分与基準時

単身赴任や家庭内別居の場合にも財産分与基準時を「別居時」にできるのでしょうか?その場合、いつが基準時となるのか、みてみましょう。

  1. (1)単身赴任の場合

    単身赴任して別の場所に住んでいても、夫婦につながりがあり家計が同一であれば「別居」にはなりません。ただし、だんだんと不仲になって本当の意味での「別居」になるケースもあるでしょう。このように、単身赴任から徐々に別居につながっていった場合、「夫婦が一緒に暮らす意思を失った時点」が別居時になると考えられます。
    たとえば「夫の不貞が発覚して夫婦関係が破綻したとき」などと考えるとわかりやすいでしょう。

  2. (2)家庭内別居の場合

    家庭内別居は、基本的に「別居」として認められません。家庭内別居していても、基本的には夫婦の家計は1つであり、共同して資産形成や取り崩しをしているものだからです。
    離婚を視野に入れて別居したい場合は、家庭内別居ではなく実際に別居する必要があります。

    なお離婚前に別居する際には、別居開始時期を後に証明できるよう算段しておくべきです。住民票を移す、引っ越しの見積書や領収証を残すなど、「証拠」をとっておきましょう。

5、別居後に財産分与する手順

別居後に離婚するケースで相手ときちんと財産分与を行いたいなら、以下のように手続きを進めましょう。

  1. (1)協議離婚

    まずは相手と話し合い、離婚を目指します。別居時の財産を明らかにして、基本的にはお互いに2分の1ずつに分け合いましょう。ただし夫の財産形成に対する貢献度が特に高い場合など、夫婦が納得すれば割合を修正してもかまいません。
    合意できたら離婚協議書を作成しましょう。

  2. (2)離婚調停

    話し合っても合意できない場合には、家庭裁判所で離婚調停を申し立てましょう。裁判所の調停委員が間に入って調整してくれます。
    ただし調停委員が相手側の肩を持つケースも少なくありません。不利になりそうな場合は、弁護士を代理人に立てるようおすすめします。

  3. (3)離婚裁判

    調停でも合意できなければ、離婚裁判によって決着をつけることになります。裁判では、裁判官が財産分与の方法について決定します。有利な判決を得るには、財産状況を明らかにして正しく評価を行い、ご自身の貢献度をわかりやすく説明する必要があるでしょう。
    また裁判で離婚が認められるには「法定離婚事由」が必要です。妻が離婚を拒絶している場合、そもそも離婚が認められない可能性もあるので注意してください。

6、別居後の財産分与を有利に進める方法は?

  1. (1)財産状況を把握

    別居後の財産分与を有利に進めるには、夫婦の財産状況の把握が極めて重要です。相手方名義の財産だけではなく、自分名義の財産もしっかり確認しておかれることをおすすめします。
    特に会社経営者の場合、一般のサラリーマンよりも財産の種類や金額が多くなりがちです。分散投資している方や、全国に不動産をたくさん所有している方、保険に入っておられる方もいらっしゃるでしょう。
    財産調査を行って目録にまとめておくと、後に財産分与するときにわかりやすくなります。

  2. (2)相手の隠し財産を調査する

    経営者の妻は、多額の「へそくり」を貯めているケースが少なくありません。共同経営の場合、妻名義の財産もそれなりに多く積み上がっているでしょう。財産隠しをされたら、こちらの取り分が減って損をしてしまいます。
    別居後、財産分与の話し合いをする前に、相手の隠し財産もできるだけ調査しておきましょう。
    個人情報保護の壁があって確認できない場合には、弁護士に相談するようお勧めします。弁護士であれば「弁護士法23条照会」という方法により、ある程度財産調査を進められる可能性があります。

  3. (3)財産形成への貢献度を主張する

    財産分与の割合は、基本的に夫婦が2分の1ずつとされます。夫の収入の方が多くても、この割合は変化しません。
    ただし一方配偶者が経営者や医者などで、特別な資質や能力によって著しく高額な所得を得ている場合には、財産分与割合が修正される可能性があります。
    そのため、一般の社会人より明らかに高額な所得を得ていて、ほとんどの財産を経営者である夫が築いた場合には、妻への財産分与額を少なくできる可能性があります。
    財産形成に対してどの程度の寄与があったのか、証明できる資料を用意することが重要です。

  4. (4)弁護士に依頼する

    経営者が別居後に財産分与する際には、早めに弁護士に依頼するようおすすめします。
    自分1人で対応すると、適切な判断が難しくなって知らず知らずのうちに不利益を受けてしまう可能性があるからです。

    また経営者の方は、毎日仕事に追われてお忙しいケースも少なくありません。弁護士に依頼することで、今後の離婚の進め方や妻との交渉などを任せられるので、大きく労力や時間を省けます。
    妻名義の隠し財産も一定程度調査できるので、財産隠しも防ぎやすくなるでしょう。
    夫側の貢献度を主張して、財産分与割合を減らしやすくなります。

    このように、別居後の財産分与は弁護士に任せるとさまざまなメリットを得られます。経営者の場合、コスト以上のベネフィットを得られるケースが大多数といえるでしょう。迷ったときには、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみてください。

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7、まとめ

妻と別居していると、お互いに連絡を取り合うのも億劫になるものです。弁護士に任せれば、自分で対応する必要がありません。
財産価値を評価する際には、法的な専門知識が必要です。自分でいちから調べるのは大変ですし、間違いも起こりやすくなるでしょう。

また、すでに他の弁護士に相談されている場合も、ベリーベスト法律事務所はセカンドオピニオンとしての法律相談もお受けしています。
離婚トラブルで会社経営に影響が出ないように、財産分与や婚姻費用の問題はお早めにご相談ください。

この記事の監修
ベリーベスト法律事務所 Verybest Law Offices
所在地
〒106-0032 港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
設立
2010年12月16日
連絡先
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-663-031
※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
URL
https://www.vbest.jp
  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。

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